LTEやWiMAXなどの次世代通信サービスが順調にエリアを拡大し、これらに対応したモバイルWi-Fiルーターが続々と登場している。
だが、料金、エリア、通信速度などの面から、どの製品を選んでいいか悩んでいる人も多いだろう。
そこで、NTTドコモの「Xi」、ソフトバンクの「SoftBank 4G」、UQコミュニケーションズの「UQ WiMAX」、イー・モバイルの「EMOBILE LTE」、日本通信の「カメレオンSIM」を取り上げ、さまざまなポイントから比較。



基本スペックや人口カバー率を比較


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左上から「BF-01D」「ULRTA WiFi 4G 101SI」「Pocket WiFi LTE(GL01P)」「URoad-SS10」「b-mobile4G WiFi2」




まず公式スペックを比較すると、携帯性の点では「URoad-SS10」と「カメレオンSIM」+「b-mobile4G WiFi2」が小さく軽いので有利だ。
「Pocket WiFi LTE(GL01P)」は大容量バッテリーを生かして連続9時間の通信を実現しているが、必ずしもバッテリー容量の大きさが連続通信時間(スタミナ)に直結しているとは限らない。
例えば、101SIよりバッテリーが小さい「BF-01D」の方が101SIよりも連続通信時間が長いのは、LTEとAXGPといった通信方式の違いや、電力を効率よく使う仕組みの違いが関係してそうだ。
理論値での最高速度も掲載しているが、これはあくまで目安。
同時接続台数では12台のBF-01Dがトップ。
他のルーターはすべて10台だ。
Wi-Fi対応製品が豊富な現状では、1台でも多く接続できた方がいいだろう。
また海外での使用は3Gに限られるが、BF-01DとGL01Pが対応しているのも注目だ。

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都市部以外で使う場合は高速通信のサービスエリアの現状と今後の進捗状況が気になる。
2012年度3月末時点での全国の人口カバー率はXiが約25%、EMOBILE LTEが約40%で、まだ全国には広がっていない。
Xiは2012年度内に全国約70%、EMOBILE LTEは2012年6月に東名阪の主要都市99%をカバー、2012年度末には全国約70%をカバーする見込みだ。
SoftBank 4Gは2012年度末に全国約92%、政令指定都市で約99%のカバーを目指している。
ソフトバンクモバイルは現時点におけるSoftBank 4Gのカバー率は公表しておらず、現在は東名阪の都市部や、札幌市と福岡市、北九州市の一部地域をカバーしている。
UQ WiMAXの人口カバー率(2011年度末)は全国で85%、東京23区、政令指定都市、47都道府県の県庁所在地では99%となり、他の次世代通信サービスをリードしている。
一方、Xi、SoftBank 4G、EMOBILE LTEはエリアの広い3Gを併用できる点にも注目だ。
ソフトバンクとイー・モバイルでは下り最大42Mbpsのサービスも提供されている。


 

機能向上したXi対応ルーター、家庭内での使用にも便利――NTTドコモ「BF-01D」

NTTドコモではXi(LTE)に対応したモバイルWi-Fiルーター・BF-01D(バッファロー製)を使用。
サイズは今回テストした中で最大で、大きめのポケットなら入るものの厚く、重さも感じるので、カバンの中に入れて持ち歩く方がいいだろう。


Xiの通信速度は下り最大75Mbps、上り最大25Mbpsだが、これは一部の屋内のみで、他のエリアでは下り最大37.5Mbps、上り最大12.5Mbpsとなる。
EMOBILE LTEやドコモの回線を使う日本通信のカメレオンSIMも同様だ。
Xiは当初の東名阪から全国主要6都市に広がり、現在は全国の都道府県でも県庁周辺では使えるようになりつつある。
サービスエリアを確認すると、2012年の9月末までには県庁以外の大きめの都市でも使えそうだ。
もちろん、BF-01Dはすでに全国各地で使えるFOMAにも対応し、屋外で公衆無線LANの範囲内なら、公衆無線LANに接続して使うことも可能だ。
その際に、ドコモ回線から自動で公衆無線LANに切り替わる。


同梱のクレードルを使うことで、家庭の光やADSLなどブロードバンド回線の有線LANとも接続できるので、家庭用無線LANルーターの親機としても使えて便利だ。
このクレードルを使うスタイルは前機種の「BF-01B」と同様だが、BF-01DにはNASと接続することで、Wi-Fiを使いNAS内の共有データにアクセスするという使い方も可能になっている。


他にも16Gバイトの内蔵メモリを備え、Podcastなどの専用コンテンツのダウンロード、オンラインアルバムへの自動写真アップロード、メディアサーバー機能を使ったテレビやPCへの動画・写真の再生などが可能だ。
なお、本ルーターはもともと「BF-01C」として発表されていたが、発売が延期されて結局発売されず、その後スペックと型番が変更されるという、珍しい経緯も話題になった。



 

下り最大76Mbpsに対応――ソフトバンクモバイル「ULTRA WiFi 4G 101SI」

イコーインスツル製の「ULRTA WiFi 4G 101SI」は、SoftBank 4G、ULTRA SPEED、3Gに対応しているのが特長のモバイルWi-Fiルーター。
SoftBank 4Gは下り最大76Mbpsという通信速度なので、理論値だけで比較すれば他のルーターよりも速い。
ただし4Gの対応エリアは「2012年度末 全国政令指定都市人口カバー率99%」を目標にしているので、サービスエリアを確認しても3月末時点で使えるのは東名阪中心に、他は北海道の札幌、九州の福岡、北九州くらいだ。
ただし2012年の7月末までの予定を見ると、その周辺にも拡大する予定だ。
また8月以降には全国の主要都市に広がる見込み。
しばらくは4GよりもULTRA SPEEDのエリアで使うことが多いだろう。
ULTRA SPEEDは大都市だけでなく、全国の中小の町でも対応しているケースが多い。
4Gではないとはいえ下り最大42Mbpsというスペックを誇る。


同梱品にはモバイルバッテリーも付属しているため、一緒に持ち歩くことで最大約9時間の連続通信が可能になる。
ただし今回のテストではモバイルバッテリーは使用していない。
ただ、本体のみでも連続待機時間は約27時間なので、外出先で使うときだけ電源を入れて通信をするといった方法なら1日十分持つだろう。
サイズもコンパクトで、大きめのディスプレイがあり表示が分かりやすいのもよい。
SoftBank 4Gエリアなら「4G」、それ以外なら「3G」という表示になるので、現在の通信環境を知る目安になる。



 

省電力設計にこだわったUQ WiMAX「URoad-SS10」

シンセイコーポレーション製のURoad-SS10は、高速通信をいち早く展開してきたWiMAX対応のモバイルWi-Fiルーターだ。
WiMAXのサービスエリアを確認すると、全国の主要都市はもちろん、中小の町もカバーしつつある。
最初に開始した東名阪はすでに山岳地以外は広く対応している状況だ。


ルーターはコンパクトで、今回最軽量となる86グラムのボディも魅力。
サイズが小さいながらも、連続待機時間が約250時間、連続通信時間が約9時間とスタミナも十分だ。
通信をしないときには「休止」するための専用ボタンも側面に用意しており、これを使えば通常の電源オフ→オンよりも早く起動できる。
スマートフォンやPCで接続を切ると、自動的に「待受=ウェイティング」状態になる省電力設計となっている。
このウェイティング状態は休止状態ではなく、SSIDの発信はしているので、再びスマートフォンやPCがルーターに接続すると1秒で復帰する。
なおウェイティング状態がさらに10~60分(設定可能)すると、自動的に電源オフになる。


通信速度は2011年12月から上りが最大10Mbpsから最大15.4Mbpsに高速化。
下りは最大40Mbpsでエリアも広い。
さらに「WiMAXハイパワー」に対応しているので、家の中などの比較的つながりにくい場所でもつながりやすくなっている。
便利な試みとして、iOSとAndroidでもルーターのステータスを確認できるモバイルブラウザ用「WEB UI」も用意。
カラーもブラック・ホワイト・レッドの3色を用意しているのもちょっと楽しい。




 

価格面での魅力が大きいLTE対応ルーター「Pocket WiFi LTE GL01P」

 Huawei製の「Pocket WiFi LTE(GL01P)」は、イーモバイルの下り最大75Mbpsの「EMOBILE LTE」と、下り最大42Mbpsの「EMOBILE G4」、3Gに対応した製品。エリアを見ると、LTEはまだこれからという印象で、6月までに「東名阪などの主要都市で人口カバー率99%」を目標にしている。
とはいえ、4月現在のエリアを見ると、全国の県庁所在地を中心に徐々に広がっており、地方のユーザーも都市部で働いている人は購入を検討してよいだろう。
また「G4」のエリアは中小の町にも広がっている。


ルーターのサイズはドコモのBF-01Dよりわずかに小さいものの、やはり大きいのがネックだ。
しかしその大きさゆえにバッテリーは大容量の3000mAh。
連続通信はLTEでも最大約9時間というのは魅力だ。
101SIと同じく大きめのディスプレイを搭載しているので、接続状況やバッテリー残量も分かりやすい。
microSDスロットを備えており、最大32GバイトのmicroSDHCを使って外部記憶装置としても活用できる。
後の回でも触れるが料金面でも魅力があり、「LTEフラット」で購入すれば、端末代は実質0円。
毎月の支払いはトータルで月3880円と安い。
GL01Pと同じ料金プランで購入でき、よりコンパクトな「Pocket WiFi LTE(GL02P)」も発売されているので、そちらも検討してみてもいいだろう。




 

ドコモのLTEを利用したb-mobile4G「カメレオンSIM」

日本通信の製品については、ドコモのXiエリアに対応したカメレオンSIMと、SIMフリーのモバイルWi-Fiルーター「b-mobile4G WiFi2」を組み合わせて使用した。
カメレオンSIMは5800円で購入後、21日間3Gバイトまでは無料でLTEのエリアでの通信が可能だが、以降は30日か120日のチャージ料を支払って使用する。
30日の場合は最大300KbpsのU300/2480円と、速度制限なしの高速定額/5400円、120日の場合はFair 1GB/8800円(120日間で1GBまで使用できる)。
U300やFair 1GBは料金的に魅力だが、「高速通信をしたい」「通信量が多い」といった人には選びにくい。


一方、ルーターは今回もっともコンパクト。
重さも約95グラムと軽い。
LTEの通信速度はハードウェアとして下り最大100Mbps/上り最大50Mbpsをサポートしているので、今後LTEの通信速度が向上した際に恩恵を受けられるかもしれない。
また、b-mobile4G WiFi2は3GのHSDPA/HSUPAにも対応している。
SIMフリーなのでカメレオンSIMだけでなくドコモとソフトバンクのSIMカードを挿して使うことも可能だが、その場合はAPNなどの設定が必要になる。




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