現在、研修医向けに感染症と発熱に関する講義をまとめています。今回は発熱のパターンについて。

抗菌薬、ステロイド投与、免疫不全など様々な要素が関連し、典型的な"これだ"と言う感染症関連の発熱に遭遇する事は少なくなっています。でも典型例であれば、ツボにはまりますね。熱型は一般的に以下の如く分類されます。

a) 間欠熱intermittent fever: 1日のうちで37度以下になる時もあるが間欠的に高熱が出現する。最低体温が正常体温まで低下する。
(感染性疾患) 敗血症、膿瘍、腹膜炎、急性細菌性心内膜炎、粟粒結核
(非感染性疾患) 薬剤熱など
b) 弛張熱remittent fever: 一時的に37度台の微熱になる事があるが、高熱を繰り返す。最低体温が正常体温まで低下しない。
(感染性疾患) インフルエンザ、マイコプラズマ肺炎、レジオネラ肺炎、結核、亜急性細菌性心内膜炎、熱帯熱マラリアなど
(非感染性疾患) 薬剤熱、腫瘍熱など
c) 稽留熱sustained (continuous) fever: 解熱する事がなく、絶えず高熱が持続する。日差変動が1度を超えないもの。
(感染性疾患) 腸チフス(極期)、大葉性肺炎、オウム病、ツツガムシ病、感染性心内膜炎、デング熱など
(非感染性疾患) 薬剤熱、腫瘍熱など
d) 波状熱undulant fever:古典的ホジキンリンパ腫Hodgkin's lymphoma (HL)を含む悪性リンパ腫にみられるPel-Ebstein熱型が最も特徴的である。不規則な波状的発熱を繰り返す。3-10日間発熱が持続し、その後無熱期間が続き、再度高熱・無熱を繰り返す。
(感染性疾患) 腸チフス(極期)、大葉性肺炎、オウム病、ツツガムシ病、感染性心内膜炎、デング熱など
(非感染性疾患) 薬剤熱、腫瘍熱など。

以下、Pel-Ebstein feverについて調べてみました。

A J Med, 2002はこちらpdf。病理像と熱型が紹介されています。58歳、男性、5-7日間発熱が持続し、その後解熱。また3-4週間、無熱を繰り返すと言う症状が9ヶ月間もあった。多数の抗菌薬を使用されたあげく、腫脹していた頸部リンパ節を生検したら、HLであった。HE染色組織像は、背景に多彩な炎症細胞浸潤があり、その中にReed-Sternberg細胞を認めた(中央に大型の2核、鏡面形成細胞あり)。CD30, CD15の免疫染色が陽性。

J R Soc Med, 2001はこちらpdf。こちらも同様に原病歴と検査結果を紹介。横軸が64日間に設定されている、長期発熱。本症例は骨髄穿刺で骨髄異形性症候群MDS、リンパ節生検でHLと診断された。特徴的なのは白血球数が2,000-4,500、血沈ESRが30-110あたりを上下している。

Ann Hematol, 1996はこちらpdf。92日間に渡る無熱と発熱の繰り返し。無熱期間は15日前後みられる。

Pel-Ebstein feverは、HLの5-15%にみられます。その原因は、高サイトカイン血症によるものであると推定されています。HL自体はリンパ節を順次、連続して浸潤しますが、骨髄浸潤は比較的少ないです。汎血球減少を来すのは腫瘍浸潤よりはサイトカインなどの二次的要素が推定されています。

HLは病理学会コア画像も参照。RS細胞は非常に大型の細胞で、低倍率でも一見して判読可能です。中型のホジキン細胞も見逃さないように。悪性リンパ腫は一般的に高サイトカイン血症を来すため、非感染性発熱が出現します。