2006年06月06日

脳死・臓器移植と「正しさ」

シンクラブ脳死・臓器移植と「正しさ」(1)

「正しさ」を求めるものは、有機的統合説やら歴史伝統や
らに訴えて一方を切り捨てる前に、まずその必死の思いに
たじろぐべきなのだと思う。

他人の痛みを感じることができない者は「正しさ」につい
て考えることができない

うーん、愛読者である私が「おろかものの『正義論』」の著者である小林さんに盾つくのはとっても気が進まないし、太刀打ちできるはずもないのだが、なんか気に入らない。考えることのプロの小林さんが考えることを途中で投げてしまったかような印象を受けてしまった。私の体調のせいかもしれない。(1)とあるので、この続編が読めるかもしれないと期待してしまうのだが、それは私の甘えであり、申し訳ないので、as you like itと言っておこう。

しかし、正直に言わせて貰う。他人の痛みを本当に感じることなどできない。胸が痛くなり、一緒に泣くことはできても、代わってやることはできない。痛みも悲しみも自分で引き受けるしかない。それをどんなに親しくても、たとえ、親や子であっても横で見守るしかない。痛みはその人個人のものだ。だから辛いのだ。考えることができないといわれても困ってしまう。

脳死や臓器移植が純粋に善意のやりとりであったときにはことは単純だった。善意と自分で信じることを、与え、受け取り、仲介する。それだけで完結していた。しかし、りんごの味を知ってしまったのだ。人間の体が金になり、パーツとなり、売買が成立するようになり、大きな産業へと育ってしまった。金持ちが、先進国が、貧しいものの内蔵を買うなんてことは許してはいけない。そのようなことがあり得るというだけで許してはいけないと思うのは単純すぎるだろうか。

正しさって何だろう。どんなに痛みが分かっても、どんなに辛いか分かっていても、それを堪えるのが正しさじゃないのだろうか。どんなに苦くても飲まなくてはいけない薬があるように、どんなに辛くても命は有限だという事実を飲み下さなくてはならないのではないか。

私には分からないことだらけが、一つだけ、人の命はその人のものであり、その人固有のものであり、金に換えて奪うことは、正しくないとはっきり思う。また、どんなに善意から出たことであっても、それが結局は健康な人の命を奪ったり、縮めることにつながるのであれば、それは正しいことではない、と私は思うのだが。そこに生まれる嫉妬や憎しみを想像すると怖くなる。そういう社会が幸せな社会だとは思えない。

三余亭さんが『医療・生命と倫理・社会』 (オンライン版)Vol.4 No.1/2 2005年3月20日刊行http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/eth/OJ4/に再開された臓器売買をめぐる論争http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/eth/OJ4/kurose.pdfという哲学・倫理学がご専門の黒瀬勉氏による論文を紹介なさっています。

臓器移植の有効性そのものも明確ではなくビジネスとして臓器移植を推進しようとしているのではないかと疑心暗鬼なのだが、この論文では生体移植で自分の腎臓を売った側のその後についての調査もあり、この論文を読んで反対の意思がいっそう強くなった。結局ここでも、女、子供が提供側であり、受け手は男という力関係がはっきり見られるようである。いつまでこんなことが続くのだろうか。
 



ganbare_watashi at 23:24│Comments(3)TrackBack(2)医療・健康-臓器移植を含む 

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1. 小さな命できることなら救ってあげたいが...  [ 時事を考える ]   2006年06月07日 21:52
小児移植:「山下みらいちゃんをすくう会」が募金呼びかけとのこと、小さな命できるこ
2. 臓器売買再考  [ 三余亭 ]   2006年06月07日 22:19
前に臓器売買についていろいろと書きました。その中でhalさんより、素朴な反感はさておき、移植があってもよいと思うのであれば、そこに金銭授受が介在する(もしくは介在させる)メリットとデメリットを考えてみる必要もあるかと思います。とコメントを頂きました。だいぶ時...

この記事へのコメント

1. Posted by 井筒@徳島   2006年06月07日 13:58
1 『パンドラの壷』を開けたのが女性だったから。などと不謹慎なジョークを言うと、こっぴどくしかられます。m(_ _);m
たった5ドルの医療キットがないために死んでいく子供がいる一方、先天性疾患の治療のため100万ドルの臓器移植を受ける子供もいる。
子供の臓器移植には子供の臓器提供者が必要なわけで、、、
なんか、頭がくらくらしてきました。どうか、私に核ミサイルのボタンを預けないでください。

2. Posted by さなえ   2006年06月10日 17:42
井筒@徳島さん、私も頭がくらくらです。ご同様、私にもボタンを預けないでくださいといいたいです。
3. Posted by あなたねー   2006年07月06日 16:56
わからないやら、判断もつかないのなら、書かないほうがいいのでは、
こんなことをしても、賢くもなんとも見えないよ。
なんか、テレビで絶叫してうるさいだけの爆笑問題の大田みたいですね。
品性がない。

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