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「がん」「キノコ」「愛人」 安倍内閣“今週の失言”を総チェック! 相次ぐ「失言」は「一強」の緩みか驕りか
2017/04/22 大山 くまお 文春オンライン
http://bunshun.jp/articles/-/2265

山本幸三 地方創生相
「一番のがんは文化学芸員と言われる人たちだ。観光マインドが全くない。一掃しなければ駄目だ」

ハフィントン・ポスト 4月17日




山本地方創生相 ©時事通信社

 名言、珍言、問題発言で1週間を振り返る。朝鮮半島をめぐる問題、シリアをめぐる問題など、世界情勢が緊迫の度合いを増しているが、閣僚をはじめとする政府・与党議員の失言、失態が止まらない。1ヵ月どころか1週間単位で次々と出てくるのだから、これは異常事態だ。

 まずは山本幸三地方創生相の失言から。4月16日、滋賀県大津市で開かれた地方創生に関するセミナーでの発言。学芸員は博物館に置かれる専門職員だが、地方創生にとっては「がん」であり「一掃しなければ駄目」だというのだから穏やかではない。

 当然ながら、「学芸員なしにどうやって美術館や博物館が成り立つと思ってんだ」と批判が殺到。当の学芸員たちも「観光への安易な活用ばかりを強調する発言にがっかりした」「もうかるなら文化もただ消費すればいい、という発想を感じる」と怒りを隠さない(京都新聞 4月19日)。

 また、セミナーで山本地方創生相は大英博物館を例に出し、「学芸員が抵抗したが全員クビにして大改装が実現した結果、大成功した」とも述べていたが、大英博物館の広報担当者は取材に対して「観光のためにスタッフを解雇したことも、根本的な建物の改装をしたことも決してありません」(ハフィントン・ポスト 4月20日)とあっさり全面否定した。

 結局、山本地方創生相は発言を撤回して陳謝したが、今村雅弘復興相の「(自主避難者が故郷に戻っていないことについて)本人の責任」、鶴保庸介沖縄北方担当相の「土人発言、差別と断定できない」「(政府と沖縄県の訴訟について)早く片付けてほしいということに尽きる」、務台俊介内閣府政務官兼復興政務官(後に辞任)の「長靴業界はだいぶもうかった」に続く閣僚からの問題発言に厳しい目が注がれている。しかし、それでも安倍政権は安泰の模様。まさに「1強」の緩みか、驕りか。



金田勝年 法相
「森林窃盗の対象には竹、キノコの他、森林内の鉱物、岩石なども含まれ、相当の経済的利益を生じる場合もある」

毎日新聞 4月18日


「私の頭脳で対応できなくて申し訳ありません」でおなじみの金田法相 ©石川啓次/文藝春秋

 キノコ好きの人々に激震が走った。「共謀罪」の成立要件を改めた「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案をテーマに国会で議論がスタートしている。テロ等準備罪とは、テロ集団や犯罪集団が犯罪の準備に至った段階で処罰の対象とするというものだ。

 民進党の山尾志桜里議員は、処罰対象にテロ対策や犯罪集団とは無関係に見える「著作権法」「文化財保護法」「種苗法」などが数多く含まれていることを追及。森林法も対象犯罪に含まれていることから「保安林でキノコを採ることもテロの資金源となるのか」と質問すると、金田法相は上のように回答した。つまり、保安林のキノコを採って売れば、テロ組織の資金源になるから「テロ等準備罪」の対象になるというわけだ。

 金田法相といえば、同法案を議論している最中の今年2月に「私の頭脳で対応できなくて申し訳ありません」と発言したことで知られているが、大臣のふわふわした答弁の向こう側でキノコをはじめとした何だかよくわからない事柄まで「テロ等準備罪」に含めてしまおうという動きがあることは間違いない。

中川俊直 自民党 衆議院議員
「愛人とは思ってないです」
(じゃあどういう風に思っているんですか?)
「男女の関係がありました」

『週刊新潮』 4月27日号


中川俊直衆議院議員(右) ©共同通信社

 18日、自民党の中川俊直衆議院議員が経済産業大臣政務官を辞任した。「一身上の都合」とされていたが、要するに女性問題だ。『週刊新潮』4月27日号に詳細がレポートされている。

 がんと闘病する妻と3人の子を抱える中川氏だが、不倫関係にあった女性が「年に300日は一緒にいました」と告白。13年にはハワイでウェディングドレスを着て牧師の前で愛を誓ったという(入籍はしていないので重婚ではない)。さらに中川氏が交際していたという前川恵衆議院議員も巻き込んで泥沼化(前川氏は関係を否定)。

 いざこざと中川氏の執着に呆れた女性から破局を告げられ、「週刊誌に全部話す」と言われた中川氏は「そんなことされたら僕は死んじゃう」と女性の自宅に突撃。ドアの前で土下座して号泣していたため、女性の通報によって渋谷署から警官が駆け付けた。さらに女性は警官からの提案に従って、渋谷警察署で「ストーカー登録」を行ったとのこと。なお、『週刊新潮』にはハワイでのウェディング写真や全裸で仁王立ちしている中川氏の写真も掲載されている。冒頭のやりとりは記者の直撃に対する中川氏の歯切れが悪すぎる返答の一部。セックスはするが、愛人ではないと。

 中川氏は記者会見を開かず、自身のフェイスブックで「私が重婚罪にあたることはしておりませんし、また、ストーカー登録をされたかのような報道がされていますが、そのような事実は一切ございません」と釈明の書き込みを行った(4月20日)。

 野党は中川氏の公の場での説明と議員辞職を求めているが、与党のベテラン議員たちも怒っている。萩生田光一官房副長官は「きちんと国民に説明すべきだ」とピシャリ。自民党の二階俊博幹事長は「自民党は当選1~3回生が半数以上を占める。若い議員にしっかり頑張ってもらわないと日本の政治はひっくり返っちゃうよ」と語ったという(いずれも産経新聞 4月20日)。金銭トラブルで離党した武藤貴也氏、不倫問題で議員辞職した宮崎謙介氏らと同じく中川氏も当選2回の「魔の2回生」だ。

「こんなくだらない問題よりもっと大切な問題を報道しろ」という向きもあるが、こんなくだらない問題を起こす人物が政務官を務めていて、くだらない問題で辞任してしまうことが問題なのだ。



安倍晋三 首相
「加計さんは俺のビッグスポンサーなんだよ。学校経営者では一番の資産家だ」

『週刊文春』 4月27日号



 国有地の格安払下げをめぐって世間を騒がせてきた森友学園問題。名誉校長を務めていた安倍昭恵首相夫人の関与や、周囲の官僚らの「忖度」に関する追及も一段落といった模様。時事通信の世論調査によると安倍首相らの説明について7割近くの国民が「納得していない」と回答したが、首相自身は商業施設のオープニングセレモニーで「よく私が申し上げたことを“忖度”していただきたいとこう思うわけであります」(NNN 4月17日)と冗談を飛ばす余裕を見せている。

 しかし、『週刊文春』4月27日号では、「学校法人加計学園」に440億円にも上る巨額の税金が投じられていたと報道されている。安倍首相と加計学園の加計孝太郎理事長は学生時代からの「心の奥で繋がっている友人」「腹心の友」(いずれも加計学園傘下の大学での安倍首相のスピーチより)。

 冒頭の言葉は、安倍首相と近い関係者に首相がかつて語って聞かせたもの。加計氏自身も「(安倍氏に)年間一億くらい出しているんだよ」と酒席で漏らしたことがあるという(加計学園側は発言を否定)。加計氏は昭恵夫人とも非常に親しい間柄だといい、ここでも大きな忖度が働いたのではないかと報じられている。森友学園と比べても金額はこちらの方がケタ違いに大きい。

 もっともストレートに異議を唱えているのは、石破茂前地方創生相だ。「世間で言われるように、総理の大親友であれば認められ、そうじゃなければ認められないというのであれば、行政の公平性という観点からおかしい」(『週刊文春』 4月27日号)。この問題について安倍首相が説明に応じることはあるのだろうか?



安倍晋三 首相
「今日は風が結構吹いておりますが、大体常に逆風であります」

『週刊文春』 4月27日号

 こちらは4月15日に行われた総理主催「桜を見る会」で飛ばした首相のジョーク。逆風はますます強まりそうだ。


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