■加害者死亡 過失問えず

 --加害者が自殺したこともあり、事件に関する裁判は県警を相手取った国家賠償訴訟だけでした

 「事件の報道は、妹への中傷ばかりで、僕も報道を見た人が『あんな子やったら殺されても仕方ないわ』というのを聞き、ショックを受けました。1年間も暴力や監禁、脅迫というひどいストーカー行為を受けた末に殺された妹の名誉を何とか回復したかったのと、責任の所在を明らかにしたかったんです」

 --事件後の警察の対応はどうでしたか

 「書類送検して終わり、です。僕は親戚(しんせき)や友人と目撃者を捜し回りましたが、警察には協力どころか『動かんといてくれ』と言われました」

 --被害者支援も今のようではなかった

 「弁護士を訪ねても、『何をしたいんや。何もできへんで』といわれるばかりで。たまたま『あすの会(全国犯罪被害者の会)』の設立総会が東京で開かれるという新聞記事を見て夜行に飛び乗り、そこで体験を語ったのがきっかけで取材を受けるようになり、裁判をやってくれる弁護士とも知り合えました」

 --裁判では警察の捜査資料の開示や、警察官の出廷も求めました

 「資料はほとんど黒く塗りつぶされていました。証人として出廷した警察官ものらりくらりと答えるだけで。警察もそうですが、裁判ってこんなもんなのか、と。警察への不信感は逆に深まりました」

 --JR福知山線脱線事故の裁判では今後、歴代3社長が法廷に立ちますが

 「社長もああいう態度を取るでしょう。僕も裁判で真実が明らかになると思っていましたが、結局は本人が語らない限り、遺族は何も知ることができない」

 --判決については

 「司法は冷たいな、とつくづく思いました。僕が裁判で得られたのは結局、さらなる失望感でした」(聞き手 木村さやか)

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 【太子町ストーカー殺人事件】 平成11年2月、会社員の尾ノ井由加子さん=当時(20)=が兵庫県太子町の県道を軽乗用車で走行中、ストーカー行為を続けていた男=同(27)=に大型乗用車で正面衝突され即死。男もその場で自殺した。県警は殺人容疑で男を被疑者死亡のまま書類送検。遺族は相談を受けながら県警が適切な捜査を怠ったとして、県に約1億円の国家賠償を求め提訴したが、18年に660万円の賠償を命じる一方、捜査怠慢と殺害との因果関係は否定した1、2審判決が確定した。

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