輸入真菌症とは元来、日本にはみられない感染症であり、多くは空気感染、接触感染で生じます。培養分離の際には胞子が空気中に飛散し、診療に携わる医師や技師にバイオハザードが生じる危険性があり、注意を要します。輸入真菌症に関する年別動向は千葉大学真菌病センターの統計を参考。
ヒストプラズマ症Histoplasmosisは通常、土壌中に存在する真菌で、特に米国ミシシッピ川流域、中南米に多いとされています。本邦での発症はみられず、海外からの輸入例で占められています。胞子である分生子吸入により、肺初感染しますが、その多くは自然治癒します。一部の例で結核様の肺空洞形成、HIV/AIDSなどの免疫不全者で全身播種症を来します。病理組織は米国で病理医であられる武井英博先生の論文参照。細胞内寄生真菌ですので、組織球内に充満する菌体を認めます。
コスタリカで洞窟探検した後に発症したヒストプラズマ症の報告があります。Am J Trop Med Hyg, 2004参照。1998-1999年に51人、2つのグループが洞窟内に入り、肺ヒストプラズマ症を来たしました。平均14日間の潜伏期間の後に、呼吸器症状で発症し、原因は洞窟内のコウモリの糞を吸入した事によるとされています。
CDCのホームページで紹介されている症例報告はこちら。
ヒストプラズマ症の場合には、血清、髄液に関して海外委託ではありますが、抗体検査も可能です。三菱化学メディエンス参照。
Arch Pathl Lab Med, 2007にヒストプラズマ症の培養と病理組織での同定を比較した関して論文が記載されています。以下参照。
真菌症診断における培養、病理、PCRを比較したCID, 2007の論文はこちら。
真菌症に関しては接合菌症は未だに有効な血清検査が確立されていません。ヒストプラズマ症を代表とするその他の真菌症も、宿主が高度な免疫不全の場合には例え感染していても、有為な抗体上昇をみない事もあります。抗原検査、組織学的形態同定などを組み合わせて、その後バイオハザード防止された培養検査レベルでの最終診断が望まれます。
写真は妙義山。
