エステラーゼ(EST)染色。

ポイント:
・非特異的エステラーゼ(アセテート・ブチテート)
陽性:単球系細胞とマクロファージ、リンパ球の一部は1〜数個の粗大顆粒状に陽性
・特異的エステラーゼ(クロロアセテート)
陽性:前骨髄球から分葉核球まで各成熟段階の好中球系細胞

エステラーゼは、基質特異性を示す特異的エステラーゼと基質特異性のない非特異的エステラーゼに大別される。血液学領域の中で特に意義が高いのは、非特異的エステラーゼ染色による単球系細胞や巨核球系細胞の同定で、フッ化ナトリウム (NaF) 阻害試験を併せて実施することにより急性白血病、特にFAB分類 M4, M5, M7の病型判定に有用である。
*M4: 顆粒球系と単球系の2系統
*M5: 単球系
*M7: 巨核球系
ベックマンから:こちら

【原 理】
エステラーゼesterase(EST)とは、一般にエステル全般を分解する酵素の総称であるが、組織細胞化学的には、比較的単純な短鎖炭素結合の低級脂肪酸エステルに作用するエステラーゼ(非特異的エステラーゼ)と、比較的長鎖の炭素結合の高級脂肪酸エステルを分解するリパーゼ、コリンエステラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ(特異的エステラーゼ)とに分けられる。
反応原理はアゾ色素法であり、naphtholの酢酸エステルの酵素が作用し、そのエステルを加水分解する。∧離したnaphtholとdiazomium塩をカップリングさせアゾ色素を形成し、酵素の局在部位に沈着する。
血液細胞化学に用いられるエステラーゼの基質は大半がnaphthyl esterであるが、用いる基質により各種の血液細胞の反応態度が異なるため、各種細胞の同定に利用されている。


【臨床的意義】
基質に特異的エステラーゼ、naphthol AS-D chloroacetate (NASDCA)を用いた場合は、主に前骨髄球から好中球までの顆粒球系細胞と肥満細胞が陽性となる。α-NAを用いた場合は、単球系、巨核球系、形質細胞がびまん性に強陽性に染まり、リンパ球の一部(CD4+:helper T細胞)、幼若赤芽球においては粗大塊状に陽性をみる。特にPLL(CD4+type)で塊状的に陽性をみる。
α-NBを用いると、単球系細胞に限られ顆粒状の陽性を示す。単球、巨核球系のエステラーゼ活性はNaFで阻害される。α-NBとNASDCAの二重染色を実施することで、AMMoL(M4)における顆粒球系と単球系の混在をより明確にできる。α-NAとα-NB(非特異的エステラーゼ)は単球性白血病に有効で、NASDCAは分化型急性骨髄性白血病に有効である。



武藤化学:こちら
血液疾患、特に由来の不明な未分化細胞が多数出現する急性白血病の病型分類には細胞組織化学染色が重要な手掛かりを与える場合が多い。Esterase染色もその1つであるが血液細胞学的に問題となるのは非特異的Esterase染色である。染色法には金属塩法やアゾ色素法等があるが、塗抹標本ではもっぱら後者の方法が広く用いられている。非特異的Esterase染色の中では単球系細胞に比較的強い反応を示しNaFで阻害を受けるα-Naphthyl buthyrateを基質としたものと、骨髄系細胞に強い反応を示すNaphthol AS-D chloroacetateを基質としたものとが代表的である。急性骨髄単球性白血病の診断には両者の基質を用いた二重染色方法を実施するとさらに鑑別の確実さが増すと言われる。



本井貴子:エステラーゼ染色について pdf.
エステラーゼASD染色は、顆粒球系の中間段階、つまり前骨髄球から分葉核好中球の各成熟段階の好中球系細胞で陽性となる。