新生児黄疸の HE 染色を述べる。新生児黄疸では高度の胆汁うっ滞が特徴的である。茶褐色調の色素が散在性に認められる。

論文のレビュー。
新生児の巨細胞性肝炎、病理組織学的レビュー:Am J Surg Pathol. 2010 Oct;34(10):1498-503. Neonatal giant cell hepatitis: histological and etiological findings. Torbenson M, Hart J, Westerhoff M, Azzam RK, Elgendi A, Mziray-Andrew HC, Kim GE, Scheimann A. アブストラクトpdf
新生児巨細胞性肝炎 (NGCH) は黄疸を来す新生児疾患として重要である。
1984-2007年に肝生検を施行した症例を検討した。胆道閉鎖症、肝内胆管減少症、栄養療法に関連した肝障害、α-1アンチトリプシン欠損症は除外した。肝生検は胆汁うっ滞、巨細胞性変化、髄外造血、炎症細胞浸潤および線維化を認めた。
62例の NGCH を検討した。73% は男児であった。肝生検を施行した時点では平均して生後2ヶ月であった。巨細胞性変化は平均 36% に認められた(5%-90%)。髄外造血は74% と比較的多数に認められた。髄外造血には顆粒球系造血と赤芽球頸造血が優位であった。「肝炎」という名称が付く巨細胞性肝炎ではあるが、門脈域および肝小葉の炎症細胞浸潤は軽度から全くないものが95%であった。小葉内の胆汁うっ滞は軽度から中等度であった。これら胆汁うっ滞は肝細胞内細胆管パターンが84%と多かった。胆管は低形成であったものがみられた (全体の32%) が、欠損あるいは減少している訳では無かった。一方で、18% の症例は軽度で散在性の胆管増生を認めた。門脈行くあるいは肝細胞索周囲の線維化は30% にみられた。線維化の進行例は8%であった。原因別に分けると、特発性 (49%)、甲状腺機能低下症 (16%)、胆道閉鎖症 (8%)、アラジール Alagille 症候群 (6%)、胆汁酸塩欠損症  (6%)。
厳密には生検の形態学的所見のみでは、胆管減少症、甲状腺機能低下症などとの鑑別診断は完全には不可能である。
原因が判明した巨細胞性肝炎では甲状腺機能低下症が最多であったが、特発性など原因不明のものが多い。


新生児黄疸では先天性胆道閉鎖症を確実に診断する事が重要である。解剖学的異常があれば外科手術により改善される。しかし解剖学的異常が認められず、高度の黄疸を認めた場合には肝生検を必要とする。