2020年05月21日

諸星大二郎「闇の鶯」

諸星大二郎のコミックス「闇の鶯」を読んだ。面白かった!
民俗学をベースにした怪異譚の作品集。妖怪ハンターシリーズも収録されてる。
表題作「闇の鶯」は、山姥伝説を題材にした作品。人間と異界の存在が対立する話だけど、異界側が単純に人間に害をなす存在でないところがちょっと異色で面白い。

ちなみに、妖怪ハンターシリーズもオススメ!
主人公は、考古学者の稗田礼二郎。民俗学や考古学をベースにした怪異譚で、記紀神話とか古い祭祀とか旧家の因習とかわらべ歌にグッとくる人は、ツボにハマると思う。
文句なく作者の代表作。文庫版とかA5サイズコミックスとかいろいろ出てるので、興味ある方は探してみて!

諸星大二郎「闇の鶯」
闇の鶯

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2020年05月20日

森川久美「青色廃園」

「まんだらけ」で買った掘り出し物を読んだ。
森川久美のデビューコミックス「青色廃園」。1977年刊。
歴史好きにはたまらない短編集。世紀末パリの画壇の話、15世紀イタリアの貴婦人と異教徒の恋、ロシア革命の悲恋。
中でもイギリスの薔薇戦争を描いた「天の戴冠」が力作。イギリス王家の兄弟の葛藤を軸に、薔薇戦争の30年間を描く。
これが初コミックスとは、レベル高すぎ…!

描き込みの多い絵柄が森川久美の特徴で、歴史物の世界観をよく表現してる。登場人物のコスチュームも素敵だし、美男美女がたくさん出てきて眼福なのであった。
1976〜1977年に発表した作品が収録されてるんだけど、この時代の少女漫画って本当にレベルが高い。43〜44年前か…。

森川久美「青色廃園」
青色廃園

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2020年05月19日

諸星大二郎「BOX〜箱の中に何かいる〜」

昨日は諸星大二郎のマンガを紹介したので、今日もまた諸星さんの作品を紹介するよ。
諸星大二郎「BOX〜箱の中に何かいる〜」全3巻。
主人公の家の近所に、箱のような建物が出現する。その中に主人公たちが閉じ込められる。
箱から脱出するためには、パズルのように謎解きをしないといけない。彼らは無事に脱出できるのか。
状況が限定された中で起きるサスペンスであり、民俗学的な神隠し伝説をモチーフにした怪異譚でもある。
脱出ゲームのハラハラドキドキ感に、怪異譚の怖さが加わって、諸星さんらしい味わい。オススメ!

諸星大二郎「BOX〜箱の中に何かいる〜」
BOX1

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2020年05月18日

諸星大二郎「あもくん」

諸星大二郎のマンガ「あもくん」を読んだ。
怪談誌「幽」に掲載された連作短篇集。あもくん一家の日常生活に、異界との接点が開いて不穏な存在が忍び寄ってくる。
一話が短くて読みやすい。書き下ろしの掌編小説が各話の間にはさまれてて、贅沢な構成。
内容は、ホラーというより怪異譚という感じ。
日常の違和感が日記のように綴られていく。濃厚な世界観のものが多い諸星作品の中では、どちらかというとライトな口当たりかも。

諸星大二郎「あもくん」
あもくん

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2020年05月17日

今市子「萌えの死角」

今市子のエッセイ漫画「萌えの死角」を6巻まで読んだ。面白かった!
映画、ドラマ、舞台、小説など、いろんなジャンルに対する萌えを作者が語りつくす。
漫画家さんって、映画とかたくさん観てて、忙しいのにいつそんな時間が?と不思議だけど、漫画だけ読んでても漫画は描けないんだよね…。

萌えネタにつまると普通の日常生活ネタが出てくるの、これがまた面白い。
ベランダガーデニングや登山や引越しの話。
何気ない日常生活をエッセイとして面白おかしく書けるのって才能だなあ…。
コミックスのあとがき漫画で作者の近況とか読むの好きなの私…。

掲載雑誌の休刊のため、6巻で完結とのこと。残念。

今市子「萌えの死角」6巻
萌えの死角6

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2020年05月16日

大島弓子「キャットニップ」3巻

大島弓子の猫エッセイ漫画「キャットニップ」3巻を読んだ。
私、猫エッセイ漫画の最高傑作は、大島弓子「グーグーだって猫である」だと思っている。「キャットニップ」は、その続編にあたる作品。
大島さんの猫漫画は、単なる猫カワイイとか日常の描写にとどまらず、「生きる」とか「死ぬ」ってことが真摯に描かれている。
人間も猫もみんな生きている。その手触りがリアルでいい。

3巻では、大島さんちの猫たちが高齢になり、老病死のエピソードが中心になってきた…。
うちの猫も高齢なので、死期の近づいた猫たちの描写は、心の準備として参考になるよ…。

大島弓子「キャットニップ」3巻
キャットニップ3

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2020年05月15日

鳩山郁子「寝台鳩舎」

今日は、私のお気に入りの漫画をご紹介。
鳩山郁子「寝台鳩舎」。
戦時中、伝書鳩が通信兵器として人間に利用されていた。
銃弾が飛び交う戦場を飛んでいた鳩たちを、少年の姿で擬人化して描く。
過酷な使命を背負わされた彼らのことをよく知らなかった自分…。
哀しく美しい、鳩山ワールドで描かれた傑作。オススメ!

鳩山郁子「寝台鳩舎」
寝台鳩舎

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2020年05月14日

杉浦日向子「百日紅」

日本人画家で世界で一番有名な作品といえば、葛飾北斎「神奈川沖浪裏」なんだそうだ。
北斎の名前は知らなくても、「神奈川沖浪裏」は、たとえばモナリザみたいに「誰でも見たことがある絵」らしい。

北斎には、お栄という娘がいた。
父親のゴーストライターをつとめていて、自身も画家だったお栄ちゃん。
そのお栄が主人公の漫画がある。
杉浦日向子「百日紅」。
2015年にアニメ映画化もされてる。

お栄ちゃんの美人画は、北斎より上手、と北斎自身も認めていたらしい。
私自身、お栄ちゃんの絵は、展覧会で美人画を見たことがある。
NHK「歴史秘話ヒストリア」でお栄の特集をやっていたとき、光と影の陰影をはっきり描いてある絵を見て、こういう表現をする人だったんだぁとあらためて知った。
北斎の名前でサインする方が絵が高く売れるからと、自分のサインを入れないことがよくあったらしい。女性の絵師が評価されるのは難しい時代だったんだろう。その中でも、絵ひとすじに生きたお栄ちゃんはカッコイイ。

杉浦日向子は、江戸風俗研究家としても活躍していた漫画家。「百日紅」は、彼女が描くお栄ちゃんの物語。オススメ!

杉浦日向子「百日紅」
百日紅-2

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2020年05月13日

岡野玲子「陰陽師 玉手匣」

昨日は岡野玲子の初期の代表作を紹介したので、今日は最新作をご紹介。
岡野玲子「陰陽師 玉手匣」。
夢枕獏の原作を漫画化した「陰陽師」の続編にあたる。
主人公は安倍晴明。
酒呑童子や今昔物語、記紀神話がからんできて、読んでいるとちょっと違う世界に連れていかれる感じ。
一気に読むと、アタマが平安時代に浸ったまま帰ってこれなくなるよ。時間の流れや空気が、現代とは違うの。平安時代へトリップする体験を味わわせてくれる。
絵巻物を現代風に描いたらこうなるのかも。数百年後に美術館に展示されててもおかしくない、美しい作品。

岡野玲子「陰陽師 玉手匣」1巻
陰陽師玉手匣1

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2020年05月12日

岡野玲子「ファンシィダンス」

80年代の少女漫画を読み返した。
岡野玲子「ファンシィダンス」。
バンドに明け暮れる大学生の陽平は、実は寺の跡取り息子だった。
都会の男女の恋愛話から始まって、坊主の修行生活をコミカルに描き、宇宙の真理をパチンコ台にたとえて語る。
深遠で軽やかな展開は、まさにファンシイ(気まぐれな)ダンス。

主人公の陽平が、禅寺で修行生活するエピソードが圧巻。モデルは、たぶん永平寺。
少女漫画なのに、袈裟を着た坊主の集団の話が延々と続くの。それがめっちゃ面白い!

あと、80年代の都会の若者たちの生態が懐かしい…。明るくて軽い、けどちゃんと考えてる。この軽さは80年代らしさだよな〜と思った。
90年代に入るとこの軽さが失われていくんだよね。

岡野玲子「ファンシィダンス」1巻
ファンシイダンス1

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