感染症の病理学的考え方

若手医師,初学者のために,病理学・臨床検査医学的視点から感染症を主体に情報発信します.「臨床と病理・臨床検査の架け橋」となる新しいタイプの医師を目指しています。*本ブログの記載は一部を文献等から引用していますが、私の個人的見解です。決してその所属施設の意見を反映するものではありません。

 妊娠中における方々は新型コロナウイルス感染症に対しても特に気をつけていると考える。そして新型コロナウイルス感染症の予防のためのワクチン接種に関してであるが、数々の論文から妊婦への新型コロナウイルスワクチン接種は可能である。現在の流行状況を考えると、たとえ妊婦であっても積極的な接種が推奨されると考える。


厚生労働省 Q & A こちら
妊娠中の方:
米国では、既に10万人以上の妊婦が新型コロナワクチンを接種している(2021年5月3日時点)。妊娠中にmRNAワクチン接種をした約3万5千人の女性の追跡研究の報告では、発熱や倦怠感などの副反応の頻度は非妊娠女性と同程度であり、胎児や出産への影響は認められなった。
妊婦は同世代の妊娠していない女性と比べて、新型コロナウイルスに感染した場合に重症になりやすく、また早産や妊娠合併症、胎児への悪影響のリスクが上がるとされている。
妊娠中にmRNAワクチンを受けた方の臍帯血(胎児の血液と同じ)や母乳を調べた研究では、臍帯血にも母乳中にも新型コロナウイルスに対する抗体があることが確認されている。この移行抗体が、産後の新生児を感染から守る効果があることが期待されている。

厚生労働省 妊娠中の方・妊娠を計画中の方について 2021年5月21日付け こちら

参考文献
NEJM こちら


成育医療センターの情報
編集して記載
妊娠中や授乳中でも新型コロナワクチンは接種したほうがよいのでしょうか?
接種すべきかどうかは安全性と効果のバランスで考える
現在日本で接種が可能なワクチンは、コミナティ筋注ワクチン(ファイザー社)とCOVID-19ワクチンモデルナ筋注(モデルナ社)の2種類。これらワクチンはmRNAワクチンは生ワクチンではないため、接種による(新型コロナウイルスの)感染の危険性はない。

胎児への影響
動物試験では悪影響は見られない。
米国でワクチンを接種した妊婦に行った調査では、注射部位の疼痛や頭痛、倦怠感、悪寒、発熱などの症状の頻度は非妊婦女性と同程度であった。また、流産や死産、早産などの頻度は一般的な妊婦と比べて上昇は見られない。*現在もさらなる調査が進行中。
妊婦さんが感染した場合には、重症化する割合や早産などの率が上昇するという報告がある。
従って、妊娠中でもワクチンを接種することのメリットが大きいと考えられている。

ワクチン接種後の母乳移行
研究では、母乳中にmRNAは検出されなかったと報告されている。


2021年6月17日の声明 日本産婦人科学会の情報
編集して記載
多くの接種経験のある海外の妊婦に対するワクチン接種に関する情報で、妊娠初期を含め妊婦と胎児双方を守るとされている。また、母体や胎児に何らかの重篤な合併症が発生したとする報告もない。したがって日本においても、希望する妊婦さんはワクチンを接種することができる
妊婦健診は普段通り受けていただき、産婦人科施設以外で接種を受ける場合は、その前にかかりつけ医にワクチン接種の適否に関して相談する。 

2021年5月12日の声明 日本産婦人科学会の情報 
こちらには「器官形成期(妊娠 12 週まで)は、偶発的な胎児異常の発⽣との識別に関する混乱を招く恐れがあるため、ワクチン接種を避ける。」と記載されていたが、この6月17日の声明では削除された。

器官形成期とは 
妊娠4週から7週までをいう
胎児の体の原器が作られる器官形成期であり,奇形を起こすかどうかという意味では最も(薬物などに対する)過敏性が高い「絶対過敏期」である。この時期には本人も妊娠していることに気づいていないことも多い。
*器官形成期に胎児に影響のある薬物や感染症が起こると、胎児奇形や流産が起こる可能性がある。 
参考 妊婦の薬物服用 こちら


写真は正常胎盤のHE染色像。引用はこちら
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感染性胃腸炎における便培養について。

 細菌又はウイルスなどの感染性病原体による嘔吐、下痢を主症状とする感染症である。原因はウイルス感染(ロタウイルス、ノロウイルスなど)が多く、毎年秋から冬にかけて流行する。また、エンテロウイルス、アデノウイルスによるものや細菌性のものもみられる。

国立感染症研究所
一般的に感染性胃腸炎の原因となる病原体の多くは、細菌、ウイルス、寄生虫がある。
細菌性
  • 腸炎ビブリオ
  • 病原性大腸菌
  • サルモネラ
  • カンピロバクタ
などである。その他、ウイル ス性はSRSV 、ロタウイルス、腸管アデノウイルスなどがみられる。寄生虫ではクリプトスポリジウム、アメーバ、ランブル鞭毛虫などがある。

病原細菌検出のための便培養
我々の腸管内には正常細菌叢が形成されており、その細菌の数は100兆個ともいわれる。こちら

一般的に感染性胃腸炎の原因となる細菌は、汚染された飲食物を経口的に摂取して、一過性に感染する。

問診が重要。こちら
症状とその発現時期、食歴、周囲のヒトの様子、最近の旅行歴(特に発展途上国)、最近の抗菌薬使用歴、基礎疾患の有無などを聞く。
潜伏期間
短期間
2日以内と短いものにはブドウ球菌(1-5時間)、腸炎ビブリオ(1日以内)、サルモネラ(8時間-2日)などがあるが、この場合は患者自身が食中毒と気づくことが多い
長期間
比較的潜伏期が長いのは、カンピロバクター(2-10日)、腸管出血性大腸菌(4-8日)、エルシニア(3-7日)、などであり、これらでは患者自身が食中毒と気づかないことが多く、非感染性腸炎との鑑別が問題になることが多い。
カンピロバクター腸炎ではこの10日間に生の鶏や生レバーを食べたか、などと具体的に聞かないと情報を引き出せないことが多い。
チフス・パラチフスは10-14日と潜伏期は長く、海外への旅行歴を聞くことが重要である。

原因食品
魚介類は腸炎ビブリオ、鶏肉はカンピロバクター、鶏卵はサルモネラ、牛肉は腸管出血性大腸菌とサルモネラ、豚肉はエルシニア、牛レバーは腸管出血性大腸菌とカンピロバクター、カキはノロウイルス、などである。

代表的な細菌を分離・検出するための寒天培地は、写真の如く、
(左上)TCBS寒天培地
(左下)SS寒天培地
(右上)スキロ―寒天培地
(右下)STEC寒天培地
などがある。

TCBS培地
主な目的菌はビブリオ
本培地は、V. cholerae およびV. parahaemolyticus 等の病原性Vibrioの 選択分離に最適である。本培地には塩化ナトリウムの他に数種類の塩類が含有されており、これらの塩類と培地の高いpH(8.6±0.2)によってVibrio 以外のほとんどの菌の発育は抑制されるが、Proteus、Pseudomonas、Aeromonas のなかには発育するものがある。しかし発育が弱いので、仮に発育してもVibrio との鑑別は容易。V. cholerae および白糖分解のV. alginolyticus、V. fluvialis などは黄色のコロニーを形成し、白糖非分解のV. parahaemolyticus は青緑色のコロニーを形成するので鑑別は容易。

SS寒天培地
主な目的菌はサルモネラ、赤痢
本培地は、糞便検体からSalmonella、Shigellaの分離培養に適した選択培地。本培地上では、Salmonella、Shigellaなどの乳糖非分解菌のコロニーは無色透明。特にSalmonellaの特徴としては、中心が黒色または暗色をおびた、辺縁部が無色半透明のコロニーを形成する。大腸菌などの乳糖分解菌の中には発育するものもあるが、かりに発育してもピンク色のコロニーを形成するので鑑別はきわめて容易。
こちら
SS寒天培地は、デオキシコール酸ナトリウムなどの胆汁酸塩・クエン酸塩・ブリリアントグリーンの相互作用によりグラム陽性菌を中等度発育阻止し、また、大腸菌などの乳糖を分解する腸内細菌の発育を抑制しかつ、発育してもコロニーがレンガ色に着色する為、乳糖非分解菌である、Salmonella属やShigella属等の無色半透明のコロニーとは容易に分別できる。

スキロ―寒天培地
主な目的菌はカンピロバクター
本培地は、Campylobacter 特にC.jejuni を糞便検体から選択分離するのに適した培地。Skirrow培地の処方であり3種類の選択剤が含まれているので、Campylobacter以外のほとんどの菌の発育を抑制し、Campylobacterは、特徴ある半透明S型のコロニーを形成する。キャンピパウチ、またはガスパックジャーとキャンピパックを用いることにより、迅速かつ的確に分離培養することが可能。

STEC寒天培地
主な目的菌は病原性大腸菌
STECの選択剤として亜テルル酸カリウム、高いpH(pH8.1)を利用する。従来の選択培地よりも選択性が高いので、STEC以外の多くの細菌の発育を抑制する。
STEC酵素基質混合物によりE.coliO157は無色〜灰白色、E.coliO26は青〜緑色、E.coliO111は赤紫色のコロニーを形成。O157、O26、O111を1枚の平板培地で同時に鑑別できる。



参考
左上 TCBS寒天培地
左下 SS寒天培地
右上 スキロ―寒天培地
右下 STEC寒天培地

TCBS寒天培地はブリリアントグリーンにより緑色。こちら
SS寒天培地はニュートラルレッドにより赤色。酸塩基指示薬の一つ。pH6.8で赤色、pH8.0で黄色を呈する。こちら
スキロ―寒天培地はウマ溶血血液による赤色。こちら
STEC寒天培地は酵素基質により、様々な色を発色できる。こちらこちら

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肝細胞癌とカビ毒について。
まとめ
非肝硬変患者に発生する肝細胞癌の原因のひとつにアフラトキシン(カビ毒)がある。日本では食品中のカビ毒の検出に取り組んでおり、検出されても微量な範囲である。しかし、輸入品のナッツや穀物類には高容量が含まれている可能性があり、リスクはゼロではない。



一般的に肝細胞癌はB型またはC型肝炎ウイルス、アルコール飲酒が原因となり、肝炎、肝硬変を経て肝細胞癌を発症することが多い。

肝細胞癌の病理
病理学会コア画像


一方、肝炎、肝硬変を経ずに(de novo)、肝細胞癌を発症することがある。

Hepatocellular carcinoma in non-cirrhotic liver: A comprehensive review

Hepatocellular carcinoma (HCC) is the most common type of primary liver cancer, which in turns accounts for the sixth most common cancer worldwide. Despite being the 6th most common cancer it is the second leading cause of cancer related deaths. HCC typically arises in the background of cirrhosis, however, about 20% of cases can develop in a non-cirrhotic liver. This particular subgroup of HCC generally presents at an advanced stage as surveillance is not performed in a non-cirrhotic liver. HCC in non-cirrhotic patients is clinically silent in its early stages because of lack of symptoms and surveillance imaging; and higher hepatic reserve in this population. Interestingly, F3 fibrosis in non-alcoholic fatty liver disease, hepatitis B virus and hepatitis C virus infections are associated with high risk of developing HCC. Even though considerable progress has been made in the management of this entity, there is a dire need for implementation of surveillance strategies in the patient population at risk, to decrease the disease burden at presentation and improve the prognosis of these patients. This comprehensive review details the epidemiology, risk factors, clinical features, diagnosis and management of HCC in non-cirrhotic patients and provides future directions for research.

アフラトキシン
Aflatoxin B1: Aflatoxin B1 (AFB1) is an extremely potent hepatocarcinogen that is a secondary metabolite produced by fungi, Aspergillus flavus and Aspergillus parasiticus. They are typically found in tropical and sub-tropical regions of the world in which grains such as rice stored in hot humid conditions promote growth of these toxin-producing fungi. Most cases occur in sub-Saharan Africa, Southeast Asia and China where HBV is highly prevalent. However, its incidence in the United States is extremely low; 0.003 in HbsAg negative and 0.08 in HbsAg-positive patients. In addition, its burden in non-cirrhotic individuals is unknown. AFB1 is metabolized by the P450 enzymes in the liver to generate an epoxide, which binds to DNA and induces mutation of the p53 tumor suppressor gene. Like cirrhotic patients, non-cirrhotic patients with chronic HBV are also at a higher risk for aflatoxin-mediated HCC.

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カビ毒について
東京都福祉保健局

カビが作り出す代謝産物のうちで、人や動物に対して有害な作用を示す化学物質のことを総称してカビ毒と呼んでいます。
カビ毒として確認されているものは、現在300種類以上報告されています。わが国のカビ毒研究が盛んになったきっかけは、第二次世界大戦後東南アジア、エジプト、スペインなどから輸入した米から強い肝臓障害を引き起こすカビ毒産生菌が見つかった、いわゆる「黄変米」事件でした。
また、1960年には、イギリスで、一ヶ月の間に10万羽以上の七面鳥が肝臓障害で死ぬ事故があり、この原因が飼料に含まれていたカビ毒であることが明らかになりました。
このような事件や事故を契機に、今まで主として発酵や腐敗の面からのみとらえられてきた食品とカビについて、カビ毒が新たな問題として浮上してきました。


農林水産省
アフラトキシン類は、穀類、落花生、ナッツ類、とうもろこし、乾燥果実などに寄生するアスペルギルス属(Aspergillus, コウジカビ)の一部のかびが産生するかび毒であり、食品から検出される主要なものに4種類(B1、B2、G1、G2)あります。また、アフラトキシンM1、M2の2種類は、動物の体内でそれぞれ飼料中のアフラトキシンB1、B2が代謝されて生成し、乳中に含まれることが知られています。


日本におけるカビ毒の現状


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アフラトキシン

CDC
Aflatoxin
Aflatoxin is a fungal toxin that commonly contaminates maize and other types of crops during production, harvest, storage or processing. Exposure to aflatoxin is known to cause both chronic and acute hepatocellular injury. In Kenya, acute aflatoxin poisoning results in liver failure and death in up to 40% of cases.

In developed countries, commercial crops are routinely screened for aflatoxin using detection techniques that are performed in a laboratory setting. Food supplies that test over the regulatory limit are considered unsafe for human consumption and destroyed.

In developing nations, many people are exposed to aflatoxin through food grown at home. Inadequate harvesting and storage techniques allow for the growth of aflatoxin-producing fungus and homegrown crops are not routinely tested for the presence of aflatoxin. As a result, an estimated 4.5 billion people living in developing countries may be chronically exposed to aflatoxin through their diet.

In May, 2006, an outbreak of acute aflatoxicosis was reported in a region of Kenya where aflatoxin contamination of homegrown maize has been a recurrent problem. CDC teams worked with the Kenyan Ministry of Health to trial a rapid, portable aflatoxin screening tool that could be used in the field to identify contaminated maize and guide urgent maize replacement efforts during an outbreak. To do this, we used a portable lateral flow immunoassay; a test validated for use at commercial silo laboratories, and modified the methods for use in rural Kenya without electricity or refrigeration.

We randomly surveyed 165 households in Southeastern Kenya and tested a small portion of their maize supplies for the presence of aflatoxin using our modified rapid screening test. At each village, a mobile laboratory station was set up to grind and test the maize samples. CDC teams worked closely with local residents, and government officials to perform the testing and relay results to local health officers in order to facilitate immediate maize replacement and other interventions.

Field methods used during the outbreak were compared to Vicam immunoaffinity methods currently used at the Kenya National Public Health Lab. Field screening methods showed a sensitivity and specificity of 98 and 91% respectively. This investigation demonstrates that rapid lateral flow immunoasssays may be modified to provide a simple, on-site screening tool that gives immediate results and facilitates timely interventions.

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Aflatoxins as a cause of hepatocellular carcinoma

J Gastrointestin Liver Dis. 2013 Sep;22(3):305-10.

Aflatoxins, metabolites of the fungi Aspergillus flavus and Aspergillus parasiticus, are frequent contaminants of a number of staple foods, particularly maize and ground nuts, in subsistence farming communities in tropical and sub-tropical climates in sub-Saharan Africa, Eastern Asia and parts of South America. Contamination of foods occurs during growth and as a result of storage in deficient or inappropriate facilities. These toxins pose serious public health hazards, including the causation of hepatocellular carcinoma by aflatoxin B1. Exposure begins in utero and is life-long. The innocuous parent molecule of the fungus is converted by members of the cytochrome p450 family into mutagenic and carcinogenic intermediates. Aflatoxin-B1 is converted into aflatoxin B1-8,9 exo-epoxide, which is in turn converted into 8,9-dihydroxy-8-(N7) guanyl-9-hydroxy aflatoxin B1 adduct. This adduct is metabolized into aflatoxin B1 formaminopyrimidine adduct. These adducts are mutagenic and carcinogenic. In addition, an arginine to serine mutation at codon 249 of the p53 tumor suppressor gene is produced, abrogating the function of the tumor suppressor gene, and contributing to hepatocarcinogenesis. Aflatoxin B1 acts synergistically with hepatitis B virus in causing hepatocellular carcinoma. A number of interactions between the two carcinogens may be responsible for this action, including integration of hepatitis B virus x gene and its consequences, as well as interference with nucleotide excision repair, activation of p21waf1/cip1, generation of DNA mutations, and altered methylation of genes. But much remains to be learnt about the precise pathogenetic mechanisms responsible for aflatoxin B1-induced hepatocellular carcinoma as well as the interaction between the toxin and hepatitis B virus in causing the tumor.



今年のノーベル生理学・医学賞の受賞者は、
  • アメリカ・ニューヨークにあるロチェスター大学のハービー・アルター氏、
  • ロックフェラー大学のチャールズ・ライス氏、
  • カナダのアルバーター大学のマイケル・ホートン氏
である。
彼らはウイルス性肝炎の原因のひとつ、C型肝炎ウイルスを解明し、検査と新しい治療薬により多く人の命を救ったことなどを受賞理由にあげている。
過去にA型肝炎とB型肝炎の診断および治療は進んでいたが、これら以外の肝炎、非A非B型肝炎non-A non-B hepatitisは、解明が進んでいなかった。彼らはその「AでもBでもない」血液を介して感染するC型肝炎をつきとめた。

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現代の医療者であれば常識的なC型肝炎ウイルス hepatitis C virus (HCV)。
日本での感染者は約190万〜230万人存在するとされる。

厚生労働省の情報




08-03-01



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HCVとは
定清直 
http://www.jspid.jp/journal/full/02201/022010035.pdf

HCV はフラビウイルス科 Flaviviridae ヘプシウイルス属 Hepacivirus に分類され,遺伝子は全長約 9,600 塩基よりなるプラス鎖1本鎖RNAで,IRES(internal ribosome entry site)を含む 5’非翻訳領域,3’非翻訳領域の間に一つの open reading frame(ORF)をもつ.
ORF から IRES の働きにより翻訳された大きな前駆体蛋白質は,宿主とウイルスの蛋白質分解酵素により切断され,3 種類のウイルス構造蛋白質(コア蛋白質,E1 および E2 エンベロープ蛋白質)と7種類の非構造蛋白質を生じる(P7 を構造蛋白質に分類する成書もある).
ウイルス粒子は直径 55〜65 nm の球状粒子で,内部にコア粒子が存在する.コア蛋白質は強い免疫原性を有し,感染者のほとんどが抗コア蛋白質抗体を産生するので,C 型肝炎ウイルスによる肝炎の診断に用いられている.



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Press release: The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2020


https://www.nobelprize.org/uploads/2020/10/press-medicine2020.pdf


Hepatitis – a global threat to human health Liver inflammation, or hepatitis, a combination of the Greek words for liver and inflammation, is mainly caused by viral infections, although alcohol abuse, environmental toxins and autoimmune disease are also important causes. In the 1940’s, it became clear that there are two main types of infectious hepatitis.
The first, named hepatitis A, is transmitted by polluted water or food and generally has little long-term impact on the patient.
The second type is transmitted through blood and bodily fluids and represents a much more serious threat since it can lead to a chronic condition, with the development of cirrhosis and liver cancer (Figure 1). This form of hepatitis is insidious, as otherwise healthy individuals can be silently infected for many years before serious complications arise. Blood-borne hepatitis is associated with significant morbidity and mortality, and causes more than a million deaths per year world-wide, thus making it a global health concern on a scale comparable to HIV-infection and tuberculosis.


An unknown infectious agent
The key to successful intervention against infectious diseases is to identify the causative agent. In the 1960’s, Baruch Blumberg determined that one form of blood-borne hepatitis was caused by a virus that became known as Hepatitis B virus, and the discovery led to the development of diagnostic tests and an effective vaccine. Blumberg was awarded the Nobel Prize in Physiology or Medicine in 1976 for this discovery.


At that time, Harvey J. Alter at the US National Institutes of Health was studying the occurrence of hepatitis in patients who had received blood transfusions. Although blood tests for the newly-discovered Hepatitis B virus reduced the number of cases of transfusion-related hepatitis, Alter and colleagues worryingly demonstrated that a large number of cases remained. Tests for Hepatitis A virus infection were also developed around this time, and it became clear that Hepatitis A was not the cause of these unexplained cases.

It was a great source of concern that a significant number of those receiving blood transfusions developed chronic hepatitis due to an unknown infectious agent. Alter and his colleagues showed that blood from these hepatitis patients could transmit the disease to chimpanzees, the only susceptible host besides humans. Subsequent studies also demonstrated that the unknown infectious agent had the characteristics of a virus. Alter’s methodical investigations had in this way defined a new, distinct form of chronic viral hepatitis. The mysterious illness became known as “non-A, non-B” hepatitis.



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Kuo G., Choo QL, Alter HJ, Gitnick GL, Redeker AG, Purcell RH, Miyamura T, Dienstag JL, Alter CE, Stevens CE, Tegtmeier GE, Bonino F, Colombo M, Lee WS, Kuo C., Berger K, Shuster JR, Overby LR, Bradley DW, Houghton M. An assay for circulating antibodies to a major etiologic virus of human non-A, non-B hepatitis. Science. 1989; 244:362-364.




Kolykhalov AA, Agapov EV, Blight KJ, Mihalik K, Feinstone SM, Rice CM. Transmission of hepatitis C by intrahepatic inoculation with transcribed RNA. Science. 1997; 277:570-574.


pdf https://science.sciencemag.org/content/sci/277/5325/570.full.pdf?casa_token=Nitja_K6NyIAAAAA:FhoRVv49oyZq7cxSwpaRDivALbDn6aRE8Ga7L8YRvIek_tKp8Vfk-iwGXK4y0Hav5G1oibi3Q728JMqY


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上写真は慢性肝炎、肝硬変に続発した肝細胞癌。
下写真 

から引用。


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刺激伝導系と不整脈

刺激伝導系(特殊心筋)

洞結節→房室結節→ヒス束→右脚、左脚→プルキンエ線維

 

洞房結節と潜在性ペースメーカーの自発性興奮発生頻度(回/分)

洞結節(ペースメーカー) 708050150速い

潜在性ペースメーカー

房室結節 4060

ヒス束 右脚、左脚 4050

プルキンエ線維 3060 比較的速い

ペースメーカーではない心筋=固有心筋(本来の作業心筋)

 心室筋肉 30~40 遅い

 

洞結節

ペースメーカー細胞ともいう

電気刺激の発生の源といわている

正常な状態で、6080/分ぐらいのペースで刺激を発生させます

これが障害されると、電気信号不全となり、徐脈や頻脈など不整脈が起こります。

 

房室結節。

これは洞房結節から心房へ伝わった興奮を心室全体に伝える最初の部分。

自動能もあり,第二のペースメーカーとも呼ばれる。

伝導速度が遅いため、心房と心室の収縮に時間差を持たせることができ、正常な状態では心房からの興奮をヒス束に伝えますが、

もし、洞結節の作るリズムが途絶えた場合、房室結節の持つ自動能が、調律の機能をある程度補助してくれます。

 

 

洞結節は一分間に60回〜80回の電気刺激を送っています。しかも自律神経と同調しているため、さらに多くの電気刺激を心臓へ送ることができ、脈を早くすることができる

一方、房室結節は40回〜60回しか電気刺激を送ることが出来ないため、徐脈になる

 

心室は20回〜40回しか電気刺激を送ることが出来ない。

つまり、あくまで房室結節や心室の電気刺激頻度は補助的な物であり、洞結節の機能が不十分な時に使われます。 

 

ヒス束

ヒス束自体に大きな役割はないと言われている。興奮を伝えるという程度。

右脚と左脚に分かれる付け根にあたる

 

右脚、左脚、プルキンエ線維

ヒス束からの刺激は、右脚、左脚を通り、プルキンエ線維に至ります!

右脚は右心室側、左脚は左心室側へ電気刺激を伝えます。

 

早い伝導速度を有するプルキンエ線維があることで心室全体に刺激をすばやく拡げ、その後一斉に心室筋が収縮することが可能になる。

 

伝導速度

心房 1m/sec

房室結節 0.050.1m/secと急に遅くなる

プルキンエ線維では24m/secと速くなる

房室結節で遅くなるのは、左房の収縮が終わってから左室の収縮が始まるように、時間を稼ぐ

心筋の伝導速度は0.5〜1m/secと遅くなる

 

参考文献

https://ameblo.jp/susumukun0805/entry-11554032702.html

https://www.kango-roo.com/learning/1660/

https://www.hanakonote.com/kaibouseiri/sinzo.html

https://www.anatomy.tokyo/systematic/%E7%B3%BB%E7%B5%B12-%E5%BE%AA%E7%92%B0%E5%99%A8%E7%B3%BB/%E7%B3%BB%E7%B5%B12-2-%E5%BF%83%E8%87%93/%E5%88%BA%E6%BF%80%E4%BC%9D%E5%B0%8E%E7%B3%BB-%E2%88%92-%E8%87%AA%E5%8B%95%E8%83%BD%E3%81%AE%E4%BB%95%E7%B5%84%E3%81%BF/

https://med.toaeiyo.co.jp/contents/cardio-terms/anatomy-function/1-16.html

 



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P波がみつからない心電図

https://www.kango-roo.com/learning/1782/

 

6の心電図の心房の1周の時間を計測すると、5コマ。

0.04×5=0.2秒。0.2秒で興奮が右心房を1周する。

人間の心臓では心房1周0.2秒は、どの人もほぼ同じ。これを1分間に換算すると、1500÷5(60÷0.2)=300/

つまり1分間に(心房を)300周することになり、1周を心房収縮1回と考えれば、心房心拍数は300回になる。心房筋は心室筋よりも不応期が短く、短時間に出される命令にもよく反応するので、300/分の心拍数もありえる。

心房内の興奮1周ごとに房室結節に1回信号が入りる。つまり、0.2秒に1回、1分間では300回の信号が入る。これをすべて心室に伝導してしまうと心室の心拍数は300/分になってしまいます。

心室はたまったものではないが、そもそもそんな頻度で伝導できるほど房室結節は働き者ではありません。

房室結節に入る信号の何回に1回を心室に伝えるかを伝導比といいます。

心房粗動の場合、1:1の伝導比なら心室興奮は0.2秒間隔、心拍数300/分ですが、これは通常ありえません

2:1の伝導比では、1回はブロックされますから0.4秒に1回の心室興奮で、心拍数は150/分、3:1で100/分、4:1で75/分になります。つまり、心拍数は伝導比によって300の約数になります。これを心房粗動の300の法則といいます。

一般には2:1、4:1の伝導比が多く、心拍数は15075/分になります。

リエントリーとは

簡単にいうと興奮の旋回で、その輪のなかには、一度興奮した心筋が不応期から脱するための時間的余裕をつくるためにゆっくり伝導してタメをつくる部分が必要です。ゆっくり伝導してタメをつくる……まさに房室結節ですね。房室結節を含むリエントリー回路を興奮がグルグル回っている不整脈がPSVTです。

 

この回路は2種類ある。

1つは、房室結節周囲で興奮はゆっくり時間をかけて房室結節内に入って、比較的速い速度で房室結節から心房側へ抜けるルートです。ゆっくり伝導する経路をslow pathway(スローパスウェイ)、素早く伝導する経路をfast pathway(ファストパスウェイ)といいます。

9の心電図では、誘導、誘導、aVFQRS波の直後に陰性のP波が見られます。

このP波は、洞性ではなく房室結節から素早い伝導(ファストパスウェイ)で心房に入って、心房を下から上に興奮させますので、誘導、誘導、aVFでは陰性のP波(非洞性なのでP′波とします)が見られます。この心房興奮は時間をかけて房室結節内をヒス束に伝導(スローパスウェイ)して心室を興奮させますから、P′波から次のQRS波は間隔が空いています。

房室結節を含めて、その周囲を旋回しているリエントリー回路によるPSVTで、房室結節回帰性頻拍:AVNRTといいます(図10)。心房興奮(P′波)からヒス束までの伝導時間によっては、P′波がQRS波内に埋もれて判別できないことがあります


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PSVT
https://med.toaeiyo.co.jp/contents/cardio-terms/disease/3-46.html

発作性上室性頻拍〈paroxysmal supraventricular tachycardia;PSVT〉

洞結節、心房ないし房室結節より生じる頻拍発作の総称で、発生機序としてはリエントリー(回帰)や自動能亢進が関与する。
発作性上室性頻拍には
)室七訐瓮螢┘鵐肇蝓疾頻拍(atrioventricular[nodal]reentrant tachycardia;AVNRT)、
∨室璽螢┘鵐肇蝓疾頻拍(atrioventricular reciprocating tachycardia;AVRT)、
心房内リエントリー性頻拍(intraatrial reentrant tachycardia;IART)、
て況訐畧リエントリー性頻拍(sinus nodal reentrant tachycardia;SNRT)、
グ杤蠕心房性頻拍
がある(図)。
AVNRTとAVRTで発作性上室性頻拍の約90%を占める。


心電図の特徴
P波は多くが逆行性、QRSと重なり認められないことが多い
RR間隔は一定で幅の狭いQRSを示すが、wide QRSで心室頻拍との鑑別を要することもある。
心拍数は100〜200/分である。

症状として動悸、めまい、胸部圧迫感などがあるが、心拍数が200/分近くに達すると眼前暗黒感や失神発作を起こすこともある。



3-46psvt

カルバペネム耐性腸内細菌科細菌について
CRE(carbapenem-resistant Enterobacteriaceae)


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厚生労働省届け出
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-140912-1.html

カルバペネム耐性腸内細菌科細菌の届け出は、
分離・同定による腸内細菌科細菌の検出、かつ、次のいずれかによるカルバペネム系薬剤及び広域β−ラクタム剤に対する耐性の確認
ア メロペネムのMIC値が2 μg/ml以上であること、又はメロペネムの感受性ディスク(KB)の阻止円の直径が 22 舒焚爾任△襪海
イ 次のいずれにも該当することの確認
(ア)イミペネムのMIC値が2 μg/ml以上であること、又はイミペネムの感受性ディスク(KB)の阻止円の直径が22 舒焚爾任△襪海
(イ)セフメタゾールのMIC値が64 μg/ml以上であること、又はセフメタゾールの感受性ディスク(KB)の阻止円の直径が12 舒焚爾任△襪海


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定義
ベクトンアンドデッキンソン
https://www.bdj.co.jp/safety/articles/ignazzo/hkdqj200000u4umw.html

CRE は一言で言うとカルバペネムに耐性を示す腸内細菌科細菌である。菌種は腸内細菌科(Enterobacteriaceae)に限定される。
  • イミペネム(IPM)の最小発育阻止濃度(MIC)≧2μg/mLかつセフメタゾール(CMZ)のMIC≧64μg/mL
  • または, メロペネム(MEPM)のMIC≧2μg/mLを示す

腸内細菌科の菌とは
グラム陰性の通性嫌気性桿菌でブドウ糖を発酵し、芽胞を形成せず、硝酸塩を還元して亜硝酸にする性状を有している菌を指している。腸内細菌科の代表的な菌としては大腸菌や肺炎桿菌などがあり、それぞれエシェリキア属とクレブシエラ属に属している。腸内細菌科のその他の菌として、エンテロバクター属、シトロバクター属、プロテウス属、セラチア属など20数種の属の菌がある。通常、これらの菌はヒトや動物の腸内に常在し、腸管内で病原性を示すことはない。しかし赤痢菌、サルモネラ、ペスト菌など通常ヒトが保菌していない菌も腸内細菌科に含まれており、これらの菌はいったん腸管内に入ると増殖して病原性を示す。

腸内細菌とは
腸内細菌は一般的に、通常、腸内に生息しているすべての菌を指している。これらにはグラム陽性球菌である腸球菌などがある。


耐性機序
細菌の耐性機序として、代表的なものはβ-ラクタム系抗菌薬の分解酵素であるβ-ラクタマーゼの産生がある。
β-ラクタマーゼの中にはカルバペネマーゼと呼ばれるカルバペネム分解酵素があり、CRE はこのカルバペネマーゼを産生することで、カルバペネムに耐性を示す。
カルバペネマーゼは大きく分けてClass A,B,Dの3つに分類することができる。
  • Class Aの代表格がKPC(Klebsiella pneumoniae Carbapenemase)型と呼ばれるタイプである。
  • Class Bのメタロ-β-ラクタマーゼというタイプの中には主に日本で多くみられるIMP型や、インドから世界中に広がっているNDM(New Delhi metallo- β-Lactamase) 型などがある。
  • 欧州ではClass Dの OXA-48型などと呼ばれる別のタイプのカルバペネマーゼもみられている。
カルバペネマーゼはカルバペネム系抗菌薬だけでなく、ペニシリンおよびセフェム系の抗菌薬にも耐性を示すため、基本的にβ-ラクタム系抗菌薬はほとんど全てに耐性を示す
CRE は、β-ラクタム系抗菌薬以外の抗菌薬に対する耐性遺伝子を同時に保有している割合が高く、ニューキノロン系抗菌薬やアミノグリコシド系抗菌薬などにも耐性を示す場合も多い


CRE感染症の治療
CRE感染症の治療についての報告は, 海外のCPE(特にK. pneumoniae carbapenemase: KPC)感染症に対するものがほとんどで, 無作為試験の報告はない。
わが国でのCRE感染症の治療の参考にする上では注意が必要で, その主なポイントをまとめてみる。

カルバペネム
CREは、文字通りカルバペネム非感性("R")ではあるが, MICの値によっては, 治療の選択肢になり得る。
カルバペネム単剤で治療した場合は, MIC≦1μg/mLであれば治療予後が良いが, MIC≧2μg/mLだと予後不良と報告されている。
併用療法では, 感受性のある薬剤と併用する場合にはMIC≦8μg/mLの場合は比較的予後が良好であるとされる。

コリスチン
環状ペプチド系抗菌薬に属する。Serratia属菌やProteus属菌には無効で, 単剤治療におけるMICの上昇や, プラスミド性の耐性機序がすでに知られている。副作用として腎障害や神経障害に注意が必要である。
チゲサイクリン
グリシルサイクリン系抗菌薬で腸内細菌科細菌やグラム陽性菌にも抗菌活性があり, 併用療法で用いられる。悪心などの消化器症状が主な副作用である。
日本化学療法学会指針。
チゲサイクリン
http://www.chemotherapy.or.jp/guideline/chigesaikurin2014.pdf

添付文書
https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00060783.pdf

併用療法
抗菌薬の併用療法が用いられる目的は, 抗菌薬のスペクトラムの拡大による不適切治療の減少, 併用による相乗効果の期待, さらには薬剤耐性誘導の阻害などが挙げられる。
CRE感染症治療においても, 感受性検査結果で感受性のある薬剤(上記の他にもアミノグリコシドやホスホマイシンなどを含む)の併用療法が有効であるとされているが, 最近の多施設での後方視的コホート研究では, CPEによる菌血症患者において, 併用療法のメリットは死亡率の高いハイリスクの集団に限られると報告されている。併用療法では副作用のリスクは増大するため, 常に効果と副作用のバランスを考慮することが重要である。


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CREは、カルバペネムに耐性を獲得した腸内細菌科細菌の総称。
国立感染症研究所
https://www.med.nagoya-u.ac.jp/kansenseigyo/kousei/kousei1/CRE%20Fact%20Sheet%2020140530.pdf


菌種は、
  • 肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)が主で
  • 大腸菌(Escherichia coli)
が多い。
これらの菌種は、ヒトや動物の腸管内などで生育可能で、ヒト腸管常在性のグラム陰性桿菌である。ヒトや家畜の糞便で汚染された下水や河川などでも生育可能な菌種である。
CREが獲得しているカルバペネム耐性機構は、
  • 1990年代まではカルバペネムを分解するVIM型やIMP型のメタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)の産生が主流を占めていた
  • 1990年代の後半より、米国のノースカロライナ州近辺の病院でKPC型カルバペネマーゼを産生する肺炎桿菌が出現した。これらは2012年にはほぼ全米に広がった。
  • 2000年代に入るとトルコで検出されはじめ、その後、欧州全体に広がりつつある。
  • 2000年代の後半から、インドやパキスタン地域からあらたにNDM型のカルバペネマーゼ(MBL)を産生する肺炎桿菌などが広がり始めた。
  • 中東やバルカン諸国から2010以降、世界各地に急速に広がりつつある。

各種MBLやKPC型、OXA-48型カルバペネマーゼを産生するCREは、フルオロキノロンやアミノグリ
コシドなど他の系統にも多剤耐性を示す傾向が強い。
CREによる感染症は、肺炎、血流感染症、尿路感
染症、手術部位感染症、膿瘍等多様であり、治療に難渋する事例が多いが、特に敗血症(bacteremia)
の際には、最大で半数近くが死亡すると報告されている。


国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/cre-m/cre-idwrs/9781-cre-191227.html

2014年9月19日よりカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)感染症が感染症法に基づく5類全数把握対象疾患となり、CRE感染症発症患者が報告されるようになった。届出対象はCREによる感染症を発症した患者であり、保菌者は対象外である。

2019年12月27日現在、2018年第1週[2018年1月1日]〜第52週[2018年12月30日]に診断されたCRE感染症は2,289例であり(図1)、うち届出時点の死亡例は71例(3%)であった。

尿路感染症 755例(33%)、肺炎476例(21%)、菌血症・敗血症 254例(11%)の順に多かった。菌種は、Klebsiella aerogenes 880例(38%)、Enterobacter cloacae 636例(28%)、Klebsiella pneumoniae 204例(9%)、Escherichia coli 167例(7%)の順に多く報告された。

薬剤耐性をメロペネムの基準で判定した症例は1,032例 (45%)、イミペネムかつセフメタゾールの基準で判定した症例は1,847例 (81%)であった。また、両者の基準で判定した症例が629例(27%)あった。
CREは全ての都道府県から報告されており、東京都 234例(10%)、神奈川県233例(10%)、大阪府195例(9%)の順に報告数が多かった。

2018年の報告は1600例前後で推移していた2015年−2017年と比べ増加していた。2018年の報告は、診断名および分離検体の内訳は2017年までの届出と同様の傾向であった。分離菌種は2017年からE. cloacaeに代わりK. aerogenesが最も多く報告されるようになり、2018年も引き続き、K. aerogenesの報告数とCREに占める報告割合が増加していた。 

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CDC
https://www.cdc.gov/hai/organisms/cre/

How does CDC define CRE?
Enterobacteriaceae that test resistant to at least one of the carbapenem antibiotics (ertapenem, meropenem, doripenem, or imipenem) or produce a carbapenemase (an enzyme that can make them resistant to carbapenem antibiotics) are called CRE.


国立感染症研究所の翻訳
https://www.niid.go.jp/niid/ja/drug-resistance-bacteria-m/3306-carbapenem-qa.html


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図はCarbapenem-resistant Enterobacteriaceae (CRE) Infection, Japan
東京、神奈川、大阪、愛知、福岡で多い。

https://www.niid.go.jp/niid/en/iasr-vol40-e/865-iasr/8625-468te.html

468tef02

血管内カテーテル関連感染症(catheter-related blood stream infection: CRBSI)について


シスメックス
https://primary-care.sysmex.co.jp/speed-search/disease/index.cgi?c=disease-2&pk=11
臨床医マニュアルを編集した

定義
1. 血管内カテーテルに伴う感染症で,中心静脈カテーテルがその大部分を占める.
2. 不必要なカテーテルは入れない.
3. カテーテルは不要になればすぐ抜去する.末梢静脈カテーテルや動脈カテーテルも同様.
4. CRBSI を疑えば即座に培養検体提出とエンピリックな治療を開始する.
5. 転移性感染が生じていないか厳重に監視し,感染を疑えば迅速に対応する.

診断
1. カテーテルが挿入されている患者の感染巣の明らかでない発熱は,CRBSI を疑う.カテーテル刺入部の発赤や腫脹は,その所見があればCRBSI が強く疑われるが,その所見がなくても除外はできない(感度が低い).
2. 細菌学的検索のため以下の検体を提出する
1) 抜去したカテーテルの先端培養*
2) 刺入部に感染徴候がある場合にはその膿のグラム染色と培養
3) 血液培養2〜3 セットのうち1 セットは該当のカテーテルから採取してもよいが,コンタミネーションやカテーテルへの菌の定着を判断するため必ず直接穿刺による血液培養も同時に提出すること.
*単なるカテーテルの抜去や,入れ替えの際(すなわちCRBSI を疑う状況でない場合)にルーチンでカテーテルの先端培養を提出するのは無用である.



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血管内カテーテル関連感染症の診断と治療に関する実践的臨床ガイドライン :米国感染症学会による2009年改訂版
http://dcc.ncgm.go.jp/information/pdf/IDSA_CRBS_Guidelines2009.pdf

1. カテーテル培養はカテーテル関連血流感染症(CRBSI)を疑ってカテーテルを抜去した際に行う。カテーテル培養はルーチンに行うべきではない
*いわゆる抜去時の記念培養はとらない。

2. カテーテル先端の定性培養は推奨されない
*後述の如く、定量または半定量による細菌コロニー数により、真の感染か汚染かを判定する。

3. 中心静脈カテーテル(CVCか)については、皮下留置部分よりカテーテル先端を培養した方がよい
*皮下留置部分は常に汚染との鑑別を要する。

4. 抗菌処理されたカテーテルの先端培養を行うときは特異的な阻害剤を培地に入れる。
5. カテーテル先端 5cm の半定量培養(ロールプレート法)で 15 コロニー形成単位 (cfu)よりも多い、あるいは定量液体培養(超音波処理)で 10*2cfu よりも多く菌発育がみられた場合、カテーテルへの菌定着を示している。


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カテーテル先端培養
グラム染色道場
http://gram-stain-id.cocolog-nifty.com/blog/2016/03/post-7f03.html

半定量法
ロールプレート法(Makiの方法)など
IDSAのガイドラインでも記載のある方法。カテーテル先端を寒天培地の上に転がし(4回転以上)、翌日以降発育したコロニー数をカウントして診断に用いる。しかしローリングする方法なので外壁に付着したものを中心に検出ができ、内腔の菌は発育しにくい。陽性率はさほど高くない(Makiの論文では10%しかない)。

定量法
超音波法など
手間がかかるが、超音波法は半定量法に比べて20%以上感度が上がるとの報告あり。
カテーテル先端に10mlの液体培地を注ぎ、55000Hzで1分間超音波を掛ける。その後15秒間ボルテックスを行い、そのうちの0.1mlを9.9mlの生食(100倍)に混和し、100μLを血液寒天培地に接種する。

・10の2乗以上でカテーテル感染を疑う
・10の4乗以上で発育多数とする。
・ルーメンが異なる場合はコロニー数の差が3.6倍以上あればそのルーメンが感染源になる。
定量法は感度は良いが、カットオフ値以下である場合は感染症が見過ごされる可能性がある。


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6. カテーテル感染が疑われる状況でカテーテル刺入部に滲出物があるとき、滲出物の培養及びグラム染色を行う。

短期留置カテーテル
7. 短期留置型カテーテルのカテーテル先端培養は、ルーチンの臨床微生物検査にはロールプレート法が推奨される。
8. 肺動脈カテーテル感染を疑った場合、イントロデューサーの先端を培養に提出する。

長期留置カテーテル
9. カテーテルの刺入部とカテーテルハブの半定量培養で、同じ微生物を認めても、15cfu 未満であれば、カテーテルは血流感染源でないことを強く示唆する.
10. CRBSI の疑いのため静脈アクセス皮下ポートを抜去した場合、カテーテル先端の培養に加えて、ポートのリザーバー内容物を定性培養に提出する。

血液培養
11. 抗菌薬開始前に血液培養検体を採取する。
12. 可能であれば、フレボトミーチーム(採血チーム)が血液培養を採取する。
13. 皮膚から採血する場合の皮膚消毒は、ポピドンヨードよりも、アルコールまたはヨードチンキ(アルコール入りヨード)、クロルヘキシジンアルコール(0.5% より濃いもの)を用いて、コンタミネーションを防ぐために、十分な皮膚への接触時間及び乾燥時間を取るべきである.


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参考
Y's square
http://www.yoshida-pharm.com/2012/text03_01/


クロルヘキシジンアルコール、吉田製薬
https://yoshida-pharm.jp/files/pamphlet/66.pdf


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14. カテーテルから採血する場合には、カテーテルハブをアルコールまたはヨードチンキまたはクロルヘキシジンアルコール(0.5% より濃いもの)で消毒し、コンタミネーションを防ぐために十分乾燥させる。
15. CRBSI を疑った際、抗菌薬投与前にカテーテルと末梢静脈から1セットずつ計 2 セットの検体を採取し、ボトルにはどこから採取したかわかるように印をつけておく。
16. 血液検体が末梢静脈から採取できない場合には、異なるカテーテル・ルーメンから 2 セット以上の検体を採取することが奨められる。このような状況で全ての カテーテル・ルーメンから血液培養の検体を採取するべきかどうかは明らかでない。
17. CRBSI の確定診断には、少なくとも 1 セットの皮膚から採血した血液培養とカテーテル先端培養から同じ微生物が検出されることが必要である。もしくは 2つの血液培養検体(1 つはカテーテルハブ、
もう 1 つは末梢静脈から採血)で、CRBSI の基準(定量の血液培養結果、もしくは血液培養陽性化までの時間差 [DTP:differential time to positivity)を満たすことで確定診断することもできる。もしくは、2つのカテーテル・ルーメンから血液培養を定量培養して、一方のコロニー数が他方の 3 倍以上であれば、おそらく CRBSI を示唆する。この場合、DTP の基準は、使えるかどうかわかっていない。
18. 定量の血液培養については、カテーテルより採取した血液から検出される微生物のコロニー数が、末梢から採取されたもののコロニー数の 3 倍以上であれば、カテーテル関連血流感染症の確定になる。
19. DTP については、カテーテルから採取した血液検体の方が、末梢から採取された血液検体よりも少なくとも 2時間以上早く陽性になることをもってCRBSIの確定になる。
20. 定量血液培養または DTP については抗菌薬投与前の採取、かつボトルあたりの血液量を同じ量にする必要がある。
21. CRBSI に対する抗菌薬治療終了後にルーチンに血液培養を採取するべきかどうかについてのエビデンスは不十分である。


写真引用
The promise of novel technology for the prevention of intravascular device-related bloodstream infection. I. Pathogenesis and short-term devices. Christopher J Crnich, Dennis G Maki. Clin Infect Dis. 2002 May 1;34(9):1232-42. doi: 10.1086/339863. Epub 2002 Apr 2.
https://academic.oup.com/cid/article/34/9/1232/1993160

https://watermark.silverchair.com/34-9-1232.pdf?token=AQECAHi208BE49Ooan9kkhW_Ercy7Dm3ZL_9Cf3qfKAc485ysgAAApowggKWBgkqhkiG9w0BBwagggKHMIICgwIBADCCAnwGCSqGSIb3DQEHATAeBglghkgBZQMEAS4wEQQMOEaFf7r0vfX7BwJ8AgEQgIICTeU8aCYjBEwioHvR6_gWrPEP2lsjhZe3etsE1qgUeYDdxn5wRjCVrgRNm0djsQQ_bZaeGWYZNJsdcaJR_KWE7kkdpWvEzPPWae9SrC69UuL09X3rLEvO0jBx0sUaAeVfhUYKrj5sSQxED_XHcXlGqKfFdo5NtpnexHpSQOwOK6Y1gdLbpwm1zuHuftP3JFViHRpUYyk8-HkPT7tBtkOSv7PrUUfaRLm4Nqxm8aYjua1YxCZJ7nlfwasMKHaRrY9nMqiSFCrNruoiRdk-tXSs_67_AKwX6k86Wk1Opm75bj2V6-GsIPuTThG7D8yBKxGfYK9UzHyGyYfV8urXjmCEooGPYBsE9zxDA-Fd8Tqc5yeh0Zogn91JiL2lgSet75HGsVGipvSJThob4MgFv3pPPKvKeTjwjYuGACkSJF6ri6g1Wr8FWApfLGP662sSK8YREonWwNMi2qoOzLJJPTRIs1Uyz155mTRNX8PLtVnye-_kLTt0ICGFTwBhnQv8GggRsNvRpLJwuV3cenun-zBB2u95G1T09rzOTSJquMNPXIM_1vjgK6WOxGWpVOIJkvHESK4aF2BhkUM3tGBKc6IAHDbP7D_Pgqq1BYrg8GmsH163xj3Y8M06BpoqDXT1sJrS5t1q1dHRERLwLm_EmobiKwFY0wFUwxQLNYPhaMbXr56Vlr-WAmP5KQES8s4mkf7sDVCAjHzuaj_nM9qGAFwRZLso17xmp5AAupjwyF_Z0BQwU-yhrFNuxP1pK9U4NYFLuCoSwypHKFR-afExjOw




図1

Plesiomonas shigelloidesとは

国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/512-p-shigelloides.html

一部編集して記載。
プレジオモナス(Plesiomonas)は、1947年にヒト糞便から初めて分離された。
本菌はfamily Vibrionaceae (ビブリオ科)のPlesiomonas 属に分類されるが、本属に含まれる菌種はPlesiomonas shigelloides (プレジオモナス・シゲロイデス)のみである。Plesiomonas shigelloidesはヒト下痢症と関連し、日本では1982年(昭和57年)に食中毒菌に指定された。
ほとんどは散発の下痢症例で、海外渡航者下痢症の主要な原因菌にもなったり、汚染食品または水による集団発生例もある。

疫学
Plesiomonas shigelloidesは淡水域の常在菌で、河川、湖沼およびそこに生息する魚介類等に分布している。本菌感染症の発生は、それら自然環境の本菌による汚染が影響し、菌の増殖が活発な夏期に多い。
本菌の分離率は、地域、年、季節、検査方法などによって異なるが、全体的に熱帯および亜熱帯地域の開発途上国で高い。
日本では散発的に下痢症から分離されるPlesiomonas shigelloidesのほとんどは渡航者由来であり、本菌は渡航者下痢症の主要な原因菌となっている。


病原体の特徴
Plesiomonas shigelloidesは、
  • グラム陰性の通性嫌気性桿菌
  • 菌体の一端に2ないし数本の鞭毛を持つ。
  • 明らかな莢膜はみられない
  • 大部分の菌株には生菌のO 凝集を阻止する易熱性の莢膜様物質がある
  • 現在、98種類の菌体抗原(O抗原)と49種類の鞭毛抗原(H抗原)が確認され、これらのO抗原の中には赤痢菌との共通抗原の存在が明らかにされている。

治療
  • 軽症例:自然軽快する。特異的治療を必要としない。
  • 重症例:新生児、基礎疾患のある者、他の菌種との混合感染者はときに抗菌薬の投与が必要になる。
  • キノロン、セファロ スポリンに感受性がある
  • アンピシリン、カナマイシン、ストレプトマイシンには耐性株がみられる。
  • 予防は、一般の細菌性食中毒と同様である。


Plesiomonas shigelloides と Edwardsiella tarda による細菌性腸炎の 1 例
小児感染免疫,2014
http://www.jspid.jp/journal/full/02601/026010049.pdf
P. shigelloides はグラム陰性,無芽胞性,通性嫌気性桿菌で,菌体に数本の鞭毛を有する.腸内細菌科に分類されており,腸内細菌科のなかで唯一,オキシダーゼ試験陽性である.
菌名の shigelloides は赤痢菌,特にShigella sonnei に抗原性が類似することに由来している.熱帯・亜熱帯の河川,湖沼の水域に広く分布し淡水魚介類に常在する.
通常,下痢は水様性や粘液性で嘔吐を伴うことが多く,ときに 2 週間以上の長期に及ぶこともある.発熱は必ずしも伴わない.無治療でも数日で自然治癒することが多いが,高齢者,小児,基礎疾患がある患者では抗菌薬投与が考慮される.P. shigelloides はβ−ラクタマーゼを有しampicillin や piperacillin などのペニシリン系抗菌薬には耐性があり,アミノグリコシド系抗菌薬やtetracycline にも耐性を示すものが多い.このため治療にはセファロスポリン系やニューキノンロン系抗菌薬が使用される.腸管外感染症には敗血症,髄膜脳炎,蜂巣炎や膿瘍などの皮膚,軟部組織感染症が新生児や基礎疾患をもつ immunocompromised host で報告されている.



Plesiomonas shigelloides Revisited
Clinical Microbiology reviews, 2016
https://cmr.asm.org/content/29/2/349
https://cmr.asm.org/content/cmr/29/2/349.full.pdf



写真 培地から採取し、グラム染色した陰性桿菌菌体。
http://microbe-canvas.com/Bacteria.php?p=772

Plesiomonas shigelloides

パルスフィールドゲル電気泳動とは
Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89%E3%82%B2%E3%83%AB%E9%9B%BB%E6%B0%97%E6%B3%B3%E5%8B%95

パルスフィールドゲル電気泳動 pulsed-field gel electrophoresis (PFGE)とは、分子量の特に大きいDNA断片を分離するためのゲル電気泳動の1方法である。1982年に発明された。

10キロ塩基対(キロは1000を示す)程度以下の断片は, アガロースゲル電気泳動などで分子量による分離をすることができるが、数十キロ塩基対を超える場合には分子ふるい効果が働かずうまく分離しない。PFGEであれば数万キロ塩基対までの巨大なDNA分子を分離することができる。


医学細菌の分類・命名の情報 分類・同定に有用な方法とその適応範囲 河村 好
http://journal.kansensho.or.jp/Disp?pdf=0750121003.pdf

細菌を分類・同定する手法としては様々な方法がある.それぞれの方法には一長一短があり,また適応できる範囲が限られている場合が多い.
細菌を分類・同定するための方法としては大きく分けて、
1.形態観察
2.表現形質(生理・生化学性状)
3.化学分類指標(細胞壁組成,キノン分子種など)
4.蛋白分析(全菌体蛋白組成など)
5.DNA 分析(G+Cmol%,DNA 相同試験,塩基配列比較など)

従来の方法では形態観察から始まっていた.
  • コロニー性状
  • 菌体の形状や大きさ
  • 菌体の連なり具合
  • 鞭毛や芽胞の有無
  • グラム染色性
  • 特殊染色法での染色具合
  • 生化学性状(カタラーゼ,オキシダーゼ反応など)
などである。
これらの情報から所属する属を推定した.しかし,この方法ではひとつでも誤ったデータを誤ると、全く異なった菌群を想定して試験を進めてしまう.
一方、16S rRNA 塩基配列はデータが蓄積され,系統解析が容易にできるようになった。
16S rRNA 塩基配列データの適応範囲は科以上のレベルから属種の推定ができる。推定した属であることを確認するためにゲノムの G+Cmol%を測定し,また必要に応じて細胞壁組成やキノン分子種,脂肪酸分析などの属レベルの鑑別に有用な方法を行えば良いことになる

DNA プローブや RFLP(restriction fragment length polymorphism)は時に分類学的検討用のデータとして使われることもあるが,同定の目的に使われることが多い.また血清型,ファージ型,AP-PCR(arbitrarily primed PCR),パルスフィールド電気泳動,Ribotyping はいずれも株の識別によく使われ,院内感染発生時の疫学的な解析などに使われる方法である.



パルスフィールドゲル電気泳動
原理


腸管出血性大腸菌O157 集団発生事例の分子疫学調査 
http://www.eiken.pref.kanagawa.jp/005_databox/0504_jouhou/0601_eiken_news/files/eiken_news_117.pdf


新型コロナウィルスの胸部CT所見について

日本放射線学会 
  
コロナウィルス感染者21名を対象として発症からの期間を4つに分け、4日ごとにCTを撮影し、画像所見の変化について検討。 

1 早期(発症後0〜4日)では、 GGO(ground-glass opacity:すりガラス影)が主な所見で、肺下葉の胸膜下にみられる傾向にある。また、4例では、この時期に異常所見は見られず、5日目以降に出現した。 
 
2 進行期(発症後5〜8日)では、感染は一気に両側肺野、多葉性に拡がり、GGO、crazy-paving pattern(すりガラス影内部に網状影を伴う所見)、consolidation(浸潤影)を呈する。 

3 ピーク期(発症後9〜13日)では、ゆっくりと病態はピークへ向かい、dense consolidationが主体を占める。 

4 吸収期(発症後14日以降)では、consolidationは次第に吸収されてGGOに変化するが、crazy-paving patternはみられなかった。 

(文献:Feng Pan et al. Time Course of Lung Changes On Chest CT During Recovery From 2019 

Novel Coronavirus (COVID-19) Pneumonia. Radiology. Feb 13. 2020. 

https://doi.org/10.1148/radiol.2020200370) 
 
*コメント
これらはその他のウイルス性肺炎などと区別がつかない。確定診断はウイルスPCR検査などに依存する。 


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Radiopaedia 

 
Radiology report 

Plain radiograph 

The British Society of Thoracic Imaging (BSTI) have published a reporting proforma for the plain chest radiographic appearances of potential COVID-19 cases 168.  

classic/probable COVID-19 

lower lobe and peripheral predominant multiple opacities that are bilateral (>> unilateral) 

indeterminate for COVID-19 

does not fit classic or non-COVID-19 descriptors 

non-COVID-19 

pneumothorax / lobar pneumonia / pleural effusion(s) / pulmonary edema / other 

normal 

COVID-19 not excluded 

 

CT 

The Radiological Society of North America (RSNA) has released a consensus statement endorsed by the Society of Thoracic Radiology and the American College of Radiology (ACR) that classifies the CT appearance of COVID-19 into four categories for standardized reporting language 99: 

typical appearance 

peripheral, bilateral, GGO +/- consolidation or visible intralobular lines (“crazy paving” pattern) 

multifocal GGO of rounded morphology +/- consolidation or visible intralobular lines (“crazy paving” pattern) 

reverse halo sign or other findings of organizing pneumonia 

indeterminate appearance 

absence of typical CT findings and the presence of 

multifocal, diffuse, perihilar, or unilateral GGO +/- consolidation lacking a specific distribution and are non-rounded or non-peripheral 

few very small GGO with a non-rounded and non-peripheral distribution 

atypical appearance 

absence of typical or indeterminate features and the presence of 

isolated lobar or segmental consolidation without GGO 

discrete small nodules (e.g. centrilobular, tree-in-bud)  

lung cavitation 

smoother interlobular septal thickening with pleural effusion 

negative for pneumonia: no CT features to suggest pneumonia, in particular, absent GGO and consolidation 

A study evaluating the RSNA chest CT classification system for COVID-19 against RT-PCR results found moderate interobserver agreement. Using a cohort of 96 patients, it reported that 76.9-96.6% of "typical" scans, 51.2-64.1% of "indeterminate" scans, 2.8-5.3% "atypical" scans and 20-25% of "negative" scans returned a RT-PCR confirming COVID-19 99,147. 



典型的な胸部CT所見
Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) CT Findings: A Systematic Review and Meta-analysis
Journal of the American College of Radiology
Volume 17 Issue 6 Pages 701-709 (June 2020)

https://reader.elsevier.com/reader/sd/pii/S1546144020302623?token=DB05841AE8EA35D0654151E0CF88C255ECEF79CA67494BDC1A6CD8551A08D3C26D9A119F8BCF896C5F60CD264364A9C4


CT 図1

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