こんにちは、owatakuです。

久しぶりにクラクラ小説タグを見て、書きたくなりました。
長編になります。多分、10話ぐらいになるかな?もっと多いいかも。わっかんね。
出オチじゃないことを信じて読んで頂けると幸いなのでございます。









今日のクラクラでは、バルキリーの大ブームが巻き起こっていた。どこかのブログが、ただバルキリーを使うだけで村を全壊できるという噂を立てたからだ。しかも、その噂は本当だった。

そこで、今この村ではネコの手も借りたいほどバルキリーが不足していた。なので、バルキリーを大募集し、その申請を面接無しで合格にするという荒業をしていた。

これはそんな時代の、1人のバルキリーの話である。

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「また新人?」
私は呆れたように言った。
「いいじゃないコハク。楽しみだし。」
そう言ったのは、アカリ。まあ、楽しみなのはわかるが、、、。
「だって最近初心者ばっかじゃん。」
「そこがいいのよ。教えがいがあるでしょ?」
「何言ってるの。アカリは教えられる側でしょ。」
「わ、私はみんなと比べたら強い方!」

、、、今度の新人は、教えなくても強い奴がいいな、と思った。

「ニャン」
足元で声がした。下を見ると、白ネコがちょこんと座って、じっとこちらを見つめていた。
「、、、ネコ?」




なぜここにいるんだろうと思ったが、すぐにわかった。オレンジ色の髪に、特徴的なクセ毛、背中に背負った自分の身長の2倍もある両手斧。
「んゅあ!?」
人生で一番変な声が出たと思う。ま、まさかこのネコが、、、
「もしかして、、、君新入り?」
「ニャン♪」
意識が遠くなってきた。
「ちょ、ちょっと頭冷やしてくる、、、」
「どうしたのコハク?え?
あ、こんなとこに可愛いいねこちゃ、、、え!?!?」

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私は海辺で1人で考え事をしていた。
(まあ、ネコがバルキリーやっても、そんなおかしいことじゃないよな。うん。猫の手も借りたいこの時期だもの。しゃーないしゃーない。)
自分で自分に言い聞かせ、やっとの事で立ち直れた。

フラフラと訓練場に戻ると、ワーワーと盛り上がってる声が聞こえた。
「え?なに?」
駆け足で近づくと、
「あっ!コハクだ!」
「お!リーダーが戻ってきた!」
「コハクが帰ってきた!!」
と呼ばれた。な、なんかちょっと嬉しい。けどなんで?
「コハク!もうあなたしかいないの!あのねこちゃんをやっつけて!」
アカリが焦ってるような面白がってるような声で言ってきた。
「え??なに??あのネコ悪いことしたの!?」
「違う!違うけど、なんだかんだ色々あって、『ここにいる全員のバルキリと模擬戦で勝てたら、煮干を1年分買う』ってことになったの!」
意味がわからない。なに言ってんだ。
「んで、今、ちょうど私が負けてもうオワタの状況だったわけよ!」
ちょっと待った。じゃあ、私以外の全員に、この猫は勝ったってことなの!?

ふと猫の方を見ると、こちらを戦いたそうな目で見つめてきた。
「、、、わかったよ」
私はピコピコハンマーを持って、リングの中に立った。

ちなみに、模擬戦は安全のために、持ち手を長くしたピコピコハンマー(略してピコハン)で行われる。当然、ピコハンが当たると負け、というルールだ。

「よーい、始め!」
アカリが大きな声で言った。私は身構えた。少しあたりを見渡すと、期待の目でみんながこちらを見ている。結構プレッシャーだ。

視線を猫に戻すと、猫がピコハンを咥えて、こちらへ突進してきた。ぐっとピコハンを強く握る。
そのまま猫はジャンプし、攻撃をしようとしてきた。当然、跳んでる相手はスキだらけだ。ピコハンを猫めがけて強く振り落とす。

「え?」

猫は、ピコハンからするりとかわしてきた。例えるなら、手から逃げるうなぎにような、網からすり抜ける金魚のような。今まで経験したことのない感覚に、一瞬もどかしさを感じたが、すぐに焦りに変わった。
猫は私のふところに入ってきて、攻撃できる体制になっていた。慌てて私はすぐに後ろへ大きく避ける。ほぼバク転。


構え直し、ふぅとため息をつく。でも、休憩する暇も無く、猫はまたこちらへ走ってきた。
さっきと同じように、猫はまたジャンプをしてきた。それならと、私も同じようにピコハンを高く構え、振り落とす。
猫は避けようとして、クネっと体を曲げたが、ピコハンは来ない。私はフェイントをかけ、猫に当たる直前でピコハンを止めていた。
猫は完全に私の方を向いていなかった。私はそのままピコハンを猫の横に持っていき、思いっきり猫を切る。

「!!」

見ている野次馬も、目を丸くした。私の攻撃は、当たっていなかった。また避けられたのだ。
だけど、その体勢で着地できるかと思ったが、猫はスタッと綺麗に着地する。なんちゅう体のねじり方だ。

そのまま猫は、私の右側へジャンプしにきた。私は即座に動きを予想して、右へ体をねじる。
ふと気がつくと、猫が視界から消えていた。混乱したが、皮肉なことに簡単にトリックがわかった。フェイントをかけられたのだ。
多分、今猫は私の真後ろにいるだろう。焦りと、私の攻撃をまねされたという事実の圧巻の気持ちが、敗北感をより一層深めてきた。
だが、同時に、負けたくないという気持ちも相対的に高まる。

「うおおおおお!!!」

私は、大きく体を反り、ブリッジの状態になりながら、後ろへピコハンを叩きつける。

「ピコッ」

かわいい音が、辺りに響く。一瞬の静寂のあと、どっと歓声が沸いた。

、、、どうやら私が勝ったようだ。
そのまま私は少し顔を赤らめながら、スクッと立ち上がり、パンパンと砂を払った。
私は、猫を両手で持ちあげてこう言った。
「、、、あんたは、教えなくても強い奴だな。」
私はこの猫を気に入った。

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次話→『作戦』