解剖陰茎癌について。
図は陰茎の断面。尿道が下方に位置し、その周囲を尿道海綿体が取り囲む。尿道上方には陰茎海綿体が左右に存在する。 
NCCNガイドライン:こちら
陰茎癌:pdf。一部編集して記載。

概要
*陰茎癌ほとんどの組織型は扁平上皮癌である。

陰茎の扁平上皮癌(SCC)はまれな頻度の疾患であり、欧米における男性の
全悪性腫瘍に占める割合は 0.4-0.6%である

2012年の米国におけ
る陰茎癌の新規症例数は1,570 例、陰茎癌特異的死亡数は 310 例と推定されている
アジア、アフリカおよび南米の発展途上国の男性では
発生率が高くなっている(最高10%)。好発年齢は50-70歳である
本疾患は著しい形状につながる可能性がある。*罹患したり、切除した場合には外見的に大きなハンディが生じる。
また5年生存率が約50%(リンパ節転移が陰性の患者では 85%以上、リンパ節転移が陽性の患者では 29-40%、骨盤リンパ節転移のある患者では低く、0%)であることから、早期診断が何よりも重要である

本疾患
は頻度が非常に低いため前向きランダム化試験の実施が困難である 

疫学
米国における診断時年齢の中央値は68歳であり、50 歳以上から罹患上昇を認める
包茎の患者では、最も発生頻度の高い部位(亀頭、包皮内板、冠状溝および陰茎幹部)の適切な視診が困難となる場合がある。

包茎の男性では、通常より陰茎癌リスクが 25-60%高いと報告されている。
米国での陰茎SCCに関する最近のレビューでは、原発巣の
発生部位について、亀頭:34.5%、包皮:13.2%、陰茎幹部:5.3%、複数部位:4.5%などである
その他の
危険因子としては、亀頭炎、慢性炎症、陰茎外傷、タバコ使用、硬化性苔癬、不衛生、性感染症(HIV, HPV)の既往などが挙げられる
陰茎癌全体
の約45-80%にHPVとの関連性がみられ、特に16型, 18型と
関連が強い。
HIV患者における陰茎癌罹患のリスクは通常の8倍であるが、これは男性 HIV感染者におけるHPV感染率の高さを反映している可能性がある。
喫煙者では、陰茎癌を発症する可能性が通
常より高い:3-4.5倍。
硬化性苔癬患者におけ
る陰茎癌の発生リスクは高い:2-9%。
ソラレン長波長紫外線療
法(PUVA)を受ける乾癬患者では、一般集団と比べて発生頻度が非常に高い:286倍。したがって、PUVA の施行中は遮蔽措置を講じるとともに、あらゆる陰茎病変について綿密なモニタリングを実施していくべきである。

臨床像
ほとんどの陰茎扁平上皮癌は、陰茎上の触知可能かつ目視可能な病変として発生し、受診が遅れた場合には、陰茎の疼痛、分泌物、出血、悪臭などがみられる。
病変の特徴としては結節状、潰瘍形成、菌状発育など
があるが、包茎により不明瞭となる場合もある。患者によっては、触知可能なリンパ節腫大や全身症状(例えば、疲労感、体重減少)など、病期の進行を意味する徴候がみられることもある。

病理
陰茎癌の組織型のほとんどは扁平上皮癌である。
陰茎上皮内腫瘍
(PIN)は、陰茎SCCに進行するリスクの高い前癌状態である。
米国では疣贅癌、乳頭状扁平上皮癌、疣状癌、類基底癌という4つの亜型に分類している
疣贅癌は一般的に悪性度が低い。その他の亜型(腺
扁平上皮癌および肉腫様癌)は予後不良である。
鼠径リンパ節転移の有無、陽性リンパ節の数および部位、節外進展の有無は生存に関する最も強い予後因子であるため、陰茎病変に加えてリンパ節の評価を行うことも極めて重要である。 


AFIP:陰茎癌の項目から一部引用。
陰茎癌は子宮頸癌の発生地と強く関与する。 
Human papillomavirus infection and the links to penile and cervical cancer. Wattleworth R. J Am Osteopath Assoc. 2011 Mar;111(3 Suppl 2):S3-10. アブストラクト, pdf 
陰茎癌の危険因子増加は、子宮頸癌の原因のひとつであるHPV感染・伝播によるという報告。