2010年02月05日

土俵が小さかったのだ

P1000636夜のうちに雪が降ったのを知らなかった。

前日外出したときには2年ぶりに降ったという雪はすっかり溶けていたので、一度はいたブーツを履き替えて出てきたというのに、公園はすっかり銀世界に変わっていた。道路も凍り付いていて別世界のようだ。

こんなに美しく衣替えをした日に朝青龍は引退した。引退させられた。まだ本当は何があったのか分からないままに。

やんちゃな少年のまま大きくなったような朝青龍は、格式だの、品格だのと言っている当人たちも持ち合わせず、良く分からないものに追い詰められた。

元々異能であるから、異形であるから神に近いと思われていたのではなかったのか。朝青龍はまるでスサノウノミコトみたいだと思っていた。大きなエネルギーをじいさん、ばあさん、若年寄ばかりの国は御しきれなかった。日本に必要なことは自分にない異能、異形の者を取り込んで自分のものとすることなのに。

誰もが暴力はいけないと言うが本当にそうなのだろうか。プロの格闘家として暴力を実際に一般人にふるっていたとしたら、もちろん、まずいが、一般論として、例えば自分の母親が侮辱されたときへらへらとしている男は、それだけで最低の男だと大抵の国でみなされるだろう。自分の人生を賭しても守る者を守るのが男というものだ。彼をそんなに怒らせたのはどういう言葉だったのだろう。真実を知りたい。

朝青龍は単に短気なだけの男だったのだろうか。彼がモンゴルのストリートチルドレンのために奨学金を出し、祖国のために頑張っていたことを考えても、どうもそれだけではないような気がする。単身16歳で来日し、文化も風習も食事も言葉もすべて異なるところで、小柄ながら25回も優勝し、日本語もここまで上達させるのは、並大抵の努力では追いつかない。彼は祖国を背負って頑張っていたように思えるのだ。

わずか29歳なのだ。円熟した大人になれば相撲だけではなく日本のために大きな働きをしてくれたに違いないと思えるのに、実に惜しい。問題が多すぎたと言うが、再起不能といわれた場所で優勝して思わずガッツポーズが出たから厳罰、モンゴルへの巡業を求める署名活動をしたから厳罰、例のサッカー騒動も、マスコミ扇動の誤解が問題を大きくしたのであって、チャリティに数分間参加したことが厳罰。厳罰に処さなくてはいけないような問題だったのだろうか。

日本全体がまるで意地悪婆さんになってしまっているようだ。総ヒステリー状態というのだろうか。しかしだ、一番厳しい倫理観を有すべきトップが倫理観が希薄で、けじめをつけるべき人間がつけないというのに、緩く見て当然な別世界の人間にしゃちほこばって生きよという。ああ、おかしい。おかしい。反対だろう。

朝青龍は、指導者に恵まれれば、大きな人間に成長する。大きな政治家になるかもしれない。モンゴルとの大きな架け橋にだってなれるだろう。負けるな朝青龍。



ganbare_watashi at 11:06│Comments(10)TrackBack(2)ニュース・事件 

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1. 横綱朝青龍が引退  [ 虎哲徒然日記 ]   2010年02月07日 11:14
この決断は当然だと思うが、いざそうなってみると惜しい気はする。こと土俵の実力にかぎっていえば、稀代の名力士の一人だったとも思う。 このほど横綱審議委員を退いた内館牧子氏が語っていた。「アスリートとしては150%好きだが、横綱としては認めない」と。終わ...
2. 朝青龍の引退  [ 元気に愚痴る♪ ]   2010年02月08日 22:50
わたしもびっくりした一人だが、引退するまでは『横綱の品格』だの、『処分がいつも甘

この記事へのコメント

1. Posted by マルセル   2010年02月05日 18:01
「さようならドルジ...横綱朝青龍29歳で引退」
トラックバックが弾かれる、何でだろ?
2. Posted by さなえ   2010年02月05日 19:27
> トラックバックが弾かれる、何でだろ?
マルセルさん、確認しました。受け入れるになっているんですけど変ですねえ。失礼しました。もしかして、マルセルさんが怖かったのかしら(^o^)。
3. Posted by alchemist   2010年02月07日 15:05
似たような話を40年ちかく前に聞いた記憶があります。モハメッド・アリとジョージ・フォアマンでしたか。後者は良きアフロアメリカンとして受け入れられ(ストウ夫人の描くアンクル・トムのイメージ)、前者は良きアフロアメリカンから逸脱していたためかチャンピオン・ベルトを剥奪されました。
今のアメリカでは、あそこまで露骨なことは考えられないことでしょうけど、日本がそのレベルまで成熟するのに何年かかることでしょう・・・。
4. Posted by さなえ   2010年02月08日 09:52
alchemistさん、そういえばモハメッド・アリはイスラム教徒に改宗し、ベトナム反対を唱え、色々物議を醸しましたが、結局アトランタオリンピックでパーキンソン病でしたか、病気ながら勇敢に姿を見せて観客がスタンディングオベーションで拍手喝采したように覚えています。歴史も価値観も移りますが、勇気をもって信念を貫いた事実は残りますし、尊敬に値しますね。その後チャンピオンベルトは返されたのでしょうか。

5. Posted by とと   2010年02月08日 17:36
朝青龍の引退、びっくりしました。
これがいい決断だったかどうかは、答えを持っていませんが、わたしも今後の朝青龍を応援したい気持ちです。

さなえさんのお考えとはちょっと違うかもしれないエントリーを今書いたところだったので、TBしてみます。
6. Posted by さなえ   2010年02月09日 08:43
ととさん、いらっしゃい。ブログを拝見しました。彼が日本人の横綱で、相手が行きずりの一般人だったら、何をやっているんだ、首だと言いたくなったと思います。
相撲協会も私たちもいいとこ取りをしようとして失敗したのではないでしょうか。

文化摩擦の側面が大きいですね。神事とか文化を大事にするのであれば、日本人だけにするか、背景を教育した上で、合意して入って貰うしかないし、興行や格闘という面が前面に出るのであれば、多少の行き過ぎ、つまりガッツポーズや署名活動などは大目に見るしかないでしょう。外部から見たら、何が問題なのか分からないでしょうね。騒ぎの当人もなぜここまで問題になるのか分からないまま問題を重ねたのだと思えます。おまけに両方が酔っていた酒の上の喧嘩ということであれば、しかも相手方が、報道からなので真実は分かりませんが、なにやら素人ではないような怪しいニオイが漂っているようですので、結論を出すのが早すぎたのではないでしょうか。
7. Posted by alchemist   2010年02月09日 10:15
チャンピオンベルトは試合禁止期間(4年でしたか?)が終了した後、実力で奪い返しました。その後、敗戦でベルトを失い、三たびベルトを奪回したキンシャサの奇跡を演じました。ただ、最強の時期の試合禁止は記録を狙うボクサーとして致命的であったと言われていました。
宗教的理由による良心的兵役拒否に対する措置としてはオカシイという議論を巻き起こしていたような記憶があります。
8. Posted by さなえ   2010年02月10日 10:59
alchemistさん、スポーツマンの旬の時期というのは短いですから、試合禁止というのはきついですね。モハメド・アリはすごい選手でしたね。朝青龍もあの2場所の停止がなければ…。
9. Posted by 三冬   2010年02月15日 19:06
さなえさんの言うとおり、朝青龍よりも脱税総理を罰して欲しいです・笑
そっちの方が重大。
10. Posted by さなえ   2010年02月15日 23:03
三冬さん、おまけに国民は税金を払っていただきたいですって。図々しい。嫌なこったと言ってやりたいなあ。

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