IMG_2615題名を一筆書きとしたものの考えてみれば「なんちゃって」が必要だった。新青森〜盛岡間は往復したからだ。まあ、複線で線路は2つ。同一の線路は辿らないから一応一筆書き〜と強弁しておこうっと。

1泊目の朝、和食のバイキングだった。東北らしいおかずが並ぶ。美味しいのだろうが苦手。少量ずつ取る。うん、美味しい。しかし、突然、ワタシに反抗して指が震え出す。本態性の震えとやらで原因不明で治療できないらしいのだが、こういう一人旅で今までになく激しく震えられると非常に困る。箸を口元に持っていく間にもお茶碗に当たってカタカタ鳴る。ああ、嫌だ。年寄りらしくお茶碗を口元まで持って行くしかない。少量にしておいて正解だった。汗をかきつつなんとか食べ終わり、八戸07:17発の新幹線で盛岡経由で角館を目指す。

隣はスーツ姿の太ったおじさん。領土侵犯が甚だしい。勿論国境の肘掛けからもはみ出てる。イヤホンで音楽を聴いているらしくせわしく足をバタバタさせ、こちらの足にもぶち当たる。新手のセクハラ?まさかねえw。東京からの新幹線では3席の真ん中だった。隣に痩せた女性が乗り込んできたので、思わず、太った男性でなくて良かった、嬉しいと言ったら、今時そんな人いませんよ、アメリカじゃあるまいしと冷たく切り口上で言われ息を呑んだのだが、ほら、見なさい、いるのよと言ってやりたいw。IMG_2613

盛岡での乗り換えは4分では無理、東京中心だからねえ、下りからの乗り継ぎは考えられてないんですよとみどりの窓口で言われたのだが、まだ表示が出ているのを見つけ、勿論、ゴロゴロと一緒に疾走。指定席を取った便の1つ前の列車に滑り込んだ。乗り物を見ると走る習性になってしまっているのが功を奏したw。人はまばらでどこでもどうぞ状態。盛岡までは満席だったのだが。

梅雨の最中だが薄曇りで気温も最高23度とうろつくには最適。ここが肝心よね、ついてるじゃないですか。目指すは平福記念美術館。設計は国立能楽堂を設計した大江宏。角館は何年か前、雪に埋もれていた3月初めに2日間かけてうろついたのだが違う町に見える。雪がないと分からないw。そのときは上からの落雪が怖くてずっと上を見ながら歩いたからかも知れない。美術館は武家屋敷の一番どん詰まりにあった。

IMG_2629不思議な色をした建物だ。旧制中学の敷地に建てられたとのことで、生徒たちがそれぞれ家から持ち寄った苗木を好きなところに記念植樹し、そのため樹木の種類も植えられた場所もばらばらなのだという。設計者は1本も木を切ることなく建てたと、居合わせた関係者らしい男性が誇らしげに説明してくれた。青は緑青だというが築30年以上経っているからか全般に褪めた色で、男子校の跡だったのにピンクが多用されている。理由はすでに霧の彼方w。

前回も訪れた、ルネ・ラリックがずらりと展示されている小さな私設美術館である大村美術館は付属の喫茶スペース、民芸品の売り場が閉鎖され、時は流れたのに相変わらず見るのは私一人、究極の贅沢、勿体ないなあ。

IMG_2647甘酒休憩を入れて、武家屋敷通りから1本裏を駅に向かうが、人一人歩いてない。住宅は建ち並んでいるがそのすぐ背後は森。熊で名高い仙北市じゃないか。こここそ危ないかも。歩けど歩けど人は居ない。人とは違うところに首を突っ込みたがる自分の性分を後悔する。今更なおるわけもなおす気もないけどね。熊は出てこなかった。当たり前か。

ようやく駅に到着。以前、泊まった駅前のホテルを探すが難航。そのホテルから温泉まで送迎バスが出ていたのだ。建て替えられていた上に、もはや昔の牧歌的に親切なホテルではなくなっていた。徒歩15分の所に温泉施設があると聞き、朝に通った道をまた辿る。今までうろついていた武家屋敷通りの入り口辺りにあった。かくのだて温泉だ。足がしきりに文句を言う。最初に調べていればねえ。IMG_2650

見つけたら温泉に入ろうとタオルを持参していたのに肝心なときには駅のロッカーの中。タオルを購入して入ると先客は地元のお婆ちゃんお一人。お大尽だねえ、こんな時間からお風呂には入れるなんてとしみじみ話しかけてきたが、本当にそうだ。贅沢だねえ。子供3人抱えて旅行なんて夢のまた夢だったのに…。

IMG_2652でもしみじみとは入っていられない。駅まで戻らねばならない。数分の遅れは1時間の遅れだ。折角の、熱すぎない、いいお風呂だったが、汗を垂らし、赤い顔をしてまた来た道を駅に急いで戻る。そして幸運にも売店に残った最後の駅弁を手に入れた。包み紙がお洒落だった。売店の人がこれは美味しいよと言ったとおり、とっても美味しかった。そしてその時気づくべきだった。地方都市では弁当が入荷するのは1日1回、限定数だけだと言うことに。

そして秋田へ…。まだ午後も早い。旅の1日は長いのだ。

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