2ラテン語について。
医学において、ラテン語は切っても切り離せない。今でも解剖学用語などでラテン語が使用されているからだ。 
参考:
Wikipedia
一部編集して記載。


ラテン語は、インド・ヨーロッパ語族のイタリック語派の言語の一つである。ラテン・ファリスク語群。

元々は古代ローマ共和国の公用語として広く普及した古代言語である。西ローマ帝国滅亡後もラテン語はローマ文化圏の古典文学を伝承する重要な役をはたし、勢力を伸ばすキリスト教会を通してカトリック教会の公用語としてヨーロッパ各地へ広まり、宗教用語などとして使用されるようになった。
中世には、中世ラテン語として成長。ルネッサンスを迎えて、自然科学・人文科学・哲学のための知識階級の言語となる。
さらにラテン語は、読書き主体の文献言語や学術用語として近世のヨーロッパまで発展存続した。
現在もバチカンの公用語であるが、ラテン語の文章は、日常ではほとんど使われなくなった。しかし、各種学会・医学・自然科学・数学・哲学・工業技術など各専門知識分野では、世界共通の学名としてラテン語名を付けて公表する伝統があり、新発見をラテン語の学術論文として発表するなど用いられ続けている。 


ラテン語の発祥
イタリア半島中部のラティウム地方(ローマを中心とした地域、現イタリア・ラツィオ州)においてラテン人により用いられていた言語であった。その後ローマ帝国の公用語となった。
ギリシア語から多くの語彙を取り入れ、学問・思想などの活動にも使用されるようになった。東ローマ帝国においてはやがてギリシア語が優勢になったが、今日の西ヨーロッパに相当する地域においてはローマ帝国滅亡後もローマ・カトリック教会の公用語となり、長らく文語の地位を保った。現在でもバチカン市国の公用語はラテン語である。
 
中世においては公式文書や学術関係の書物の多くはラテン語(中世ラテン語、教会ラテン語)で記され、この慣習は現在でも残っている。
現在でも生物の学名はラテン語を使用する規則になっている。元素の名前もラテン語がほとんどである。法学においては多くのローマ法の格言や法用語が残っている。19世紀までヨーロッパ各国の大学では学位論文をラテン語で書くことに定められていた。
今日のロマンス諸語(東ロマンス語 : イタリア語・ルーマニア語、西ロマンス語 : スペイン語・フランス語・ポルトガル語など)は、俗ラテン語から派生した言語である。
またドイツ語・オランダ語・英語などのゲルマン諸語にも文法や語彙の面で多大な影響を与えた
現代医学においては解剖学用語は基本的にラテン語である。これは、かつて誰もが自由に造語して使っていた解剖学語彙を統一した歴史的経緯が関連している。この用語の統一にラテン語が用いられたのである。そのため、日本解剖学会により刊行されている『解剖学用語』も基本的にはラテン語である(ラテン語一言語主義)。
しかし臨床の場面では、医師が患者に自国語で病状説明をするのが当然であるため、各国ともラテン語の他に自国語の解剖学専門用語が存在する(ラテン語・自国語の二言語主義)。
近年、医学系の学会や学術誌の最高峰が英語圏に集中するようになったため、英語の解剖学用語の重要性が上がった。
日本では、ラテン語・英語・日本語の三言語併記の解剖学書が増えている。
「ウイルス(virus)」など、日本語でも一部の語彙で用いている。森鴎外の小説『ヰタ・セクスアリス』は、ラテン語の vita sexualis(セクシャル・ライフ)のことである。


ラテン語の格変化は2 x 5 =10の変化を覚える
ラテン語をパソコンで:こちら。一部編集して記載。
ラテン語の名詞は、数(numerus)と格(casus)によって語の形を変える。これをラテン語で「デクリナーティオー(declinatio)」という。日本語では、「格変化」「格変」「変化」などと訳される。
数には、単数(singularis)と複数(pluralis)がある。古典ギリシア語のような双数はない。
格には、
  • 主格(nominativus)
  • 呼格(vocativus)
  • 属格(genitivus)
  • 与格(dativus)
  • 対格(accusativus)
  • 奪格(ablativus)
  • 地格(locativus)
の7つがあるが、呼格の多くは主格と同形であり、また地格についてはこの格を持っている語自体が稀である。したがって通常の名詞については、5つの格を覚えればよいということになる。つまり通常一つの名詞につき、2 x 5 = 10の形を覚える必要がある。
しかし、ラテン語では、格変化はおおよそ規則的であり、パターン化されている。大概、典型的なものについて10個の形を覚えておけば、他の名詞については、単数主格と単数属格の形が分かれば、他の形は類推できる。
このため辞書には単数主格と単数属格の形しか出ていない。単語を書く際にはこの二つの形を並べて書く(こうすることで、名詞であることも明らかになる)。
なお、名詞には必ず性(genus)がある。これを覚えておかないと形容詞を正しく変化させることができないから(数・格のみならず、性をも一致させる必要があるため。これを性数格の一致という)、これも覚える必要がある。性には、男性(masculinum)・女性(femininum)・中性(neutrum)がある。中性は、イタリア語やフランス語などでは消失してしまったが、ドイツ語には現在でもある。 


引用:ゼロからのラテン語:pdf
一部編集して記載。 
ラテン語は屈折語である-文法にもとづく言語の類型-
さまざまな言語は、その文法の性質によって、いくつかの類型に分類できる。文法にもとづく言語の類型としては、
  • 孤立語isolating language
  • 屈折語inflectional language
  • 膠着語agglutinative language
などがある。孤立語は単語自体は変化しないで、それらの語順によって文の中での単語の機能が決定されるという文法を持つ言語である。孤立語に分類される言語としては、中国語、チベット語、タイ語、ベトナム語などがある。

屈折語は、文の中での単語の機能が、単語自体の形が変化することによって表示されるという文法を持つ言語である。屈折語に分類される言語は、サンスクリット語、アラビア語、ラテン語などがある。
 
膠着語は、実質的な意味を持つ単語と、それに対して何らかの機能を付与する単語とを、あたかも膠(にかわ)、糊で接着するかのように結びつけることによって、文の中での単語の機能を決定するという文法を持つ言語のことである。膠着語に分類される言語としては、韓国語、トルコ語、スワヒリ語、日本語などである。
 

変化する品詞と変化しない品詞
ラテン語は屈折語の一つである。よってラテン語の単語は、文の中での機能に応じて形が変化する。しかし、すべての単語が変化するというわけではない。変化するのは特定の品詞の単語だけで、それ以外の品詞の単語はほとんど変化しない。
  • 変化するもの 名詞、代名詞、形容詞、数詞、動詞
  • 変化しないもの 副詞、前置詞、接続詞、間投詞
変化する品詞は、さらに、どのように変化するのかという観点から、名詞、代名詞、形容詞、数詞というグループと、動詞とに分類することができる。つまり、名詞、代名詞、形容詞、数詞は、どれも同じように変化するのですが、動詞の変化は、それらラテン語などの屈折語では、名詞自体
が変化することによって格が示されます。
の品詞の変化とはまったく異なっている。


名詞を変化させる要因は数と格である
名詞というのは、変化する品詞の一つである。名詞を変化させる要因は数と格である。
 
数は単数か複数で変化する。

格は、その名詞が、同じ文の中にある他の単語に対してどのような関係にあるのかということを表す。
例)「父は母を愛しています。」は、その中にある「父」という名詞は、「愛する」という動詞に対して、その動作の主体を示すという関係にある。主語(あるいは主格)。
「母」という名詞は、「愛する」という動詞に対して、その動作の対象を示すという関係にある。
日本語では、格は、「格助詞」と呼ばれる、「が」「を」「の」「へ」「から」「で」などの単語を名詞に接続することによって示される。*よって日本語は膠着語と呼ばれる。
それに対して、ラテン語などの屈折語では、名詞自体が変化することによって格が示される。格は前述の6つ。
  • 主格:「主語」に相当
  • 属格:所有を意味する
  • 与格:間接目的
  • 対格:直接目的
  • 奪格:分離、手段、時間、場所などを表す
  • 呼格:呼びかけ
医学ラテン語で重要なのは主格、属格である。

名詞の変化の覚え方
名詞の変化を覚えるときは、通常、
単数主格、単数属格、単数与格、単数対格、単数奪格、
複数主格、複数属格、複数与格、複数対格、複数奪格
という順番で、それぞれの変化形を並べたものを暗唱する。
例)バラ rosa という名詞の変化を覚えるときは、
rosa, rosae, rosae, rosam, rosa,
rosae, rosarum, rosis, rosas, rosis
である。名詞は、一つ一つがまったく違った変化をするというわけではなく、いくつかのグループごとに同じような変化をする。よっていくつかのパターンを覚えれば、ほとんどすべての名詞にそれを応用することができる。

 
語幹と語尾:
ラテン語では、名詞、形容詞、動詞などは、文の中での機能に応じてその形が変化するが、それらの単語の多くは、単語の末尾の部分だけが変化して、それよりも前の部分は、どの変化形でも同じである。
*この変化しない部分を「語幹」と呼ぶ。
例)rosaという名詞の場合、"ros"という部分はどの変化形でも同じで、変化するのは、それよりも後ろの部分だけである。単語の末尾にあって変化する部分は、その単語の「語尾」と呼ばれる。
 

ラテン語名詞の性は生物学的な性とは関係ない
名詞の性は、基本的には生物学上の性sexとは関係がない。
ラテン語が使えるようになるためには、それぞれの名詞について、その性がどれなのかを覚える必要がある。ただし多くの名詞は、それが所属しているグループが分かれば、その性を自動的に判別することができる。よって、すべての名詞について逐一、性を覚えないといけないというわけではない。

 
名詞の性を覚える理由は、形容詞の性・数・格を一致させるため
名詞の性を覚える必要があるのは、形容詞を正しく使うためである。形容詞とは変化する品詞の一つである。形容詞を変化させる要因は、性と数と格の三つである。形容詞は、自分の性と数と格が、自分が修飾している名詞の性と数と格に一致するように変化する。
よって、名詞の性が分からないと、それを修飾する形容詞をどのように変化させればいいかということが分からない、ということになる。
またラテン語の文を作る場合だけではなくて、ラテン語の文を解釈する場合も、どの形容詞がどの名詞を修飾しているのかという組み合わせを厳密に判定するためには、その名詞の性が分かっている必要がある。
 

名詞の分類のパターン
ラテン語の名詞は、その変化のパターンによって、5つのグループのいずれかに分類される。ラテン語の名詞がそのいずれかに分類される5つのグループのそれぞれは、
1) 第一変化名詞
2) 第二変化名詞
3) 第三変化名詞
4) 第四変化名詞
5) 第五変化名詞
と呼ばれる。名詞は、その単数属格の語尾に着目することによって、どのグループに分類されるものなのかということを識別することができる。すなわち、それぞれの単数属格系は、
1) 第一変化名詞 -ae
2) 第二変化名詞 -i
3) 第三変化名詞 -is
4) 第四変化名詞 -us
5) 第五変化名詞-eiまたは-e
である。

名詞のグループは、第一名詞はほとんど女性、第二名詞はほとんど男性、第三名詞は個々に覚える

分類は以下の如くである。
1) 第一変化名詞:女性
2) 第二変化名詞:単数主格の語尾が -us または -er のものは男性、-um のものは中性。
3) 第三変化名詞はばらばら。それぞれの名詞ごとに性を覚える
4) 第四変化名詞:単数主格の語尾が-us のものは男性、-¯u のものは中性。
5) 第五変化名詞 女性。
3)以外のグループについては、少数の例外的な名詞についてだけ、性を覚えれば良い。