←前話 3話目『戦』


「猫は次で5回目?」
アカリが、猫に戦闘に出た回数を尋ねた。

「うん。そうだね。」
猫の代わりに私が答える。

「私は13回目。アカリは、、、」
「私は9回目かな?」
「あれ?そんなけだっけ?」
「ううん。だって、あのとき私怪我で私出てないから。」
「ああ、そっか。」

そう思うと、私達って長生きしてる方なんだな、と実感した。 普通は初陣で死ぬぐらいなのが普通なのに。

バルキリーが強化されたからかもしれない。けれど、私はアカリが居ないと死んでたようなシーンが何回もがあったから、、、。

猫なんて、あんなに攻撃を食らってる、、、いや、避けているけど、よく死なないと思う。



次やる戦術はゴレホグだ。

ナックルだと、バルキリーはもう連れて行けるだけ連れて行くのだが、ゴレホグだとゴレやホグとかがメインなため、バルキリーが削られるのだ。

なので、普通その前には、選抜試験というものをやる。つまり、今回は3人なので、技能テストをして上位3番までが明日行けるというものだ。

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「試験その1!回避ダッシュゥゥゥゥ!!」
チーフは、こういう時はなぜかテンションが上がる。

前までは、走、攻、技(避)の3種目だったけど、走りと避けるのは同じ種目でできるだろう、ということで、今は「回避ダッシュ」と「小屋速攻破壊」の2種目に減らされた。
「ルールは簡単です!1人づつ、決められた幅の中で、100m先から発射される、えーっと、ボールプールのあれ!あれを避けながら進んで、より早くむこうまで行き、あまりボール当たらない方が高得点!そんなけです!」
「私これ苦手だわぁ、、、。」
「ふふふ。これ唯一コハクに勝てる試験。」
アカリは自慢気に話した。
「当たる玉の数だけね、、、。というかいつも引き分けでしょ、、、。」
「いいの!コハクに引き分けは私の勝ちよ。」
避ける方は、どちらも毎回0なので、純粋な足の速さで私が勝つのだ。

でも、玉の発射は、今回はアーチャークイーンが手伝ってくれるようだ。
「あ、私ガチで当ててくから。」

うん。今回は引き分けは無いな。

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「次は、コハクさん!」
、、、よし。私の番か。

私はスタートラインに着く。心なしか、アチャクイが今までよりもっと気合を入れてるように見える。

「よーい、どん!」
私は「どん」と同時に走り出す。
最初の3、4発はいいのだが、近くにつれ避けるのが困難にな、っ!なんださっきの玉!避けれんのかあれ。うわっ、近っイタッ!よし、避けっ、ってもう発射してんの!?

、、、

ピッ
「タイム13秒5、当たった数4!」
「ハアハア、、、」
アチャクイさん、、、エグいっす、、、。まあ、タイムはバルキリー中1位なので、よしとする。

「やったぁ!私の2には勝てないようだね」
アカリは飛び跳ねて喜んだ。
「じゃあ、アカリ、タイムはなんだったっけ?」
「、、、15.7」
いや、そんなにテンション下げなくても、、、。

「次は、猫さん!」
おっ、と、みんなが反応した。やはり、気になるようだ。というか私も気になる。

「位置について、よーいどん!」

タッタッタッ、、、
え、これ結構速いんじゃ、、、。

ピッ
「タイムは8秒6、当たった数0!」

「「「うおおおおおお!?!?」」」

みんなが同じ反応をした。アチャクイまでも。
私は、本当に開いた口がふさがらなかった。当たった数0は、だいたいみんな予想していたが、タイムの方が、速すぎて人間離れしてる。あ、人間じゃねえ。

点数に加算すると、
私は8(避け)+9(速さ)で17
コハクも9+7で16
猫は10+10で20点だ。当然、20点なんて点数初めて見た。というか、各評価10点より上がないので、実際には12点ぐらいなんじゃないか。

みんながわいわいしていたら、

「はい!じゃあ、次の試験の準備するので、休憩しておいてください!」

と、チーフが言ったので、バルキリーたちは自由に散らばった。

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みんなが休憩している間、私は顔を洗いに川へ行っていた。休憩と言ったら、私はいつもここに行く。

木が生い茂っていて、空気が澄んでて気持ちいい。ここは私のお気に入りの場所だ。

ふと横を見たら、真っ白な花が咲いていた。普通だったらこんな花、目につかないのに、と思ったが、その理由はすぐにわかった。この花、岩の隙間から花が咲いてるのだ。

そんなことしなくても、もっと咲きやすい場所があったろうに。

「ニャ」

後ろを向くと、猫がいた。

「おお、猫か。」

猫は、水を飲みに来たらしい。




「あんた本当に避けるの得意だよなぁ」

私は唐突に言った。猫は、自慢気そうに笑った。
私はちょうど、この時、猫に言いたいことがあったことを思い出した。

「、、、あんたってパワーないよなぁ」
「ニャっ」

猫はびっくりして、目が点になった。私は続けた。

「このままだと、次の試験の「小屋速攻破壊」が危ない。そこでだ。私は考えて、ある解決策を思いついた。」

私は、わざと真剣な喋り方で猫に話しかけた。また猫は、いい意味でびっくりした。

私はすくっと立ち上がって、斧の代わりに、近くに落ちてた木の棒を持った。

「猫って、攻撃するとき、ジャンプして縦に一回転をするでしょ?そこで、もっと攻撃力が高い回り方を思いついたわけよ。」

私は半身になって、体をぐるっと半周させた。

「私は空中にいるものだと仮定して、ここで、斧の位置は出来るだけこのままで、腰だけをひねる。つまり、上半身を置いてきぼりにして、足だけ動かす。」

私はステップを踏んで、足を回転させる。

「そして、腰のひねりを解消する感じで、斧を振る」

勢いよく腰を回し、木からフォンと風切り音が鳴った。私はホームランを打った野球選手のような格好になった。

「こんな感じ。つまり簡単に言えば、腰まで使って回転するってこと。これは、ネコみたいな体柔らかくないとできないわけよ。」
「ニャア」

にゃるほど、という顔をしてくれた。  、、、理解してくれたのだろうか。

私は猫と対面しながらあぐらをかいた。

「これはパワー以外にも利点があって、例えば腰のねじりと、ジャンプの落下のスピードを乗せれば、多分すごい破壊力になると思、、、」

私ははっとして体を起こした。もう戻らなきゃいけない時間だ。

私たちは急いで訓練場に戻った。よかった、まだ試験は始まっていなかった。

「じゃあ、試験再開しますよー!」

チーフがバルキリーたちに向かって言った。

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「次の試験は、小屋速攻破壊ィィィ!!」

よし。私の得意分野だ。

「ルールは簡単!この小屋をできるだけ早く壊した方が高得点!!」

本当に簡単だ。これはパワーだけじゃなく、コツも要る。

私の順番になるまで、他のバルキリーの動きを見ていたが、やはり、腰を上手く使えているバルキリーはあまり居なかった。

猫にあの技を教えたのは正解だったかもしれない。

しばらく経って、私の名前が呼ばれた。

私はマイ斧を持って、小屋の方へ向かう。そして、斧を構えた。

「よーい、どん!」

まず、柱壊して、そしてもう一本、あとは縦に、、、

ドゴッ

小屋は音を立てて崩れた。

「コハクさん、2.7秒!」

おお、と歓声が上がった。私も思わずガッツポーズをしてしまった。自己新記録だった。

「コハクはやっぱパワー系だねぇ。」
アカリが言ってきた。
「アカリは避け専だねぇ。」
私も言い返した。
「避け専って?」
「避けるの専門ってこと。」
「ああ。」
鈍感なのか、悪口なのを気づいてないらしい。
アカリは4.1秒だった。

次は猫か。
、、、猫の表情を見ていると、回避ダッシュより、やはり自信がないようだ。

「よーい、どん!」

猫は必死にちょこまかと飛び跳ねて、大工にダメージを与えていく。けど、傷がつく程度で全然壊れない。

そろそろ、あの教えたやつを、、、。そう思った時だった。

今度は、猫は高く飛んで、腰を使ってぐるんと斧を回した。はっきりといつもより攻撃力が出ているとわかった。あの教えた技を、完璧とは言わないができている。

でも、それでも小屋は壊れなかった。猫はめげずに何度も回転攻撃をして、やっとの事で小屋を壊した。

「猫さん、22秒!」

あーあ。でも、こんなものだろうとは予想していた。

合計で、
私は17+9=26
アカリは16+8=24
猫は20+1=21
だった。調べてみると、私とアカリは1位2位だけど、猫は4位だった。

「まあ、ドンマイ。」

私は猫の頭を撫でた。猫は泣きそうな顔をしていた。とりあえず、よいしょと猫を持ち上げて、頭に乗せた。

「コハクのいじわるw教えてあげればいいのに」
アカリが言った。
「いいじゃない、たまには猫のこういう顔もみたいでしょ。」

猫は、「?」と言いたげに首をかしげた。

するとチーフが、バルキリーを全員集めて、みんなの前に立った。
「じゃあ、メンバー発表します!えー、コハクさん、アカリさん、」

「猫さん!」

チーフが大きな声で言った。

猫、だよな。私は知っていた。

どよどよとなった。猫も驚いている。

「これは、今までの対戦での評価とかも考慮して決めてるから、4位の猫さんに決めました。」

私も、これで選ばれたことがあったので、だいたい予想はついた。

「ということで、今の3人はすぐ作戦会議開くから、タウンホールに来てね!」

私たちはコクコクと頷いた。けれど、猫だけはよくわからずあっけにとられてた。

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「、、、というプランなんですがどうでしょう?」

チーフが言った。

「いや、それ私横から攻撃されるじゃない。ウィズも。だからさ、あそこに出すはずのホグこっちに出せない?」

アーチャークイーンが反論をした。私も気になっていた。チーフはなるほど、という顔をして、プランを変更した。

「あと俺、頼られるのは嫌いじゃないけど、ババキン倒したあとすぐにアチャクイ倒すのキツイで。」

ババキンもこう言った。チーフはうーんと唸った。

「じゃあ、私がアチャクイ倒すよ」

私は手を上げて言った。すると、隣にいたアカリがいつものように驚いた。

「ダーメ。ゴレ連れていこ?ね?」

もうこれは定番の流れになっていた。

「わかりました!アチャクイはできればババキンさん、できなければ、バルキリーさんとゴレさんで倒す、ですね!」

私はウンウンと頷いた。

「他に意見は、、、。なさそうですね!このプランでいきます。各部隊準備をしてください!」

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私たちは、すでに試験をしていたので、準備は済んでいた。

なぜか私は、岩の隙間から咲いているあの白い花を思い出した。なんだろう、あの花のことを考えると、なにか胸が締め付けられる感覚になる。

無性にあの花を見たくなって、川へ行った。

すると、先着がいた。猫だ。

私はその白い花を数秒見つめたあと、

「ここっていいよね」

と独り言を言うようにつぶやいた。

突然、猫が後ろを振り向いた。その視線の先を見ると、アカリが立っていた。

「あ、コハク!ここに居たんだ。」

アカリは私の方へ駆け寄ってきた。

「なになに?どんな話してたの??猫って喋れるの??」

なんかわかりにくいボケをかましてきた。アカリがこういう言い方をするときは、なにか質問をしたい時だ。多分、笑わせて場を重くしたくないのだろう。

私はまあまあ座れと言って、アカリの座るスペースを作った。

「ちょっと質問していい?」
「うん」

やっぱり。と思った。

「、、、なんか、ここで言うことじゃない気がするけど、コハクってさ、なんで、こう、度胸があるの?」 

どういうこと?と聞こうとする前に、アカリが続けた 

「前だって、一人でこの区間を壊す、とか言ってさ。私だったら、たとえコハクぐらいの強さでも、そんな自信出てこないよ。 、、、いや、それがコハクの強さなのかな?だから、ちょっと気になって。」 

そのことかとわかった。私は少し考えた。理由、か。 

「そういえばさ、私プラス持ってるって前言ったよね?」 
「あ!それ!それも聞きたかった!」 
「、、、私のプラスは、『転生』。つまり、死んでも生まれ変われるの。」 

アカリは、驚いて、こちらをまじまじと見てきた。 

「だから、死んでもまだ人生はあるんだよね。」 
「、、、ばっかじゃないの」 

いきなり、アカリがつぶやくように言った。不意打ちでドキッとした。 

「そんな理由だったの?自信があるから、ああ言ったと思ってた。」 

一瞬、アカリがなんで怒ってるのか理解できなかったが、やっと自分の言った意味が分かった。

「いや、そりゃ勝機はあると思ってたけど、、、」 

私は焦って、わかりやすい言い訳をした。

「コハクが死んだら、コハクは死ぬんだよ?生まれ変わったって、コハクじゃない。」 

私は、本気で怒ってるアカリを始めて見た。その気迫におされて、何も言い返せなかった。 

この場に居づらくなったのか、アカリはすくっと立ち上がって、こちらを見ずにスタスタとキャンプ場の方へ歩いて行った。 

「、、、私は!」 

歩いて行くアカリの背中に向かって、叫んだ。 

「私は、生まれ変わってもバルキリーになるよ!」 

そう言うと、アカリは少しの間立ち止まって、またすぐ歩き始めた。

私はその姿を、じっと見ていた。 

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昔から、プラスを持った人は優秀だ、という話を聞いていたので、自分でなんとなくそう思っていたのかもしれない。  、、、転生なんて全く戦闘に役に立たないのに。 

私は気持ちの整理ができないまま、訓練場に戻った。

そうだな。私の生きる意味ってなんだろう、、、。私は、あの岩の隙間から生えてた白い花のように、わざと難しい道を選んでるのかな。それとも、ただの勘で動いているのかな。

まずはアカリに謝った方が良いのだろうか。いや、謝るのは少しおかしい気もする。謝るとしても、なんと言ったら良いのだろうか。

と、考えているうちにキャンプ場に着いてしまった。

「あ、コハク!戦もうすぐ始めるってさ!」

キャンプ場で他のユニットたちと喋っていたアカリが、さっきのことは忘れたようにこちらを向いて言った。

、、、私をそこまで責めたくなかったのだろうか。それとも、言いたいことを言えたから、アカリとしては十分なのだろうか。なぜ機嫌が治っている、いや、治したのか、わからなかった。

わかることは、アカリは怒ってるよりもこの雰囲気がいい、と思ってるのだろう。

「わかった!」

私は、なるべくいつも通りのトーンで言った。

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次話→制作中