長谷川秀樹先生:国立感染症研究所:日経メディカル:こちら

現行(皮下)注射ワクチンでは、IgG抗体のみが誘導され、IgA抗体は誘導されない。したがって感染成立後の拡散する時点で効果が現れる。重症化予防には有効であっても、感染そのものを阻止することはできない。
インフルエンザウイルスの自然感染においては、液性免疫として血中にIgG抗体が誘導されると同時に、粘膜下にIgA抗体産生細胞が誘導される。ここで産生されたIgA抗体は、polymeric Ig receptorを介して粘膜表面に分泌される。こうした獲得免疫応答はしばらく維持され、また一部は免疫記憶として残る。このため、再びウイルスがやってきたとき、速やかに抗体応答と細胞障害性T細胞が誘導され、ウイルスを効率的に排除する。特に上気道粘膜に分泌されるIgA抗体は、上皮細胞に取り付く前のウイルスを中和できるため、感染そのものを阻止することができる。

このような感染防御のメカニズムを応用したのが経鼻粘膜投与型ワクチンである。分泌型IgA抗体の誘導により、感染予防のみならず、抗原性が変化したウイルスに対しても高い感染阻止効果を示すことが明らかにされている。


谷本武史:経鼻吸収インフルエンザワクチンの開発:こちら


本ワクチンは2018年現在、国内未承認:第一三共:こちら。よって、医師は個人輸入し、希望者に対して接種を行っている。