第318回 島田荘司 『屋上』


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内容

同じ場所から次々と飛び降りて死んだ男女。被害者は、幸福の絶頂にあった女性、「自殺しません」と宣言してから様子を見に行った男性など。「まだ御手洗が馬車道にいた頃、暗闇坂、龍臥亭にも劣らないほど印象深い事件だった」。人智を超えた謎と鮮やかな解決。名探偵のなかの名探偵・御手洗潔が降臨する!





呪われた盆栽にまつわる怪奇的なストーリー、
銀行の屋上から次々と人が飛び降り自殺をしていくという謎。

前半はホラーと怪奇テイストを全面に押し出して、『暗闇坂…』みたいなおどろおどろしい雰囲気(そこまでじゃないけど)。


ただ、どこか銀行員の会話が軽快だったり、
アクシデントの始まりがトイレからだったり、
ちょこちょこユーモラスな表現や展開があり、読み易く、面白い。


そういった遊び心が満載で、

本格志向の強い、読者への挑戦状があり、

トリックに関しては、ロジカルではあるが、
作中で御手洗がそうだったように、
思わず笑ってしまうような大胆なタネ明かし!

かつて蘇部健一が『六枚のとんかつ』で、
島田荘司の傑作『占星術殺人事件』をモチーフにバカミスを書いていますが、

六とんに負けじと大真面目にユーモラスミステリーを書いた感じ。



お決まりの名探偵の御手洗は解決するためだけに、作品のかなり終盤に颯爽と現れて、
颯爽と事件を解決に導いていきます。


ユーモラスで軽快な、読後感は何故か晴れやかな良作。