☆動画ご紹介!

関越道バス追突事件裁判(第6回公判)Part1

http://www.youtube.com/watch?v=PzqySUxuw3U&feature=youtu.be

関越道バス追突事件裁判(第6回公判)Part2

http://www.youtube.com/watch?v=Z-Xpesan-xk&feature=youtu.be

SAS(睡眠時無呼吸症候群)への安易なすり替え

前回の弁護側証人の言説を覆す科学的根拠と実験データ

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 平成25年10月22日(火曜日)、群馬県の前橋地裁にて関越道バス追突事件を引き起こした中国残留孤児2世の元バス運転手・河野化山被告(44歳)に対する第6回目公判が開かれた。

 この日も午前11時の開廷に先立ち、同9時45分までに地裁東側の玄関に傍聴希望者が集合。各自に番号が振られた傍聴整理券を配布する形で、合格発表の如く当選ナンバーが発表される。

 前回、10月17日の第5回目の公判で私ども『NPO法人 外国人犯罪追放運動』の会員ほか群馬・栃木両県の有志ら計5名が並んだが、この裁判において初めて全員がハズレ、こちら陣営の関係者で傍聴者無しの「全滅」を経験した。

 日を置かず、その直後の公判とあって、またしても全員がハズレという事態を想起したりもしたが、この日は同じく5名が並び、3名が抽選に当たった。これまで5〜6名で抽選に臨んでもせいぜいが1〜2名の当選者であったが、3名が当選というのは過去最多。改めて裁判所の抽選は、公判・口頭弁論における審理も然ることながら公正・中立を期していると思わされたものだ。
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 この日の公判で、検察側の要請により証人出廷したのは厚生労働省関連の研究機関である『労働安全衛生総合研究所』で上席研究員を務める高橋正也氏。

 働く人の安全・衛生のための調査・研究に携わり、専攻は産業睡眠医学。働く人の睡眠問題を探ることで対策を提言。前身の研究機関を含め、平成2年から約23年にわたって研究に携わっている。
 高橋氏は準危険運転致死傷罪の創設に関わるメンバーだったという。

 その研究内容は総体として医学ではあるが、特定の患者を対象とはせず、治療のための研究は行なっていない。国や行政がより有効な施策を講じることが出来るよう、事故・事件のケースに対してどのような対策が必要かを提言するという。研究は多角的且つ客観的な見地から行なうよう、原則、複数人が携わっており、医師も研究メンバーに加わっているようだ。

 実際に法廷の審理で聴いてもらえば直に分かることだが、高橋氏の証言は科学的根拠と実験データに基づくもので、河野被告の弁護人ら3人を向こうにしても堂々たるものだった。

 この点、前回の裁判で弁護側の証人として出廷したSAS(睡眠時無呼吸症候群)に詳しいとされる愛媛大大学院教授の谷川武(公衆衛生学)などとは雲泥の差だったのだろう。

 何せ、この裁判で行なわれた証人尋問の後、弁護側はこの谷川武の証言をもとに新証拠を出すとしたのに対して、検察側は「谷川医師の証言は科学的根拠や実験結果に基づいておらず、独自の見解や個人的な解釈を述べたものであり、専門的意見とは言えない」として証拠調べから却下するよう意見を陳述した。

 結局、裁判では証拠調べとして採用されたようで、弁護側から谷川武の証言をもとにした証拠書類が朗読されたが、裁判所もアリバイ的にとりあえず証拠調べしましょうかと、こういうところが良くない。審理中、検察側から「異議あり」とされた弁護側の尋問も度々そのまま続けられるなど、あまりにも却下の事例が少な過ぎる。却下すべきは毅然と却下すべきだろう。

 だいたい睡眠時無呼吸症候群だからと言って、全ての患者が交通事故や運転に関わる事件を起こすわけはないし、睡眠時無呼吸症候群の患者の中には眠気を感じる間もなく、睡眠状態に陥るケースがあるにはあったとしても、それが同症候群に一概に見られる傾向ではない。

 決して慢性的な睡眠不足から寝不足や眠気を認識出来ないのが同症候群の症例ではないのだ。

 従って、この日の裁判でも証人からその旨が述べられたが、死亡者7名、重軽傷者38名を出した大惨事・関越道バス追突事件と睡眠時無呼吸症候群の直接的な因果関係はない。たとえ百歩譲って河野被告が同症候群の患者であったとしても。

 素人目にも被告や弁護側が主張する睡眠時無呼吸症候群が取って付けたような言い逃れであることは明らかである。
 午前11時に始まり、夕方5時くらいまで続く裁判は長時間に及ぶものだが、寝不足状態のまま早朝より群馬県へ向かった筆者らのほうが法廷で眠気も感じぬまま、瞬間的な居眠り状態に陥るくらいだ。

 車で関越道を通過、前橋地裁へ向かう最中、場所柄のせいだろうが、高速道路のサービスエリアでは人々が関越道バス追突事件を話題にしていた。それほどに世間的関心も高い。

 前橋地裁に出動していた群馬県警の然る警察官は「河野被告は長時間の裁判で眠くならないんだろうか? 眠気を感じぬまま居眠り状態に陥る症状を抱えているなら、是非、法廷でそれを実証してもらいたいもんだね」と言っていたが、まさしくその通り。

 河野被告のように重大事件を起こした当事者らが安易に睡眠時無呼吸症候群(SAS)を持病として持ち出すことで、全国に散在するSAS患者が最も迷惑を被る。河野被告と弁護側の主張はSAS患者に対する「差別」と「偏見」を助長するものだと言えよう。

 これはSASに限らず、多人数が死傷した自動車追突事件で度々引き合いに出されたりする「癲癇(てんかん)」も同様だと言える。そのうち老若男女を問わぬ流行病である「糖尿病」も事あるごとに凶悪事件の元凶として安易に持ち出されるようになるのではないか?

 実際、末期の糖尿病で死亡したことのみを大仰に騒ぎ立てては、中国人犯罪者の家族が自治体に対して賠償金を求め、死亡した中国人犯罪者の留置に関わった警察官を刑事告発するようなことが栃木県の宇都宮地裁(及び地検)で繰り広げられている。

 関越道バス追突事件は河野被告が居眠り運転をした事実を以って全てであり、河野被告が眠気を感じたとか、眠気を感じる間もなく居眠り状態に陥ったことが本来的な争点ではない。

 事実として河野被告が居眠り運転をしたがために大惨事が起きたのであり、裁判で問われるべきは量刑をいかにするかということである。

 素人目にも思うことだが、どうやら裁判所は本来在るべきでない争点を強引に創り出しているように思えてならない。

 被害者遺族で、妻の直美さん(当時44歳)を亡くした石川県能登町の山瀬哲夫さん(47歳)が「我々のことを何も考えていない。被告が眠ったから事故は起きた。罪を償う姿勢を見せてほしい」と激しく憤ったのは当然のことだろう。

 専門家として出廷した高橋氏は事件が起きた要因として、

1.(被告の)睡眠不足
2.長時間に及ぶ運転
3.明け方の走行

…の3点を挙げた。「これらの要因が重なり、追突事件が起きる可能性が高まった」として。関越道で起きた凄惨な事件を防止する手立てとして高橋氏は「睡眠を取ること。車の運転に不可欠な注意力と集中力を持続させるためには睡眠をとること」「6時間くらいは寝ておくべき」と結論付けた。

 高橋氏の研究機関では「模擬運転装置」を使った測定で運転中の眠気や運転能力を客観的且つ主観的にデータ化。運転能力の喪失は車線でのブレで明らかとなるし、スピードの変動にも顕著に表われる。いずれのデータも明け方に悪化のピークを迎えると言う。関越道バス追突事件が起きた時間帯そのままである。

 一方、弁護側は高橋氏が以前に作成に携わった論文から「慢性の睡眠不足に陥ると眠気の自覚もなくしてしまう」との一文を引用。これを「河野さん(被告)に当てはまらないか?」と尋問で投げかけた。高橋氏は「基本的には賛同。ただし、前後の状況により事情は変わる」と述べた。

弁護人:SASの影響がまったくないか?
高橋氏:今回のケース(関越道バス追突事件)に関してはそうだと思います。
弁護人:SASの影響があるとは考えられないか?
高橋氏:SASは慢性的な病気だが、関越道バス追突事件の場合は(被告が)運転前に寝ていない急性の問題と考えている。

弁護人:出発前の被告人の睡眠状況について把握しているか?
高橋氏:午前10時〜12時まで2時間程度。
弁護人:(出発までの)午後も眠れていたのでは?
高橋氏:携帯電話の発着信記録から、まとまって寝ていなかった。
弁護人:被告人は連続して覚醒した状態にあったのでは?
高橋氏:安全に足る睡眠をしていたとは思えない。

弁護人:(バスや車輌の)蛇行が始まると、それが事故に直結すると言えるか、また、前例はあるか?
高橋氏:多数御座います。鉄道で深夜に同時脳波を計った結果、ブレーキをかける場面でブレーキのかけ忘れや事故が非常に多いとのデータが出ている。
弁護人:被告は事故当時、バスの運転をしていたが、運転中の緊張状態で眠気は変わるのではないか?
高橋氏:あり得るとは思うが、短時間程度のこと。気合のみでも長時間は保てない。

 高橋氏は「客観的眠気」と「主観的眠気」が連動していたとするデータを基に、「客観的な眠気があったから主観的な眠気もあった」とし、「慢性的な睡眠不足で眠気を感じ難くなる。急性的な睡眠不足のほうが眠気を感じる」として、河野被告らの主張が虚偽であると見破った。研究家として関越道バス追突事件の背後関係を医学的・科学的に検証している。

弁護人:関越道バス追突事件はよくあるケースか?
高橋氏:前後の状況を考えると、よくあるケース。
弁護人:SASの人が急に眠りに陥るケースはあるか?
高橋氏:そういう意見も聞くには聞くが、どのくらいの規模なのか、きちんとした報告は受けていない

 最後の尋問の最中、高橋氏が答えた箇所が印象に残っている。

深夜の走行は誰もが多かれ少なかれ眠気を感じたりするもの。バスの運転手にせよ運送屋にせよ、プロのドライバーはコーヒーを飲んだり、タバコを吸ったり、眠気との戦いに務めている

 河野被告1人の問題ではない。誰もが眠気と戦いながらやっている。往生際悪く病気のせいにしたり、他人に責任転嫁することで罪を免れようとするな。

次回、第7回公判は平成25年11月5日(火曜日)午前10時30分より

河野被告を取り調べて調書を作成した警察官と検察官が証人出廷して尋問が行なわれます。
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