すちゃらかな日常松岡美樹さんのところで、匿名性について議論がもりあがっている。
 
私の場合は松岡さんのところの話とは多少理由がずれているかもしれない。
 
まず、完全に身元を隠したかったから。友人でこのブログを知っている人は数少ない。といっても、本来おしゃべりなのでつい漏らしてしまったが、最初の予定では誰にも言うつもりはなかった。
 
人間、この年まで生きているといろいろなしがらみがある。他の人の心の中で作り上げられたイメージがある。仕事上の関係もある。つまり、公私ともに多少のベールを被って生活しているということだ。
 
何でも開けっぴろげに言っているようで、結構これでも気を遣い、「これをいっちゃあおしまいだよ」という時限爆弾を踏まないか、ひやひやしながら綱渡りのように言葉をおそるおそる出している。さあ、これで満願か、もってけ泥棒。なんて、もうどうなっても良いけど、これだけは言いたいなんてときもたまにはあるが、それは関係を断ち切っても良いと覚悟したときの話。
 
自分の主義主張を話そうもんなら、うるさがられることが多いのは火を見るよりも明らか。この忙しいのに、なに寝言言っていると、向こうもベールの下から言っている。だから、こんな辺境の地のブログでさえ、万一を慮って用心を重ねるのだ。
 
私はこのブログでは、さなえという別の人間になり、文体だの世間体だのを振り捨てて、言いたいことを言いたいように言うんだ〜い!もちろん、legitimate(便利な言葉でっせ)であることが第一条件だ。
 
さらに、女性ならではの理由もある。
 
数年前だが、見知らぬ男性から電話が来た。私のデータをネットで購入した。それも3000円(馬鹿だねえ)!で、お金を出したのだからつきあえだと。僕は年上の女性が好きでして…わたしゃ嫌だよ。第一私の懐にお金が入った訳じゃないんだから。なんとかお引き取り願ったが、こういう思いはもう沢山。
 
258bce3d.JPGまだある。大昔、銀河通信という創世記のネットに加わって、チャットやオフ会にせっせと出ていた時期がある。そのときたまたま印象に残った本をネットで紹介したら、右翼だと言いがかりをつけられ、ネット上で袋だたきにあった。実名なら、多分家まで押し掛けてきたんじゃないかという勢いだった。ハンドル名で良かったとそのときしみじみ思いましたね。
 
右翼だとか、左翼だとか、男だ、女だ、若い、年寄り、そんなことを言っていては残りの半分の世界がみられない。人間、立場が違えば理屈も違う。いろいろなものを見て聞いて、正しいか正しくないか、好きか嫌いかを自分の頭で判断したい。井戸の中で騒いでいても何にもならない。
 
自由に議論する場合、実名はかえって邪魔。最初に背景だの年齢だの、場合によっては実名など分かっていれば、どうしても偏見をもって読んでしまう。偏見などないという偏見を持っている人もいるようですが(自分のことかもしれない)、まあ、人間、頭の方で勝手にフィルターをかけてしまう仕方のない生物でもあるわけで。
 
もひとつおまけに、どうやって実名を強制するんですか?出来もしないことを議論してもねえ。強制できるような社会にはそれこそ怖くて住めないし、住みたくない。じゃないですか。
 
そういうわけで、まあおおたかの方たちと同じ理由で、私は匿名派なのであります。
 
写真はノッティングヒルの街角。拡大できます。