2006年03月19日

「The Massacre」 50 Cent (2005年)

The Massacre2003年のアルバム「Get Rich Or Die Tryin'」で大成功を収め、その後も順調に数々のお騒がせやヒット曲で名前を売っていた50セントによる2枚目のメジャー・アルバムです。
当初は、アル・カポネ(彼の別名はMr.50 Caliberでした)が行った冷徹で無慈悲な「聖バレンタイン・デーの虐殺(敵対するギャングにちょっかいを受けたカポネ側が、警察の家宅捜査に成りすまして敵ギャングのアジトを訪問、相手に武器を捨てさせて、後ろ向きに壁に手をつかせた状態で銃を乱射し虐殺したという有名な未解決事件)」を意識して、2月14日に発売を予定。タイトルも「St.Valentine's Day Massacre」を予定していましたが諸事情により発売は延期され、「The Massacre」というシンプルなタイトルで店頭に並ぶことに。
こういう経過から、アルバムは数々の批判やちょっかいに対する50セントからの回答&反撃が主な要素になるのか(かつての敵、ジャ・ルールで言う「Blood In My Eye(2003年)」のように)とも思われましたが、いざ聴いてみると、硬軟のバランスがよく取れていて、その辺は彼の才覚のあるところ、余裕のあるところをきちんと提示してみせた商品になっていると感じました。
 
先行シングルとして見事に期待に応えた「Disco Inferno(てっきりトランプス・ネタかと思いきや違ってました)」は、実に楽しげな雰囲気が漂うパーティー・ラップ。正直言って、僕は50セントのラップは一本調子に聞こえる時もあって、そんなに好きなほうではないんですが、これだけトラックが派手だとその辺はほとんど気になりません。正にヒットするべくしてヒットした曲という印象です。
続いて大ヒットしたのは、スコット・ストーチがファット・ジョー用に作ったという「Candy Shop」。ファット・ジョー側による「「Lean Back」調の曲はしばらくはいらない」という決断により、50セントがこのトラックを獲得したわけですが、ここではエロエロ・モードの詩とオリヴィア嬢の悩ましげな歌声に彩られ、爆発的な人気で受け入れられました。尚、この件についてファット・ジョーは「別に俺は構わないよ。黒人やヒスパニック系の男が金を手にするのに嫉妬はしねえからさ」と大人の対応を見せていましたが、両者の因縁はこんなところでも繋がっていたんですね。
同じくスコット・ストーチ作のシングル曲となったのは「Just A Lil Bit」。「Candy Shop」同様にエロい歌詞のこの曲は、東洋的なトラックの中毒性も手伝ってか、なかなかのヒットになったようです。
ジェイミー・フォックスとの恋愛曲「Build You Up」もやはりスコット・ストーチ作。歌うように滑らかなラップをしていく50セントと、抑え気味に熱唱するジェイミー・フォックスとのコンビはかなりの相性の良さを見せ、シングル候補になってもおかしくない良曲だと個人的には思います。こういった一連の50セント曲もそうですが、マリオの「Let Me Love You」や、次代のマイケル・ジャクソンことクリス・ブラウンの「Run It !」等、スコット・ストーチは2005年も何気に良い仕事を連発してくれました。
一方、50セントの親分であり、師匠でもあるDr.ドレー作の「Outta Control」は、「In Da Club」を彷彿とさせるドレーらしい曲ではありますが、若干の物足りなさ、平凡さは感じてしまいます。
 
数々のビーフに対して最も雄弁に語った曲は「Piggy Bank」でしょう。「Xなんてもう古いんだよ。「Get At Me Dog」とかいつまでも叫んでんじゃねえ」と始まると、「デブなニガーが「Lean Back」は「In Da Club」級のヒットだとか言っていたが、俺の「In Da Club」は1,100万枚売れたんだ。お前の不発弾と一緒にしないでくれよ」とファット・ジョーに攻撃を。更にはジェイダキッスにも「俺を甘く見るとジェイZにやられたモブ・ディープみたいになるぞ?所詮はお前もNYだけのローカル野郎なんだから」と続き、ケリスに対しては「整形手術前のリル・キムみたいだな。お前の顔はもう緊急事態。マイケル・ジャクソン並みの緊急事態だ」と言い放ち、「ケリスは「Milkshake」で男が皆寄って来るだなんて言っていたけど、そこに来たのがナズだよな。あいつは、何を思ったか腕にタトゥーまで入れちまった」と夫のナズにも攻撃を加えます。そして、最後には「おい、皆が聞いてるぜ。お前ら、ハードなニガーなんだろ?当然やられっぱなしじゃいられないよな?かかってこいよ、ハハハハハハ!」と締めるあたり、50セント自身はもう、一連のビーフを楽しんでいる様子。
続く「Gatman And Robbin」でも先輩のエミネムが作った「バットマンのテーマ」をループさせた不穏なトラック上で「もうビーフはお終いだ。やる気があるなら銃でやってやる。俺達2人はシャム双生児。2人でシーア派並みの報復攻撃を見せてやる」とひたすら相手を挑発し、同じくエミネム作の「My Toy Soldier」ではトニー・イエイヨーと一緒に「お前らみんな俺のおもちゃ。おもちゃの兵隊なんだよ。俺がお前の背中のねじを巻いて好きなように動かしているだけ」「だが、それ以上エミネムに近づこうと思ったら、この俺が黙っちゃいないぞ。俺達に嫉妬するのもそろそろその辺にしておけよ」と警告します。この辺の緩急のつけかたは、もう一流の煽り師さながらの見事な言動に思えます。
そう考えると、アルバムの最後にザ・ゲームとの共演曲「Hate It Or Love It(G-Unit Remix)」が収められているのも、今となっては彼なりの釣りというか、ユーモアというか、そういう狙いがあったんじゃないか?とさえ思えてしまうから不思議なもの。

そういったシリアス路線の曲の中でも、特に際立って聴こえてくるのが「Gunz Come Out」です。グランドマスター・カズの名曲「Wild Style Theme(1983年)」を思い出させるハードな雰囲気の中、数々の状況説明を混ぜながら相手を追い詰めていく様は、正に千両役者といった存在感。こういう50セントのラップを聴いていると、ドレーやエミネムがあれほど彼を買っている理由が分かるような気がします。ちなみに、トラックを作ったのはDr.ドレー。不穏なギャングスタ路線を作らせたらまだまだ彼は一級品というところを存分に見せつけてくれる素晴らしい曲(ザ・ゲームにも合いそうな感じ)になっていて、やっぱり、なんだかんだ言っても、ドレーの新作アルバム「Detox」の発売が待ち遠しくなってしまいます。
 
結果的に、このアルバムもまた大成功を収め、経済誌「フォーブス」が先日発表した「2005年長者番付音楽界部門」ではヒップホップ界から唯一、トップ10圏内に顔を出し(7,900万ドルで8位)、更には主演映画「Get Rich Or Die Tryin'」までもが大ヒット。次作出演映画「Home Of The Brave」では、かねがねラッパーによる映画出演を快く思っていないサミュエル・L・ジャクソンとの共演も予定されているとかで、またまた一騒動起こしそうな予感。
かつては、その行動から「2パックの後追いラッパー」という印象もあった50セントですが、ここ最近はすっかり50セント個人としての存在感、風格が漂ってきたように見えてきて、今後の彼の活動を何気に楽しみにしています。
 
お気に入りの1曲「Gunz Come Out」
   
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2006年03月16日

「ジェームス・ブラウン デビュー50周年記念コンサート」 James Brown (2006年3月5日@東京国際フォーラム ホールA)

JB50周年

数少ない僕のアイドル、JBによる3年振りの来日公演に行って参りました。この日は公演最終日&日曜日ということで、かなりの客足を勝手に予想していたんですが、有楽町駅を降りてみると、思ったほどの人だかりはありませんでした。会場である国際フォーラムの入り口も特に行列になっているわけでもなく、淡々と荷物チェックが行われ、あっという間に入場出来ました。多少の寂しさを感じながらホール内に足を踏み入れると、主に飲酒コーナーと喫煙コーナーを中心に人だかりが。この辺はJBファンの年齢層が関係しているんでしょうか?
前回、Tシャツやらパンフレットやらで大盛況だったグッズ売り場は、CDのみの販売ということで今回はほとんどの人が素通りしてました。一応、覗いてみましたが、やはりこれといって欲しい物も置いてなく、4月に日本版が出るというDVD「1978 : Live At Taboo Club」のチラシだけ貰って席へと向かいました。 
 
ダニー・レイ座席では既に半分ちょっとの人々がくつろいでおり、中には巨大なアフロの人やJBと同年代と思われる夫婦なんかも混じっていました。BGMのウィルソン・ピケットやバーケイズ、ジャクソン5を聞きながら「あのアフロの後ろの席になったらどうしよう」「あんなふうに年を取れたら良いね」等と彼女と談話しながら開演時間を待っていると、ほぼ予定時刻通りのPM6:00頃にアナウンスと共に会場が暗くなりました。
熱気のこもった「ウオォーー」という野太い歓声に迎えられて、まずステージに登場してきたのはバックバンドのソウル・ジェネラルの面々。ドラム×3、ギター×2、ベース×2、ホーン×3というメンバー構成は明らかに前回よりも人数が多く、熱の入った「Soul Power」で会場を暖め始めます。バンドの登場時から場内にはMCのダニー・レイの特徴のある煽り文句が聞こえていたんですが、1曲終わったところで、遂にダニー本人がステージに登場。「スーパー・ダイナマイト・ショーの準備はいいか?」から始まるあの名司会をまさかこの目で見れるとは思っていなかったので、ダニーがヒット曲名を連呼し、JBの別名を並べる度に気分はすっかり「Live At The Apollo」の世界に突入してしまい、その度に僕は大歓声をあげる有様。おかげで、やっとJBが出てきた頃には既に声が枯れかかってしまいました、、、。
 
JB3ダニー・レイの登場も嬉しかったですが、やはり主役のJBは輝き方が違っています。この日の衣装は黒のタキシード上下だったんですが、その衣装も相俟ったキラキラぶりは、正に一時代を築いた者特有の存在感。間違いなく後世に語り継がれるであろう「生きる伝説」を自分の目で見れるこの幸せを噛みしめながらステージ上を凝視してしまいました。
まずは「Make It Funky」でスーパー・ダイナマイト・ショーは始まります。相変わらず元気なJB(体型はかなりスリムでした)はお得意のステップで小刻みに踊り、足で器用にマイクスタンドを操りながら余裕の笑顔で場内を見渡しながら歌います。続く「Cold Sweat」でも勢いのある往年のJBスタイルで歌って踊って大活躍でしたが、さすがのJBも寄る年波には勝てるわけも無く、今回は前回以上にバックバンド(JBいわくギターは「俺の息子だ」そうです)やコーラス隊、ダンサーの出番が多かったです。
それでも、ウィルソン・ピケットやレイ・チャールズに短い感謝の辞を述べての「In The Midnaight Hour」「I Got A Woman(いつもの「Georgia On My Mind」ではなかったのが嬉しい誤算でした)」のカバー曲は格好良かったし、JBズの名曲「Doing It Do Death」での指揮者ぶりもとても素晴らしい存在感(JBがステージを前後左右に移動するたびにバンド・メンバー全員が合図を見逃さないようにJBの姿を追い続けているのが印象的でした)を放っていました。
また、今回はステージ上に奥さんがいなかったせいか、客席の女性には非常に愛想を振りまいていました。特に前列の女性には何度も投げキッスや握手をしてあげたり、さすが天下のセックス・マシーン、女性の存在をエネルギーに変える術にも長けているようでした。そんな中で、時折り飛び出す「Pay Back」や「I Can't Stand Myself」での本気ぶりもまた良かったし、やはりJBは何歳になってもJBなんだなぁ、なんて微笑ましく見守ってしまいました。
 
JB2今回のステージで、文句無く素晴らしかったシーンはやはり「It's A Man's Man's Man's World」でしょう。一瞬、「Sex Machine」かと思わせるやりとりの後、例のイントロが流れると、すぐに歓声が湧きおこり、JBによる熱唱が始まると、また大歓声。JBがあと何十年か若くて、僕がもし女性だったらこの瞬間に客席で失神してしまったかも、、、と妄想させるほどの格好良いパフォーマンスで、膝を着き、哀願するように歌唱するJBの姿はもう芸術品じゃないかと思えてくるほどです。間奏部分では、わざわざ女性通訳を呼び寄せて「一番大切なのは愛の力。みんな、隣の人に「愛してるよ」と伝えよう」「勿論、俺も君たちを愛してる。そして自分自身の事もね。自分の事すら愛せない人間がなんで他人を愛せるものか?」等とメッセージ。更には「今回の公演で、もう来日はしばらく出来ないだろう。だけど、俺はいつまでも日本を愛してる。日本だけじゃない。俺は世界を愛してるんだ」と悲しいお知らせも、、、。思わずざわめき、しんみりとした雰囲気の場内に向けて、なおもJBは女性コーラス隊とのスクリーム合戦をしてくれたりと「Man's Man's Man's World」を存分に見せてくれました。
 
JB4<客席がまだその雰囲気を引きずったままなのを他所に、ステージは大ヒット曲「Living In America」へ。ここでは女性ダンサー2人と一緒に派手なダンスで場内を盛り上げていきます。若干しんみりしていた僕達も、そんなJBに乗せられて徐々に体が動き始め、終盤にお得意のランニング・マンを披露した頃には、JBに招かれた男性客がステージに上がって一緒に踊ったりと大騒ぎ。
「カウントを始めてもいいか?」で遂に「Sex Machine」が始まると、客席では後ろのほうから観客が雪崩れ込んできて、前のほうに群集が出来てしまう始末。更に、何人かの若い観客はステージ上にまで上り始め、前方で踊ったり、ダイブしたり無法地帯化してしまいます(さすがにオーラを放つJB本人に触れようとする者はいませんでしたが)。客席警備員や専属ガードマンがピリピリした雰囲気で集まってくる中でも、平然としたJBは笑顔で歌い続け、「Sex Machine」は無事に終了します。
最後は「Jam」で大団円。ソウル・ジェネラルに感謝の言葉を捧げ、女性ダンサーを拍手で送り出し、客席に向けていくつかプレゼントを手渡し(当然、女性優先です)、バック・コーラスのビタースウィーツと一人ずつ一緒に踊り(特にリーダー格のシンシアとのチーク・タイムは熱がこもっていました)、ダニー・レイの司会で送り出されるJB、、、本当に格好良かったし、素晴らしいショーでした。
この日は「Please,Please,Please」の披露がなく、当然ながらマント・ショーも見れなかったし、JB本人がマイクを握る時間も前回よりも少なくなっていたりと、物足りない点はいくつかありましたが、全体的にはJBの調子は良かったようで、個人的には前回の武道館公演よりも良かったように思います。JB本人が宣言したとおり、次の来日公演はかなり先のことになってしまいそうですが、このライブの余韻は今後も何年か味わえそうだし、それを糧にして、僕もJBに負けないように元気で頑張っていこうと思った夜でした。
  
Posted by g__g at 05:02Comments(7)TrackBack(1)ライブ

2006年03月12日

「ミュージックバトン」

最近、仕事に私生活にと忙しい日が続いてしまったせいで、すっかりブログのほうが疎かになってしまいました。いつも読んでくれている皆様、本当に申し訳ありません。
幸い、やっと一段落してきたので、久し振りにブログを再開してみたいと思います。
というわけで、今回は肩ならしも兼ねてmaimaiさんから以前、頂いていたバトンをやってみたいと思います。
 

【1】今よく聴いている曲はありますか?
 
「I Want To Take You Higher」 Sly And The Family Stone(w/Steven Tyler & Robert Randolph)(2005年)
「Thank You」 Sly & The Family Stone (1970年) 
 
「Game Owe Me」 D4L(Featuring Kool Ace) (2005年)

 
やはり、グラミー賞でのスライ・ストーン復活のインパクトが強かったので、あれ以降、スライ曲をよく聴くようになっています。「I Want To Take You Higher」は、例のトリビュート・アルバムの収録曲。チャックD、ディアンジェロ、アイザック・ヘイズの「Sing A Simple Song」と並んで愛聴しています。「Thank You」は「暴動(1971年)」のほうではなく「グレイテスト・ヒッツ(1970年)」に収録されている超強力ファンク版のほう。これは何年経っても色あせることのない名ファンク曲だと思います。
D4Lの曲はエレクトロ・ヒップホップ・アルバム「Down For Life」収録曲。ヒット曲の「Laffy Taffy」目当てで買ったアルバムですが、Pファンク調の「Game Owe Me」が最近のお気に入り。 
Sly StoneD4L

 
【2】友達に薦めたい曲がありますか?
 
「Broken Language」 Smoothe Da Hustler(Featuring Trigger) (1995年)
「Shake」 Ying Yang Twins (2005年)

 
「Broken Language」は一時期、西海岸産のGファンクばかりを聴いていた僕に東海岸産ヒップホップの格好良さを再認識させてくれたシンプルでストイックな名曲です。友達の音楽趣味にもよりますが、この曲を気に入ってくれた人はだいたいヒップホップ好きになっていく傾向にあるような気がします。
「Shake」は個人的には2005年のフェイヴァリット曲でした。映画「ブレイクダンス2(1985年)」に燃えた30代の方なら皆が知っている「Din Daa Daa」George Kranzネタの素晴らしいヒップホップです。 
Smoothe Da HustlerYing Yang Twins
 
 
【3】最近友達から薦められた曲はありますか?

「国民的行事」 Kreva (2005年)
「Stubborn Kinda Fellow」 トータス松本 (2003年)
福山雅治の新曲 (2006年)

 
「国民的行事」の入ったアルバムは一時期、後輩によく薦められていましたが、オリンピックでの今井ドームのパフォーマンスのイメージが強くなってしまい、最近は薦められなくなりました。結局、未聴です。
「Stubborn Kinda Fellow」はCMにも使われていたカバー曲。オリジナルは言わずと知れたマーヴィン・ゲイですね。この曲が入ったアルバム「Traveller」は何故か最近、彼女の中でブームになっているようです。
と、同時に福山マニアの彼女からは早速、新曲を聴くように言われていますが、幸い?まだ発売していないようなので、まだTV以外では聴いていません。 
国民的行事福山

 
 
【4】嬉しい出来事が起こったときにかかる自分のBGMを教えてください。
 
「Jeff Waz On The Beat Box」 DJ Jazzy Jeff & The Fresh Prince (1989年)
「It Takes Two」 Rob Base & DJ E-Z Rock (1988年)

 
共に大ネタ曲なんですが、やはり僕にとってのヒップホップ原体験にあたるこの年代の曲はいまだに印象が強いようで、何かと頭の中に鳴り響くことが多いです。
ジャジー・ジェフの遠慮を知らないスクラッチが特徴的な「Jeff Was 〜」のイントロ部分や、ヒップホップ&ファンク好きならほぼ全員が耳にしているであろう「イエー」「、、、フォー!」でお馴染みの「It Takes Two」のブレイク部分は、そんな中でも何故か再生される回数が多いみたい。嬉しい時だけでなく、急いでいる時、忙しい時なんかにもこの両曲はよく流れます。 
DJ JJ & FPRob Base
 
 
 
【5】自分の恋愛のテーマソングを教えてください。
 
「You Are Everything」 Diana Ross & Marvin Gaye (1973年)
「Time Waits For No One」 Jacksons (1980年)

 
ダイアナ・ロスとマーヴィン・ゲイによる「You Are Everything」、これは恋愛初期の胸の高鳴りを表すにはもってこいのデュエット曲だと思います。たとえ擬似デュエットだろうが、この2人によるハーモニーはやはり素晴らしい。特に終盤の掛け合い部分はたまりません。
恋愛も実りかけて、いざという時が来たなら「Time Waits For No One」を己に言い聞かせて勝負ですね。「時間の経過は誰のことも待ってくれない」という事は、高校時代の苦い恋愛体験で思い知ったので、幸い、以降は同様の過ちを犯すことは無くなりました。勿論、だからと言って、全ての恋愛が上手くいったわけではありませんが、そんな時にも、この「Time Waits For No One」は、僕の心を慰めて気持ちを切り替える役割を果たしてくれるのでした。 
Diana & MarvinJacksons

 
【6】「これが自分のテーマソングだ!」というものがあれば教えてください。
 
「It's A Man's Man's Man's World」 James Brown (1966年)

「How Kool Can One Blackman Be」 Kool Moe Dee (1991年)
「No Pain No Gain」 Kokane (1994年) 
「Neva Enuff」 Zeebra(Featuring Aktion) (2001年)

 
やはり、ここはブログ名にもさせてもらったJBのスロウ曲「It's A Man's Man's Man's World」を筆頭にあげておきます。特に自分のテーマソングというわけではありませんが、やはりこの曲は大好き。「ここは男の世界。強い男だけが生き残る。だけど、男というものは、愛する女性がいなければ何も出来はしないんだ」という世界には、単純にシンパシーを感じてしまいます。
 
ヒップホップではクール・モー・ディー「How Kool Can One Blackman Be」に影響されました。「一人の(黒人)男性は一体どこまでクールになれるのか?」というテーマにも共感しましたし、主役の渋いラップも好きでした。JB「Papa Don't Take No Mess」ネタのこの曲をプロデュースを手がけたのは、クール・モー・ディー&テディ・ライリー。
また、コケインの2ndアルバム「Funk Upon A Rhyme」に収録されていた「No Pain No Gain」という曲にも影響されたかな。この曲を聴いて以降、「No Pain No Gain」という言葉は僕の座右の銘(はちょっと大げさですが)になっています。
日本のヒップホップでは、北野武の映画「Brother」の主題曲にもなっていた「Neva Enuff」が何故か耳に残っています。この曲に出てくるフレーズ「逃げ出すかって?いいや、まだまだ」は何かがあると知らず知らずのうちに口ずさんでいます。 
JBKool Moe Dee

 
【7】生まれて初めて買ったCDを教えてください。
 
「Bad」 Michael Jackson (1987年)
 
「帰ってきたウルトラマン」サントラ盤

 
それまで、レコードかカセット・テープでしか音楽を聴けなかった僕が、アルバイト代で初めてCDラジカセを購入した際に一緒に買って帰ったCDがマイケル・ジャクソンの「Bad」でした。既に持っていたレコードやカセットでは出来なかったプログラム機能、ランダム機能、リピート機能をフルに生かし、それはもう暗記するくらい何度も聴きまくりました。このアルバム限定でイントロ・クイズ大会をやったなら、僕は今でもかなりの好成績を残せるんじゃないかと密かに自負しています。
一方、初めて買った(というか、買ってもらった)レコードは「帰ってきたウルトラマン」のサントラ盤でした。特に帰ってきたウルトラマンのファンだったわけではないんですが、レコード屋さんでたまたま見かけたジャケットが格好良くて父親にねだったのを覚えています。サントラと言っても曲は主題歌と挿入歌くらいしか入ってなくて、あとは物語が一編収録されていました。このレコードは「Bad」ほど聴き込んだ記憶はなく、どちらかというと家にあった「およげ!たいやきくん」や「パタパタママ」なんかを主に聴いて一緒に歌っていたかなぁ。 
Bad新マン

 
【8】では、次にこのバトンをまわす5人を指定してください。
 
いつものように誰かにバトンを回すのはやめておきます。maimaiさんからバトンを頂いてから1ヶ月近くも放置してしまったので、既にやっている方も多いかもしれませんが、興味がある方がおりましたらやってみてくださいな。実際にこうやってバトンをやってみると、自分の音楽遍歴、音楽嗜好が分かってなかなか面白かったです。
今週くらいからはまたボチボチBlogに復帰してみたいと思っています。今後も皆様のご指導、ご鞭撻の程、どうぞ宜しくお願い致しま〜す!
  
Posted by g__g at 21:52Comments(19)TrackBack(8)雑記

2006年02月12日

「The Stylistics」 The Stylistics (1971年)

The Stylistics
ヴァン・マッコイやスリー・ディグリーズ、ソフトーンズ等、ポップス風味を散りばめた楽曲を得意としたアヴコ・エンパシー・レコーズが1970年に発掘したのがこの5人組コーラス・グループ、スタイリスティックスです。もともとは、モナークスとパーカッションズという鳴かず飛ばずの2つのグループのメンバーが集まって結成されたグループだったそうですが、地元フィラデルフィアで何年も地道な音楽活動した後に、遂に彼らはこのアルバムで全米デビューすることになったのでした。そして、このデビュー作からは先行シングル「You're A Big Girl Now(1970年10月発売)」を筆頭に「Stop, Look, Listen(To Your Heart)(1971年5月)」「You Are Everything(1971年10月)」「Betcha By Golly, Wow(1972年3月)」「People Make The World Go Round(1972年6月)」の計5枚が次々とシングル化され、ラッセル・トンプキンスによる甘いファルセットと共に全てがヒットを記録。あっという間にスタイリスティックスは人気コーラス・グループの地位に(この5曲を含めたシングル12曲が連続してソウル・チャート10位以内に入るヒットに)登りつめていったのでした。
 
インディー時代にフィラデルフィア近辺でヒットし始め、見事に彼らをメジャー・デビューに導いた曲が「You're A Big Girl Now」です。「君はもう「パパの可愛い娘」じゃないんだよ。恋も出来るし、キスだって出来る。そして日に日に美しさを増していってるんだ。愛してるよ」と台詞入りで歌われる曲なんですが、洗練されたイメージの強い彼らにしてはかなり古臭さの漂うアレンジになっていて(当時のバックバンドのメンバーとマネージャーによる作品だそうです)、あまり僕は好きなほうではありません。
2枚目のシングルとなった「Stop, Look, Listen(To Your Heart)」は、後にダイアナ・ロス&マーヴィン・ゲイがカバーしたことでも有名な(僕はこっちを先に知りました)素晴らしいバラード曲。アルバムの冒頭を飾っているだけあって、聴きやすい中にも心に残る何かがあって、何度でも繰り返して聴ける曲だと思います。
同様に、ダイアナ&マーヴィンにカバーされたスロウ曲が「You Are Everything」。正直言って、この曲に関しては後発のダイアナ&マーヴィン曲のイメージが強すぎて、オリジナルのほうにはあまり思い入れがないんですが、それにしても素晴らしい曲だと思います。この辺の徹底したバラード路線が、スタイリスティックスの地位を築き上げた一因になっているのはもう疑いようのない事実でしょうね。
そんなバラード路線の中でも、一際目立って聴こえてくるのが「Betcha By Golly, Wow」。プリンスやトランプスを始めとして何人かのアーティストがこれまでカバーしてきていますが、この曲に関しては、いまだにオリジナルを超えたカバーに出会ったことがありません。いかにもバラードが始まりますよ、というイントロに続いて「君の瞳の中には魔法が宿っているよ。君の微笑を見ていると、妖精って本当にいるんだとさえ思えてくる」とラッセルの甘い声で歌われては、ほとんどの人はもうため息をついて聴き入るしかないでしょう。彼らのコーラス・ワークの中にこそ魔法が宿っているんじゃないかと思ってしまう見事なクラシック曲だと思います。 
「People Make The World Go Round」はマイケル・ジャクソンが2枚目のソロ・アルバム「Ben(1972年)」で見事にカバーしていたのを先に聴いていたので、「You Are Everything」同様、オリジナル版にあまり思い入れはありません。内容的には、スティービー・ワンダーや一時期のマイケル・ジャクソン(コンセプトとしては「Man In The Mirror」っぽいかも)が歌いそうな社会派曲という印象です。
 
シングル化されなかった曲の中にも良曲は沢山入っています。
大都会NYでの生活に疲れて田舎に帰った男の歌、「Country Living」では空気の新鮮さ、自然の雄大さ、ゆったりした間取りの家の良さ、時間の流れかたを爽やかに歌い上げ、まるで、聴いているほうまで自然の中にいるかのような気持ちにさせてくれます。
アルバムの最後を飾る「If I Love You」では、儚い恋の終わりを切々と歌い、アルバムが終わった後の静寂に余韻を残してくれてます。

そんなわけで、スタイリスティックスは数々のヒット曲と共に順調にキャリアを歩み始めたんですが、その後の彼らはポップス路線を徐々に強調するようになり、ブラック・ミュージック・ファンからはそっぽを向かれてしまう結果になってしまいました。また、1970年代後半にはジェームス・ダンが脱退し、1980年代にもジェームス・スミスが脱退。3人グループとして活動を継続していったようですが、1990年代以降はヒット曲にも恵まれず、地道な活動を続けているみたいです。
歴史に「たられば」を言ってもきりがありませんが、もしも彼らがモータウンあたりからデビューしていたら、もうちょっとバランスの取れたソウル&ポップス路線で長く売れ続けることも可能だったんじゃないかなぁ、なんて思ってしまうほどに素晴らしい実力を持ったグループだと僕は思っています。
 
お気に入りの1曲「Betcha By Golly, Wow」 



  
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2006年02月10日

「Emancipation」 Prince (1996年)

Emancipation
1996年という年は、プリンス(とかつて呼ばれていた男)にとって、実に様々な出来事があった年でした。この年のバレンタイン・デーにはミネアポリスでマイテと結婚式を挙げ、7月には確執が伝えられていたワーナーからのラスト・アルバム「Chaos And Disorder」を発売し、11月13日には遂にワーナーとの契約が解消され、プリンス自らが「解放の日(Emancipation Day)」と名付けた11月19日には新たな契約先であるEMI-キャピトル・ミュージックから3枚組新作アルバム「Emancipation」が早くも(前作とのブランクは僅か4ヶ月)全世界同時発売されたのでした。
本人自らが「このアルバムを作るために僕は生まれてきたんだ」とまで公言したこの作品は「愛とセックスと自由の3時間(CD1枚の収録時間60分×3枚)」というコンセプトを持ち、36曲で構成されていて、ほとんどの曲がプリンスの単独作業で作られたことから「Sign 'O' The Times(1987年)」と比較されたりもしていましたが、あのアルバムに感じられたような密室性はあまり感じられませんでした。むしろ、大空の下で悠々と動き回り、踊っているプリンスの姿が目に浮かぶような、文字通りの「解放された」アルバムだと僕は思います。
 
この大作の始まりは「Jam Of The Year」です。いかにもプリンスらしいファンク曲になっている一方で、いわゆる密室性は極めて少なくなっていて、正に彼が解放されたことを表すような音になっています。同じような明るいファンク曲としては、「公園でパーティーをしようよ。さぁ、ディアンジェロの新曲をかけてくれ」と歌う「Get Yo Groove On」や、マイテとの出会い、夏の日のセックスについて歌われた「Sex In The Summer(マイテの胎内に宿った子供の超音波心音が使われています)」という曲もあります。
勿論、本来のプリンスらしい重低音が効いたファンク曲も多数収められています。このアルバム用にレコーディングされた最初の曲「Right Back Here In My Arms」では、ラップも織り交ぜながら力強くマイテの必要性を主張していきます。また、「Emale」は、この当時、既に彼女との連絡で使われていたというEメールについての曲。
NPGとのセッション曲「We Gets Up」では「俺達は立ち上がってサウンドを作り出す。もう、つまづいたりはしない。優勝したのは俺達だ。お前にもこのほとばしる才能が感じられるだろう」と、恐らくワーナー向けだと思われるメッセージを送りながら激しいファンクを演奏してくれます。パーカッションの音が無気味に鳴り続けるシンプルな「Slave」もいわゆるワーナーでの「奴隷時代」を歌う曲で、「奴らは無神経すぎたんだ。今は奴らも降伏し、俺を評価してるみたいだけどな」と怒る様子は、かつての「Black Album」を思い出させます。テクノ調ファンク「New World」では、解放された新しい世界での生き方を提示し、「新しいこの世界で、さぁ愛し合おう」と歌います。
 
プリンスの得意なのは何もファンク曲だけではありません。
抽象的な歌詞が特徴の「Curious Child」はアコースティック色の強いバラードで、プリンス自身は「単純なバレエ曲」と解説しています。神様への感謝と聖なる河、そしてマイテとの結婚について歌った「The Holy River」も生楽器を中心にした温かみのあるスロウ曲。続く「Let's Have A Baby」では、「もう待てないよ。2人の子供を作ろう。さぁ、ドアを閉めて、僕が何をしたがってるか分かってるだろう?メイク・ラブをしようよ」とピアノの弾き語り。更に「Saviour」では、「僕が誰か一人の恋人で満足できるなんて思いもしなかった。でも、それは僕の目が光を得ていなかっただけ。今じゃもう他の人となんて考えられないよ」とマイテに感謝の辞を捧げます。そして、「Friend, Lover, Sister, Mother/Wife」ではマイテに対して「友人であり、恋人であり、シスターであり、母親。そして僕のワイフ」「教師であり、癒し手、禁じ手、目の保養、一生に一度の恋。僕のワイフ」と最大限の評価を与えています。これまで散々、唯我独尊ぶりを誇ってきたプリンスがここまで変貌してしまうとは、彼女との間にはよっぽどの事があったんでしょうね。

プリンスの変貌と言えば、このアルバムでは、彼が初めて他人のカバー曲に挑戦しています。選ばれたのは4曲ですが、ボニー・レイットによる1991年のバラード曲「I Can't Make U Love Me」と、ジョーン・オズボーンによる1995年のヒット曲「One Of Us」の2曲は僕は知りません。ただ、プリンスいわく「ボニーはアメリカの宝だ」との事なので、たぶん、才能に溢れたアーティストなんだろうなぁ、と思っています。 
僕が印象的だったのは残りの2曲のほう。「Betcha By Golly Wow !」はスタイリスティックスによる1972年の大ヒット曲。オリジナルは甘いファルセットが売りの素晴らしい曲(プリンスも「たぶん、今まで書かれた曲の中で最高に綺麗なメロディーなんだと思う」と語っています)でしたが、ここではNPGとのバンド編成で忠実にカバーされています。勿論、ここでのプリンスの歌声はファルセット。スタイリスティックスとはまた一味違った歌声、コーラス・ワークで一気に聴かせてくれます。このアルバムからのファースト・シングルに選ばれたことからもプリンスがこの曲に抱く強い思い入れが分かります。
もう1曲はデルフォニックスが1968年に出したヒット曲「La,La,La Means I Love U」。こちらもほぼオリジナル通りのアレンジになっていて、プリンスが自慢のファルセットで歌い上げています。ただし、この曲に限ってはファルセットがちょっと過剰かとも思ってしまいますが、、、。尚、この曲はかつてジャクソン5もセカンド・アルバム「ABC(1970年)」でカバーしているので、現時点では唯一の?プリンス&マイケルがそれぞれのアルバムで歌った同一曲ということになりますね。
 
3枚組アルバムの最後を飾るのはタイトル曲の「Emancipacion」です。「解放・・・やりたいことが何でもできる。解放・・・紫の雨の中で君に会うことができる。解放・・・鎖を断ち切るんだ。その鎖を」と自らの解放を声高らかに歌い上げ、最後は「僕は自由だ。考えるまでもない」と宣言して終わります。
 
それまでのプリンスと言うと、自己顕示欲と制作意欲の塊で、人一倍のカリスマ性とエゴを持ち、どこか超人的なイメージが強かったんですが、このアルバムでは全体的に、非常に人間味のあるところを見せてくれています。マイテへの屈託のない愛情表現、ワーナーへの憎しみを含めて、隠すことなく全てを歌にしてさらけ出す様は、正に鎖から解き放たれたジャケット写真そのまんま。今になって思い返しても、この時の変化は現在のプリンスのストレートな姿勢にそのまま受け継がれているようにも思います。
ただ、一つ残念だったのは、アルバム発売後に予定されていた24ヶ月に渡る世界ツアーや精力的なプロモーション活動が、マイテとの子供の死亡等で大幅な変更を余儀なくされてしまったこと。もしも、アルバム発売時の開放感とポジティブさがそのままツアーに生かされていたら、このアルバムはもっと評価されていただろうし、彼のキャリアも違っていたでしょう。しかし、それでも今尚、現役のトップレベルで活躍し続けるプリンスという男はやっぱり超人的なアーティストだと言えるのかもしれません。
 
お気に入りの1曲「We Gets Up」



  
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2006年02月08日

「The Emancipation Of Mimi」 Mariah Carey (2005年)

The Emancipation Of Mimi
「俺をカムバックだなんて呼ぶんじゃねえ。もう何年もこの業界を生き抜いているんだぜ」と、かつて雄叫びを上げながら「Mama Said Knock You Out(1990年)」で電撃復活したのはLLクールJでしたが、個人的には、このマライアの復活も当時のクールJ並にインパクトの強いものだと思います。正直言って、2005年に「マライアが新作アルバムを出す」と聞いた時はほとんど期待していなかったし、そんなに興味もありませんでした。既にB級アイドルのような雰囲気を醸し出しつつあったマライアが、まさか、こんなに完成度の高い新作アルバムを出してくるなんて、とてもじゃないけど僕には想像もつかなかったのです。
日本盤の解説には「Emancipation・・・抑制、支配、圧制、あるいは権力から解放すること。あらゆる勢力から解放すること。女性やマイノリティに平等の権利を与えること。、、、」等と書かれてありますが、マライアことミミはこのアルバムの大成功によって様々な支配から解放され、大きな権利を手に入れることが出来たのではないでしょうか。
 
今回のマライア復活は、JDの貢献による部分も大きかったんじゃないかと思われます。先行シングルとしてヒットを飛ばし、順調にアルバムの売上げを伸ばすきっかけとなった「It's Like That」は、冒頭からJDが例のナヨ声で「ダッチョー、ダッチョー」と煽る(何気にJDはこのフレーズ好きですね)ダンス曲。マライアはベテランらしい落ち着いた様子でJDやファットマン・スクーブの煽り声をあしらいながら、自慢の歌声で「ミミの解放」をお祝いしていきます。
シングル曲として年間1位の大ヒットを記録したセカンド・カット「We Belong Together」は一転してのスロウ曲。これはピアノを中心に据えたオーソドックスなタイプのバラードで、歌詞の途中にボビー・ウーマック「If You Think You Are Lonely Now」やベイビーフェイス「I Only Think Of You」のような曲名を入れていくあたりには2004年に大ヒットしたトゥイスタ&カニエ「Slow Jamz」の影響を感じさせ、JDの持つ如才無さを端的に表しているような気がします。
アルバム開始から3曲連続となるJD作の「Shake It Off」はバウンス調のR&B曲。ここでもマライアは貫禄の歌声で圧倒し、目立ちたがり屋のJDの乱入を最小限に抑えつけています。
そんなJDにやっと出番が与えられたのが「Get Your Number」です。1980年代を思わせる躍動感のあるポップス調ファンクに乗せて、気持ち良さそうにJDがフックを歌っていますが、残念ながらマライアとの差は歴然とし過ぎていて、存在感の欠片も彼には感じられません。まぁ、臆することの無いこういうチャレンジ精神が現在のJDの成功の源になっているんでしょうから、一概に彼の歌声を非難することは出来ませんけども、、、。
 
一方で、登場しただけで場の雰囲気を持っていってしまうゲストがスヌープです。ネプチューンズによる「Say Somethin'」でのスヌープは、後半にちょこっとラップをするだけなのに完全に自分の曲のような居振る舞いで千両役者ぶりを発揮。同じくネプチューンズ作「To The Floor」でのネリーのほうが出番は多いのに、こちらはJD同様、まだまだマライアの盛り立て役といった感じが否めませんでした。
その他のゲストでは、盟友レジェンダリー・トラックスターと一緒に参加したトゥイスタが、さすがにバック・トラックとの相性の良さを見せていて印象的だったかな。制作のみで参加のカニエ・ウエストも、名曲「Betcha By Golly Wow」使いのいかにもな「Stay The Night」で存在感を見せています。
 
その他の楽曲では、ベテランのマライアらしく、自分の歌声がどういう曲調に映えるのかとっくに熟知しているようで、どちらかというとスロウ系の曲が多くを占めています。
「Circles」では意図的に?声をかすれさせて、失恋の切なさ、苦しさを演出しているみたいだし、マライア自身の手による「I Wish You Knew」は一部ライブ仕立てになっている以外はオーソドックスな曲調で、存分に彼女の歌声を堪能できます(終盤ではお得意の超高音も披露)。同じくマライア作の「Fly Like A Bird」は、聖歌隊と一緒に神の導きにすがるゴスペル曲。アルバムの最後を締めるにはふさわしい力作になっていて、ここでもマライアは超高音を交えての熱唱を存分に聴かせてくれてます。
そんなスロウ曲の中でも一際、輝いて聴こえたのが「Mine Again」でした。コモンやザ・ルーツ等と数々の仕事をこなしてきたというジェームス・ポイザーによる生楽器主体のこの曲は全体的に押さえ気味な演奏になっていて、完全にマライアの歌声を引き立てることに成功しています。主役のマライアも気持ちが良さそうに歌っていて、この両者の相性は非常に良いと思いました。ジェームス・ポイザーとは次作でも是非、一緒に仕事をしてもらいたいものです。
 
収録時間70分前後の大作アルバムや、参加ゲストの多さで目移りし過ぎるようなオムニバス調アルバムに比べると、このアルバムの全14曲、50分1秒(日本盤は+2曲の56分44秒)というのはちょっと短いかとも思いましたが、こうやって繰り返し聴くにはちょうど良い長さなのかもしれないし、起承転結のついた展開とマライアの熱唱のおかげで物足りなさを感じさせることは全くありませんでした。
また、マライアがいくら売れようとも、今が旬である50セントの「The Massacre(2005年)」を上回ることはさすがに無理かと思われていたアルバム・セールス部門でも、最後の1週間で見事に50セントを追い抜き、年間1位の売上げを記録することになりました。
結果的に、このアルバムでほとんど全ての成功を勝ち取り(グラミー賞でも8部門にノミネートされ、授賞式では彼女自身のパフォーマンスも予定されているみたい)、再び女王の地位に返り咲いたマライアですが、彼女にとって唯一の誤算があるとすれば、わざわざタイトルにまでつけた「Mimi」というニックネームが一向に浸透しなかった事くらいでしょうか。まぁ、その辺の呼び方はこれまで通り「マライア」あるいは「M.C.」で我慢してもらうとして、今後もまだまだ彼女にはその元気な歌声と、迫力のあるプロポーションで僕達を楽しませ続けて欲しいと思います。
 
お気に入りの1曲「Mine Again」



  
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2006年02月06日

「Illumination」 Earth, Wind & Fire (2005年)

Illumination
2005年ブラック・ミュージック界の一つの傾向として、ベテラン勢によるシーン返り咲きというのもあげられるんじゃないでしょうか。スティービー・ワンダーを筆頭に、チャーリー・ウィルソンやアル・グリーンも力作アルバムを出してくれたし、ヒップホップでは引退表明をしていたDJクイック、ウォーレンG等も素晴らしい復活を遂げてくれました。
そんな復活組の中でも、かなり大胆な路線変更と共に新作アルバムを出したのが、このE,W&Fでした。長年のリーダー、モーリス・ホワイトの体調の関係もあるんでしょうが、今回の彼らはジャム&ルイスからラファエル・サディーク、オーガナイズド・ノイズ、ウィル・アイ・アムといった外部プロデューサーを積極的に起用し、ゲストにもビッグ・ボーイ、スリーピー・ブラウン、フロエトリー、ブライアン・マックナイト、ケニーG等を招いて、世代の壁を超えた音楽を作ることにチャレンジしたのでした。E,W&Fは過去にも、「Heritage(1990年)」でMCハマーやスライ・ストーン、ザ・ボーイズ等を招いてアルバムを作っていましたが、今回の新作アルバムでは参加メンバーの名前、数を見てもそれ以上の変化が起こるのは間違いのないところ。そんな期待も手伝って、僕は「Avatar(1996年)」以来、久し振りにE,W&Fの新作アルバムを買ってみたのでした。
 
まずは、ウィル・アイ・アム(ブラック・アイド・ピーズ)が制作&ゲスト参加した「Lovery People」。アフリカっぽさを感じさせる(やはりE,W&Fの持つイメージを意識したのでしょう)パーティー曲になっていて、BEP同様、若干の軽さは感じますが、新生E,W&Fの始まりとしてはかなり良い出来だと思います。
続く「Pure Gold」はジャム&ルイス作。フィリップのファルセットを前面に出したいかにもE,W&Fらしいスロウ曲になっていて、古くからのファンもこれなら安心して聴くことが出来るんじゃないでしょうか。
同じくジャム&ルイス作なのが「Love's Dance」。ただし、こちらはホーン隊やパーカッションが大活躍する賑やかな曲になっていて、ファンク好きにとっては堪らないコテコテ感も漂っています。今回のアルバムは新生E,W&Fの門出ということで、従来のファンク路線はやや影を潜めていますが、やっぱりこういう曲は忘れて欲しくないし、今後もずっと演奏し続けていってほしいものです。基本的にリードを取っているのはフィリップですが、横から煽るモーリスの声も元気そうで、リラックスして行われたレコーディングの楽しげな様子が伝わってくる感じ。
 
新世代と一緒になって賑やかに盛り上がるのは「This Is How I Feel」。冒頭からビッグ・ボーイ(グラミー賞での共演が縁になったのでしょうか)によるラップで勢い良く始まると、すかさずフィリップがファルセットでコーラスを始め、ケリー・ローランドとの熱いデュエットで盛り上げます。同じくコーラス参加しているスリーピー・ブラウン(ソロ・アルバムが待たれます)は残念ながら、ちょっとフィリップに飲まれ気味かな?
同じく新世代(と言ってもアウトキャストもキャリアは10年以上になりますが)による2004年の大ヒット曲をケニーGと共にカバーしたのが「The Way You Move」。演奏メンバーを見ても想像がつくように、オリジナルに比べるとぐっと落ち着いたアレンジになっていて、大人のジャズ・ファンクという印象でした。
マイケル・ジャクソンへの楽曲提供などでも有名な女性デュオ、フロエトリーとの「Elevated」は生楽器で奏でられるシンプルなトラックが聴き手の心を癒してくれる素朴な曲。ここでの彼女達は、歌だけでなく、ラップまで披露してみせたりと幅の広い芸風を感じさせてくれてます。
 
フィリップいわく「彼こそこのプロジェクトのキーマンさ」と絶大な信頼を寄せられているのがラファエル・サディークです。そんなラファエルが制作、参加した「Show Me The Way」はアルバム中でも最長の7分を超す大作になっていて、モーリスとの息もぴったり合った秀逸なデュエット曲に仕上がっています。全編を通じて独特の暖かみを持たせたこの雰囲気は、さすがラファエルだなぁ、という感じで、E,W&Fの面々も安心して彼の手腕に身を委ねているみたい。ホーン・アレンジまでもラファエルが行った「Work It Out」もやはり暖かみのある曲になっていて、今度はフィリップが気持ち良さそうに歌っています。
「Pass You By」はフィリップによる生ギターとヴァーディンによるベースが印象的なラブ・ソング。「寒いとき、辛いときに常に君の側にいてくれたのは誰だっけ?愛を無視してはいけないよ。彼女は君を愛してる。君の幸せを心から願ってる。本気でそう思ってる人なんだよ」という歌詞は「恋は相手から何かを得ようとするもの、愛は相手に何かを与えようとするもの」なんていう昔ながらの言葉を改めて思い出させてくれました。
とにかく、E,W&Fとラファエル・サディークとの相性は抜群に良いようなので、今後のアルバムでも是非共演し続けてくれることを期待したいです。
 
今回の路線変更は個人的には成功だったと思いますが、どうやら世間の評判も良いようで、2月8日(日本時間だと9日)にLAで行われる第48回グラミー賞においても「ベストR&Bアルバム部門」でこのアルバムがノミネートされています。
ただ、相手が「Unplugged」アリシア・キーズや「Get Lifted」ジョン・レジェンド、そして同じベテラン勢のスティービー・ワンダー「A Time To Love」等、かなりの強豪が揃っているので、受賞はちょっと無理かもなぁ、とは思いますが、出来れば彼らのパフォーマンスがまた見れれば嬉しいです。第46回グラミー賞でのファンク祭りは、僕の中ではいまだに鮮明に心に残る素晴らしいパフォーマンスだったし、、、。
 
お気に入りの1曲「Love's Dance」



  
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2006年02月02日

「In Concert -Dec.30 & 31. 1981 At Oakland Coliseum」 Earth, Wind & Fire (2004年)

In Concert
「全盛期のE,W&Fのライブは凄かった!」こういう感想、記述はいろいろなところで目にするし、耳にします。メンバーが派手な衣装で揃いのステップを踏んで演奏するとか、ステージ下から飛び出して登場してくるとか、ライブ中に大掛かりなマジックをやって人が消えてしまうとか、ヴァーディン・ホワイトがベースを弾きながら宙に舞うだとか、演奏中にドラムセットが上下逆さまになるだとか、マイケル・ジャクソンがE,W&Fのライブを何度も見に行って、遂には自分のステージでも飛び出し登場やマジックをやるようになったとか、米米クラブのライブ・ステージがE,W&Fそっくりだったとか、実に様々な評判をこれまで聞いてきました。
そういう話を聞く度に、彼らの全盛期のライブ映像を見てみたくなるのですが、残念ながら現時点では全盛期のステージをノーカットで堪能出来る術はないようです。そんな彼らのライブ映像の中で、一番全盛期に近いライブ映像を見れるというのがこの作品なんじゃないでしょうか。1981年末にオークランドで行われたライブなので、アル・マッケイこそ脱退済みですが、ヒット・アルバム「Raise!(1981年)」そのままのメンバーで臨んだステージ構成はモーリス・ホワイトからフェニックス・ホーンズの面々まで全員が元気いっぱいだし、お互いのコンビネーションも抜群です。また、年末のせいなのか、オークランドの土地柄なのか、それとも、当時のE,W&F人気のおかげなのか、観客席の反応も非常に熱狂的で、まさに伝説のライブの一端を体験できたような気分に浸れる好作品だと僕は思います。
 
悪者登場モーリス登場フィリップ登場メンバー登場
誰もいないステージ上で、いきなり爆発音が響くと、そこに現れたのはダースベイダーのような姿の悪者でした。悪者はステージ上で何やら怪しい手捌きを見せ、地球を乗っ取ろうかという構えを見せますが、ホーン隊の演奏と共に、上空からは不死鳥が舞い降りて、「彼らは宇宙を形作る者、幸福の守護者、アース・ウィンド&ファイアー」というナレーションが流れ、悪者が一時退却したステージにはE,W&Fのメンバーが踊りながら登場します。特に、モーリス・ホワイト、フィリップ・ベイリー、ヴァーディン・ホワイト、ラルフ・ジョンソンの4人はステージ前面で激しく踊って観客の興奮を煽り、オープニング曲「Let Your Feeling Show」へと雪崩れ込みます。モーリスの音頭によってメンバーが作り上げるアップテンポな流れに、早くも場内は総立ち状態へ。
ヒット曲の「Fantasy」で主役を務めるのはフィリップ・ベイリーです。キラキラの衣装で踊りながらのファルセット・ボイスは、やはり当時から感嘆の的だったようで、総立ちだった場内の観客も固唾を飲んで見守ります。「Reasons」でもフィリップはリードを取り、曲が終わった時には会場中からの大きな拍手と歓声を浴びて気持ち良さそうな笑顔。

モーリスメンバーフィリップ
衣装が変わって、今度はモーリスが「Where Have All The Flowers Gone」や「Shining Star」で盛り上げます。「Gratitude」では「愛のパワーを一緒に感じよう!」と語りかけ、観客と一緒に歌ったり、メンバー全員での息の合ったダンスを見せたり、正にライブ巧者という感じ。「僕らにとっては国歌と同じくらいに大切な曲。皆にとってもそうだといいな」等とコメントしての「That's The Way Of The World」では、フィリップと肩を組んで素晴らしいハーモニーを聴かせてくれてます。
フェニックス・ホーンズを前面に出したファンキーな(1981年当時の)新曲「I've Had Enough」でも、モーリス&フィリップのコンビを中心にしたコーラスやメンバー全員でのダンスで大いに会場は盛り上がり、見ている者を全く飽きさせません。
ダンス1ダンス2ダンス3

 

悪者観客モーリス3モーリス4
「Jupiter」が始まると、退却していたはずの悪者が爆発音と共にステージ後方から再び現れます。「こうなったら、あいつをやっつけるしかないな」と、まずはビロイド・テイラーがモハメド・アリのような軽快なフットワークで殴りかかりますが、取っ組み合いの末に捕らえられ、火の中に投げ込まれてしまいます。こうなってしまうと、モーリスがリーダーとして黙ってはいられません。「最後に勝つのは愛の力。みんな、両手を上げて力を貸してくれ」と言い、愛の力を充電したモーリスはなんと、手の先からレーザービームを出して悪者を退治。命からがら逃げ出した悪者を尻目に観客席に向かったモーリスは「サンキュー、グッナイ」と満面の笑みで場内の大歓声に応えます。
平和な世界(とビロイド・テイラー)を取り戻した彼らは、明るく照らされたステージから「じゃあ、皆でグルーヴしようか」と宣言し「Let's Groove」が始まります。10月にシングル化され、ソウル・チャートで1位、ポップス・チャートで3位に入る大ヒット曲となっていたこの曲に対するリアクションはさすがに大きく、色とりどりの風船を頭上で振りながら会場は大喜び。メンバーもその好反応に応えるように、一際激しく踊り(やはり、当時からヴァーディンの踊りは特に激しいです)、歌い、演奏し、最後はモーリスが「サンキュー!みんなまた会おう!愛してるよ!」と叫び、客席に向かって投げキッスをしてライブは終了です。
 
収録時間58分ということを考えると、カットされている部分もかなりあるはず(マジックや空中遊泳、カリンバ演奏シーン等も残念ながら入っていません)で、その辺に関しては多少の物足りなさは感じてしまいます。それでも、25年前のこのライブ映像は非常に素晴らしく、一時代を築いたE,W&Fというアーティストが持つその実力、勢い、多くのヒット曲の存在は見る者に確実に伝わってくるし、何よりも、見ていてとても楽しい作品になっています。
これで、もしもノーカット版が商品化されたなら、間違いなくポップ・ファンク界の最高峰作品になると思います。出来ることなら、まだE,W&Fが現役のうちになんとか発掘、編集してもらって、彼らの行ってきた数々の名ライブに対する再評価のきっかけになって欲しいところです。

お気に入りの1曲「Fantasy」



  
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2006年01月30日

「Japan Tour 2006」 Earth, Wind & Fire (2006年1月19日@日本武道館)

EWF
「モーリス・ホワイト最後の来日公演」として大々的に行われた2004年9月のツアーから1年余り、新作アルバム「Illumination(2005年)」のPRも兼ねて、E,W&Fがまた日本に来てくれました。
前回の来日時に比べると、事前の宣伝や話題性にも乏しく、主役のモーリスも不在ということで、一体どれくらい盛り上がるのか多少の不安を抱きつつ、仕事後に会場である武道館へと向かいました。友人との待ち合わせ場所でもあった九段下駅の出口でしばらくウロウロしていましたが、前回の人込み、熱気に比べると、やはり物足りないような感じ。前回は「チケット譲ってください」「チケット買います」なんてプラカードを掲げたファンが改札、出口付近に何人もいましたが、今回は一人の外国人が立っていただけだし、駅周辺の出店もほんの何軒かだけ。
友人と共に武道館に向かって行くと、特に混雑もなく、淡々と入場口までたどり着き、簡単な荷物チェックを受けて入場です。入り口付近に設けれられていたグッズ売り場を覗いてみると、前回のようなパンフレットも多彩なグッズも用意されておらず、黒の半袖&長袖Tシャツが置いてあっただけ。デザインもロゴ入りのシンプルな物で、ほとんどの客が素通りしていました。
 
EWF チケット画像
PM6:30頃、席に座って会場内を見てみると、まだ客の入りは半分程度。平日だったので多くの人は仕事帰りなんでしょうけど、雰囲気としては人気薄の映画の上演前という感じでしょうか。「この様子じゃ開演も遅れそうだね」等と友人と喋ってリラックスしていると、開演予定時刻のPM7:00ちょうどに会場が暗くなりました。驚きと期待の混ざったようなざわめきがおこる中、ステージには早くもメンバーが登場し始めてジャム・セッションを始めます。会場の視線がステージに集中し、手拍子が鳴りだすと、ステージ後方には3人の人影が。スティックを持ったラルフ・ジョンソン、ベースを手にしたヴァーディン・ホワイト、そして、カリンバを手に持ったフィリップ・ベイリーの登場です。こうして、ステージ上には総勢11人のE,W&Fが揃い立ち、フィリップが軽くカリンバを鳴らすと「Lovely People」でライブの幕が開きました。まさか新曲から始まるとは予想していなかった僕達が微妙な感じで見守っていると、続けざまに「Shining Star」「Saturday Nite」「Boogie Wonderland」等のお馴染みのヒット曲を披露し、あっという間に場内を盛り上げてしまいます。
その後も、「Love's Dance」や「This Is How I Feel」といった新曲を織り交ぜながらライブは進行し、メンバー紹介では最後にモーリス・ホワイトの名前を挙げたりして、暖かい雰囲気が武道館を包みます。みんながモーリスの存在に思いをはせたところで、カリンバを手に取ったフィリップがスポットライトに照らされて「Blazilian Rhyme」へ。
そして、今度は「After The Love Is Gone」や「Reasons」「Devotion」のバラード曲でフィリップお得意のファルセット・ボイスをじっくりと聴かせてくれます。フィリップだってもう50歳を超えたベテランのはずなのに、その力強いファルセットは衰えるどころか、ますます磨きがかかっているように感じてしまいます。マイクを頭上に上げたり、腰のあたりまで下げたりして歌っているのに、会場に響くファルセットは一向に弱まることがなく、観客からはその度にため息と喜びの声が渦巻くのでした。
同じことは同級生のヴァーディンとラルフにも当てはまります。特に、遠くからでも一目で分かる真っ白な歯をキラキラさせて、ステージ中央で激しく踊りながらベースを弾き続けるヴァーディンの存在感は、まるでPEにおけるフレイヴァー・フレイヴを彷彿とさせてくれるほどでした。

ステージは「Sing A Song」、「The Way You Move」という楽しげな曲に変わり、いよいよパーティー状態に突入していきます。一瞬の間が空いて、「Fantasy」のお馴染みのイントロが鳴り始めると、いつの間にか満員になっていた武道館は「ウオォ〜〜!」という地響きと共に総立ちになり大騒ぎ。パーカッション類を多用して、いつもよりも土着的なアレンジだった「Fantasy」が終わると、今度は「September」です。ここでも冒頭のホーンに観客席は機敏に反応し、両手を上げて「バーディア〜、セイ・ドゥ・ユー・リメンバ♪バーディア〜、ダンシン・イン・セプテンバ♪」の大合唱。みんなで延々と合唱して曲が終わったと思ったら、今度はヴォコーダーの低い声で「な〜まむ〜ぎ、な〜またまご」のイントロがすかさず鳴り響き、「Let's Groove」へ。E,W&Fの膨大なヒット曲の中でも1、2を争う人気曲なだけあって場内の興奮も最高潮に達し、踊り狂う人が続出します。更に「Getaway」へと続く頃には、早くも踊り疲れた人や声が枯れてしまった人もいたようで、棒立ちで放心状態になっている人もチラホラ出てくるほどでした。「Getaway」が終わり、メンバーがステージを去ると、完全燃焼した客席はざわめき、ライブを満喫した様子を見せますが、次第に手拍子が鳴り始め、再び会場中が団結してE,W&Fを呼び出すことに成功。
笑顔と共に現れたメンバーは、アンコールに応えて「Pure Gold(たぶん)」を演奏し、熱気に溢れた客席をリラックスさせてライブは終了したのでした。
 
モーリス・ホワイトが不在なのは確かにちょっと寂しかったし、全盛期ほどの宇宙的な派手な仕掛けもなく、セットもグッズもシンプルな物でしたけど、E,W&Fはまだまだ現役選手だったし、その実力も衰えてはいませんでした。そのことが確かめられただけでも、今回の来日公演には行けて良かったし、これで何の心配もなく新譜アルバムを楽しむことも出来そうです。雑誌「bmr」のインタビューなどを読む限り、フィリップいわく「だから日本に行きたいんだ。日本人はライブのノリもわかっているし、CDもよく買ってくれる」との事なので、今後も是非、来日し続けて、その健在ぶりをファンに見せつけて欲しいものです。
 
尚、今回の来日の目的の一つである新作アルバムのPRを果たすため、彼らはいくつかのTV番組にも出演して帰ったみたいです。僕は見れませんでしたが、「笑っていとも 増刊号」では、同じく来日中だったケニーGと共演し、「The Way You Move」を演奏したんだとか(ミーナさんの所を参照)
そして、1月30日に放映される「SMAP×SMAP」では、スペシャル・ライブ・ゲストとしても登場するようなので、間違い無く、何曲かは披露してくれることでしょう。こちらは既にビデオ予約をしておいたので、今から僕は楽しみにしています。出来れば、今回のライブ映像なんかも流してくれると最高なんだけどなぁ。



  
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2006年01月28日

「Live In Berlin」 James Brown (2005年)

Live In Berlin
1988年、ベルリンの壁が崩壊する1年前の東ドイツは、ソ連ゴルバチョフ書記長による「ペレストロイカ(改革)」&「グラスノチ(情報公開)」路線の影響もあってか、国民による不満があちこちで噴出し、社会主義反対運動やデモが各地で行われていたそうです。東ベルリンにおいては「底辺からの教会」所属の平和運動家が120人も逮捕され、それに対する抗議運動の拡大からもまた東ドイツ政府への不信感が増していく事になったようです。
そんな時期の東ベルリンにJBが出向いていってライブをやったというのも何か彼らしいんじゃないでしょうか。当時のJBはIRS(国税局)による執拗な捜査で金銭的にも身体的にもボロボロだったようですが、奥さんに「毎日毎日働いて、それで一体いつになったらお金が入ってくるの?」と責められながらも自分の仕事には信念を持ち、やるべき事だけを一生懸命やっていた苦しい時期だったみたいです。時には、南アフリカの富裕層から300万ドルという多額の出演料でのライブ依頼もあったようですが「人種差別を公然としているあんたらのところでライブをする気は全くないね」とあっさり断り、周囲を呆れさせた事もあったそうです。
そう考えると、JBの中ではこの東ドイツ行きは「信念」に値する仕事であり、「やるべき事」であったんでしょう。確かに、今になって考えてみると、観客にとっては貴重な気晴らしになったであろうし、JB自身も得る物が多かったのかもしれません。
 
JB1JB2メイシオ
いつものMCによる煽りや大いに盛り上がる登場シーンはこの映像には収められていなくて、いきなりJBのアップが出てきたと思ったらもう「Living In America」を歌っています。会場はどうやら野外で、かなり大きめのようですが、全体的に暗いのでステージ上以外は全く見えません。ステージ上の照明も心なしか侘しくて、下手をすると場末のキャバレーかとも思えてしまいます。そんな中、JBは緑色を基調とした派手なスーツ姿で熱唱し(コンディションはイマイチかな?)、全米各地の土地名を歌った後には「イースト・ベルリン!」と何度も歌って客席を煽ります。そしてお決まりの「I Feel Good !」で曲は締め。ここで始めて客席に照明があたるんですが、この会場がまた広いです。ステージ横にはスクリーンが設置され、客席には軽く3万人以上は入っている様子。その観客が、曲が終わった瞬間に「ウオォーー!」と叫ぶシーンにはちょっとびっくりしてしまいます。
しかし、数々の修羅場をくぐり抜けてきたJBはそれくらいの観客には全く動じる事もなく、淡々と「Gonna Have A Funky Good Time」「Try Me」を演じてみせます。「Get On The Good Foot」ではバンドを指揮し、揃いのステップを踏ませ「ヒッミー!」を連発してご満悦。「Prisoner Of Love」では更にバンド使いも荒くなり、メイシオに至っては長々とソロを吹かせられてます。サックスを吹きながらチラチラとJBのほうを見ているんですが、JBは我関せずという感じで女性コーラスのマーサ・ハイとイイ感じ。やっと許可が出てメイシオが下がると、JBによるバンド紹介です。あれだけ頑張ったのに、観客の拍手はMC役もこなすチャールズ・シェレルが一番多かったみたい。最後に紹介されたメイシオも一仕事終えた安堵感からか満面の笑顔で挨拶をします。と、途端にJBの合図があって「There's No Business Like Show Business(ショーほど素敵な商売はない)」のカバーへ。笑顔で客席に愛想をふりまいていたのが一転して、慌ててサックスを口にマイクへ向かうメイシオの必死な様子がアップで収められててなかなか面白いです。内心「マジかよ〜」とでも思っていたんでしょう。JBのバックを務めるのはいつも大変みたいです。

JB4JB&マーサJB6
「I Got The Feeling」でもメイシオは長いソロを取り、途中にビートルズ「Get Back」を演奏したりして客席を沸かせます。その間JBはステージ裏に引っ込み衣装替え。再登場したJBはブルーのスーツに黄色の大きなサングラスという独特のセンスで颯爽と現れるとマイクを奪い取り「Papa's Got A Brand New Bag」へ。その頃には観客もすっかり暖まってきて、曲中だろうとJBやメンバーの問いかけには歓声や手拍子で応え、JBも気持ち良さそうに「I Feel Good」と歌い、踊ります。
「It's A Man's Man's Man's World」の時にはJBも遂に本調子になってきたようで、目一杯大きく声を張りあげ、ひざまずき、哀願し、叫びます。マーサ・ハイもJBの勢いにつられたか、普段と違ったゴスペル調の熱い歌声で応え、場内は大歓声。
アンコールの「Sex Machine」の頃には総立ちの場内からは湯気が立ち、JBも額に汗を光らせながら熱唱するんですが、残念ながら途中でフェイドアウトして終わってしまいます、、、。恐らくTV番組用に編集された映像なんでしょうけども、JBのショーの最初と最後を切ってしまうなんて勿体無い。おかげで恒例のマント・ショーも見れず終いで、見終わった後には若干の欲求不満が残ります。 
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正直言って、この時期のJBには全盛期ほどのカリスマ性もオーラも無いように思うし、JB初体験の人にはこの辺の作品は見て欲しくないなぁ、とも思います。かと言って、JB全盛期のライブ映像というのもあまり出回っていないのが現状なので難しい所なんですが。JBの一ファンとしては、いつか、1960〜1970年代の若くて殺気立っていた頃のライブ映像が正規品でもっと発掘される日が来ることを切に願う次第です。
 
お気に入りの1曲「It's A Man's Man's Man's World」



  
Posted by g__g at 00:05Comments(0)TrackBack(1)音楽 J