第281回 市川憂人 『ジェリーフィッシュは凍らない』

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内容
特殊技術で開発され、航空機の歴史を変えた小型飛行船“ジェリーフィッシュ”。その発明者である、ファイファー教授たち技術開発メンバー6人は、新型ジェリーフィッシュの長距離航行性能の最終確認試験に臨んでいた。ところがその最中に、メンバーの1人が変死。さらに、試験機が雪山に不時着してしまう。脱出不可能という状況下、次々と犠牲者が…。第26回鮎川哲也賞受賞作。



・雪山に不時着した飛行艇「ジェリーフィッシュ」内で起こった“6人全員他殺“事件

・捜査するマリア&蓮の刑事コンビ

・謎めいた幕間


この3つのストーリーが順番に語られ、
「そして誰もいなくたった」「十角館の殺人」ばりのクローズドサークルを解き明かす本格ミステリです。


ジェリーフィッシュ内で次々と乗組員が殺されていき、外部犯を疑いながら内部でしかありえない状況。
それに対して疑心暗鬼になる登場人物たち。
あまりにもクローズドサークルミステリらしくてワクワクします。


この作品で凄いのは、
Who (誰がやったか)、
をかなり序盤で捨てて、
How(どうやって)
を中心に盛り上げていくところだと思いました。

普通に読んだら、犯人は絞られてしまうので
後はどうやって?の部分だけが残るんですが、
基本的にHowの部分は論理的にならざるをえないので、
物語として感情的に盛り上がりづらいところがあると思います。

ただ、この作品では特別なジェリーフィッシュというSF的な舞台であることを生かしたアクロバティックなロジックによって、
最後まで読者を楽しますことに成功していると感じました。


あとは、推理する刑事のマリア&蓮のコンビが個人的には凄くハマった。
賛否あるみたいですが、対照的なキャラクターで冷静で緻密な推理をドラマチックにする一因になっているのではないかなと思います。
シリーズになってるようなので、他のものも読んでみたいと思いました。

ラストも儚く、美しく後味爽やかないいストーリーだと思います。

新感覚のクローズドサークルなので、
ミステリーファンは必読です。