はじめに〜告知の瞬間
2009年05月30日
本日のHIV抗体検査の結果、陽性。
先週の土曜日に、地元でHIV抗体検査を受けた。
そして、今日、部屋に通された僕は、
目の前に座っているDrから、HIV陽性の宣告を受けた。
「いいですか、受付番号を一緒に確認してください。295657番、合ってますね」
「はい、295657番で合ってます」
「この紙を見てください。ここの数値がウイルスの数を表しています。通常1.0未満なのですが、あなたの場合、105.00になっています」
「はい確かに」
「これは検査の結果、陽性を意味します」
その言葉を聞いて、紙を見直す。
確かに、正常値<1.0の文字と、その横の105.00の文字が見える。
何度か、左右に目を走らせたが、確かにそうだ。
印刷された数字は何度見ても変わらない。
「・・・そうですか。わかりました」
そのまま、Drに質問をする。
「これはもう偽陽性(ぎようせい)でもなくて、陽性に決定なんですか」
「一次検査のスクリーニング検査のあと、確認検査も行いましたが、いずれも陽性です」
医師の表情は変わらない。
ここになって汗が出てきたので、首に巻いていたストールをはずす。
手にも汗をかいているのがわかる。
「そうですよね。1.0以下じゃないとおかしいのに桁違いの105.00ですもんね」
ここで少しの間。
「このあと、隣の部屋で担当看護師より今後の詳しい説明がありますが、医師の私に他に質問はありますか」
「いいえ、大丈夫です」
「それでは、これが紹介状です。今後かかる病院の医師にお渡しください」
「ありがとうございました」
「担当看護師を呼びますね」
最初から最後まで顔色ひとつ変わらない医師。
これがプロなんだな〜と変なところでなんだか関心。
ドアを開けて部屋に入ってきた看護師はやわらかい表情。
「それでは、お荷物をもってこちらへどうぞ」
明るい清潔そうな部屋、HIVに関するガイドブックや関連資料が机の隅に並んでいる。
「それではこちらにおかけください」
「はい。ありがとうございます。・・・あっ、ノートにメモをしながら聞いてもいいですか?」
「勿論です」
カバンからノートを取り出して机の上に置く。
「なんだか用意がいいですね」と看護師。
「まあ・・・」僕は曖昧な笑顔。
あ、それと、ボールペンボールペン。えーっとどこにいれてたっけな。
カバンをガサガサ。
「いいですよ。落ち着いてゆっくりでいいですよ」
カバンを覗き込む私の頭に注がれる、柔和な声。
その言葉を聞いた時初めて、
「あ、俺、やっぱり動転してる」って思った。
そしてすぐ、
「でも、ここで聞くことは聞いておかなきゃ、頭を回さなきゃ」
と思い返した。
その後は、その看護師さんに相談しながら、今後かかる病院の選択をした。
僕は車を持っていないので、公共交通機関で通いやすいところを選んだ。
これから一生、病院に通わなきゃいけないんだから、利便性は大事なこと。
それから初診時の予約の仕方、向こうでの担当医師の名前などを伺う。
そんな会話のなかで、看護師さんがポツリ。
「何か予感はあったんですか」
僕はちょっと考えて答える。
「予感?・・・・んー、そうですね・・・・。予感はありました。あったと思います」
外に出ると、雨が降り続いていた。
建物から一歩歩き出すと急な吐き気を覚えた。
思わずその場に立ち止まる。
雨が冷たい。
出来るだけ平常心、平常心だ。
これがスタートだ。最初で負けてどうする。
顔を上げて、ゆっくりともらいもののビニール傘を差して街に溶け込む。
2009年5月30日、今日、僕はHIVポジティブ一年生になった。
(続く)
――最初なので、ここで自己紹介。
僕は、地方都市に住む30歳、ゲイ。ひとり暮らし。パートーナー無し。
名前は龍太(リュウタ)です。
HIVポジティブの宣告を受けて帰ってきて数時間後、このブログを開設しました。
いや、開設せざるを得なかったというのが本当のところ。
今は上手く自分の気持ちを説明できそうもありません。
それでも、もし一言で言うなら「闘うため」というのが一番近いかもしれません。
ここには、出来るだけ正直に、これからの生活を綴っていきたいと思います。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【資料編〜Drより手渡された紹介状のコピーより抜粋】
『紹介理由 HIV感染 型(I型)
大変お世話になっております。
平成21年5月25日に******大学病院検査部で実施したHIV抗体検査(HIV Ag/Ab コンボアッセイ ダイナパック ジェネディアHIV-1/2ミックスPA(PA法) ダイナスクリーンHIV-1/2(イムノクロマイト法) ランリームHIV-1/2(CI法))で陽性と判明し、その後のWestem Blot法でも陽性と判定されました。
つきましては貴院の受診を希望しておりますので、ご高診のほど、よろしくお願い申し上げます。(以下略)』
<前回の記事 続き>初診察の予約を入れました。
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そして、今日、部屋に通された僕は、
目の前に座っているDrから、HIV陽性の宣告を受けた。
「いいですか、受付番号を一緒に確認してください。295657番、合ってますね」
「はい、295657番で合ってます」
「この紙を見てください。ここの数値がウイルスの数を表しています。通常1.0未満なのですが、あなたの場合、105.00になっています」
「はい確かに」
「これは検査の結果、陽性を意味します」
その言葉を聞いて、紙を見直す。
確かに、正常値<1.0の文字と、その横の105.00の文字が見える。
何度か、左右に目を走らせたが、確かにそうだ。
印刷された数字は何度見ても変わらない。
「・・・そうですか。わかりました」
そのまま、Drに質問をする。
「これはもう偽陽性(ぎようせい)でもなくて、陽性に決定なんですか」
「一次検査のスクリーニング検査のあと、確認検査も行いましたが、いずれも陽性です」
医師の表情は変わらない。
ここになって汗が出てきたので、首に巻いていたストールをはずす。
手にも汗をかいているのがわかる。
「そうですよね。1.0以下じゃないとおかしいのに桁違いの105.00ですもんね」
ここで少しの間。
「このあと、隣の部屋で担当看護師より今後の詳しい説明がありますが、医師の私に他に質問はありますか」
「いいえ、大丈夫です」
「それでは、これが紹介状です。今後かかる病院の医師にお渡しください」
「ありがとうございました」
「担当看護師を呼びますね」
最初から最後まで顔色ひとつ変わらない医師。
これがプロなんだな〜と変なところでなんだか関心。
ドアを開けて部屋に入ってきた看護師はやわらかい表情。
「それでは、お荷物をもってこちらへどうぞ」
明るい清潔そうな部屋、HIVに関するガイドブックや関連資料が机の隅に並んでいる。
「それではこちらにおかけください」
「はい。ありがとうございます。・・・あっ、ノートにメモをしながら聞いてもいいですか?」
「勿論です」
カバンからノートを取り出して机の上に置く。
「なんだか用意がいいですね」と看護師。
「まあ・・・」僕は曖昧な笑顔。
あ、それと、ボールペンボールペン。えーっとどこにいれてたっけな。
カバンをガサガサ。
「いいですよ。落ち着いてゆっくりでいいですよ」
カバンを覗き込む私の頭に注がれる、柔和な声。
その言葉を聞いた時初めて、
「あ、俺、やっぱり動転してる」って思った。
そしてすぐ、
「でも、ここで聞くことは聞いておかなきゃ、頭を回さなきゃ」
と思い返した。
その後は、その看護師さんに相談しながら、今後かかる病院の選択をした。
僕は車を持っていないので、公共交通機関で通いやすいところを選んだ。
これから一生、病院に通わなきゃいけないんだから、利便性は大事なこと。
それから初診時の予約の仕方、向こうでの担当医師の名前などを伺う。
そんな会話のなかで、看護師さんがポツリ。
「何か予感はあったんですか」
僕はちょっと考えて答える。
「予感?・・・・んー、そうですね・・・・。予感はありました。あったと思います」
外に出ると、雨が降り続いていた。
建物から一歩歩き出すと急な吐き気を覚えた。
思わずその場に立ち止まる。
雨が冷たい。
出来るだけ平常心、平常心だ。
これがスタートだ。最初で負けてどうする。
顔を上げて、ゆっくりともらいもののビニール傘を差して街に溶け込む。
2009年5月30日、今日、僕はHIVポジティブ一年生になった。
(続く)
――最初なので、ここで自己紹介。
僕は、地方都市に住む30歳、ゲイ。ひとり暮らし。パートーナー無し。
名前は龍太(リュウタ)です。
HIVポジティブの宣告を受けて帰ってきて数時間後、このブログを開設しました。
いや、開設せざるを得なかったというのが本当のところ。
今は上手く自分の気持ちを説明できそうもありません。
それでも、もし一言で言うなら「闘うため」というのが一番近いかもしれません。
ここには、出来るだけ正直に、これからの生活を綴っていきたいと思います。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【資料編〜Drより手渡された紹介状のコピーより抜粋】
『紹介理由 HIV感染 型(I型)
大変お世話になっております。
平成21年5月25日に******大学病院検査部で実施したHIV抗体検査(HIV Ag/Ab コンボアッセイ ダイナパック ジェネディアHIV-1/2ミックスPA(PA法) ダイナスクリーンHIV-1/2(イムノクロマイト法) ランリームHIV-1/2(CI法))で陽性と判明し、その後のWestem Blot法でも陽性と判定されました。
つきましては貴院の受診を希望しておりますので、ご高診のほど、よろしくお願い申し上げます。(以下略)』
<前回の記事 続き>初診察の予約を入れました。
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