中学2年の女子生徒の部屋には大麻が付着した吸引用パイプが無造作に放置されていた-。大麻を所持していたなどとして、昨年12月から今年4月に神戸市立中学の女子生徒らが兵庫県警に相次いで逮捕・補導された。女子生徒の部屋は大麻吸引のたまり場になっていたことが判明し、低年齢層にまで広がった大麻汚染の深刻さを浮かび上がらせ、4月末には譲渡していた男が逮捕されるなど事件の“余波”はやまない。女子生徒らは別々の学校に通いながら携帯電話のインターネット掲示板などを通じて知り合い、学校を超えた“ネットワーク”を形成。白昼堂々と大麻の授受が行われ、大麻購入資金を稼ぐためにガールズバーで働くなど、驚くべき実態が明らかになった。

 ■ネット掲示板に大麻情報?

 「(大麻は)どこでも手に入る。この辺なら4500円が相場」

 神戸の繁華街、三宮。夜遊びに繰り出した少年少女が路上や広場で目立ち始める午後9時過ぎ、少年の1人は悪びれもせずに話した。三宮にある雑居ビル内のクラブで大麻の授受が行われているといううわさもあり、少年らは「最近でも普通に手に入る」と口をそろえる。

 別の少女は「意外に中学生が売っていたりする」と話し、「最初はみんな先輩から勧められて始めるんじゃない?私も友達から『これ吸ってみ』と言われたことがある」と告白した。売人を探す主な手段はネットの掲示板やブログとみられ、三宮を行き交う中高生の多くが、特定の掲示板を挙げた。掲示板でさまざまな情報をやり取りする中で、大麻の売買が行われているようだ。

 実際に少女らが利用する掲示板には、《ネタほしい人》《ネタだれか持ってない》《×ほしい人》など、大麻を示唆するような隠語が多数書き込まれているという。

 昨年暮れから今年初めに兵庫県警に大麻取締法違反容疑で逮捕・補導された4人の女子生徒も別々の中学だったが、主にネットで知り合ったとみられる。

 このうち、神戸市長田区の中2の女子生徒(14)の自宅には常に5~10人が出入りし、「この部屋でパイプを使い回して吸っていた」と供述。親が不在がちのこの部屋が、大麻の吸引場所になっていたという。

 県警の捜索で見つかったポリ袋入りの大麻は、化粧ポーチやベッドわきに隠されていたものの、吸引用パイプは無造作に置かれ、常習的に使用していたことをうかがわせていた。

 ■白昼堂々と授受

 4人の女子生徒らが逮捕・補導された約3カ月後、新たに神戸市須磨区の中学3年の女子生徒(14)が逮捕された。母親が制服のポケットから袋入りの乾燥大麻を見つけ、県警に通報して発覚した。4人の女子生徒の1人と知り合いだったが、「夜遊びで知り合った(別の)女子中学生にもらった」と供述。大麻が広がっていることを改めて浮き彫りにし、その後の捜査で、中学生を取り巻く大麻汚染の深刻さが明らかになっていった。

 県警によると、新たに逮捕された女子生徒の場合は「睡眠薬がほしい」と友人の神戸市灘区の中3女子生徒(14)に依頼したことがきっかけだった。

 頼まれた灘区の女子生徒は遊び仲間だった専門学校生の男(20)から3千円で睡眠薬と大麻を購入。その際、ファストフード店前の路上で堂々と男からそれらを受け取り、翌日夕方に、近くのショッピングモールで頼まれた女子生徒に渡していたという。

 男は大麻を譲渡した容疑で逮捕されたが、県警の調べに対し、「(女子生徒の)周りにいくらでも(大麻に)手を出しそうな子がいると思った。これから販売できると思った」と供述。逮捕されていなければ、さらに多数の中学生らに大麻を売って稼ごうとしていた。

 捜査幹部は白昼堂々と大麻をやり取りしていた中学生らのモラル低下に驚き、「大麻の譲受を昼間の路上で平気で繰り返す中学生にとって、大麻はたばこ感覚。重罪となる違法薬物との認識がない」と指摘。「摘発されたのは、氷山の一角かもしれない」と表情を曇らせる。

 ■ガールズバーで大麻資金

 「日ごろから非行が目立つ生徒ではなかった」

 女子生徒の逮捕を受け、会見した学校関係者は動揺を隠せない様子で報道陣に応対した。別の生徒についても欠席は目立ったものの、補導歴もなく、校長は「校外の交友関係まで把握するのは難しい」と戸惑う。

 中には、夜遊びや家出を繰り返すなど非行が目立つ生徒もいたが、普段の素行からは予測できない生徒らが大麻に手を出しているケースも少なくないようだ。

 さらに、県警や教育関係者を驚かせたのは、大麻購入などの資金を得る目的で、深夜にガールズバーでアルバイトをしていた生徒がいたことだ。

 この事実をつかんだ県警は今年1月、神戸市東灘区のガールズバーを風営法違反(年少者雇用)容疑で家宅捜索。複数の中学生が深夜まで働いていたことがわかった。中学生らが身分や年齢を偽っていた可能性もあるが、集客のために中学生と知りながら雇う悪質な店も多いという。

 夜遊びを重ねる中高生らの間でもうわさは広がっており、「大麻ほしいやつはガールズバーとかでバイトしている。最近は年齢のチェックが厳しくなったが、以前は中学生が働いているのは珍しくなかった」と話す。

 中学生らはガールズバーで働き、遊興費や携帯電話料金、さらに大麻の購入資金を稼ぐ。深夜までのアルバイトに疲れて学習意欲を失い、学校を休みがちになっていき、すさんだ気持ちをごまかすために、また大麻に手を出してしまう。

 捜査幹部は「こうした非行中高生の負のスパイラルを断ち切るのは非常に難しい」とした上で、「中学生を何人逮捕しても警察の成果とはいえない。教育関係機関と連携して啓発を続け、逮捕される中学生をなくすことこそ真の成果だ」と力を込めた。

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