タイトル:【ビルバオ・アスレチック・クラブ】
ビルバオ・バスク(スペイン)
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今、巷はサッカーのワールドカップで大騒ぎだが、俺はほとんどサッカーには興味がない。
テレビはたいていNHKしか見ないのだが、そのNHKの番組もサッカーだらけで見るものが無く、ほとほと迷惑を感じている。
しかし、唯一応援しているサッカーチームがある。
そのチームは「ビルバオ・アスレチック・クラブ」だ。
スペインの北にバスクという国がある。
行政上はスペインに併合された形になっているが、彼らは独自の文化・言語を持っている。
首都ビルバオはとても美しい街だった。
ビルバオ・アスレチック・クラブは、そのビルバオを拠点としたサッカーチームである。

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彼らのチームはかなり特殊な事情を持っている。
一般的にプロのサッカーチームは、巨額の契約金を出して、外国人の強いプレイヤーを雇っている。
なので、チームのスタープレイヤー達は大概その地域や国の人でない場合が多い。
しかしビルバオACの場合、外国人はおろか、スペインの他の地域の選手すらいない(彼らにとってはスペインは外国だが・・・)。
バスク人だけでメンバーが構成されている。
そんな状況なので、外国人の強豪プレイヤーがひしめくスペインリーグの中では、かなりの苦戦を強いられている。
しかし、彼らはそのポリシーを絶対に曲げない。
ところが、去年は違っていた。
彼らは去年のヨーロッパチャンピオンに輝いたFCバルセロナとスペインチャンピオンシップを競い合っていたのだ。
そして初めてビルバオを訪れたこの日は、偶然にもスペインチャンピオン決定戦の日だった。
街中の建物からはビルバオACの旗が垂れ下がり、道行く人々の服装はチームカラーの赤白の縞模様で統一されていた。
昼食を摂ろうと入ったビスカヤ橋のたもとのバールでも、ユニフォームを着たサポーター達が大騒ぎだ。
スペイン全土で共通しているのだが、レストランやバールでは「メニュー」という名前のランチセットがある。
このセットには、前菜、メイン、ドリンク、デザートが付いていて、それぞれ4~5種類の中から好きなものを選ぶことが出来る。
しかし、量が半端でないほど多く、小食の俺はとても一人で一人前を食べきれない。
例えば前菜のパスタなどは、日本でのパスタ屋で食べる量の1.5倍くらい。それもあくまでも前菜なのである。
メインにチキンのローストなど頼もうものなら、丸々一羽分のローストが出てくる。
なので昼食で「メニュー」を頼む時は、いつも家内と二人で一人前を頼むことにしていた。
それでも腹がいっぱいになる量だ。
なおかつ俺は甘いものが食えないので、デザートは家内の分が一つあれば良い。
そして、この「メニュー」で嬉しいのは何と言ってもドリンクだ。
水でもコーヒーでもビールでも・・・何でも同じ料金なのだが、ただワインに関しては他のドリンクと少し事情が違う。
なんとワインを頼むと一本出てくるのだ。
よくフランスではワインは水より安い・・・などと言われるが、スペインでも本当にそうだった。
水を頼んでも小さなペットボトル一本、ビールを頼んでも小瓶一本しか出てこないのに、ワインだとフルボトル一本だ。
そして全部飲んでしまっても何も文句は言われない。
ビルバオでのこの日の昼食もワインを頼んだ。
そして隣のテーブルに着くサポーターの女性達と宴会態勢に突入した。
彼女達が着ているビルバオACの赤いTシャツが欲しくなったので、どこで買えるの?と聞いてみたが、今日はもうどこへ行っても売り切れだろう・・・とのことだった。
するとその中の一人が、私が着ているこのTシャツをあげるわ・・と言い出した。
さすがに悪いので、その時俺が着ていたうちのバンドのオリジナルTシャツと交換することにした。
シャツを交換するなんて、まさにサッカー選手の様だ。
そしてビルバオACのシャツを着て街に繰り出すと、街中にあふれ出しているサポーター達が俺を迎え入れてくれた。
道行く人々がシャツを着た俺の顔を見て、ニッコリとほほえんで頷いてゆく。
街の中心にある広場には、大スクリーンが設置されている舞台があり、これからみんなで一緒に決勝戦を応援しようということだった。
残念なことにビルバオACはこの日FCバルセロナに破れ、スペインチャンピオンにはなれなかったが、小さな民族だけで構成されているチームが、この後にヨーロッパチャンピオンになったチームと競り合っていたということは、本当にすばらしい出来事だった。
俺が好んでやっているスポーツ、クライミングや自転車の分野でもバスク人は本当にすばらしい成果を上げている。
彼らの心の中には不屈のバスク魂が存在しているに違いない。
俺もそんな強い魂を持ったアスリートになりたい。
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