目次

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冀望

血塗れの……微睡の中で。




魅惑のパスタ

パスタが食べたいという〈彼女〉のため、汗ばむ掌で数回包丁を握り直し、決心がつかぬまま、恐る恐る震える掌に力を込める。ああ、何度やってもこの瞬間には慣れない――。




にごり

香り高い料理を目の前に、迷いながら男は語り出した。そこで明かされたのは、グロテスクで異様な恍惚に満ちた男の過去だった…。

     



空っぽの…

異常な程に、潔癖症。

  





……一度、あなたもあの夢を体験してみればいい。すぐにわかるでしょう。あそこがどんなに忌まわしく、恐ろしい場所なのかが。

   



譫妄

石ころってね、生きているんですよ。

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盲目の


恋は、盲目。

 



いびつな…


”……御来店頂きまして、有り難う御座います。御期待に添えまして、本日は特別料理〈コースV〉を御案内させて頂きます。どうぞ……御堪能下さい”

       



いびつな… Ⅱ

”……度々の御来店、誠に有り難う御座います。御期待に添えまして、本日も特別料理〈コースV〉を御案内させて頂きます。どうぞ……吐き気と共に、御堪能下さい”

    





そのくちびる、とっても魅力的。






ねえ愛してる?






中へ、さあ。




の音が…


どこからともなく聞こえて来るベルの音。果たしてこれは現実なのか?幻想なのか…。

 



幻想映画館

まもなく上映が始まります。どうぞ、心ゆくまでお愉しみ下さいませ……。




幻想映画館 2

気が付くと、濡れた芝の上にいた。止まない焦燥感の中、少女に手を引かれながら向かう先は……。
幻想映画館へ、ようこそ。




記憶


まるで記憶にない、古ぼけた一冊のノート。表紙には「夢の記録」の文字。どうやら過去の自分が書いたもののようだが…。

     




蝉。蝉。蝉。蝉。せみみみみ。





 
道端で拾った〈犬〉を飼っているという友人。突然に音信不通になったため、住居であるアパートにまで行ってみると、戦慄の事実が…。

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削除してよろしいですか

あなたの××、取り除きます。

   




よじれる


寂れた楽器屋で出会った男の小指は、奇妙に捻じれていた。男はかつてピアニストだったというが…。




仔虫奇譚

幼少の頃、自由研究の対象に選んだ「蛹」。生体はどうなっているのか?好奇心は加速し…。

    
 



におい

……あの部屋の住人?……さあ。どんな人が住んでいるんでしょうね。

 


滅裂

不審な電話を受けたことから始まる悪夢。単なる夢なのか、それとも…。

     





今日も雨。明日も雨。明後日もふ 雨。明々後日もふふ


 



目的地まで

こんばんは。AI car auto driving system へようこそ。





幻想学級奇譚

プレハブの美術室に眠る”狂気の”アート。薄暗い理科室に纏わる”グロテスクな”記憶。更新した憶えのない学級日誌。この学校(クラス)は、”何か”がおかしい…。
怪奇と幻想に渦巻く、6年X組へ、ようこそ…。



理科室〈心臓〉  
美術室〈血管〉  
放送(室)〈網膜〉  
昇降口〈脣〉  
教室〈蕩〉  




大人のためのイかれた三つの童話

理不尽な理不尽による理不尽行進曲。


階段の窓のすきまから

カーテン迷路の中で

夜に、たゆたう



猫と蝶


久しぶりに再会した友人。彼は自宅マンションの一室に、猫と蝶を飼っているというが…。

  



れで最後






夜へ、とけて


クリスマス・イブ。神聖なる、夜に。




甜い膜

わたしを、愛してる?






ある日突然始まった異変。心当たりは……。




ぬくもり


学校で出された粘土工作の課題。……さて、何を作ろうか。




いびつな… Ⅲ

”……御来店、誠に有り難う御座います。特別料理〈コースV〉を、御案内致します。どうぞ……目眩く悪夢を、最期まで御堪能下さい”

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僕のD i a r y

狂気100%。









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霧の街 /完結

母親とともに新しく住むことになった町は、通称「霧の街」と呼ばれていた。別名「朝顔の町」とも知られるその土地で過ごして行くうちに、次第に高校生の直季は、町全体に妙な違和感を覚え始める。町中で頻繁に流れる濃霧注意報のアナウンス。路上に設置された「悪魔に注意」の看板。「霧の中の住人」と識別される一部の町民の存在。気付けば、異様とも恐怖とも付かぬ得体の知れぬ異変が、周囲で起こり始めていた。この町には一体、何が隠されているのか?…


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霧の街Ⅱ /連載中


指定医として「霧の街」の病院に派遣された椎堂馨は、次第にこの町の暗がりに呑み込まれてゆく。霧に潜む明けることのない闇に、椎堂はどう立ち向かうのか?


      




 




ぼっ
これ・る /連載未定

「……一緒に、来てみるかい。“呪い”の調査に」
文化人類学研究者である衣黒とともに、不可解な父親の死の真相を探っている黒淵京。明らかになる”オマネキチョウ”と呼ばれる村の存在。異様な信仰。およそ現実とも思えぬ幻想と狂気に満ちた片鱗に、果たして京自身は狂わずにいられるだろうか?…







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春ですね(^^♪ 

Dark in



はじめに

カテゴリ:







ホラー短篇小説を中心に、ひたすら書きたいように文章を書いています。

基本的にどの話も毒が強く、残虐な表現(グロテスク)を含みますので、

申し訳ありませんが、ホラーが苦手な方は

閲覧自体ご遠慮くださるようお願いいたします。

なお、すべての作品はフィクションです。







書いてる人・・・


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悪夢を愉しんでいただこうと色々試行錯誤していますが、如何せんすべては夢幻なもので、何がどうなっているのかいないのか、それすらよくわかっていません。
密かに某ミステリ新人賞×選考通過歴などありますが、実はミステリを読むのは得意じゃありません。。








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失われたもの

 

 

 

 




 お気に入りのコップを落として割ってしまった。

 私はまだ、ずっと、そこから立ち直れずにいる。

 

 

「たかがコップじゃない。何をそんなにいつまでも落ち込むことがあるわけ?」

「お気に入りだった。だから、ショックで」

「その辺で、また手に入るじゃない」

「私ね。いままで、生きてきてずっと、テキトウなコップばかり使ってきた。小さい頃から、ただただ、お茶やジュースを注ぐ入れ物として見てきた。コップは、ただの容器。こだわりなんてないし、一昨年の結婚式の引き出物でもらったアンハッピーていう変なロゴが入ったコップも、なんとなく使ってきた。でも、これは、違うの」

「違うって…」

「自分で、はじめて、選んだの。はじめは、買う気なんてなかったけど、偶然立ち寄った雑貨店に入った時、それが目に入った。一目惚れでもなんでもなくて、ただちょっとかわいいかな、くらいの気持ちで、なんとなくレジに持って行った。なんとなく…」

「ちょっと、よく、いろいろ解らないんだけど…」

「自分でも意外だった。それを使っている最中でさえ、私は自分の感情に気付かなかった。でもいつの間にか、それを使っていくうちに、本当に、それが私のお気に入りになってしまっていたの」

「いつの間にか」

「失うまでは気付かなかった。ものすごくショックだった。落として砕けて、はじめて、気付いたの。自分がどれだけ、そのコップに愛着をもっていたか…」

「わかった。それはわかってるけど。でも、そろそろ立ち直るべき。そうでしょ…」

 ソファの上で深く項垂れたままの頭に、私は立ち上がって、距離を詰めた。「もう一年も前のことなんだから…。そんなにまだ気を病むつもりなら、私が、新しいものを買って来てあげる」

「本当に?」

「え?」

「本当に、そんなことができる?」

ミロの目が、この日はじめて私の顔を捉えた。

「どういう意味?問い合わせれば、在庫だってあるんじゃないの?」

「そうね、でも…」

「でも…」

「一度失ったものは、戻らないでしょ。見た目は同じだとしても、ともに過ごした何気ない日々や記憶が、あのコップにはある。そういうものは、他にはない…」

「それは…」

「ただ、虚しいだけよ」

 うっかり、溜息の音が、自らの口内から漏れ出した。

 私はゆっくり、彼女とまた、距離を取った。

「……また……作れば?何気ない日々の記憶を、新しいコップと一緒に…」

「でも、同じ記憶はもう、積み重なることはない」

「それはそうだけど。いつまでも落ち込んだって無駄。一度砕けてしまったガラスは、もうもとには戻らないのよ」

「それ、誰かが死んだ時にも同じこと言うつもり?」

 厳しいミロの目が、私を見た。

 睨まれた。そう感じたのは、一瞬。どうして、私が?

「あのね」

どうして、励ましている私が、そんな目に合わなければならないの。「人間の死とそれを一緒にしないでくれる」

「本質は、同じことよ」

「だって、どうしようもないじゃない」

「どうしようも」

「解決策はない。解決策はないのよ。あなたが、気持ちを切り替える以外には」

「簡単に言う。それができないから、こんなに思い詰めてるのに」

「一年、もう一年。じゃあ、現在使ってるコップの存在は、どうなってるわけ?謎ね」

「べつに、なんとも思わない。ただのコップは、ただのコップのままよ」

「そのコップに、また、愛着をもてるようになるわよ」

「そういう、問題じゃないのよ」

「じゃあ、はっきり言うけど」

無意識にしていた貧乏揺すりをやめて、私はソファから立ち上がった。「どれだけ思い詰めても、無駄よ。あなたがどれだけ思い詰めようが、死にたくなろうが、失われたという現実は変わらないんだから」

「じゃあ、どうすればいいの?私はこの途轍もない虚しさを抱えたまま、これからの毎日を過ごさなくちゃいけないの?」

「そうなんじゃないの。あなたが変わらない限り」

「私を絶望させるつもりなの」

「知らないわよそんなこと。たかがコップで」

 

 

 たかがコップ。

 そう吐き捨ててヨウコが部屋からいなくなると、虚しさが押し寄せてきて、私はまた死にたくなった。








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