★「刺す」「刺せ!」の命令

証人(共犯者)が示した今井アレックス被告との主従関係?

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 平成26年2月20日(木曜日)、その前日の19日に行なわれた初公判に続き、吉祥寺・強盗殺人事件の第2回目となる公判が行なわれた。

 第2回目は前回に引き続き、被告人・今井アレックス(少年A)の共犯者であり、証人として出廷した少年Bこと飯塚滉暉(いいづか・こうき)に対する裁判官・裁判員からの尋問が行なわれた。

 この裁判は3名の裁判官による合議制の他、計8名の裁判員によって裁かれている。被告人尋問は裁判官からも行なわれた。

 特定されるのを回避するため、敢えて裁判員のおおよその年齢や性別は記さず、それぞれ裁判員A、裁判員Bといった具合に記す。

裁判員A:SEIYUの国立店に立ち寄ろうと言い出したのはどちらですか?
少年Bこと飯塚:被告人(少年Aこと今井アレックス)のほうです。
裁判員A:凶器に使用した刃物は2人で選んだのですか?
飯塚:2人で(刃物販売の)コーナーへ行き、自分がナイフを手にした。その時に万引きすることを決めた。

裁判員B:刺す、殺すといった提案はどちらから?
飯塚:被告人が。
裁判員B:人が死ぬとの認識は無かったのですか?
飯塚:まさか刺すとは考えていませんでした。
裁判員B:刺すと死ぬと認識出来ますよね?
飯塚:俺が刺すから、お前も刺せと言われていました。被告人が刺したので自分も刺しました。

裁判員C:犯行直後の場面について訊きます。あなた(飯塚)は一度は逃げたのに、(被害者の)バッグを取りに戻ったのは何故ですか?
飯塚:被告人に言われていたのを思い出して…。
裁判員C:戻った時の状況はどうでしたか?
飯塚:戻ると山田(亜理沙)さんが倒れていました。
裁判員C:うずくまっていたのですか?
飯塚:座り込んだように倒れていました。袖のところにバッグがあったのでバッグを盗りました。

 バッグは右側、少年Bこと飯塚から見て被害者の左側にあったと言う。

裁判員C:それ以外の物には触れましたか?
飯塚:何も盗っていません。
裁判員C:遺留品の腕時計が破損された状態で事件現場の付近に散乱していたそうですが?
飯塚:自分はバッグの中身は出していません。
裁判員C:既にA君に渡していたのですか?
飯塚:はい。
裁判員C:一切触っていないのですか?
飯塚:(バッグの中にあった)メモ帳を受け取りました。

 後に2人はメモ帳に書かれた4桁の数字がキャッシュカードの暗証番号であると思い、コンビニのATMから現金を引き出そうとするが、暗証番号ではなかったようで引き出しには成功していない。

 次に3名の裁判官の1人・岸田裁判官(男性)が尋問する。

岸田判事:被害者の山田さんに近付いた時、被告人が先に歩いていましたか?
飯塚:はい。
岸田判事:歩いて近付いたのですか?
飯塚:早歩きです。
岸田判事:その時に被告人がよろめいたり、後ずさりするようなことはありましたか?
飯塚:なかったと思います。
岸田判事:被告人に対して腹立たしいとか、何か思うようなところはありますか?
飯塚:そうは思いません。自分も刺しているので…。
岸田判事:ATMの操作はどちらが行ないましたか?
飯塚:被告人です。
岸田判事:あなたは操作しなかったのですか?
飯塚:操作したことが無かったので…。
岸田判事:あなたと被告人の力関係はどうでしたか?
飯塚:上下関係と言えるかも知れません。
岸田判事:被告人からの指示や提案を断ることは出来なかったですか?
飯塚:難しかった…。
岸田判事:遊びなどで主導権はどちらにありましたか?
飯塚:被告人です。
岸田判事:あなたのほうが被告人に付いて行くことが多かった?
飯塚:はい。
岸田判事:ネットカフェにいる時、事件についての話をしましたか?
飯塚:あまりなかったです。

 次に林裁判官(女性)からの尋問。

林判事:被害者を刺す時の気持ちはどうでしたか?
飯塚:刺せと言われていたので、刺さなければ…と思いました。
林判事:怖いという気持ちはありませんでしたか?
飯塚:無かったです。
林判事:バッグを取りに戻った時の気持ちは?
飯塚:嫌だけど取りに行きました。
林判事:通行人もいてリスクが高いのにどうして?
飯塚:自分がバッグを取るように言われていたので…。
林判事:どうして被告人に従ったのか?
飯塚:自分の意見を言って関係が悪くなるのを恐れました。
林判事:雰囲気が悪くなるのを恐れたのですか?
飯塚:そうです。
林判事:日野市内のアパートにはいつまでも居られないと思いましたか?
飯塚:はい。自分の部屋ではありませんので。
林判事:帰ろうと思えば自宅に帰れたのではないですか?
飯塚:(被告人らに何も言わずに)勝手に帰るのも悪いので…。

 最後に倉澤裁判長からの尋問。

裁判長:犯行に及ぶに際して、目標とする金額などはありましたか?
飯塚:決まっていなかったです。
裁判長:どうして被告人に従わなければならないと思いましたか?
飯塚:(2人の行動圏が)自分の地元ではなかったし、その時(犯行時)はやるしかないと。

 少年Bこと飯塚に対する尋問は午前中の比較的早い段階に終わった。これで飯塚がこの法廷に出廷することはもう無いだろう。続いて被告人である少年Aこと今井アレックスへの尋問が行なわれた。

☆ルーマニア人凶悪犯による名演・熱演!?

 今井被告への尋問は作本弁護人(女性)が行なった。

弁護人:この法廷に亡くなられた山田亜理沙さんのご家族が来られています。話せることを述べて下さい。

 これまで「はい」とか短い受け答えしか聞けなかった今井アレックスが実際にどの程度の日本語を駆使するのか、それが聞きたかった。13歳でルーマニアから来日。事件当時は17歳で現在は18歳。たかだか滞日歴4〜5年である。その今井被告が法廷で口を開いた。

「私がやったことを振り返って! もし! 私が家族だったら被告である私に対してどう思うか!? 私はどうして、そういうことをやってしまったのか!? 自分で自分に問いかけ…答えを探していました! 見つかりませんでした!

 私は…私のやったことがとても悔しい!!

 私がやったことを背負っていきます!」

 …聞いた瞬間、「コイツ、役者だな」と思った。

 今井被告の声は、共犯者・飯塚のくぐもった野暮ったい声とは異なり、よく通る。ハキハキと綺麗な声をしている。もし、今井被告が俳優か声優の道を選んでいれば、それなりの存在になったのではないかと思うほどだ。

 時折、芝居がかったようなオーバーな語調や涙ぐんだ喋り口調は、それを見る者、聴く者を惹きつける。外国人に往々にして見られる傾向だが、日本人では考えられないオーバーなアクションを見せたりする。その場その場で全力投球し、日本人の想像を絶するアグレッシブさと言えるかも知れない。

 女を口説く時、人を脅す時、友情を示す時、感謝・感激を示す時など、その場の状況に応じてこの男はこうした役者ぶりを発揮してきたのだろうか?

 それにしても公判を通じ、大部分でルーマニア語の通訳を介さずにやり取りした今井被告の日本語の達者ぶりには驚かされる。

 13歳という子供の頃に来日したこともあるのだろうが、それにしても母国で日本人の両親に育てられたわけではあるまいし、それまで日本語はおろか日本のことは何も知らなかった外国人が僅か4〜5年でここまで上達するものだろうか?

 元々の頭の良さや個々人の資質も関係しているのだろうが、もしかすると今井被告の日本語能力の高さは、今井被告の半生を物語っているのかも知れない。

 飽くまでも男に限ってのことだが、外国人が日本語を習得するに手っ取り早い方法は日本人女性にベッドの上で教えてもらうことだという。この逆に日本人の男が外国語を習得する場合もまた然り。

 日本語学校で学習もしたのだろう。飽くまでも推測だが、今井被告の驚異的な日本語能力の上達は今井被告がベッドの上で抱いた日本人女性の数を物語っているのかも知れない。

 当然のこととして日本語を習得している日本人であっても役者でもない限り、あのような表現はなかなか駆使出来るものではない。

 ともすれば涙し、嗚咽して号泣するのではないかと思われた今井被告だが、弁護人からの尋問で「お尋ねします」と言われた途端、その「本性」が垣間見えた。

 それまで泣き出す寸前かと思われた態度を一転させ、「はい」と平常通りの返答をした。

 これだから外国人連中は信用ならない。
★卑劣なすり替え!

「法廷バトル・ロワイアル」で外国人犯罪者の体質を如何なく発揮!

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 今井アレックス被告に対する弁護側からの尋問では、日野市内のアパートでの「集団生活」の話から入っていた。

 吉祥寺・強殺事件の前日となる2月27日に、もう皆で暮らせないことを告げられた今井被告サイドは「アパートを借りるための大金が必要だと思った」ことを本当の犯行動機として挙げていたが、今井被告は少年B(飯塚)とそのことについて何も話し合っていない。

 同居していたR子とK子にはその旨を伝えたようだが、肝心のB(飯塚)については「多分、2人(R子とK子)から聞いているんじゃないか」という程度。

 それよりもBこと飯塚とは強盗の計画が先走っていたようだ。尤も、これは今井被告の供述通りならという前提で、最初から共同生活は続けられれば良いな〜という程度で、目先の「遊ぶカネ欲しさ」が犯行動機であったことは明らかである。今井被告にとっての「本当の家族」や「安心出来る場所」などは後付けに過ぎない。

 日野のアパートを出て2人で歩いている道中、今井被告は強盗の計画を持ち出す。この時、飯塚から「やめよう」などの反対は「ありませんでした」と、今井被告は尋問の中で言う。

「刺したほうが確実」

 これを言い出したのは何と!…「B君(飯塚)のほう」なのだと言う。尋問で「マズイと思った」とする今井被告だが、まるで、これまで伝えられていた話とは正反対である。

 実行性のない段階での謀議の場合、確かに色んな意見が出ることもあるだろう。共犯者・飯塚も刺したほうが確実とする旨を口にしたのかも知れないが、どの段階で言ったのかで意味合いが異なる。

 ナイフを用いた犯行であるにせよ、「脅す」にとどめるか、「刺すか」といったことは話し合われていない。

 なお、今井被告は「奪った現金は2人で半々の取り分にしようと思った」と言うが、そのことを飯塚には「伝えなかった」と言う。

 犯行の直前、2人はネットカフェの同じ個室に入ったが、犯行の予定時刻(午前1時)が近付くにつれ今井被告は法廷での主張によれば「緊張が高まっていった」ようだ。今井被告がそのことを飯塚に伝えると、飯塚は「俺もだよ」と答えたと言う。

 ネットカフェの個室で寝転がりながら今井被告は「早く皆のところへ帰りたい」と思いながら、飯塚が何を考えているのか分からず、「不安に駆られていった」と尋問で述べている。

 ネットカフェを出た後、街中で人を物色しながら今井被告は「脅すだけか、刺すか?」を飯塚に尋ねると、飯塚が「刺していこう」と言ったというのだ。

 「反対はしなかったのですか?」という弁護人からの尋問に、「B君(飯塚)と揉めたくなかったので反対は出来ませんでした」と話す。

 …飯塚の供述とは180度異なって真っ向から食い違う。

 つまり今井被告の主張としては「強盗は提案したが、ナイフで脅すのみで刺すことは考えていなかったし、共犯者のBには命令もしていない。むしろBのほうが『刺そう』と言った」とするものだ。

 さらに被害者・山田亜理沙さんを見つける直前、2人組の男性を見た飯塚が「2人だとその分、多く奪えるので狙おう」と言ったが、今井被告は相手がガタイも良かったこともあり「私は怖かった」として自身を弱々しく印象付けようとしている。

 さらに山田さんを襲う間際、飯塚のほうが先を早足で歩き、飯塚が「目で『やれ!』と合図した」とまで言うのだ。

 要するに、今井被告は自身の行ない全てを共犯者である飯塚の所業であるとすり替えている。

 刺した瞬間、「パニックになって『やっちゃった!』と思って、その場から逃げ出した」「その時にBの右肩と私の右肩がぶつかりました」とまで言う。

 2人しかいないうち、主犯格である者が主犯格である自らの行ないを、もう1人しかいない共犯者に擦り付けた構図である。

 山田さんを刺した犯行現場から走り去ろうとした2人だが、バッグを奪っていないことに気づいた飯塚がバッグを奪いに行った。

 「B君はバッグの中を見ながら財布を渡して来ました」と今井被告は言う。飯塚がメモ帳を見せながら「暗証番号が書いているかも知れない、と言った」とも。

 被害者の所持品には一切触れていないとした飯塚との主張とは真っ向からぶつかり合う。
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 次に検察側からの尋問に移るが、今井被告への「突っ込みどころ」が満載である。

 「具体的にどういうナイフの使い方をして相手を脅そうとしていたのか?」「ナイフでどのように脅せば相手を傷つけずに済むと考えたのか?」とする尋問に対し、今井被告はこれまで主張してきたイジメの体験談を持ち出す。

 「高校時代に(自分が)恐喝された時、殴られて血を流したことがあり、他人にそのような思いをさえたくなかった」と述べた今井被告だが、検察側から「抵抗されたりした場合はナイフを使うという選択肢があったわけですよね?」「そのため1人1本づつナイフを手にする話になっていたわけですよね?」と突っ込まれる。

 「…私はナイフを使うのが嫌でした」(今井被告)と述べるのが精一杯。

 SEIYUの売り場でナイフを選んでいる最中、今井被告は目の前にあったナイフを「これが良いんじゃないか?」と言って飯塚に手渡したと言う。まるで、どのナイフにするか、ナイフをどのように使うかを飯塚が主導して決定したかのような物言いだ。

 後にネットカフェの個室でナイフを手にした今井被告は腕の痒い部分をナイフで軽く擦ったが、少し手が切れてしまった、と言う。

 「ちょっと擦っただけで切れるようなナイフを刺せば余計に危ないと思いませんか?」とする検察側の突っ込みに言葉を失う今井被告。

検察:被害者・山田さんの背後に付いてから何メートルくらい追いかけましたか? その状況でB少年のほうが前に行ってたんですよね? あなたは少年Bに追い着こうと走ったんですか?
今井被告:Bが歩幅を遅め、私が歩幅を大きくしました。
検察:振り返って少年Bのほうを見たとして、それで「やれ」という合図だと分かるんですか? 刺す瞬間に少年Bが声をかけましたか?

 冒頭での意見陳述こそ鮮やかな滑り出しを見せた今井被告かも知れないが、状況説明でいとも簡単に矛盾点を突かれてしまう。

検察:利き腕はどちらですか?
今井:左利きです。

 今井は利き腕で刺している。共犯者である少年Bこと飯塚は自身の公判で「利き腕ではない手で刺したので殺意は無かった」と主張していたが、その主張に沿えば、今井こそ明らかな殺意で以って加害行為に及んだと言える。

検察:ナイフを押すように刺したと言いますが、どういう仕草ですか?

 「仕草」という表現が今井被告には分からなかったのだろうか。ルーマニア語の通訳人に通訳するように要請した。何やら都合の悪過ぎることを尋問されれば、通訳人の通訳を介して時間稼ぎをしたように思えてならない。

 「押すような形ですが、どちら足が出たか定かでないので再現は出来ません」とした今井被告だったが、検察側からの要請により、左手に持ったナイフを押し出す仕草を法廷内で再現して見せた。

検察:刺さった瞬間、あなたの身体が山田さんの身体のどこかに当たりましたか?
今井:小指が…。
検察:殺意を認定されたB少年でさえ5センチくらい刺しただけで「ナイフが曲がったような」と述べていましたが、あなたの場合はスーっと入ったわけですか?
今井:あまり意識はしていませんでした。
検察:パニックとはどのような? 犯行直後に少年Bがバッグを奪っていなかったことに気づき、Bにバッグを取りに行くように言っていますよね?
今井:最初からBがバッグを盗る役目になっていたので…。
検察:バッグのことだけはパニック状態でも覚えていたわけですか? あなたが山田さんのバッグから物を取り出していますよね?
今井:化粧ポーチなどが入っていました。
↑(※)尋問への陳述がウソであることを自白した瞬間
検察:山田さんの手帳に書かれていた数字から暗証番号を割り出し、カードで現金を引き出そうとしていますよね?
今井:はい。
検察:一体どこでパニックになったんですか?
今井:…パニックになって走って逃げました。
検察:犯行直後、あなた、どういう交通手段で逃げようとしたか覚えていますか?
今井:どういう意味ですか?
検察:タクシーに乗ってバックシートに寝転び、外から頭が見えないようにしていましたね?
今井:はい。
検察:少年Bに対して、「ナイフで刺せば確実に(お金を)取れる」と言ったと警察に供述していますね?

 ここで今井被告は再び通訳人によるルーマニア語での通訳を要請している。やはり都合の悪過ぎるところを突っ込まれると、通訳で時間稼ぎしているようだ。それまで流暢な日本語を駆使しながら都合が悪くなるや日本語ワッカリマセ〜ンとは外国人犯罪者に往々にして見られる手口である。

今井:覚えていません。
検察:山田さんを襲った際、少年Bが追い越して自分より先に行った、ということを警察に供述していませんね?
今井:どう質問されて、どう答えたか覚えていません。
検察:警察や検察の取り調べ段階で「アパートを借りたいために強盗をした」とは供述していませんね?
今井:覚えていません。
検察:勾留中、取り調べを拒否したことがありましたね?
今井:…覚えていません。
検察:亡くなられた山田さんのご家族のためにも事実を明らかにしようとは思いませんか?
今井:覚えていません。

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 検察からの鋭い矢継ぎ早の尋問に、見当違いな答えまでした今井被告。取り調べをしたか否かという事実くらいは覚えていそうなのに、有ったのか無かったのかさえ覚えていないと答えた点を検察側から追及されていた。
 皆で住むためのアパートを借りるために強盗を計画した、という「本当の動機」が単なる後付けでウソであったことは、この尋問で立証されたも同然である。

検察:ナイフは脅すためだけに用意したのですか?
今井:はい。
検察:どうやって脅すつもりでしたか?
今井:考えていませんでした。
検察:言葉で脅す、ナイフで脅す、あるいは考えていなかった?
今井:…はい。
検察:大金とは数千円か万単位ですか?
今井:まとまった現金が必要だと思いましたが、考えてはいませんでした。
検察:アパートを借りるのに、どのくらいの現金が必要だと考えましたか?
今井:分かりません。
検察:見当もつきませんか?
今井:…。
検察:ネットカフェなら1時間いくらとか料金がありますが、それと比べれば、まさか数千円でアパートが借りられるとは思っていなかったわけでしょう?
今井:…はい。
検察:奪ったお金は少年Bと半々にすると考えていたわけですよね?

 ここで今井被告は通訳人に三度目となるルーマニア語への通訳を要請。難解な尋問があったわけではあるまいし、やはり時間稼ぎのために通訳を要請したとしか思えない。

検察:(分け前が)半々なら、まとまった金額ではありませんね? アパートで一緒に住むための資金にするなら半々にする必要もないのでは?
今井:…一旦お金を分けて、アパートを借りる時にお金を出し合えば良いと思っていました。

 実に苦しい弁明である。「被害者の山田亜理沙さんが大金を持っているように見えたのですか?」とする検察からの尋問には今井被告もどう切り返そうか、大いに躊躇ったはずである。

 ここで検察側より、被害者参加制度を利用して裁判に参加している被害者遺族の代理人である弁護士から、「犯行計画について尋問したい」との申し立てが行なわれた。

被害者遺族の代理として清水弁護士(※被告側ではない)より

清水弁護士:犯行に際して、「刺す」「刺せ」の話をしたのは?
今井:B君が刺していこう…と。
清水弁護士:少年Bと揉めたくなかったので受け流したと言っていますよね? その一方であなたは高校時代に自分が恐喝の被害に遭い、暴行を受けて流血した記憶を持ち出しています。しかし、現実には被害者を刺しているわけですよね? 他人を傷つけたくないなら少年Bに対して「やめよう」「やめる」と言えたはずでは?
今井:…
清水弁護士:アパートを借りるための大金が必要だと思ったから犯行に及んだわけですか?
今井:大切な友人だから…
清水弁護士:刺して逃げ切れると考えていたのですか?
今井:…考えていませんでした。
清水弁護士:逃げ切れるという自信がなければ犯行に及ぶ意味もないのでは?
今井:…私はパニック状態でした。
清水弁護士:亜理沙さんを刺して重大な結果になっているわけですが、本当に皆との生活を考えていれば、こんなことはしませんよね? 皆との生活など考えていなかったのでは? 早く皆の元へ帰りたいならバッグなど奪わずに放置していますよね? あなたが少年Bに対して「取りに行け」と指示していますよね?

 被害者遺族の代理人である清水弁護士の指摘通りである。本当に皆との共同生活が大事で、それを志していたと言うなら、まず真っ当な手段でそれを実現出来るように努めなければならない。手っ取り早く強盗などの犯罪で大金を得ることが出来たとしても、その結果、長期間にわたる勾留・服役で皆から引き離されるようでは元も子もない。
 今井被告にとってはアパートを借りるための資金を得ようと強盗殺人に及んだのではなく、単に目先の遊ぶカネ欲しさであったことを余計に裏付ける結果となってしまった。無駄な悪足掻きである。
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 次に法廷での審理は裁判官・裁判員による被告人尋問へと移った。

 今井アレックス被告は以前、共犯者・少年Bこと飯塚と似たような仕事に就いていた。土木工事関係のようだが、1ヵ月くらいしか続いていない。

 3名の裁判官のほか、8名いる裁判員のうち、最年長と思しき裁判員が今井被告に尋問した。歳の頃、60代〜70代といったところか。老若男女を問わず、幅広い年齢層が無作為に選ばれているが、誰もが裁判員に選出された以上は相応の認識と使命感、責任感に基づいて担っているようだ。

裁判員(男性):被告人は3〜4年前に日本へ来ていますが、あなたにとって日本は良い国ですか? 日本人をどう思っていますか?
今井:日本のことは何も知らなかったのですが、この国は大好きだと思いました。何故こうなってしまったのか、自分でも分かりません。
裁判員:残念です。

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裁判員:犯行は仕方がなかったことですか?
今井:私がもっと考えれば、このようなことにはなりませんでした。ごめんなさい…!
裁判員:人を傷つけたくないことと、ナイフを持つことは矛盾しませんか?
今井:脅すだけなら傷つけずに済むと…。
裁判員:パニック状態になる前に脅すことにとどめられたのでは…?
今井:緊張で冷静に考えられなくて…。
裁判員:バッグを奪うのはB君の役目だったのですよね? B君はあなたが「刺せ」と言ったと言っていますよ?
今井:B君…どうして!? …そんなことを…!?

 今井被告の喋り口調は完全に涙声になっていた。特に「B君どうして?」と言ったくだりはドラマの台本仕立てのようだった。自らを犯行に誘われ、刺すことを命じられた「ある種の被害者」にすり替えようとする巧妙さである。
次に尋問は裁判官の岸田判事より。

岸田判事:バッグを奪う役割が少年Bだというのは、いつ決まったのですか?
今井:前日の27日です。…最初に私が持ちかけた時に。
判事:少年Bに「やめよう」と提案しなかったのですか?
今井:提案はしませんでしたが、「緊張している」とは言いました。

 今井被告の回答は裁判員からの尋問に続いて、まだ涙声。少し「芝居」を長引かせる必要があると思ったのか?
 続いて同じく裁判官の林判事。

林判事:少年Bが刺す瞬間を見ましたか?
今井:…見ませんでした。

 今井被告はこの段になっても、傍聴人にもハッキリと分かるように声を震わせる「演技」をして見せた。実に芸が細かい。
 今井被告の主張を要約すると、「脅すという話を持ちかけた」が、刺すということは言っていない、むしろ少年B(飯塚)が言い出したとするものだ。その割には「抵抗されないようにはどうするか?」「抵抗された場合はどうするつもりだったのか?」という点を追及されると何も答えられない。てんで見当違いな回答をするばかり。

 事件について話したが、取り調べを拒否したという事実が有ったのか無かったのかさえも「覚えていません」とする今井被告。このような被告人の言うことを誰が信用出来ると言うのだろうか?

 また、今井被告は法廷での尋問で、しきりに「緊張していた」「緊張が高まった」「パニックになった」「冷静に考えられなくなっていた」とする主張を繰り返したが、国家によって敵を殺すことを強いられた戦争ではあるまいし、そんなに緊張していたのなら犯行をやめれば良かったのである。

 誰も被告らに対して、そんなことをやってくれとも望んでいないし、誰が命令したわけでもない。