
董卓が斃れた後、流浪の身となった呂布は曹操・袁紹軍の追撃を受け徐州の劉備を頼った。
しかし、陳宮と呂布は劉備たちが袁術討伐へ赴いていた隙を狙い、下邳を奪取。城を守っていた張飛を追いやり、徐州の実権を握ることになる。
下邳から小沛に追いやられた劉備には、更なる困難が振りかかろうとしていた……
~~下邳城~~
陳宮「さて、紫鸞殿。 此度あなたをお呼びしたのは他でもありませぬ」
陳宮「こちらの書簡に、お心当たりはおありですかな?」カラン
紫鸞「……知らない書簡だ」
陳宮「左様ですか。…ふむ、その顔、本当に知らないようですね。こちらは曹操殿より劉備殿へ宛てられた書簡。その内容は……」
陳宮「呂布殿の、ええ、あの呂布殿の討伐を打診するものでございます」
紫鸞「……!」
陳宮「まったくあの方にも困ったものですな。袁術討伐に劉備殿と狩り出し、今度はすぐに呂布殿を除きにかかるとは」
紫鸞「呂布はこのことを?」
陳宮「もし呂布殿がこれをご覧になったのであれば、既に挙兵し小沛へと押し寄せていることでしょうな。手元に留めた私に感謝して欲しいものです」
紫鸞「…………」イラッ
陳宮「さて、これは実に困りましたなあ紫鸞殿。ご存じの通り呂布殿は激情的で苛烈なお方。本人の意思がどうあれ、曹操殿と手を組む用意があると分かれば……
劉備殿……ひいては彼が今いる小沛は無事では済まないでしょう」
陳宮「劉備殿には曹操・袁紹軍より救援いただいた恩があります故、わたくしとしてもこのような形で仲互いするのは本意ではありません」
紫鸞(裏切って下邳城を奪ったくせにどの口が……)
陳宮「ここはひとつ、呂布殿にも認められているあなたに仲立ちをお願いしたく……」
紫鸞「仲立ち?」
陳宮「ええ、私に考えが、考えがございます。ですが呂布殿の説得にはいささか骨が折れるでしょうな。どうか、どうか数日、この下邳にてご滞在ください。
いずれ呂布殿からお声がかかりますので、そのおつもりで」

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2:名前なんか必要ねぇんだよ!:2025/03/21(金) 02:03:00 ID:mXveovq2
新作無双SSだ
ありがたい
3:名前なんか必要ねぇんだよ!:2025/03/21(金) 02:06:04 ID:rYneDNEk
その日の夕 下邳城 訓練所
???「ふっ!はっ!!」


呂布軍兵士「おい、あの美人さんは誰だよ?見たことないぜ」
呂布軍兵士「お前、知らないのか?あれは呂玲綺様……呂布様のご息女だよ」
呂布軍兵士「本当か!? さっきからずっとああやって鍛錬を続けられているが……戦場には出ない、というか出せてもらえないんだろう?ご苦労なことだ……」
張遼「玲綺殿。もうすぐ日も暮れます。そろそろお戻りになられては?」
呂玲綺「ありがとう張遼。だがもう少しだけ鍛錬させてくれ。いち早く強くなって、父の役に立ちたいのだ」
張遼「お労しい限りですな。ですが、どうかご自愛なされよ。見境のない鍛錬はかえってご自身の害となりまする」
張遼「……む、これは紫鸞殿。貴殿もこの下邳に在られたか」
紫鸞「ああ……ほぼ監禁のようなものだが」
呂玲綺「張遼。この御仁は?」
張遼「こちらは、紫鸞殿。黄巾の乱の鎮圧からご活躍されている武芸者でございます」
呂玲綺「紫鸞? 暁天の瞳……霊鳥の帯留め……であれば、あなたが、父上のおっしゃっていた……」
呂玲綺「紫鸞殿。私は呂奉先の娘、呂玲綺というものだ。 いきなりですまないが、私と手合わせを願えないだろうか」
張遼「な、玲綺殿……いささか急では!?せめてしばしの休息を……」
呂玲綺「止めてくれるな、張遼。他でもない父上が紫鸞殿のことを高く買っていたのだ。『この天下で俺に並び立ちうる唯一の者』だと。」
呂玲綺「そんな類まれな武芸者と手合わせできる二度とない機会だ。是非、頼めないだろうか」
紫鸞「そちらがよければ、構わない」
張遼「むう……それでは、致し方あるまい。拙者がお目付けをいたそう。紫鸞殿、どうかお手柔らかにお頼み申す」
呂玲綺「よし、それではこちらへ……」
キュピーン
依頼:呂玲綺鍛錬
4:名前なんか必要ねぇんだよ!:2025/03/21(金) 02:12:25 ID:rYneDNEk
(…………)
勝利
Victory
呂玲綺「く……ここまで私の技が通じないとは……!」
呂玲綺「訓練用の藁人形やいつも手加減をしてくれる張遼とは、雲泥の差だな……」
呂玲綺「ありがとう、紫鸞殿。これで私の武のたかが知れたというもの。これからも精進せねば」
新たな知己を得て数日後、陳宮の言った通り、紫鸞は呂布より呼び出され……
呂布「来たか、紫鸞。陳宮から話は聞いている。曹操め、くだらん真似をしてくれる」
紫鸞「曹操から一方的に申し出てきただけだ。劉備に責任はない。まだこの書簡の存在すら知らないはずだ」
呂布「責があるかどうかは俺の知ったことではない。問題は、奴が俺に刃を向けるつもりなのか否か、それだけだ」
呂布「俺の目下の標的は曹操だ。だが例え劉備だろうと、俺の邪魔をするなら容赦はせん」
陳宮「とはいえ、ここで尚早に劉備殿に牙を剥いては、曹操・劉備連合軍を結成されかねません。呂布殿の武を疑うわけではありませんが、、
そのような事態となれば曹操へと刃が届きにくくなるのは事実。
ですのでここは……劉備殿と我らの仲が違わぬよう、策を講じさせていただければと」
紫鸞「策?」
呂布「紫鸞。単刀直入に言おう。俺の娘と婚を契れ」
紫鸞「……!?」
5:名前なんか必要ねぇんだよ!:2025/03/21(金) 02:15:14 ID:rYneDNEk
陳宮「いわゆる、いわゆる政略結婚というものですな。あなたは劉備殿からも深く信を置かれている身。
我ら呂布軍と劉備軍の誼の証として、是非に、是非に呂布殿のご息女の婿となってもらいたいのです。
紫鸞「しかし……」
呂布「否と言うのならばここでお前を斬り、軍を小沛に向かわせるだけだ。決めるのはお前だ紫鸞」
紫鸞(実質的な選択肢はない……ここで下手に事を荒立てれば、自分が逃げおおせたとしても劉備と小沛が危ない……まずはこの場を切り抜け、劉備の元へ戻らないと)
紫鸞「……わかった」
陳宮「おお!これは実に、実に重畳。あなたならばわかってくれると思いましたぞ。
ではでは、僭越ながら私めが婚礼の儀を取り仕切ります故。 どうぞごゆるりと」
かくして、呂布に半ば強制される形で紫鸞と呂玲綺は夫婦となった。
紫鸞は下邳に実質の軟禁状態となり、主である劉備と切り離されてしまう。
これは劉備にとってはもちろん、曹操にとっても由々しき事態だった。
河北一帯を支配する袁紹との決戦の前に劉備と呂布を仲違いさせる策は失敗に終わり、
更に呂布が紫鸞を取り込むとなれば北だけでなく東の徐州にも無視できないほどの敵対勢力を抱えることになってしまうのである。
そんな中、呂布軍が下邳で軍備を蓄えていた折、劉備がいる小沛へと向けて袁術軍が進撃する……
6:名前なんか必要ねぇんだよ!:2025/03/21(金) 02:21:23 ID:rYneDNEk
呂布「袁術め、くだらん真似を。俺に恐れをなして矛先を劉備に変えたか」
呂布「そろそろ下邳で座して待つだけの時間にも飽きてきたところだ。陳宮、戦の準備をしろ」
陳宮「は…し、しかし呂布殿、ここで袁術軍と戦い我が軍を消耗させては、曹操軍の付け入る隙となりましょう。ここは劉備を、劉備を盾とし、我らは消耗を控えるべきかと」
呂布「戯言を!お前はこの呂奉先に、敵を眼前にして『戦うな』と言いたいのか」
呂布「俺がこの地を奪取し力を蓄えたのは、次なる戦で俺の武を存分に振るうためだ。他の雑魚どものように保身や安全のためではない!
紫鸞(割れているな……だがこれは、劉備の元に戻れる機会だ)
紫鸞「陳宮、ならば自分と少数の兵だけを小沛に向かわせてくれ。あちらには駐在している劉備と義兄弟たちもいる。
彼らと協力すれば呂布軍の消耗と損害を最小限に抑えたまま袁術を撃退できるはず」
陳宮(むう……一理ある。だがこのまま紫鸞を劉備の元に帰らせるわけには……)
呂布「ふん。陳宮、軍師のお前よりもこいつの方が道理を弁えているようだな。
戦下手な『弟』に俺の武を見せつけるいい機会だ、この俺も出る。兵は要らん、こいつと二人で十分だ。
それならばお前が気に病む『消耗』もただの二人分で済む。文句は言わせん。さっさと赤兎と兵糧の用意をしろ」
呂布「…………」
(方天戟を持とうとした手を止める)
7:名前なんか必要ねぇんだよ!:2025/03/21(金) 02:22:13 ID:rYneDNEk
呂布「いや、待て。 気が変わったぞ」
呂布「紫鸞。此度の戦、玲綺を伴いお前が先行しろ」
紫鸞「玲綺を……?」
呂布「あいつは董卓が斃れるまで宮中暮らし。放浪で多少体力はついたが本物の戦をまだ知らん。袁術軍の雑魚どもであれば、初陣の相手として過不足なかろう」
呂布「お前たちが袁術軍本隊の目を引いている間、俺は別動隊を率い、敵を後ろから急襲する。挟撃をもって奴らをひねり潰す。これで文句はないな、陳宮」
陳宮「む、むう。確かに、呂布殿に不意から急襲されれば、いかなる軍隊であろうともひとたまりもありますまい……損害らしい損害も出る心配はない、か」
陳宮「応、この陳公台、承知いたしましたぞ。それではこの戦をもって袁術軍を退け、劉備殿との誼を確かなものといたししましょう」
陳宮(しかし紫鸞をみすみす逃すわけにもいかない……呂玲綺殿、頼みますぞ)
8:名前なんか必要ねぇんだよ!:2025/03/21(金) 02:25:54 ID:PP5W8Wa.
呂布娘すき




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9:名前なんか必要ねぇんだよ!:2025/03/21(金) 02:35:22 ID:rYneDNEk
---数日後、呂布軍陣地---
呂玲綺「紫鸞殿!ここにいたか」
呂玲綺「いよいよ出立、だな。私の初陣だ……」
呂玲綺「その、すまないな。あなたが下邳に招かれてから今まで、随分と父と陳宮に振り回されていたようだ」
紫鸞「それはそうだが……そういう君はいいのか?こんな形で結婚だなんて……」
呂玲綺「ああ、いいんだ。これは父上が望んだこと。私はその意思に従うのみ」
呂玲綺「実は、あなたとこうして婚約する前は、袁術の息子と結婚する予定だったんだ。袁術軍との同盟のためにな」
呂玲綺「陳宮が準備を進めていたが、結局は父上の一言で立ち消え……今や、こうしてその袁術軍と一戦交えんとしている。きっと陳宮も困り果てていることだろう」
呂玲綺「だが、後悔はない。戦場で父上のお役に立てる機会がついに巡ってきたのだから」
紫鸞「どうしてそこまで呂布のことを……」
呂玲綺「娘だから……という理由だけでは不十分か?」
紫鸞「いや、不十分というわけでは……」
呂玲綺「父上は……孤独なんだ。並ぶものがない武、とはよく言ったものだ。
戦を求めて彷徨う父上を本当の意味で理解できる人はいない。陳宮も張遼も……娘たる私さえも」
呂玲綺「だからせめて、血のつながった家族である私だけは何があっても父上に寄り添ってやらねばならない…そう思うのだ」
呂玲綺「……少し、長話が過ぎたな。もうすぐ出立のようだ」
呂玲綺「紫鸞殿。戦場ではよろしく頼む」
キュピーン
小沛防衛戦
10:名前なんか必要ねぇんだよ!:2025/03/21(金) 03:27:39 ID:JQmPcwGM
無双オリジンズSS地味にすき
11:名前なんか必要ねぇんだよ!:2025/03/21(金) 19:21:23 ID:Iy9KEDeU
NaNじぇい見て久々に無双シリーズ買いました
袁術軍兵士「で、伝令ー!!呂布軍の旗を確認!劉備軍の援軍と思われます!」
紀霊「ふん、卑しい獣め。袁術様に同盟を持ち寄りなが、結局は人を殺せるなら相手が誰であろうとお構いなしか」
紀霊「袁術様には呂布と事を荒立てないように仰せつかっているが、これから飼う獣には道理を一度わからせてやらねばなるまい」
紀霊「軍を分け、敵援軍に当たらせよ!呂布がいるならば避け、兵士や副将のみを狙え!個の武だけでは軍略の前ではどうにもならぬということを叩き込んでやれ!」
紫鸞「……!玲綺!危ない!!」
呂玲綺「……!?」
紫鸞が呂玲綺に向かって放たれた矢を叩き落とす。援軍にやってきたはずの呂玲綺の少勢は、袁術軍の大半を引き寄せていた。
呂玲綺「敵が多い……!腐っても袁家か」
紫鸞「いや、それだけではない。劉備軍と対峙していた軍団の半分以上がこちらに向かってきている……
それだけの数を割いてでも対処すべき、劉備軍よりも大きな脅威を見做されたんだろう」
呂玲綺「く……それが、『呂』の旗を背負う重さ、ということか」
紫鸞「玲綺、自分から離れるな。敵の攻撃を捌きながら劉備軍と合流を図る。数で負けていても、張飛と関羽がいれば押し返せる。それまで持ちこたえるぞ」
紫鸞「……(頷く)」
13:名前なんか必要ねぇんだよ!:2025/03/21(金) 23:48:09 ID:rYneDNEk
紫鸞(幸い袁術軍に特筆すべき強者(プレイヤブル武将)はいない……だが、それにしても数が多い。玲綺を守れても兵士たちはかなり減るだろう)
紫鸞(娘の危機だぞ……何をしているんだ、呂布……!」
(戦場から少し離れた小高い丘にて)
呂布「…………」
張遼「呂布殿、宜しいのですか?玲綺殿の軍は、このままでは押し包められてしまいますぞ」
呂布「ふん、だからどうした。『鬼神』の娘であれば、あの程度の軍、一人でどうにかしてもらわんと困る」
呂布「それに見ろ。紫鸞の立ち回りを。敵の攻撃をいなし、時に逃げる敵を追いつつも玲綺に迫る刃は常に弾き返せる立ち位置にいる」
呂布「器用で人の良いことよ。俺のものとは正反対に位置にあるが、あれもまさしく『武』」
呂布「人を殺すための武であればとっくに袁術軍は血祭りになっているだろうがな。
人を守るための武が、どこまで行けるのか。俺がこの目で確かめる。俺が出張るのはそれからだ」

14:名前なんか必要ねぇんだよ!:2025/03/21(金) 23:48:52 ID:rYneDNEk
袁術軍の猛追をかわしながら、紫鸞と呂玲綺は劉備軍へと距離を詰めていく。
劉備軍は戦力を割かれ弱体化した袁術軍の分隊を押していた。このままその残党に突っ込んで殲滅し、劉備軍と共に背中に迫る分遣隊を撃破。
それでこの戦は終わるはずだ。
そんな思考に気を取られたか、紫鸞は死角から飛び込んでくる敵に気付くのが一歩遅れてしまった。
呂玲綺「紫鸞殿!!左だ!!」
紫鸞「しまっ……!」
袁術軍将軍「もらった!死ねぇっ!」
呂玲綺「や、めろおおおおおっっっ!!!」
呂玲綺が渾身の力を込めて紫鸞に斬りかかろうとした敵将へと槍を突き出す。
夫を、いや『戦友』を救わんと必死に突き出したその槍の穂先からは、
見覚えのある、禍々しいばかりの赤黒い闘気が迸った。
一瞬、戦場のすべて――吹き飛ばされた袁術軍の将軍を除いて――が停止した。
そして、全ての目がその黒い闘気の主に向けられた。
劉備「……呂布、殿……!?」
虎牢関で目の当たりにした、全てを薙ぎ払うような熾烈な武。
しかしその中心にいたのはあの時の偉丈夫ではなく、まだ年若い女性だった。
15:名前なんか必要ねぇんだよ!:2025/03/21(金) 23:49:29 ID:rYneDNEk
張遼「あ、あれは……!」
呂布「ほう……」
紀霊「あ、あの威圧……くそ、呂布か!今まで隠れていたのか…!?」
紀霊「全軍!呂布軍の追撃を止め、劉備軍を殲滅せよ!劉備の首さえ落とせばこちらの勝ちだ!」
劉備「翼徳!雲長! 呂布殿の元へ向かう! 敵としては恐ろしいが、味方としてあれほど頼もしい者もそうはいない!呂布殿を中心とした乱戦に持ち込むぞ!」
紫鸞(まずいな、こちらを呂布と勘違いされている……三軍入り混じっての乱戦になれば玲綺を守り切れない)
紫鸞(本物の呂布はいったいどこに…!)
袁の旗、劉の旗、そして呂の旗。
3つの旗がまじりあい、各軍勢の怒号や悲鳴が一つに混ざり合って混沌が膨張していく。
いくら霊長の眼といえど、ここまで無秩序な戦場を見極めるのは無理だ。
その時――――
呂布「そこまでだ!!!!」
雷鳴のような大声が徐州の地に響いた。
腹の底から突き上げてくるような檄声で、動き出した軍勢がまたしても停止する。
赤兎馬の上で不敵な笑みを浮かべた呂布が、戦場を見渡せる小丘に立って三軍の注目を集めた。
16:名前なんか必要ねぇんだよ!:2025/03/21(金) 23:51:04 ID:bwbQoToc
続きだ
ありがたい


【40%OFF】ずっとシマイナカ。~♯大人になったぼくと、エッチなお姉ちゃんたちの止まらない夜のこと。
17:名前なんか必要ねぇんだよ!:2025/03/22(土) 00:32:22 ID:Wzr3lulo
紀霊(呂布……!?ではこの呂の旗の下にいるのは誰だ……)
関羽(なぜそのまま加勢せぬのだ!徐州を守るのではなかったのか、呂布!)
混乱とそれぞれの思惑、そして呂布の圧倒的な存在感が戦場という生き物を抑えつける。
呂布がその場を支配していた。
呂布「聞け、袁術軍。俺は今日、お前たちを殺すつもりで来た。だが、存外に面白いものを目にして今の俺は機嫌が良い。気が変わった」
紀霊「な、何をォ!?」
呂布は憤る紀霊に目もくれず、手に持っていた方天戟を足元に突き立てた。
呂布「玲綺!!!」
呂布――――父にいきなり名前を呼ばれた呂玲綺はたじろぐ。たが、思わず一歩下がろうとした身体は、後ろの地面ではなく、すぐ横の紫鸞にぶつかった。
後ろに下がることは、できない。呂玲綺は紫鸞の身体をばねにして、無理矢理に一歩前に進んだ。
呂布「この方天戟の枝つばを射て。見事撃ち抜けるならば、俺の武をもってこの徐州に仇なす者どもを駆逐してやる」
呂布「だがもし外したらば……ふ、俺の興もそれまでだ。お前たちで殺し合いを再開すればいい。俺は関わらん」
呂布「まさか弓の鍛錬をしていないとは……言わないだろうな?」
呂玲綺「は……は……」
呂玲綺「はいっ!!」
18:名前なんか必要ねぇんだよ!:2025/03/22(土) 00:33:12 ID:Wzr3lulo
先ほどの死線を潜り抜けた時よりもずっと多くの冷や汗が呂玲綺の額から流れる。
兵を率いる将として、弓は持ってきている。鍛錬も抜かしていたわけではない。
だが、これほどの距離を射ったことは的当てでもない。
ましてや今回の標的は通常の的よりはるかに小さい、方天戟の枝つばだ。
自分にできるのか?いや、やるしかない。外せば戦が再開する。
外せば紫鸞が今度こそ傷つくかもしれない。外せば父上に捨てられてしまうかもしれない。
外せば――――せっかく見つけた呂布軍の居場所をなくし、また孤独になってしまうかもしれない。
弓を構えた腕が震える。これで的を当てるなど――――
その時、呂玲綺の手に一回り大きい手が添えられた。
呂玲綺「紫鸞、殿……」
紫鸞「心配するな。自分がついている」
まっすぐに方天戟を見つめる紫鸞の穏やかな声音と、重ねられた手の暖かさが、少しずつ玲綺の手の震えを止めていく。
紫鸞「一緒にやり遂げよう。二人で」
呂玲綺「ああ……撃ち抜いてみせる。必ず」
紫鸞「息を吸い込んで、しばらく止める……そしてゆっくり吐き出す……吐ききったその時に、身体のブレが一番少なくなる
これを繰り返して精神を集中させるんだ」
紫鸞「風の流れは、自分の『眼』が見る。 今この瞬間は自分が君の眼だ。君はただ、最も集中が高まった時にこの弦を手放せばいい」
呂玲綺「わかった。 あなたの眼、そしてこの手を信じよう」
19:名前なんか必要ねぇんだよ!:2025/03/22(土) 00:33:35 ID:Wzr3lulo
呂玲綺「…………」
呂玲綺(……今だ!!)
息を吐ききり、震えが完全に止まる。
眼を見開くと、呂玲綺は矢を放った。
方天戟から少し左に向けて狙いがつけられていた矢は横風を受けその起動を少し変え――――
枝つばの飾りを、見事に断ち切った。
張遼「おお……!見事なり……!」
呂布「ふ……それでこそ我が娘よ!!」
呂布は勢いよく枝つばが切り落とされた方天戟を引き抜いた。
呂布「袁術軍よ! 半刻(約15分)やる。 その間にこの徐州から立ち去れ!
もしこの勧告が気に入らんというならば、俺の元に武器を持ってかかってくるがいい。悉くを叩き潰してやる!」
紀霊「っ……!」
その一部を失ったはずの方天戟はしかし、前より一層の禍々しい闘気を漏らしていた。
そのまさに鬼神のような立ち姿に、武器を取ろうとする気概のある袁術軍兵士は一人としていなかった。
20:名前なんか必要ねぇんだよ!:2025/03/22(土) 00:35:58 ID:Wzr3lulo
――――袁術軍との戦いの後――――
呂布軍陣地にて
呂玲綺「…………」ボー
呂玲綺「あ、ああ。紫鸞殿か。先の戦いでは、世話になった」
呂玲綺「私のことを何度も助けてくれただろう? あの狙撃もそうだ。やはり私はまだまだ未熟だな……鍛錬、いや実戦の経験を積まねば」
紫鸞「玲綺の立ち回りも悪くはなかった。それに自分も、君に救われた」
呂玲綺「ありがとう。……だが、紫鸞殿、そして父上に比べたらまだまだ私など……」
呂玲綺「っ……」
紫鸞(手が震えている……)
(玲綺の手を握る)
呂玲綺「紫鸞、殿……」
紫鸞「……やはり、怖かったのか。初めての戦場は」
呂玲綺「いや、そんな、ことは……」
呂玲綺「…………」
呂玲綺「そうだな。 正直に言おう。眼前に振るわれる刃、頭上に降りかかる矢…… 私の命を奪おうとする『武』。
練兵場や模擬戦闘では到底味わえない、本物の戦……怖くなかったと言えば、嘘になる」
呂玲綺「そして何より、あの弓を引いたとき……外した後のことを考えた時が、一番恐ろしかった」
呂玲綺「父上や紫鸞殿は、ずっとあの場所で身を置いてきたのだな……」
呂玲綺「紫鸞殿……これからも、私の傍にいてくれないか。夫としてではなく、戦友として。
今日の戦いで確信できたんだ。あなたの隣で戦えば、きっと私の武は高みを目指せると」
紫鸞(頷く)
呂玲綺「ありがとう、紫鸞殿。経緯はどうあれ、あなたのような戦友を得たのは僥倖だ。どうかこれからも、よろしく頼む」
22:名前なんか必要ねぇんだよ!:2025/03/22(土) 22:41:31 ID:qH.iQRDs
呂玲綺SSは貴重だからもっとやれ
24 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/23(日) 23:53:40 4n5xpKNc
紫鸞(……とはいえ……劉備たちに顔を見せないわけにもいかないだろう。無事を確認するためにも会いにいかなければ)
小沛城内 劉備軍陣地
劉備「紫鸞!無事だったか。先の戦は助かったぞ。また会えてよかった…」
張飛「兄者も俺も、下邳でお前がどうなったか気が気じゃなくてよ。呂布の野郎に何か変なことされてねえよな?」
紫鸞「変なこと、というか……」
呂玲綺「あなたが紫鸞殿の主、劉備殿か。この度、紫鸞殿の妻となった呂玲綺だ。以後、お見知りおきを」
劉備「」
関羽「」
張飛「つ……妻ぁ!?どういうことだ! 説明しろおい!!」
(…………)
25 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/23(日) 23:54:06 4n5xpKNc
劉備「そうか、俺を守るために……苦労をかけたな」
関羽「しかし玲綺殿、先ほどの戦では見事な立ち回りであった。そなたは父君の武を確かに継いでいるのだな」
呂玲綺「いえ、私など……まだ紫鸞殿と父上の背を追うだけの未熟者だ」
呂玲綺「その……下邳城については……父上が、迷惑をかけた。私が謝ったところで何の慰めにもならないだろうが……
どうか、これからも父上と誼を結んでやってくれないか」
劉備「誼、か……いずれにせよ、これで小沛の当面の危機は去った。君はこれからどうするんだ?」
呂玲綺「無論父のいる下邳へと戻る。すまないが……紫鸞殿も、私と伴うことになる」
張飛「ったくよお!そいつは呂布軍じゃなくて劉備の兄者の将なんだぜ!?強引に結婚させて、連れ回して……つくづく勝手な野郎だ!」
劉備「落ち着け翼徳。呂布殿本人も駆けつけて小沛を助けてくれたじゃないか。つまり、彼はまだ俺たちの味方だ。……今のところ、な。
紫鸞に関しては……呂布殿が娘を預けるくらいだ。きっと彼も紫鸞には信を置いているのだろう。下邳にあっても、害されることはあるまい」
劉備「だが、一つだけ約束してくれ。俺はこの徐州の地を守る。それが陶謙殿からこの地を譲り受けた俺の責務だ。
だから…… 今日のように、また徐州に敵が攻め寄せるならば、呂布殿も呂玲綺殿も、志を同じくしてこの地を守ることを」
呂玲綺「ああ…もちろんだ。 また戦場で轡を並べられることを心待ちにしているぞ、劉備殿」
26 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/23(日) 23:56:33 4n5xpKNc
張飛「しかし、ぶったまげたぜ……あれが本当にあの呂布の娘か?親父もあの半分でいいから殊勝さを見習ってほしいぜ、全く」
関羽「むう……しかし、このまま紫鸞殿が呂布の身内に囲まれている状況は由々しきこと。
このままでは懐柔されてしまうやもしれませぬ……」
劉備「ああ、婚約には、そういう狙いもあるのだろうな。 早急に紫鸞をこちら側に引き戻さねば……」
劉備は紫鸞を下邳から救出するため、策を練る。その一方で、寿春の地でも一波乱が起きつつあった。
---下邳城---
呂布「劉備からこの俺に援軍要請か。あいつも随分と偉くなったものだな」
陳宮「魂胆が見え透いておりますな。下手に出つつ、こちらから兵力を削るのが一つ。
もう一つは……紫鸞殿を取り返すことが目的かと」
呂布「陳宮。劉備は俺の敵か?」
陳宮「あなたの脅威足りうるか?その点では否。関羽と張飛が少しばかり目立つのみ、軍としては弱小。曹操や袁紹と比べればあなたの敵ではございませぬ。
しかし徐州に居られるといささか邪魔ではございますな。曹操へとぶつけ、潰し合わせられたならば上々なのでしょうが…」
27 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/23(日) 23:56:54 4n5xpKNc
陳宮「紫鸞殿があれほどまでに劉備への忠心を持っていたことは、誤算でございます。
ただ雇われの武芸者とたかをくくっていた私の不明にて」
陳宮「ですがいずれにせよ、彼奴らが弱小であることに変わりはございませぬ。
袁術との盟が成り、曹操攻めの準備が整った暁に最後通牒を突き付ければよろしい。
我々の臣下となるか、曹操の走狗になるか選べ、と。」
呂布「ふん……袁術との盟、か……」
呂布軍の文官「ち、陳宮殿!一大事にございます!」
陳宮「何……?」
呂布軍の文官「え、袁術殿が……袁術殿が、玉璽を以て帝位を自称されました!」
陳宮「な、なんと……!自らが天子と!?」
呂布「ふ、ふははは! 天子だと!帝だと!あの男がか!笑わせてくれる!」
呂布「陳宮!玲綺と紫鸞を呼べ! こうなっては止むを得んだろう。俺の『弟』を助けてやろうではないか」


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28 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/24(月) 00:17:26 xgYa7jPg
呂玲綺「父上。玲綺、ただいま参上いたしました」
呂布「喜べ玲綺。もはや下邳でぬるま湯に浸かる日々は終わりだ。紫鸞と共に小沛へ下れ」
呂玲綺「小沛に?ですがなぜ……」
呂布「袁術が帝を僭称した。間もなく奴は諸侯から袋叩きに遭うだろう。その音頭を取るのがあの曹操であることは気に入らんが……」
呂布「だが袁術のいる寿春は、お前にはうってつけの戦場となるはずだ。玲綺、お前は先の戦で幾ばくかの素質を見せた。それを育てるための戦場だ」
呂玲綺「素質を育てるための戦場……」
呂布「俺は丁寧な手ほどきなどはせん。俺は今まで自らの力だけを頼りに生き、死線をくぐり武を磨いた。お前にも同じことをしてもらう」
呂布「これから劉備と奴の軍は袁術…ひいては曹操との戦での先鋒とする。お前もそこに身を置け。武を磨くにはいい場所だろう」
呂布「お前一人で、とは言わん。紫鸞と共に、俺のいる高みまで登り詰めて見せろ。その時、もう一度この下邳の門を開けお前を出迎えてやる」
呂玲綺「はい……!委細承知いたしました。この呂玲綺、必ずや父上の期待に応えて見せます!」
そうして、期待と不安を胸中に秘めて呂玲綺と紫鸞が出立したしばらく後、呂布の読み通り各諸侯に袁術討伐の詔が届く。
袁術と呂布軍を争わせ、自らは手を出さず互いの勢力を削ごうとすることが曹操の狙いであった。
事実、呂布軍は少なくない数の兵士を寿春攻略戦で失うことになるのだが……
呂玲綺「敵将! 呂玲綺が討ち取った!!」
その戦場の中に、父の血を受け継いだ次世代の武の花が開こうとしていた。
29 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/24(月) 01:39:36 9Bcps4iE
つよい
31 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/26(水) 01:35:27 ojuBGnTg
---下邳城---
陳宮「ぐぬ、劉備め……またしても詭弁を弄してくるか……」
呂布「言い訳を重ね、俺が貸し与えてやった兵と兵糧を返さぬ、か。小沛には新たな兵や物資の流入も多い。どうやら奴の腹は決まったようだな」
陳宮「兵と兵糧だけならばまだいくらでもこちらで都合がつきましょう。しかし、小沛の地にはまだ呂布殿のご息女がおられる」
呂布「……袁術は生き延びたものの、もはや再起は不可能。劉備は今や帝の背後にいる曹操の走狗となり、袁紹は相も変わらず冀州で胡坐、か」
呂布「玲綺の武名も天下に広がりつつある。頃合いだな。陳宮、玲綺を迎えに行くぞ」
陳宮「ええ、否やはございません。下邳での練兵と程よい実戦経験で、我が軍の状態は最高潮に仕上がっている。劉備などもうこの徐州に必要ないでしょう」
こうして呂布軍は、流浪の身に手を差し伸べてくれた劉備を裏切り、小沛へと進軍を開始した。
32 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/26(水) 01:36:27 ojuBGnTg
---小沛---
呂玲綺「父上の軍がここへ……!?」
紫鸞「物見が下邳の方角からやってくる砂塵と呂の旗を確認した。もうすぐここに押し寄せるだろう。
劉備たちは既に脱出の準備を進めている」
紫鸞「玲綺。君はどうする」
呂玲綺「私、は……」
紫鸞「自分は君の夫である前に、劉備の将だ。劉備が袂を分かつ決断をしたのなら、呂布に降ることはできない」
紫鸞「だから……君が呂布に、父の元に戻るというなら……ここでお別れだ」
呂玲綺「私は……」
呂玲綺「私は、父上と話がしたい。麾下のものとして、ただ付き従うものとしてではなく、一人の武将として。
ただ顔を合わせて言葉を交わすだけなら、このまま父上の軍に戻るだけでいいだろう」
呂玲綺「だが……戦場で、相対する将としてでしか交わせない言葉が……見えないものがあるはずだ」
呂玲綺「わかっている。これは私の我儘だ……私の言葉ごときで父上が軍を、その武を止めるはずがない。
だが、どうしても伝えなければいけない言葉がある。それを伝えるのは……城壁内ではなく、戦場でなくてはいけない」
呂玲綺「紫鸞殿。先に行ってくれ。私は……ここで父上を待つ」
33 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/26(水) 01:37:26 ojuBGnTg
紫鸞「ここで、動かずにか。 ……困ったな」
呂玲綺「え?」
紫鸞「劉備たちを逃がすために自分もここ小沛にとどまって時間を稼がなければいけない。君がいると少しややこしいことになる……」
呂玲綺「ふ……では申し訳ないが、あなたも私の我儘に付き合ってくれないだろうか。あなたが傍にいると、私としても心強い。あの戟を射った時のように……」
呂玲綺の言葉は、悲痛な雑兵の叫びで遮られた。
劉備軍兵士「りょ、呂布だーーーー!!!単騎で突っ込んできたぞーーーー!!」
劉備軍兵士「に、逃げろー!!」
城門近くを守っていた兵士が二人の頭上を塵芥のように吹き飛んでいく。
そして、その数秒後には二人の近くの塀が粉々に叩き割られ、赤兎馬に乗った呂布が躍り出てきた。
呂玲綺「……父上!」
呂布「玲綺よ。久しいな。迎えに来てやったぞ」
呂布「寿春での戦い……この俺の目にも止まったぞ。どうやらお前も戦場に馴染んできたと見える」
呂布「俺と共に来い。今のお前であれば張遼と並び俺の片腕となれる。お前をこの小沛へ送った価値もあるというものだ」
34 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/26(水) 01:38:47 ojuBGnTg
紫鸞「呂布……!」
呂布「お前もいたか、紫鸞。当然だな。まずは玲綺の目付けをこなしたこと、褒めてやる」
呂布「だが、もう十分だろう。お前の主である劉備と俺は袂を分かった。婚約などもはや関係ない。これからはまた敵同士だ」
呂布「お前ともう一度刃を交えること、心待ちにしていたぞ。 これで……」
呂玲綺「父上……私は……お伝えしなければいけないことがございます」
呂布「ん?」
呂玲綺「私は、もっと戦いたい……もっと武を磨いて、この乱世を駆けたい」
呂布「だから俺と来いと言っている。次の戦の相手は曹操だ。袁術軍よりもよほど気骨のある相手となるだろう。心が躍らんか?」
呂玲綺「……足りぬのです、曹操軍では」
呂布「何……?」
35 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/26(水) 01:39:33 ojuBGnTg
呂玲綺「確かに曹操軍は、今この中華で袁紹に次ぐ最強の軍隊。これを打ち破るものは間違いなく歴史にその武名を残す」
呂玲綺「ですが、寿春で袁術軍の将兵を倒し、そして父上の武を真横に見て私は気付きました。私が本当に望んでいるものは、
あなたの麾下で呂布軍の将軍になることではなく……等身大の『呂奉先』と対等に見えることだと」
紫鸞(玲綺……どうしても伝えなければいけない言葉とは、まさか)
呂玲綺「父上、不孝をお許しください……ですが、これが私の偽りなき本心。私はあなたにこそ挑みたい!あなたを超え、あなたを継ぎたい!」
呂布「ふ。ふははは! なるほど、親に刃を向けるか!確かにお前はこの呂奉先の娘よ。 丁原、董卓……そしてついに、俺の番が回ってきたか」
呂布「いいだろう!その不孝を許す! だが……」
呂布「生半可な覚悟で人中最強の武に挑んだこと……後悔するなよ」
呂玲綺「っ……!」
呂布「来い、玲綺。言っただろう、俺は手ほどきや鍛錬は付けん。お前が育てた武、全力で俺にぶつけろ!」
呂玲綺「はい……!呂玲綺、参ります!!」
36 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/26(水) 01:42:16 ojuBGnTg
呂玲綺が槍を、呂布が方天戟を握る手に力を込める。 二人の呂族の武が交差しようとした、その時。
張遼「呂布殿!こちらにおられたか!!」
呂布「ちい……!邪魔をしてくれるな張遼!」
張遼「曹操軍でござる!曹操軍が、こちらに迫ってきております!このままでは我が軍と分断され取り囲まれるかと!」
張遼「呂布殿、このままあなたが突出しては兗州の二の舞になります。何卒、ここは退いて軍の指揮を!」
呂布「……」
呂布「玲綺!下邳で俺が言ったことを覚えているな。俺のいる高みまで登り詰めた時、下邳の門を開いてやると」
赤兎馬の馬首を返しながら、呂布が肩越しに玲綺を見やった。
呂布「いささが尚早だが、お前がその気であれば俺は拒まん。下邳まで俺を追ってこい!そこでお前たちの覚悟と力量を見定めてやる」
37 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/26(水) 05:54:25 /UeF.586
呂布軍すき
38 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/26(水) 23:53:58 ojuBGnTg
呂玲綺「…………」
紫鸞「玲綺、今の言葉は……」
呂玲綺「ああ……私の本心だ。ただ役に立つだけではない。父上の武を受け止め、それを私のものとする。
そのためには、父上と敵として向き合い、真剣を交えるしかない。そう、思ったんだ」
呂玲綺「……ありがとう、紫鸞殿。あなたが隣にいてくれたから、私はこの一歩を踏み出せた。私だけなら、父上に気圧されてあっさりと父上の軍に戻っていたかもしれない」
呂玲綺「劉備殿に合流しよう。父上が……呂布殿が、下邳で私を待っているから」
---下邳城---
陳宮「な……なんと……なんということでしょうか……まさかご息女が離反されてしまうとは……
書簡を送る、いや、こうなれば隠密部隊を派遣して強引にでも身柄を確保してしまうか……いや、そのための人手が……」
呂布「陳宮。曹操軍が攻めてくる」
陳宮「は、はっ! ええ、確かにご息女の離反は誠に口惜しくはあれど、今真っ先に対応すべきは徐州へ侵攻してきている曹操軍……
呂布殿、彼奴等は遠征で疲弊しているはず。ここは我々から打って出ることで殲滅を……」
呂布「籠城の準備をしろ」
39 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/26(水) 23:56:45 ojuBGnTg
陳宮「な……籠城、ですと?」
呂布「そうだ。ここを守る。兵糧の確保と遊軍の配置はお前に任せる。俺はこの下邳に鎮座するぞ」
陳宮「し、しかしそれでは呂布殿の武を天下に示すことができませぬ! 敵陣に突入し、敵将の首を挙げてこその呂布殿、呂布軍ではございませぬか!?」
呂布「こちらから打って出ようと、籠城だろうと変わらん。どのように攻めようと、あるいは攻められようと俺の武で全てをねじ伏せる。それだけだ。それに……」
呂布「玲綺を迎えるときはこの下邳の門を開けねばならん。他でもない俺自身がそう言ったのだからな」
呂布「時に、陳宮よ。お前に子はいるか」
陳宮「……許都に妻と共に残してきた娘がおります。曹操めに既に裏切りの代償として殺されているやもしれませぬが……いずれにせよ、もはや生きて見えることは叶わぬでしょう」
陳宮「ですがなぜ、今になってそれを……」
呂布「この乱世に生き、覇を唱える者であれば我武者羅に天下を目指す。曹操も、董卓も、孫堅とその倅も、袁紹も、そしてこの俺も。同じことだ」
呂布「だが俺の武をもってしても決して倒せぬ最強の敵が俺たちを天上から見下ろしている。それが何だかわかるか」
陳宮「……『時』、ですか」
呂布「そうだ。いずれ誰しもが老いて死ぬ。この俺もいつか髪が白く染まり、腰が曲がり方天戟を持てなくなる時が来る。忌々しいことだが、逃れる術はない」
呂布「そうなったとき、百凡の夫であれば己の子に野望を託すのだろう。その生涯をかけて生き方を教え、持ちうる限りのすべてを譲り渡し、世代をつないでいく」
呂布「だが俺は呂奉先だ。血を分けた娘であろうと、ただで俺の武を継がせるような真似はせん」
陳宮「呂布殿……まさか、あなたは……!」
呂布「俺の軍に籠城の経験はない。練兵を重ねろ。張遼と高順の騎馬隊も存分に使え。ここへ玲綺が来るより先に曹操軍に破られる失態は許さんぞ」
陳宮「…………」
呂布軍の追撃で小沛を追われた劉備は、曹操軍に身を寄せる。
劉備・曹操連合軍は徐州内の呂布軍を打ち破り、呂布が待ち受ける下邳へと近づいていった。
41 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/27(木) 03:38:30 Zw/WuAS6
呂布軍がんばえー

42 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/28(金) 11:07:36 99mEdYgs
過去最高の長編ですね…
43 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/29(土) 14:15:36 uMhbz8lE
下邳郊外 連合軍陣地内
呂玲綺「な……出撃できない、だと!?」
紫鸞「自分も説得はしてみたが……君はこれからこの軍が倒しに行く敵将の娘だ。
警戒されて当然なんだ。ただでさえ劉備は呂布に裏切られたばかり……君の出陣は認められない、と」
呂玲綺「っ……紫鸞。どうにかできないか。どうしても私は父上と相対せねば……!」
紫鸞(玲綺を連れ出せば、自分もただでは済まないだろう。最悪、劉備軍から放逐されかねない背命行為だ)
紫鸞(それでも……戦友として共にある、そう約束した。違えるわけにはいかない)
紫鸞「わかった。闇夜に紛れて陣を出よう。 隠密行動であれば多少の心得がある」
???「その心配は、ございませんぞ」
呂玲綺「!? 誰だ!」
陳宮「玲綺殿…… お久しゅうございますな」
呂玲綺「な……陳宮!?なぜここに!」
陳宮「呂布殿の命にて。あなたを迎えよ、との申しつけでございます。
あなたを『もてなす』用意ができている故、紫鸞殿と二人で参ぜよ、と……」
陳宮「ここまで私が通ってきた抜け道がございます。街道を避け、曹・劉連合軍の目を避け密かに下邳城への出入りが可能……」
陳宮「呂布軍と連合軍がにらみ合っている今であれば、誰にも、誰にも邪魔されず呂布殿との邂逅が叶いましょう。この機を逃せば、両軍の全面衝突が始まります。
そうなってしまえば最後、お二人が生きて呂布殿と見える機会は訪れないやもしれませぬ」
44 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/29(土) 14:16:02 uMhbz8lE
陳宮「これを是とするか否とするかは、紫鸞殿……あなたにかかっておりますぞ。どうか、どうかお早めにご決断くだされ」
紫鸞「…………」
紫鸞(陳宮の言葉をそのまま鵜呑みにするのは剣呑すぎる……呂布が劉備を裏切ったのも、元はと言えば恐らくこの男の進言が元のはずだ)
紫鸞(だが……)
呂玲綺『紫鸞殿……これからも、私の傍にいてくれないか。夫としてではなく、戦友として』
呂玲綺『だからせめて、血のつながった家族である私だけは何があっても父上に寄り添ってやらねばならない…そう思うのだ』
呂玲綺『私はあなたにこそ挑みたい!あなたを超え、あなたを継ぎたい!』
紫鸞「…………」
紫鸞「……わかった、陳宮。 案内してくれ」
陳宮「おお、それはそれは重畳!それでは、すぐに出立いたしましょう。見たところ、連合軍の出陣は間際。あまり時は残されておりませぬ故……」
キュピーン
下邳継承戦
45 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/29(土) 14:16:47 uMhbz8lE
下邳城 内殿
呂布「来たか……玲綺」
呂布「宮中で戦を知らず、玉のように過ごしていたお前が、よもや……ここまでになろうとはな」
呂玲綺「父上…… はい。私に雄飛の機を与えてくださったこと。感謝いたします」
呂布「ふん。良い目をするようになったな。実に惜しい…… だが、こうして相まみえた以上、お前は俺の敵だ。俺の武で切り伏せるのみ」
呂玲綺「……はい。事ここに至り、もはや言葉は不要。この呂玲綺……紫鸞殿と共に、全力で参ります!!」
そして、二人は刃を交える。
紫鸞は驚愕した。呂布の出鱈目な強さは虎牢関にて垣間見ていた。
だが、驚くべきは武に食らいついていく呂玲綺だった。彼女を守りながらの防戦に努め、隙をついてなんとか一撃を通す。
そのような、針に糸を通すような戦運びになるという紫鸞の予想は大きく外れた。
鬼神の娘は父の方天戟の切っ先を避け、時には受け止め、時には距離を取り、全く引けの取らない戦いを繰り広げていた。
呂玲綺(なんという高揚感!肌を焦がすようなひりつく熱さと、粟立つようなうすら寒さ! 闘いとは……こんなにも楽しいものだったのか!)
呂布「ほう! 俺と打ち合いながら笑う余裕を見せるか玲綺!」
呂布「ならばもっと奮い立て! 俺を倒して見せろ!」
46 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/29(土) 14:20:30 uMhbz8lE
一瞬で互いの命が奪われかねない極限の駆け引き、そして親子での殺し合いにもかかわらず、この戦いはある種の健康さを湛えていた。
乱世で渦巻く企てや謀、戦場で積もる怨嗟、中国という大地に根付いた価値観。
そういった一切の雑念から解き放たれて、ただ互いの存在を確かめるように武器を打ち付け合う。
この父娘が、本当の意味で心を通わせた瞬間かもしれなかった。
その光景に呆気に取られていた紫鸞の耳に、不穏な喧騒が忍び寄る。
紫鸞「この音は……水……!?」
城壁の外に広がる徐州の地に、氾濫した沂水と泗水の濁流が押し寄せてくるのが見える。
この水流の後ろでは、劉・曹連合軍が近づいて来ているのは容易に想像ができた。
下邳の━━━━━呂布の終わりが、急速に近づきつつあった。
もはやなりふり構ってはいられない。連合軍に横槍を入れられて呂布と共に在ることがれば、勝手に陣を抜け出した自分や玲綺の立場も危ういだろう。
玲綺と呂布の、断ち切り難い一騎打ちに無理やりにでも割り込む必要があった。
紫鸞は気を取り直して、一直線に呂布へと駆け出した。音の出ない走り方は身体に染み付いていたが、
それでも呂布は紫鸞の殺気を感じ取ったのか玲綺に向けていた視線を紫鸞へと移し、
かすかに笑った。方天戟を薙いで呂玲綺と距離を取ると、その切っ先をまっすぐ紫鸞に定め、ぴったり眉間を狙った突きを差し向ける。
後ろや横に避けるのは間に合わない。この速度と膂力で向かってくる方天戟を弾き返すのも無理だろう。活路は前にしかない。
47 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/29(土) 14:21:05 uMhbz8lE
紫鸞は地面を蹴って飛び上がると、方天戟の切っ先を踏みつけようとした。
刃の上に紫鸞の足が乗せられたのを見た呂布は咄嗟に方天戟を手から離すと、着地した紫鸞に強烈な体当たりをかます。
大きい体格を生かした、至極単純だが効果的な攻撃。出鼻をくじかれてよろめいた紫鸞に、呂布は徒手空拳で追撃をかける。
とっさに上半身を動かして正中に一撃を貰うことは避けられたものの、その拳は紫鸞の肩に深々とめり込み、その身体を宙に浮かせた。
呂玲綺がその隙を突いて背後に刃を突き立てようとしただったがすんでのところで躱され、呂布の脇腹に浅い傷を残すに留まった。
呂布が背後に振り向く身体の回転を使った回し蹴りが鼻先をかすめ、呂玲綺もしばし怯んでしまう。
二人が体勢を整える間に、呂布は地面に落ちた方天戟を拾い上げ、左手を前に突き出す構えを取り直した。これでまた振り出しだ。
これが、人中最強の武。『太平の要』の技術と、同じ血を分けた娘の素質をもって対しても、呂布が今まで様々な戦場で培ってきた経験が二人との差をつけていた。
呂布「嬉しいぞ、玲綺。よくぞここまで鍛え上げた! 褒美を取らす!
この呂奉先のすべて、目に焼き付けるがいい!」
呂布が方天戟を地面に突き立て、身体から闘気を迸らせる。虎牢関で劉備たちを襲い、袁術軍との戦いで玲綺自身も放ってみせた、赤黒い閃光だ。
紫鸞の脳裏に、洛陽で董卓の暗殺が失敗した折に、曹操と共に追われたときの恐怖が蘇る。
水の轟音が背後に迫っている。城下には既に水が流れ込み、連合軍と呂布軍との戦闘が始まっていた。
48 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/29(土) 14:22:14 uMhbz8lE
決着の時が近い。
紫鸞は深く息を吸うと、目を閉じて精神を集中する。
張角と戦った時にも引き出した、己の内に眠る武神を呼び覚ます術。これを使わない限り、勝ちは望めない。
呂玲綺にはついて来れるとは思えなかった。
紫鸞「玲綺。君は」
君は離れていろ、という言葉の続きは紡げなかった。
目の前の呂布から発されている毒々しいまでの闘気と同じものが、隣にいる呂玲綺の身体からも同じく迸っていたからだ。
神が逆立ち、槍を持つ腕や手には青筋が走り、そしてその表情は余裕の笑みを浮かべている。
その出で立ちは、体躯こそ小さいものの、もう一人の呂布と見間違うほどだった。
紫鸞「君は……」
玲綺が紫鸞の言葉を無視して槍を構えなおす。
玲綺の言った通り、もはや言葉は不要だった。こうなれば、もはや退くという選択肢は誰にも残されていない。
49 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/29(土) 14:24:11 uMhbz8lE
三人の足が同時に動き、三つの刃が激しくぶつかり合う。
これまでの訓練のような打ち合いが湛えていた一種の健康さが鳴りを潜め、獣同士の殺し合いのような、血生臭さが広がっていく。
振り下ろされた方天戟を紫鸞の剣と呂玲綺の槍が受け止め、一対二でかろうじて拮抗を作る。
たがそれだけでは攻め手がない。 防戦だけでは、この鬼神には勝てない。
玲綺だけでも、一瞬だけならば呂布に対抗できる。
妻、いや戦友を信じ、紫鸞が方天戟の刃を流し、方天戟を玲綺一人に任せて攻撃へと転じる。。
呂布はその刃を見やると、呂玲綺の槍に押し当てていた方天戟を素早く切り上げ、素早さを重視して勢いが足りないその刃を弾き返す。
距離を取った三人は、また吸い寄せられるように接近して刃を交えた。今度は呂玲綺が紫鸞に拮抗を託し、呂布へと槍を突き出す。
呂布が身を屈めてこれを躱したとき、象徴的な一対の飾り羽の片割れが切り落とされた。
呂布の攻撃を二人が防ぎ、一人が持ちこたえる間にもう一人が反撃を試みる。
その反撃の直後、三人は同時に退く。そうやって接近しては離れ、二人は少しずつ互いを補いながら、体力と精神を削りあって行った。
そして、終わりの時がやってくる。終わらせたのは、呂玲綺だった。
二人の連携で少しづつ傷を負っていった呂布は呂玲綺の槍についに対応が追い付かなくなっていた。
武が拮抗した長期戦において、負担を軽減できる二人組が持久力で勝るのは道理だった。
呂玲綺が突き出した槍は呂布の脇腹を抉った。先ほど浅傷を負わせ、鎧が破損していた箇所を冷静に貫いてみせた。
呂布「ぐっ……!?」
方天戟を持つ力が弱まる。紫鸞はこの機を逃さず、刃を払いのけると剣を呂布の胸に沿わせ、肩から反対側の脇腹までを一直線に斬った。
50 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/29(土) 14:25:09 uMhbz8lE
呂布が血を吐きながら片膝をつく。常人ならば絶命、あるいはそうでなくとも意識を失っていておかしくない深手を負いながら、呂布はそれでも言葉を紡いだ。
呂布「……己の娘と、義息子に敗れる、か…… ふん、存外に……心地よいものだ……」
夥しい血の池が下邳城の石畳に広がっていく。もはや呂布の命運は決した。
玲綺「父上……」
その時、固く閉じられていた城門がこじ開けられ、ついに連合軍が内殿へとなだれ込んできた。
高順や張遼の守備隊を破り士気が最高潮に達していた兵士たちは、周りの状況に目もくれず呂布の首級を上げようと迫りくる。
呂布「っ! 雑魚どもがぁ!!」
呂布が絶叫と共に方天戟を地面に叩きつける。 既に死にゆく定めにあるはずの男はしかし、恐るべき執念で連合軍の先鋒たちをその衝撃波で吹き飛ばした。
呂布は玲綺へと向き直り、口から血を吐き出しながら叫んだ。
呂布「玲綺! 最後に父親として、お前に指図させてもらう。 一つ!まずはその槍を寄越せ!」
呂玲綺「は、はい!!」
呂布「二つ! この方天戟を賜る。下邳を脱し、そして生きろ。生きて、戦い続けろ」
呂布「お前は俺を超えた。 これからはお前が呂奉先の代わりとなり、天下にその武を轟かせるがいい」
敗者が勝者に指図をするというのも、おかしな話だ。
それでも玲綺は呂布の言葉に逆らえなかった。
言われるがままに方天戟を受け取ると、その両腕に今まで使っていた槍の数倍もの重さがのしかかる。
一振りの武器に、単純な物質としての重さだけでなく、呂布の武や、これまでの人生の重みが宿っているようだった。
51 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/29(土) 14:26:07 uMhbz8lE
呂布「━━━━行け!!」
その声に物理的に押されるかのように二人は城壁へと駆け出す。
城壁の上には少数の弓兵のみが配置されていて、突破するのは容易だ。
二人は城壁を伝って城外への脱出を目指す。
角を曲がった時、そこには二つの見覚えのある顔があった。
呂玲綺「陳宮! 張遼!」
二人が呂布と戦っている間に、こちらの二人は連合軍に捕縛されていたようだった。
呂玲綺「伏せろ!!」
呂玲綺が叫び、方天戟を振りかぶる。
縛られた二人が咄嗟に伏せた頭上をその刃がかすめ、見張りの兵士を吹き飛ばした。
陳宮「玲綺殿、その方天戟……では、勝負は決したのですね」
呂玲綺「そうだ。だが私たちの命運はまだ決してはいない。 立て!下邳を脱するぞ」
4人が下邳城を抜け、徐州の地に踏み出したとき、背後でひときわ大きな赤黒い閃光が天に立ち上る。
雑兵たちがその勢いで天高く打ち上げられて地面に叩きつけられ、それきり戦いの喧騒は下邳から聞こえなくなり、ただ凪いだ水の音だけがこだました。
52 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/29(土) 14:27:18 uMhbz8lE
張遼「呂布殿……ついに逝かれたか。お見事であった」
張遼が天守を見上げながら拱手を添えた。
陳宮「……私には、理解が追い付きませぬ。 子に後時を託すというのなら、手ずからその技を伝え、道理を教え、兵と領土を残すべきであった……それが君主というもの。
しかし呂布殿は…… 連合軍に攻め落とされるのを承知でこの下邳であなたを待ち、あなたと戦い、殺し合うことで武を継承させた……」
張遼「確かに呂布軍は滅んだ。 しかしこれはある意味で呂布殿の勝利と言えるかもしれませぬ。 人中最強の武である呂奉先を、策や軍略に頼らず倒した玲綺殿と紫鸞殿は、
もはや次なる鬼神といってもいい。 そしてその鬼神が曹操軍や他の諸侯に抱え込まれることなく、呂の姓を掲げて武を振るい続ける……」
張遼「玲綺殿と紫鸞殿を通じて、呂布殿の武が残り続ける。武の継承……というより、武の憑依と言った方が適切か」
陳宮「ですが玲綺殿のお姿は連合軍の目にも止まったことでしょう。 親殺し……この中華の地で最も禁忌とされる行為。呂布殿が丁原や董卓にそうしたように、
あなたも父君である呂布殿を手にかけた。 その行為の間にどれだけの過程や意味があろうと、天下の人々にはその結果のみが伝わる。
呂玲綺の悪名が………… 劉備殿のような仁君が再び手を貸してくれるとも思えませぬ。 これでまた我々は流浪の日々……そして兵や食料もない……」
呂玲綺「それがどうした。生きて戦い続けろ……父はそう言い残した。 私もそれに従うのみ。 何があろうとな」
呂玲綺「紫鸞殿。あなたも……ついてきてくれるだろうか」

53 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/29(土) 14:29:36 uMhbz8lE
紫鸞は気丈に振舞う呂玲綺に一抹の不安を覚えた。父を倒し、父の武器を持つ彼女の表情はいくらか険しさを増し、その言葉や声も重くなっている。
まる呂布を模倣しようとしている…… いや、呂布に内側から侵蝕されているようだった。 武の憑依、という張遼の言葉を思い出した紫鸞はうすら寒いものを覚える。
玲綺をこのままにはしておけない。 劉備には悪いが、この娘には自分が必要、いや自分がいなければ大変なことになる。そう確信した紫鸞は、首を縦に振った。
呂玲綺「ありがとう……ここまで来れたのも、あなたのおかげだ。私とあなたの武……二つが合わさって初めて、父上の武を超えることができた。
私は一人ではない……その事実が、とても嬉しい」
呂玲綺「陳宮、そして張遼も。これからも私に力を貸してくれ」
玲綺はそう言って微笑む。
この期に及び、異を唱えるものはない。
呂玲綺は下邳に振り返ると、張遼と同じく拱手を取った。
呂玲綺「父上……ありがとうございました。 玲綺は必ずや最後まで戦い続けます。 どうか……どうか、見守っていてください!」
54 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/29(土) 14:29:55 uMhbz8lE
紫鸞「……それで、これからどうするんだ?」
陳宮「私も腹を決めました。呂布殿と運命を共にするつもりでしたが……こうなった以上、玲綺殿を置いて一人で逝くわけにはいきませぬ」
陳宮「まずは味方を、味方を見つけねばなりません、が……お恥ずかしながら、裏切りを重ねた私を迎える仁君はもはや存在しないでしょう。
自業自得、というものです。皆様には迷惑をおかけしますが」
陳宮「まったく新しい土地へと赴かなければなりませぬ。 漢の価値観も、天下群雄割拠の情勢も届かぬ、純粋に武のみで我々を認め、登り詰めることを許される民の元へと」
陳宮は遠くに見える山脈を指さした。
陳宮「北へ。 袁紹が支配する冀州を抜け、更にさらに北へ……」
張遼「冀州の北……并州……まさか、異民族の元へ!?」
陳宮「私は元々董卓の配下でした。その折に董卓配下だった異民族の将兵との人脈も未だございます」
※真・三國無双Originsでは陳宮は元董卓の配下という設定

55 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/29(土) 14:30:39 uMhbz8lE
陳宮「そして北の大地は呂布殿の伝説が始まった地でもございます。并州の地で匈奴や堯と共に、
時に刃を交え、時に肩を並べて戦った。そうして頭角を現すうちに丁原殿とそこで知り合ったのですよ」
陳宮「呂布殿は匈奴の血を引いていたとも、卓越した馬術は異民族から教わったとも……本人は決して、決して真実を語ろうとはしませんでしたが」
陳宮「ですが呂布殿の起源(Origins)は確かに北の地にある……我々がそこで一からやり直し、呂の旗を掲げ、天下に知らしめるのです!呂奉先の肉体は滅べども、
その武は! その滾る血は! 未だ天下に在るのだと!」
下邳の戦からしばらく後。呂布を倒し、官渡の戦いで袁紹を下した曹操軍は袁紹の息子たちを追い、万里の長城を超えて白狼山で袁家と結んだ烏丸と対峙することになる。
そこで曹操が目にしたのは、死んだはずの呂布の再来を彷彿とさせる、二人の鬼神の姿だった。
赤い馬を駆り、方天戟を振るい、複数の異民族をまとめ上げ率い、敵を悉く打ち払う男女一組の将に曹操軍は敗走を余儀なくされる。
その後弱体化した袁家を取り込み、并州と幽州には曹操軍と孫策を引き継いだ孫権に次ぐ第三の強大勢力が築かれた。
その軍勢には━━━━『呂』の文字が、高々と掲げられていた。

56 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/29(土) 14:33:17 uMhbz8lE
おわり
呂布ルートアプデかDLCで呂玲綺ちゃんと紫鸞くんが絆イベントでイチャコラしてるとこ見てえなあ俺もなあ(願望)
57 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/30(日) 04:25:36 M7PhcI6M
完結乙シャス!
最後が気持ちよかった(小並感)
58 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/30(日) 06:48:51 AhmVbucE
感動した!

59 : 名前なんか必要ねぇんだよ! :2025/03/30(日) 13:20:47 5FlLUNRI
乙~
陳宮は8の劉備に仕えるルートすき
・司馬懿「三國無双ORIGINSが発売されるぞ!!」
・真・三國無双Origins主人公「董白ルート…?」
・真・三國無双オリジンズ主人公「あれ、なんで灯りついてるんだ…」

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7猛将伝と8はまだやった事無かったですね
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