aiuみなさんの所属している施設では、院内感染防止対策を行っていますでしょうか。行っているのであれば、なんのために行っていますか。

日本には、昭和23年に制定された「医療法」があり、これに基づいた医療の提供の体制確保と、国民の健康の保持を行っており、医療機関に関する法律です。
漫然と医療・医業を行っていれば質の維持が困難なため、必要に応じ、国が病院内に立ち入り(キチンと感染防止対策をしているかどうか見回る)をします。これが医療法第25条です。
「第25条」
都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長は、必要があると認めるときは、病院、診療所若しくは助産所の開設者若しくは管理者に対し、必要な報告を命じ、又は当該職員に、病院、診療所若しくは助産所に立ち入り、その有する人員若しくは清潔保持の状況、構造設備若しくは診療録、助産録、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

第25条の中には、以下の如く、細かい規定、指示があります。
厚生労働省の資料pdf。一部編集して記載。*下線は私が注釈しました。
「医療施設における院内感染の防止について」
院内感染防止に関する留意事項。
院内感染とは、
1) 医療施設において患者が原疾患とは別に新たに罹患した感染症、
2) 医療従事者等が医療施設内において感染した感染症
の事である。
院内感染は、人から人へ直接、又は医療器具等を媒介して発生する。特に、免疫力の低下した患者、未熟児、老人等の易感染患者は、通常の病原微生物のみならず、感染力の弱い微生物によっても、院内感染を起こす可能性がある。このため、院内感染防止対策は、個々の医療従事者ごとに対策を行うのではなく、医療施設全体として対策に取り組むことが必要である。

(感染制御の組織化)
1. 病院長などの医療施設の管理者が積極的に感染制御に関わるとともに、診療部門、看護部門、薬剤部門、臨床検査部門、事務部門等の各部門を代表する職員により構成される「院内感染対策委員会」を設け、院内感染に関する技術的事項等を検討するとともに、全ての職員に対する組織的な対応方針の指示や教育等を行うこと。
2. 院内全体で活用できる総合的な院内感染対策マニュアルを整備し、また、必要に応じて、各部門ごとにそれぞれ特有の対策を盛り込んだマニュアルを整備すること。これらのマニュアルは、最新の科学的根拠や院内体制の実態に基づき適時見直しを行うこと。
3. 検体からの薬剤耐性菌の検出情報等、院内感染対策に重要な情報が、臨床検査部門から診療部門へ迅速に伝達されるよう、院内部門間の感染症情報の共有体制を確立すること。

(標準予防策と感染経路別予防策等)
1. 感染防止の基本として、例えば手袋・ガウン・マスク等の個人用防護具を、感染性物質に接する可能性に応じて適切に配備し、医療従事者にその使用法を正しく周知する等の標準的予防策を実施するとともに、必要に応じ、院内部門や、対象患者及び対象病原微生物等の特性に対応した感染経路別予防策(空気予防策、飛沫予防策、接触予防策)を実施することにより、易感染患者を防御する環境整備に努めること。
2. 集中治療室などの清潔領域への入室に際して、履物交換と個人用防護具着用を一律に常時実施することによる感染防止効果が認められないことから、院内感染防止を目的としては、必ずしも実施する必要はないこと。*一足法の推進

(手洗い及び手指消毒)
1. 手洗い及び手指消毒のための設備・備品等を整備するとともに、患者処置の前後には必ず手指消毒を行うこと。
2. 手術時手洗い及び手指消毒の方法としては、持続殺菌効果のある速乾性擦式消毒薬(アルコール製剤等)による消毒又は手術時手洗い用の外用消毒薬(クロルヘキシジン・スクラブ製剤、ポビドンヨード・スクラブ製剤等)と流水による消毒を基本とし、流水を使用した手指消毒においても、アルコール製剤等による擦式消毒を併用することが望ましいこと。
 
(職業感染防止)
1. 注射針の使用の際、針刺しによる医療従事者等への感染を防止するため、使用済みの注射針に再びキャップするいわゆる「リキャップ」を原則として禁止し、注射針専用の廃棄容器等を適切に配置するとともに、診療の状況等必要に応じて、針刺しの防止に配慮した安全器材の活用を検討するなど、医療従事者等を対象とした適切な感染予防対策を講じること。
(環境整備と環境微生物調査)
2. 空調設備、給湯設備等、院内感染対策に有用な設備の適切な整備や、院内の清掃などを行い、院内の環境管理を適切に行うこと。
3. 環境整備の基本は清掃であるが、その際一律に広範囲の環境消毒を行わないこと。血液もしくは体液による汚染がある場合は、汚染局所の清拭除去及び消毒を基本とすること。
4. ドアノブ、ベッド柵など、医療従事者や患者が頻繁に接触する箇所については、定期的に清拭し、必要に応じてアルコール消毒を行うこと。
5. 消毒薬の噴霧、散布、薫(くん)蒸や紫外線照射などは効果が不確実であるだけでなく、作業者への危険性もあることから、これらの方法については、単に病室等を無菌状態とすることを目的として漫然と実施しないこと。
6. 粘着マット及び薬液浸漬マットについては、感染防止効果が認められないことから、原則として、院内感染防止の目的としては、これらを使用しないこと。
7. 定期的な環境微生物検査は必ずしも施設の清潔度の指標とは相関しないことから、一律に実施するのではなく、例えば、院内感染経路を疫学的に把握する際に行う等、必要な場合に限定して実施すること。

(医療材料、医療機器等の洗浄、消毒、滅菌)
8. 医療材料、医療機器等を安全に管理し、適切な洗浄、消毒又は滅菌を行うとともに、消毒薬や滅菌用ガスが生体に有害な影響を与えないよう十分に配慮すること。
9. 使用済みの医療材料は、消毒、滅菌に先立ち、洗浄を十分行うことが必要であるが、その方法としては、現場での一次洗浄は極力行わずに、可能な限り中央部門で一括して十分な洗浄を行うこと。

(手術と感染防止)
1. 手術室は、空調設備により周辺の各室に対して陽圧を維持し、清浄な空気を供給するとともに、清掃が容易にできる構造とすること。
2. 手術室内を無菌状態とすることを目的とした、消毒薬を使用した床消毒については、日常的に行う必要はないこと。
3. 水道水と滅菌水による手洗いを比較した場合でも有意な手指の減菌効果の差が認められず、清潔な流水で十分であるとされていることから、必ずしも滅菌水を使用する必要はないこと。

(新生児集中治療部門での対応)
1. 保育器の日常的な消毒は必ずしも必要ではないが、消毒薬を使用した場合には、その残留毒性に十分注意を払うこと。
2. 新生児集中治療管理室においては、特に未熟児などの易感染状態の患児を取り扱うことが多いことから、カテーテル等の器材を介した院内感染防止に留意し、気道吸引や創傷処置においても適切な無菌操作に努めること。

(感染性廃棄物の処理)
感染性廃棄物の処理については、「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」(平成16年)に掲げられた基準を遵守し、適切な方法で取り扱うこと。
廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアルはこちら


我々、医療従事者は「法律を守る」ために医療を行っているのではありません。しかし、ルールや指標が無ければ、その現場は、個々人が解釈した根拠の乏しい方法、「おらが村ルール」に陥りがちです。
例え、保健所や国が立ち入る事が無くても、患者さんやその家族、引いては自分達、医療従事者を守るための、感染防止対策に努めたいものです。

写真は高知県にある竜串