★動画ご紹介

関越道バス追突事件裁判(第10回公判)

http://www.youtube.com/watch?v=XTOt2OSdE4s&feature=youtu.be

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 冒頭から余談だが、普段から車を使っている方なら誰もがその利便性を享受しているであろう「高速道路」はナチス・ドイツの発案である。今や世界中でタブーとされ、忌み嫌われるナチスだが、ナチスの発明が世界に与えた影響は今や世界中どこの国にでもある高速道路一つとっても大きい。

 外国ではだだっ広く直線に伸びた高速道路が有事の際、軍機が離着陸する滑走路になることは知られているが、日本ではひたすら車社会の利便性を追求したものとなっている。

 そのため、眠気を防止するために敢えて緩やかなカーブの連続となったもので、上り坂と下り坂の緩やかなアップ・ダウンも然り、道路上に施されたスピードの出し過ぎ防止策もまた然りである。

 それらを踏まえた上で本稿をお伝えしたい。
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★道路上の構造と柵に問題なし!
この日も弁護側の卑劣な法廷戦術に検察側が異議申し立てを連発!

 平成25年11月26日(火曜日)、群馬県の前橋地裁にて関越道バス追突事件の第10回目となる公判が開かれた。当日、当法人の関係者ら6名が傍聴券の抽選に並び、うち4名が当たった。傍聴希望者は約80名で、約40席をめぐって競い合ったもの。

 この日の証人尋問で出廷したのは高速道路の構造に詳しい専門家。検察側からの出廷要請で関越道を管轄する『東日本高速道路』から技術環境部の水口カズユキ・技術企画課長が出廷したものだ。

 前橋地検の中川知三検事が同社の遠藤元・関東支社長に対し、ガードレールやコンクリート壁など高速道路の構造とバス追突事件の関連性を照会したところ、同支社長からの指示で水口課長が内容を取りまとめ、回答書を作成したものである。

 検察からの照会は支社長を通じ、証人出廷した水口課長が作成、その回答書が支社長に上げられ、前橋地検に回答が寄せられた次第である。
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画像:事件直後の防音壁(左)と現在、連結・修繕された防音壁(右)

 関越道でのバス追突事件直後の映像や画像を見てもらえば分かるが、ガードレールのすぐ横に、少し隙間を空けてコンクリート壁を土台とする防音壁があった。

 中国残留孤児2世の運転手・河野化山被告が運転するバスは最初、ガードレールにぶち当たり、直後に隙間から防音壁に衝突。車体の左側からバスを真っ二つに引き裂くように追突している。

 後に被害者・遺族らは「どういう運転をやったら、あんな突っ込み方になるのか…」と驚愕の思いを述べている。

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 検察側から始まった尋問に対し、水口課長はガードレールの役割について「車が衝突した際にショックを和らげる効果があります」と説明した。正式名称は「撓(たわ)み性防護柵」またの名を「車輌用保護柵」。衝突の際には変形することを前提としており、通学路など歩道と車道を隔てる物として日常的に見かける。歩行者を保護するという目的と思われがちだが、車輌に乗っている側を守るために設置されたのが本来的な目的のようだ。

 一方、真横にある防音壁は「剛性防護柵」というのが正式名称。ガードレールのように変形することで追突車輌のショックを和らげることを目的とはしておらず、変形することなく、追突車輌の阻止を目的としている。

 コンクリート壁の役割とは関越道バス事件のような追突が起きた時、高速道路の下に落下することを防ぐことにある。落下した場合、下に民家や通行人があれば二次災害に繋がってしまう。同じ柵でもガードレールとは明らかに意味合いが異なるのである。

 このガードレールと防音壁が隙間を開け、連結していない状態で設置されていたことについて水口課長は「昭和55年の関越道開通の直前に設置されたもので、当時の建設省の基準では連結は要求されていなかった。種別の異なる柵であり、連結は要求されなかった」と証言している。

 平成10年には異なる柵の連結を規定した改定新基準が定められたが、改定後も連結されなかったのは新基準で連結を規定したのは平成11年以降に申請または設置した柵に限定されたためである。それ以前に設置された柵に関しては新基準が適用されなかった。

 マスコミ報道では、「この隙間を放置したために凄惨な被害に繋がった」とする弁護側の主張が紹介されたりしているが、法律的に見て高速道路の管理会社には何らの責任は無い。責任があるとすれば、高速道路建設の当初からして柵の連結を指示していなかった国の責任であり、弁護側は機会を改めて国に責任を問うべきだろう。

 水口課長は法廷の証言台でガードレールの役割について主な4つの点を挙げている。

1.逸脱防止
2.乗員の安全性
3.誘導性能
4.飛散防止

 特に「3」に関しては衝突車輌がガードレールにぶつかった後、道路上の元の軌道に戻すことを目的としているという。

 検察側は関越道バス追突事件における衝撃の度合いについて水口課長に尋問した。水口課長は「設計上の想定を大幅に上回る大きな衝撃が加わったと考えられます」と証言。

 河野被告が事件当日、運転していた高速バスの重量は約15.7t。それに被告人と乗客45名の体重や荷物の重量が加わる。

 もし柵の連結をするとしたら、水口課長は方法として「ガードレールの端っこを延ばし、ボルトでコンクリート壁に固定するしかない」と述べた。

 検察側の尋問では、もし柵が連結されていたと仮定して、どうなったかを水口課長に問うた。

連結部分はボルトが外れ、破壊されていたと考えられます。連結していたとしても結果は同じだったでしょう。コンクリート壁(防音壁)に追突していたことに変わりはありません」(水口課長)

 対策として全てをコンクリート壁に変えてしまった場合はどうか?とする検察側の尋問に対し、水口課長は「設置基準にも整合性がなければなりません。突破することを防げても乗客への安全性は低下してしまいます」と証言。乗客への衝撃を考えた場合、軌道に戻った(跳ね返った)後の二次災害は甚大だと言う。

 連結された状態では被害は軽減されたか?との検察側の尋問に、水口課長は「追突の衝撃を和らげた可能性は低い」と述べている。

 午前中の審理は検察側の尋問のみで終了。反対尋問への準備に時間を要したのだろうか。弁護側からの反対尋問となる午後の審理まで1時間30分の昼休みを要している(通常は1時間)。

 弁護側からの尋問は3人いる河野被告の弁護人のうち、最年長の高坂隆信

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 余談ながら開廷前の地裁前での街頭演説中、高坂ほか天田昭夫古平弘樹の名前を悪い弁護士として連呼、さらには3人が所属する群馬中央法律事務所を連呼して糾弾したためか、地裁前にある『熊川次男総合法律事務所』の職員が2階のオフィスから窓を開け、耳を塞いで「うるさい!」というポーズをして見せた。同じ弁護士仲間を突き上げられたことで触発されたのだろうか。
 熊川次男は自民党などで衆議院議員を4期務めた地元の大物。どちらかと言うと左派系の群馬中央法律事務所とはスタンスの違いこそあれ、弁護士会に属する者同士での付き合いはあると思われる。

 高坂からの尋問は証人(水口課長)が力学や工学に長けているかという基本的な事柄から始まった。

 水口課長は大学では土木学部を専攻し、入社してからも一貫して構造力学等に携わって来た。

 尋問の最中、東名阪でバス運転手が意識を失い、ガードレールに衝突する事故に遭いながらも数百メートルを走行した後に停車。乗客に怪我人がなかったというケースに触れられたが、ここで検察側から「異議アリ!」の声がかかる。

 この日も検察側からの異議申し立ては多かった。計10回の審理を通して弁護側から異議が申し立てられることもあったが、数で言えば圧倒的に検察側からのものが多い。

東名阪の事故は本件には関係の無いことであり、本件に証拠として提出された事項でもない。それを元に証人に尋問するのは無理があります!」(検察側)

 高坂は性懲りも無く、今度は東北自動車道でバス運転手が心肺停止状態に陥り、こちらもガードレールにぶつかった後、数百メートルを走行して停車した事実に触れたが、検察側から再び異議アリ!

本件には関連がない。過去の事故・事件について訊いても意味がない」(検察側)

 高坂はこれらの事故を元にガードレールの機能について尋問を続けたが、検察側から3度目の異議の申し立て!

証人は当該事故について知らないので答えられない」(検察側)

 高坂は「証人が知っている範囲で構いません」としたが、裁判長(高山光明も良くない。検察側の異議申し立てを聞き入れるようで、弁護人に言わせ放題にする。これでは、いかに河野被告の虚言を裏付ける証拠が積まれようとも大甘な判決も予想される。この日も検察側の後ろに座った遺族からため息交じりの野次が飛び交った。傍聴席で聴いている無関係の者でさえ、弁護側の尋問に苛立つのだから、遺族らは尚更だろう。

証人・水口課長:当該の事故について詳細を知らないので答えられません。

弁護人・高坂:これらの事故では大きな被害に至らず…

 検察側から再三の異議申し立て!

何を以って大きな被害と言われているのか? 証人は知らないので尋問に意味はない」(検察側)

証人・水口課長:少なくとも大きな被害が出なかったくらいは知っています…。

弁護人・高坂:(関越道バス追突について)検察への回答書ではガードレールへの衝突速度を「不明」としていますね? 発生状況を精査していなかったのですか?

証人・水口課長:ニュースで伝えられたことは当社の管轄内のことであり、大体のことは把握しています。

弁護人・高坂:防音壁がバスの車体左側に食い込んだために乗客が死亡…

検察側から異議アリ!

死傷の原因は防音壁の食い込みだけではない」(検察側)

 ここでようやく裁判長も注意を促す。高坂は尋問内容を「死傷の一因」と改めた。

弁護人・高坂:本件でバスがどのくらいの速度・角度で衝突したのかを調べなかったのか?

証人・水口課長:私どものほうでは調べる方途も権限もありません。

 高坂は裁判資料の中からバスの追突の様子を描いた図面を法廷内のプロジェクターで映し出した。

検察側から異議!

「(追突の)入車角度を正確に測った図面ではない。それを元に検証することは誤導になるので、やめて頂きたい! 元々衝突の角度などは不明です」(検察側)

 裁判資料に描かれた図面とて実際の現場を絵に描いて表わしたもので、正確な角度や速度が記されているわけではない。
 水口課長が回答書で衝突速度を「不明」としたのは、検察からの書類に角度などが記されていなかったためだ。
 高坂は仮定の角度や速度を元に尋問を続けたが、まるで意味がない。

弁護人・高坂:ガードレールの端部は強度が相当に劣化しているのではないか?

証人・水口課長:連結化を基準に進めています。端部同士が連結していても起き得た衝撃です。

弁護人・高坂:連結されていれば(防音壁)への衝突は防げたのではないか?

証人・水口課長:仮定の尋問なので何とも言えません。

弁護人・高坂:衝突のみで言えば回避出来たのではないか?

証人・水口課長:避けられたかも知れないし、避けられなかったのかも知れません…。

 高坂はガードレールが凹んだ所を「第1衝突地点」として画像で示す。その先、コンクリート壁の部分の凹みが激しいことを示した。それを以って、「すると連結されていれば衝突は避けられたのではないか?」と強引にも結論付けた。

検察側から異議!

証人は画像を見ても分かりません! 明らかに誤導です!」(検察側)

 一見は尤もらしい高坂の主張だが、証人である水口課長は冷静に分析した結果を証言する。

画像に映っていたのは『残留変形』であり、バスを撤去し、凹みが戻った状態なので何とも言えません

 高坂は「工学的・力学的に正確に検証したい。大勢が死傷した事件であり、道路の整備によって惨劇が回避出来るなら、そうして頂きたいからだ」と述べているが、それなら高速道路の路面が下り坂だからスピードが急上昇したとか、上り坂だからスピードが急減したとか、道路の構造上の責任にするのではなく、速やかに被告が居眠り状態だったからこそスピードの上下が激しく、蛇行のような運転であったと認めるべきだろう。

弁護人・高坂:柵に関する会社側の改善状況は?

証人・水口課長:改善と言うか連結作業を前倒しで急いでいます。全国で約5,100箇所あるとされる柵の隙間に関しては国交省より改善の指示も出ています。ですが、防護柵のみで事故被害を防げるものではありません。

弁護人・高坂:国交省でも睡眠障害への対策を進めていることについて…

検察側から異議!

国が進めている対策について、証人が答えるべき内容ではない!」(検察側)

弁護人・高坂:ガードレールの端部を無くしたり、ポールを増やせばどうか?

検察側から異議!

弁護人の尋問はただの意見のごり押しです!」(検察側)

 まったく以って、国の役人が議論すべき問題を法廷で証人と弁護人が議論しても仕方がない。機会を改めて国に責任を問えと言うに尽きる。

 弁護側からの尋問が一旦終了。次に再び検察側が敢えて弁護側に聞かせるように、有り得ない尋問をして見せた。

検察側:万能な防護柵はありますか?

証人・水口課長:今ある防護柵はあらゆるケースを総合的に想定した上で、バランス的に最善の物を施しています。どこかを取れば、どこかが欠落します。万能な防護柵はありません。

 審理の終盤は検察側と弁護側が交互に簡潔ながら尋問。

弁護人・高坂:防音壁がなく、ガードレールのみだったとした場合、ガードレールで跳ね返されて防音壁に衝突しなかったのではないか?

証人・水口課長:一概に車線に戻ったとは言えません。高坂氏はガードレールがスピードを緩めるためのものと認識しているのかも知れませんが、必ずしもそうではありません。
衝突の瞬間、ブレーキをかけるなり、ハンドルの切り返しをしていれば、あそこまでの追突はしなかったのではないでしょうか。


 水口課長の最後の証言が全てを物語っているだろう。つまり最初にガードレールへの衝突の瞬間も河野被告は眠ったままで、咄嗟の急ブレーキや切り返しが出来なかったと言うに尽きる。

 証人尋問を終えた後は検察側からの要求で新たな証拠調べ。

 関越道バス追突事件が起きた平成24年4月29日の約2ヵ月前となる2月25日、河野被告が大型貨物自動車を運転。新宿を出発して首都高、中央自動車道、長野自動車道、上越信自動車道を通過した事実が証拠書類として提出された。しかも、いずれもの道路は当日、渋滞していたデータとともに提出されており、この状況下でもSAS(睡眠時無呼吸症候群)だと主張する河野被告は運転をやり遂げている。

 一方、弁護側からは当日、河野被告が運転した車輌のタコグラフと運転日報を証拠書類として提出した。

次回の審理は平成25年11月28日(木曜日)午前11時より

弁護側が出廷要請した証人への尋問と、河野化山への被告人質問が行なわれる予定


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