消毒薬2 消毒薬について。

系統別にみた分類を提示する。

参考(一部引用、編集):辻明良:感染制御のための消毒の基礎知識。


消毒薬を系統別に分類すると、
1) アルコール系、
2) ヨウ素系、
3) ビグアナイド系、
4) 第4級アンモニウム塩系、
5) 両性界面活性剤系、
6) 塩素系、
7) アルデヒド系、
8) 酸化剤系、
9) 電解酸性水、
などに大きく分かれる。以下、


1) アルコール系:消毒用エタノール、イソプロパノール:手指、皮膚、医療用具。細菌、結核菌、真菌、ウィルスに有効な広域スペクトラム。芽胞には無効。糸状菌、エンベロープを持たないウィルスには長時間作用させる必要がある。アルコールは蛋白を凝固させる(逆に表面を凝固させるため内部まで浸透しない)。バイオフィルム形成菌に対しては弱い。一般にイソプロパノールはエタノールより脂溶性が高いため、皮膚刺激性が強い。50%エタノール、30秒間の短時間殺菌効果がある。合成ゴム製品などを劣化させるため、長時間は浸透しない。


2) ヨウ素系:ポピヨンヨード、ポロクサマーヨード、ヨードチンキ:手指、創部。細菌、真菌、ウィルスなどに有効な広域スペクトラム。結核菌にも有効。有機物により不活化を受ける(血液・粘液などの付着物に直接使用しても効果が低い事がある)。


3) ビグアナイド系:クロルヘキシジングルコン酸塩:手指、創部、医療用具。1) 2) と比較して狭域スペクトラム。細菌、真菌には有効であるが、芽胞、結核菌、ウィルスには無効。有機物により抗菌力は減弱。口腔、膀胱、膣粘膜には使用禁止。*緑膿菌やアシネトバクターにより汚染される事があり、院内感染に注意する。


4) 第4級アンモニウム塩系:ベンザルコニウム塩化物、ベンザトニウム塩化物:医療用具、粘膜。3) と同様狭域。陽イオンを電離し、抗菌作用を発揮する。虐政石けん、陽性石けんと呼ばれる。通常の石けんとの混用で効力は低下する。綿球、リネン、タオルなどに吸着しやすく、綿球浸透製剤などで使用される。


5) 両性界面活性剤系:アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩:医療用具。テゴー51などが知られる。細菌、真菌には有効。結核菌は抵抗性。芽胞、ウィルスには無効。脱脂作用があり、手指などには不適。


6) 塩素系:次亜塩素酸ナトリウム、ジクロルイソシアヌール酸ナトリウム:ウィルス汚染物。細菌、真菌、ウィルスには広域に有効。芽胞、結核菌にも有効。特にエンベロープを有するウィルス(B型肝炎ウィルス)に有効である事が重要。床上のウィルス汚染物や血液の処理は、注ぎ5分以上待ってから拭き取る。金属腐食性があるため、それへの使用は避ける。希釈液は不安定であるため、用事調製が必要である(*原則、作り置きは推奨されない)。


7) アルデヒド系:グルタラールフタラール:内視鏡。芽胞、ウィルスも含む微生物に有効な広域スペクトラムを有する。血液などの有機物が存在しても有効。昔はホルムアルデヒド(ホルマリン)が使用されたが、ホルムアルデヒドは揮発性がより高く、有害な粘膜刺激ガスを発生し、発癌性があるため、消毒薬としては使用されなくなった。*ホルマリンはその吸入により鼻腔周囲の癌発生が報告されている。


8) 酸化剤系:過酢酸、過酸化水素水:内視鏡や創傷部。芽胞、ウィルスも含む微生物に有効な広域スペクトラムを有する。過酢酸は5分間での短時間殺菌効果あり。過酸化水素水はカタラーゼにより発生する酸素の泡で洗浄効果がある。過酢酸は鉄などの金属を腐食させ、ゴムを劣化させる事があるため注意を要する。
 

9) 電解酸性水:強酸性水。水道水に微量食塩を加え、電気分解した時に得られるpH 2.7以下の溶液を指す。強酸性水、超酸性水、アクア酸性水などと呼ばれる。酸性水の殺菌作用の本態は次亜塩素酸である。光、空気で分解される。水道水を使用しているため、体腔内などの使用には問題がある。Water messageのホームページも参照。*NDM-1にも有効としているが、一般家庭での過度な殺菌の必要性は低いと考える。業務用との記載もあるが、100万円近くもする機器がどこまで必要か。


その他、上記消毒薬以外に、薬液入製品である消毒用アルコールタオル製剤を環境整備用に使用しています:白十字社:ショードック:こちら

 

 

写真は各種消毒剤:左から、ステリクロン・エタノール(クロルヘキシジン+エタノール製剤)、ホエスミン(ベンザルコニウム:第4級アンモニウム)、クレゾール(フェノール系)、ヨードチンキ(ヨウ素系)。