前回紹介したとおり、GALAXY Noteは全世界で好調なセールスを記録し、韓国では大ヒット製品となった。
Samsung電子 常務のキム・ジョンイン氏によると、韓国内のGALAXY Noteユーザーは男性が53%女性が47%と意外に女性が多く、年齢では20代と30代が73%を占めている。


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通常のスマートフォンと比べて端末の価格がやや高いため、職業別では収入に余裕があるホワイトカラーが主な購入層だが、学生のユーザーも目立つという。
手書き入力の快適さを評価して、デザイナーなどのクリエイティブな職業や、記者といったマスコミ関係の利用者も増加中とのことだ。



GALAXY Noteの普及で、ユーザーのライフスタイルが大きく変わった――ということはまだ無いそうだが、GALAXY Noteユーザーが多いSamsung電子社内では、仕事の進め方が確実に変わってきているという。



「まず、社内で紙の手帳を持ち歩く人が減っている。
会議の際には紙の手帳とスマートフォン、そしてペンを持ち歩いていたが、こうした光景が少なくなった。
また従来はPCでないとできなかった仕事が、GALAXY Noteで済むようになった点も挙げられる。
それはタブレットでも可能だが、常に持ち歩けるサイズではない。
移動中でもオフィス文書を開いて、しかも手書きで用件を付け加えて返信できるため、意思決定がより速くなった」(キム・ジョンイン氏)



日本国内への投入は、韓国を始め各市場での成功を経てからになったが、キム・ジョンイン氏はこの時期になった理由について「日本向けの特殊な仕様のために、投入が遅くなった。(日本の)LTEに対応させる都合も少しある」と説明。
手書きによる日本語テキスト入力を実現するため、定評のあるMetaMoJiの「7notes with mazec」をプリインストールしたと補足する。
7notes with mazecは単独の手書きメモアプリでもあるが、日本語入力システムとしても振る舞うため、ほかのアプリでも自然な手書き日本語入力が可能だ。



グローバル版と国内版の違いの1つが、用意されるボディカラー。
今のところドコモ版ではCeramic Whiteの1色のみで、オレンジ色のフリップカバーが付属する。
ほかの市場ではボディカラーにブラックをラインアップし、カバーは付属しない。
その理由についてキム・ジョンイン氏は、「フリップカバーが付属するのは日本だけ。上層部からはコストがかかると反対されたが、無理に通した。その理由は、日本がモバイル業界にとって特別な市場だから」と話す。
Androidを搭載する1つの製品としてはもちろん、新カテゴリーを切り開く革新的な製品である以上、日本での成功が欠かせない要素だという。



製品のアップデートについては、韓国と欧州でAndroid 4.0(ICS)のバージョンアップが始まっている。
日本向けにも準備が進められているが、提供するかどうかや時期などの判断はドコモに委ねられる。
キム・ソンシン氏は「早く提供したいという気持ちでいっぱい」と話す。
具体的な説明は伏せられたが、Android 4.0では手書きを生かした機能がさらに増え、数式計算を手書きで入力できるアプリなどもサポートされるようだ。





 

ペンとタッチ、どちらも主役

GALAXY Noteの製品デザインなど、開発時の様子をSamsung電子 責任研究員のパク・サンシク氏とパク・ヨンソク氏の両氏に聞いた。
パク・サンシク氏は主に製品のデザインを、パク・ヨンソク氏はUIやUXを担当した。



なにかと議論されるGALAXY Noteのサイズについてパク・サンシク氏は、事前のユーザー調査を繰り返して決定したと振り返る。端末デザインは2009年ごろに着手したが、製品企画や市場調査はそれ以前から進められていた。



「ユーザーが最も望むサイズをもとに、ボディのデザインを決定した。
ボディが大きいので、薄く見えるようにデザインしている。
実サイズよりも1ミリくらい薄く見えるため、手にしやすいデザインになった。
本体フレームが薄くできたのは、Samsung電子の技術力ならでは」(パク・サンシク氏)



GALAXY Noteのデザインやそのフォルムは、GALAXYシリーズに共通するものが多い。
例えばディスプレイ下部の物理式のホームキーと、センサー式のメニューキー/戻るキーという組み合わせは、過去のシリーズと同じ。これは「Samsung全体のアイデンティティ」(パク・サンシク氏)のためだという。
ただ付属のSペンではセンサーキーを操作できないなど、まだ消化不良の面があるのは残念でもある。



Sペン自体のデザインやボタンのレイアウトなどは、技術を提供したワコムの判断が生かされている。
商品企画担当のキム・ジョンイン氏が説明したように、Sペンは収納式のため太さや長さに制限があるが、その中で持ちやすさを最大限追求した。
またペンの後ろの部分は、収納時に端末ボディとなじむようにしつつ、ボディから取り出しやすいデザインを採用している。



ホーム画面などのUIも、従来のGALAXYシリーズから「Touch Wiz UI」を継承。
大きな変更は加えられなかったが、ボディが大きいため片手でも扱えるよう、キーパッドのサイズを小さくできる微調整が加えられた。
パク・ヨンソク氏によると、これまでのGALAXYもディスプレイサイズやユーザーからのフィードバックを受けてUIを修正することがあり、GALAXY Noteもその微調整をした程度だという。
またMicro USBで充電できる点(GALAXY Tabは専用端子で充電する)など、新カテゴリーであってもスマートフォンとしての成り立ちが強いようだ。



パク・ヨンソク氏は、「Sペンの使い勝手では、とにかくアナログ感を出すことに注力した」と説明する。
多くのユーザーがペン入力を求めたことがGALAXY Note開発のきっかけだが、それは単にペンを付属すれば良いというものではない。
紙に書くような自然の書き心地を実現することが重要だった。
また、従来からのタッチ操作との両立も欠かせない。
パク・ヨンソク氏は「GALAXY Noteでは、ペン操作とタッチ操作に主従関係はない。
ユーザーが好きなときにどちらでも利用できるようにしている」と話す。
個性が強いGALAXY Noteだが、「特定の使い方をユーザーに押しつける製品ではなく、さまざまな使い方に対応できる製品だと思う」(パク・ヨンソク氏)という。



 アナログ感を増すのに一役買っているのが、背面パネルと交換できるフリップカバーの存在と、Sペンを収納式にしたこと。
この2つの要素により、「デザインがよりノートらしくなった」(パク・サンシク氏)のは確かだ。
Sペンはボディに収納されているが、端末操作の延長で自然に取り出せるよう、下向きに出し入れする方式が取られた。
端末上部には通信用やワンセグのアンテナがあるため、実装が難しいという理由もあった。



今回のインタビューでは、故スティーブ・ジョブズ氏が「iPhone」を発表する際にPDA時代のスタイラスペンを否定したことも質問された。
パク・サンシク氏は「iPhoneがペンを否定したのは、PDAからスマートフォンへの移行期でもあり正しいと思う」と理解を示したが、「今は技術も発達しディスプレイも大きくなった。ペンを使いたいという人間の感情的な欲求も顕在化している。これに答えることができるから、GALAXY Noteを製品化した」と、スマートデバイスのUI/UXが新たなフェーズに移行しつつあることを示唆した。






 

この良さは使ってみないと分からない

GALAXYシリーズでAndroidスマートフォンを牽引するSamsung電子は、GALAXY Noteで新たなジャンルの確立を目指している。
だが、そのサイズ感や手書きの感覚は実機を試してみないと分からないことが多い。
Samsung電子のキム・アルム氏は、世界的なプロモーションを通じて、GALAXY Noteへの接触機会を増やしたいと意気込む。



日本では3月28日に行われた製品発表イベントの「GALAXY Note WORLD TOUR」も、全世界プロモーションの一環だ。
ロンドンからスタートしたツアーは、ジャカルタ、上海、ソウル、ドバイと地球を半周して東京に上陸した。
こうした“派手”なイベントを開催する一方、“草の根”の活動も手を抜いていない。それがタッチ・アンド・トライイベントの「GALAXY Note Studio」だ。



このGALAXY Note Studioでは端末を試用できるだけでなく、イラストレーターがGALAXY Noteを使って来場者の似顔絵を無料で描いてくれる。
描かれた似顔絵は来場者がメールで受け取れ、SNSのアバターなどに設定できるほか、Tシャツにプリントして持ち帰ることも可能だ。
目の前でイラストを描くというデモンストレーションを通じて、GALAXY Noteの製品特徴をアピールするというわけだ。
国によってはスマートフォンの背面パネルにレーザー刻印を施してくれるサービスも行っている。
Samsung電子によるとGALAXY Note Studioを行った近くのショップでは、GALAXY Noteの売り上げが伸びるそうで、効果はかなりあるようだ。



GALAXY Note Studioは日本でも150カ所以上で行われる予定。
開催場所は各地のドコモショップや商業施設、イベントスペースなどで、具体的なスケジュールは特設サイトで随時告知されている。
気になる人はぜひチェックしてほしい。




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