訪問ありがとうございます。ポテ子です。
学士入学体験記を80話にまとめました。
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勉強の合間に読んでみてください。

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大学3年の11月、この日はよく晴れていた。
午後、ポテ子は所用のため東大構内にいた。

青く澄んだ空はどこまでも美しく、鮮やかに紅葉したイチョウの葉は、誰の目にも鋭い輝きを放っていた。
ポテ子は深く息を吸い、ゆっくりと吐き出す。

気持ちがいい。
自然と笑みが浮かぶ。

 黄色く色づいたイチョウの葉は風に軽く、落ち葉があちこちで遊び舞っている。そのあまりにも楽しげな様子に誘われ、ポテ子は構内を散策してみることにした。

 安田講堂を背にして、正門へとゆっくり歩く。このまっすぐにのびる道を軸にして、法文1号館と法文2号館は建てられている。この2つの建物は外観としてよく似ており、慣れない人はアーチを出た時にちょっとした方向音痴になるだろう。ポテ子は左折して法文2号館へと歩みを進める。校舎のアーチ下はやや薄暗く、音が不鮮明なかたちで耳に届く。現実から切り離されたような、不思議な雰囲気を感じさせる空間である。ポテ子は立派なつくりの自動ドアに目をひかれた。

すごい、大きな自動ドア…。

 ポテ子は、ドア越しに建物の中を凝視した。

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 建物の中には大きな緑色の掲示板が見える。もともとポテ子は掲示板が好きである。掲示板はいつもポテ子に期待のようなものを抱かせる。
何やら白い紙が張り出されていた。他の掲示物と比べると、少しばかり大きい紙である。

あれは何なのだろう。

 ポテ子はためらいもせず建物の中に入っていく。そこでそのまま白い紙に目がくぎ付けになった。

 学士入学内定者発表と書かれたその紙は、どうやら何かの合格発表のようだ。哲学、倫理学、現代文芸。専攻名が縦に書かれ、その右隣に4ケタの番号が並ぶ。ポテ子は上から順に読んでいく。あまり番号は多くない。
 ふと、美学芸術学の文字に目がとまる。1人受かっている…。ポテ子は、美学芸術学の横に書かれた受験番号を眺めながら、その顔も知らない誰かを想像してみる。もしかしたら、私も美学が学べるかもしれない。
学士入学、それがなんなのかわからなかったが、ともかく「これだ!」とポテ子は直感した。こうしてはいられない、何かしなくては。ポテ子は、早足で校舎を後にした。振り返ってみると、これが受験の始まりだった。