はっきりしない天気。気分も今ひとつのらない。
無理してバイクに乗っても、ろくな事がない。

家でDVDでも見ることにする。

先日、国立新美術館で、ルーシー・リーを見に行ったとき、
オルセー美術館展もやっていた。

そのオルセー美術館つながりの作品があった。


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夏時間の庭










オルセー美術館20周年企画として、全面協力のもとで制作されたこの映画。出演者でみんなが知っているのは、ジュリエット・ビノシュぐらいだろうか。

かって画家であった大伯父のアトリエ、 彼が残した貴重なコレクションたちとともにそこに一人で暮らす母。家族の中心としての母のもとに バカンスを過ごすため孫を連れ集まってくる子供たち、印象派の絵画にあっても不思議はない美しい庭で遊び、昼食をとる家族。しかし子供達はそれぞれの事情を抱えていた。やがて、母は亡くなってしまう。
母の死を機に、家にある絵画やスケッチなどの美術品、そして何より思い出が詰まったこの家を売るかどうかで息子たちが議論する。 経済評論家の長男は懐かしい思い出のつまった家をそのまま残す提案をするのだが、ビノシュ演じるニューヨーク暮らしの食器デザイナーの妹、北京で運動靴工場を任された末っ子の弟は、莫大な遺産を金に変え分割相続する方を・・・・・・ 。
(ビノシュの台詞に、彼女の商品が日本で発売されるという会話の中で、TAKASHIMAYAという名前が出てくる)

そして、処分されてゆく美術品。
持ち主の死と共に、それまで暮らしの中で生き生きとしていた絵画や花瓶などの工芸品が、日用品として、一つの使命を終え、美術館というカプセルの中で、美術品として第2の人生を送る。しかも突然莫大な金額と引き替えに。
ここに、オルセーがこの作品に関わった本音があるのかも知れない。

コローやルドンの絵画、優美な曲線が美しいマジョレルの机やガラス棚、ロダンの彫刻、ブラックモンの花瓶・・・・・これらの美術品の本物が映画の中で使われているのだそうだ。つまりオルセーの収蔵品なのだ。

実際、役者達は作中で平然とこれらの美術品を扱っていたのだが、内心はどうだったのか、聞いてみたいものだ。

際だってドラマチックな展開もなく、淡々と話が進んでゆく、エンターテイメントな娯楽作品が好きな人には、お奨めできないが、最後に、ちょっとワルに染まりつつある孫娘に、あの美術品の数々だけではなく、祖母と過ごした煌めくような夏の庭の、アトリエの、裏の池の・・・、そこにあった大切な何かが、受け継がれてゆく。というところがこの映画の主題だったような気がする。