骨髄塗抹エステラーゼ2重染色骨髄の染色において、最も重要な染色のひとつは顆粒球系細胞を同定する染色である。
写真は、骨髄塗抹:エステラーゼ2重染色。褐色調に陽性となる。微細顆粒をもつ単芽球様細胞が多い。好中球系の芽球(青染) は少ない。参考:病理学会コア画像:こちら
ベックマンのHP: こちら

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普通染色
細胞形態を血液学的に同定する基本的な手段として普通染色がある.
染色にはその昔 Ehrich (1877)が染料から三価酸染色を発見して以来、Romanowsky (1891)がマラリア原虫に活路を見出し、Pappenheim (1908) が, May-Grunwald Giemsa (MG) 染色を確立した経緯がある.

今日普通染色として単染色と二重染色があるが、診断には二重染色が優れている。
二重染色にはWright-Giemsa(WG)染色とMG染色があるが、経験的, ならびにFABグループはMay-Grunwald Giemsa染色を推奨している.


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エステラーゼ染色:こちら
【原 理】
エステラーゼesterase (EST)とは、一般にエステル全般を分解する酵素の総称であるが、組織細胞化学的には、比較的単純な短鎖炭素結合の低級脂肪酸エステルに作用するエステラーゼ(非特異的エステラーゼ)と、比較的長鎖の炭素結合の高級脂肪酸エステルを分解するリパーゼ、コリンエステラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ(特異的エステラーゼ)とに分けられる。

反応原理はアゾ色素法であり、
1) naphtholの酢酸エステルの酵素が作用し、そのエステルを加水分解する。
2) 分離したnaphtholとdiazomium塩をカップリングさせアゾ色素を形成し、酵素の局在部位に沈着する。

血液細胞化学に用いられるエステラーゼの基質は大半がnaphthyl esterであるが、用いる基質により各種の血液細胞の反応態度が異なるため、各種細胞の同定に利用されている。

【臨床的意義】
基質に特異的エステラーゼ、naphthol AS-D chloroacetate (NASDCA)を用いた場合は、主に前骨髄球から好中球までの顆粒球系細胞と肥満細胞が陽性となる。
α-NAを用いた場合は、単球系、巨核球系、形質細胞がびまん性に強陽性に染まり、リンパ球の一部(CD4+:helper T細胞)、幼若赤芽球においては粗大塊状に陽性をみる。特にPLL(CD4+type)で塊状的に陽性をみる。
α-NBを用いると、単球系細胞に限られ顆粒状の陽性を示す。単球、巨核球系のエステラーゼ活性はNaFで阻害される。
α-NBとNASDCAの二重染色を実施することで、AMMoL(M4)における顆粒球系と単球系の混在をより明確にできる。α-NAとα-NB(非特異的エステラーゼ)は単球性白血病に有効で、NASDCAは分化型急性骨髄性白血病に有効である。


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ベルオキシダーゼ(PO), ミエロペルオキシダーゼ(MPO)染色
【原 理】
ペルオキシダーゼ peroxidase は骨髄で産生される顆粒球系および単球系の細胞質に含まれる酵素であり、骨髄のmyeloをperoxidaseの頭につけてmyeloperoxidase(MPO)とも呼ばれる。
MPOはH2O2を細胞質内のハロゲン化合物halide(KCIやKIなど)に反応させてペルオキシダーゼ作用を発揮し、

MPO KCl+H2O2  →  K++ClO-+H2O
のようにClO−(次亜塩素酸塩hydrochlorite)をつくる。ClO−は強い酸化・漂白作用をもち、貪食や殺菌の生理的機能を営むとされる。
本法で証明されるのは、顆粒球、単球およびその未熟細胞に存在するMPOと好酸球のペルオキシダーゼ(EPO)である。

【臨床的意義】
AMLとALLの鑑別に用いられる。両者は化学療法がまったく異なることから鑑別は重要であり、FAB分類では芽球の3%以上が陽性の場合はAMLと診断する。



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エステラーゼAS-D染色キット:こちら
MUTO:こちら

血液細胞内に証明されるエステラーゼは、使用する基質によって非特異的エステラーゼ(比較的短鎖のエステルを加水分解)と特異的エステラーゼ(比較的長鎖 のエステルを加水分解)に区別される。
  • 非特異的エステラーゼ染色用:α-Naphthyl buthyrate esterase染色キット
  • 特異的エステラーゼ染色用:Naphthol AS-D chloroacetate esterase染色キット
などがある。



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血球内物質証明検査及び骨髄像検査:こちら

東京セントラルパソロジー:こちら