2017年06月29日

慈悲深き無慈悲

忖度しないAIが人事権を握る時代


 AI(人工知能)は人間の気持ちなど考えない。ただ結論を下すだけで理由は言わない。プロセスは人間にも理解できない。そして責任も取らない。

 AIは優秀なんだろうけど何だか信用できないと感じている人の理由はこういうところじゃなかろうか。

 人間の気持ちを汲み取るAIなんてのも研究中だそうだが、「汲み取るように作ってあります」と言われたところで「わざとらしい」としか思えないだろう。「忖度するAI」なんてのも逆に信用できない気がする。

 現在のAI研究の最前線では「黒魔術的」な状況が生まれつつあるという。すなわち、パラメーターを調節してうまくいっても、なぜそれで性能が上がったのか説明できない。しかし確実に性能は向上した。だから次もそれをやっていく。また性能が上がる。でも説明はできない・・・・・・

 そのためにAIは開発者自身にも分からないブラックボックスの部分が増えていき、性能が高まるに従ってますますよく分からない存在になっていくのだという。

 そりゃあ緊急停止装置「切るスイッチ」ならぬ「キルスイッチ」(Kill Switch)を付けようなんてことになるわな。

 ただ、そんなAIがどんな結論を出してくるのかは気になる。
 一切の人間的なしがらみのない判断とはどんなものなのか?
 それが人間に対する評価に用いられたとき、AIは人間をどう見るのか?

 これまで人を判断するのは(生物学的には同じ知性を持つとされる)人の仕事だった。それがAIに代替されていくとしたら。
 人間は史上初めて、自らと似た知性を持ちながら、自らには理解できない知性に判断されることを経験する。

 就職活動や面接についての悲喜こもごもはネットでも語り草だ。無意味な圧迫面接がある一方で、企業はいかに金の卵を掴むか腐心する。
 そうした作業をAIが肩代わりすることに抵抗を感じる人事担当者や就活生はいるだろう。しかし「人間よりも公平な判断をしてくれる」として喜んで受け入れる人もいるだろう。

 面接の仕方も変わるかもしれない。人の面接官の横にカメラを置き、AIに表情を読み取らせることもできるだろう。あるいはその人の資質に合わせた質問事項を面接官に提示するかもしれない。
 カメラ自体は小型化できるわけだから、ひょっとするとすでに盗撮めいた形でどこかの企業が行っているかもしれない。

 勤務評定さえAIが判断する時代が来そうだ。



 ちなみに、うちの会社の社長や専務もついに「AIやな」、とか言い出した。また余計なことを、という雰囲気になったが次の瞬間、「人工頭脳」と言っていたのでまだ大丈夫だと思う。



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2017年06月28日

鈴さんとの生活・6

 鈴さんの調節を依頼するため、奈良の職人さん(仮称)のもとへ来た私。


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 意匠を確かめる職人さん。


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 職人さんの見立てでは、この中央の部品、あとから修理された形跡があるとのこと。本来はこの飾りが全体にあったはずが何かの理由で剥がれ落ち、鋲で止め直しているらしい。
 確かにこの部分は手で持つところではあるし、一番摩耗するところだ。


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 仏具屋さんで見た新品も、中央部分の飾りが鈴さんとは異なる。おそらく元はこうだったのだろう。

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 構造を確かめる職人さん。分解できないか探っているところ。


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 舌の調節のためには、たこ糸では弱い、とのこと。切れたひもの写真を見せながら、大量のひものストックの中から適切な種類を選ぶ。


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 そしてあっという間に完了!


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 こちらが私の直したもの。舌の位置が上がっているのが分かる。


 これで鈴さんも元通り!



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2017年06月27日

鈴さんとの生活・5

 専用の入れ物を作って「これでいつでも一緒にいられる!」と意気の上がる私。

 さっそく、会社へ行くにもかばんに入れて持っていくことにした。
 とはいえ仕事中は鈴さんを近くに置いておくわけにもいかないので、かばんに入れたままロッカーの中で待機してもらうことに。

 会社の中で何か起こったらどうしよう・・・・・・

 期待と不安に胸を膨らませながら勤務するも、特に何かが起きることはなかった。
 まあ、怪異というものは待ち受けているときには来ないものだ。気長に待つとしよう。

 しかし、鈴さんを連れ歩くこと数日。起こったのは怪異ではなかった。

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 鈴さんの舌が落ちた。


 発見したときはさすがに蒼白になった。しかし予感がなかったわけではなかった。
 写真を見ても分かるように、舌を吊り下げていたひもが茶色に変色し、かなり古びている。こんな状態で連れ歩いて大丈夫かと心配ではあった。

 それが現実になったのである。

 弱った。

 鈴さんが機嫌を損ねたらどうしよう・・・・・・

 そもそもこれは中山先生から借りているもの。壊したとあっては申し訳がたたない。
 ここはなんとしても修理しなければ! 鈴さんのためにも!

 さっそく近くのコーナンへ材料を買いに走った。

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 たこ糸を購入。


 しかし鈴さんの中は狭く、指が入らない。鼻毛切り用のはさみをピンセット代わりにして糸を通し、何とかつなぎ直すことができた。

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 でも下すぎる!


 美しい音は戻ったのでひとまず大丈夫だが、どうにも不恰好である。もう少し何とかならんもんか。
 そこで修理してもらえそうな人を探すことにした。街の修理屋さん的なサービスも考えたが、ほとんどが電化製品を対象にしている。曰くつきの鈴を持ち込むのは不安でもある。

 人づてに当たった結果、奈良の方にやってくれそうな人を見つけることができた。
 その方は職人というわけではないのだが、趣味の範囲でいろいろな古いものを手直ししているのだとか。土器の復元や、和綴じの本の補修などの経験があるという(便宜上、尊敬をこめて「職人さん」と呼ぼう)。

 それに比べれば、舌の長さの調節なんて簡単に違いない。とはいえ職人さんの予定もあるのですぐには持ち込めなかった。

 そして1週間ほど待ったある土曜日、休日出勤の帰り道に奈良へと向かったのである。


(続く)



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東野明
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