2008年04月25日

ヤマシタトモコ「恋の心に黒い羽」

 ヤマシタトモコのコミックスを3冊お借りして読みました。去年、初コミックスが出たばかりの新人で、ジャンルはBL(ボーイズラブ)。「恋の心に黒い羽」(東京漫画社マーブルコミックス)というコミックスがとくによかった。男同志の恋を、家族との関係の中でとらえた作品が描かれてます。BLというより異色なホームドラマという味わい。どの家庭にもそれぞれに抱える事情があって、たまたまこの家庭の事情は「家族のひとりがゲイだった」というかんじ。
 『ベイビー、ハートに釘』という作品は、主人公の女性が、ゲイである弟の恋を見守る話。『イッツマイチョコレート!』は、6人兄弟の長男がゲイで、弟妹の世話で手一杯で自分の恋まで手がまわらない様子を描いたホームドラマ。『悪党の歯』は、主人公の女子高生と、ヤクザである父の相棒との対話形式。相棒が父を想う気持ちと、娘から見た父への想いが語られます。作品ごとに目線や語り口に変化があるのがいいなぁと思います。
 言葉のセンスがまた面白いです。作品タイトルを並べてみると・・・『悪党の歯』『その火をこえてこい』『恋の心に黒い羽』『スターズ☆スピカ☆スペクトル』。それぞれ中身を読むと「なるほど!」と思う。この作者のBL以外のジャンルの作品も読んでみたいなぁ。

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この記事へのコメント

1. Posted by つる   2009年05月28日 09:44
…オモシロイね〜、ヤマシタトモコ。

昨日、「あさきさんが『ファミリーアワー』のこと書いてるハズだぞ」と思ってこちらにお邪魔したらココで引っかかっちゃって、読んだらむらむらと『恋の心に〜』が欲しくなっちゃったのです。
これで3冊買ったけどコレ一年くらい前の記事ですね、あと1〜2冊ありそうな。

ところで版が違うのかなァ、私の持ってる3冊には「スターズ☆スピカ☆スペクトル」っていうのがナイわ…「FOOL 4 U」と「フォトジェニク」と「SHORT CUTS」「ONE 4 FOOL,FOOL 4 ONE」というのがあるんだけど。

『恋の心に〜』の中では表題作がなんとも好きふたりともにとって辛い恋の話なのにラストひとコマの主人公のポジティブぶりが(小説を投稿して賞をとって、作中のドSが「よもや俺がモデルじゃあるまいな!」のところ。「…俺って傷をバネにするタイプだから…」)。

性癖と関係なくても受け入れられないっていうのは辛いものだけど異常性癖の人はホントに辛い思いをするんだな、と思った。。。
2. Posted by あさき   2009年05月28日 23:57
>つるさん
ブログにコメントありがとうございます!
最近、すっかりマンガの感想がおろそかになってしまって・・・汗。
ヤマシタトモコは、職場の方にお借りして読んでるのです。読んですぐお返ししてしまうので、今手元にコミックスがないのですが、この日記を書いたときは3冊同時に借りて読んだので、どの作品がどのコミックスに入っていたっけ・・・。たぶん、この時点で出ていたコミックスを全部お借りしたはず。2007年初コミックスだから、この日記書いたときはまだほんとに新人さんだったのですよね。
つるさんのヤマシタさんの感想、面白いです。
ヤマシタさんのマンガでは、恋愛しても幸せにつながっていない、とかそういう感じのこと書かれていたような。なるほど〜って思いました。確かに、みんな恋愛してるのに幸せそうでないなぁと。やっぱりそれは性癖のせいなのか・・・。ヘテロな恋愛しか知らない人間にはわからないようなことがいろいろあるのでしょうね。

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