2010年03月18日

Imaginary companion and the children who create them 後半

というわけで、後半です。論文はポイントがあまり多くないので、書きとめないでもそれほど困らないのですが、本の場合はポイントがたくさんありすぎて、書きとめないと忘れてしまうんですよね。


☆5. Do children think their imaginary companions are real?

子どもは、Imaginary companion(IC)が実在していると思っているのか。[この実在(real)というのがトリッキーなんですが]

・子どもは、fantasyとrealの区別は比較的できる
→3歳児の75%は、幽霊や魔女が「つくり話」であることはわかる

・ただ、そういう子どもでも、サンタクロースはrealだと思ったり、夢と現実を混同したりはする。

・こういった食い違いを考慮すると、単純に「fantasyとrealを区別できるか否かの発達」という問題ではなく、様々な種類のfantasyとrealの区別があり、それぞれによって発達の経路が異なると考えた方が妥当。以下、それぞれに見ていく。

1) 文化的な神話や儀式
キリスト教圏の4歳児の85%はサンタクロースを信じる。8歳までに25%に下がる。
→サンタクロースの場合、親はもちろん、コミュニティーをあげてクリスマスを祝い、サンタクロースが実在するかのように振る舞う(ショッピングモールにいけばサンタクロースに会えるし)
→ここで強調したいのは、子どもがfantasyとrealを混同しているということでなく、周りの環境のせいで、その区別がなかなか難しいということである。

2)絵本やテレビ
3,4歳でも、テレビの中でのフィクションとノンフィクションの区別は難しい。ドラマの出演者が殺されたら、本当に殺されたと思う。
→絵本でも同様。3歳児は絵本の中での可能事象と不可能事象の区別ができない。

3)マジック
ある箱におまじないをすると、物体が変形するというマジック。4−6歳でも、そんなことはあり得ないと指摘できる。
→しかし、その話を聞かせた数日後に再び子どもを呼び、物体を提示して実験者が姿を消すと、子どもはマジックを試みる
→このような様子は、単純に子どもがfantasyとrealを混同していることの証拠というだけでなく、子どもが世界についての新しい規則を学ぼうとしていることを示しているのかも。

4)社会的ふり遊び
他者をまきこんだふり遊び。基本的に、fantasyとrealの区別は可能
→しかし、恐怖などの情動が組み込まれると、話は別。Harris et al.(1991)が示したように、「箱の中に怪物がいると想像してごらん」と子どもに言うと、子どもはその箱には近づかない。
→ただ、これも、大人がホラー映画を見た帰り道が怖いのと同じように、怪物がrealに出てくるとは考えてないのでは。

5)夢
夢は、他のfantasyと、a)実体がない、b)子どもは一から想像する必要がある、c)夢はコントロールできない、などの違いがある。

・・・夢は、7歳くらいから理解できるとする研究がある一方で、3歳児でもある程度理解するという研究もある。

6)IC
ICは、実在の友人やテレビのキャラクターを原型にすることが多いが、ICと遊ぶという発想自体は誰に教えられることもなく、子どもが自ら編み出す。
→ただ、子どもはICが「実在しない」ことを認識している。[ここについては少々疑問。子どもが実在していないと本当に思っているのか、それとも、実在しているが、秘密にしておきたかったり、大人には見えないとわかっているからあきらめているのか]

・・・そもそも、ICを空想上のものだと考えるのは西洋文化特有かも
→インドなどでは、「空想上の友達」ではなく、「見えない友達」などとされる[日本でも、波多野(1935)が「見えないお友達」と表現しているようだ。ただ、日本人の認識については調査が必要かもしれない]


☆6. What happens to the Imaginary Companions Created in Early Childhood?

ICはいつかは去ってしまう。何をきっかけに去ってしまうのだろう。(本人はICを忘れてしまっても、家族が覚えてて、さみしがることもあるそうで)。

1)子どもが単純に興味を失う。飽きる。
2)新しいICができる[これは実際の友達の場合と同じですね。]
3)ICは子どもが作り出したものであり、子どもの世界。大人がその世界に入ってくると(一緒にICと遊ぼうとすると)、いなくなる。
4)特に年齢を重ねてもICと子どもが遊んでいる場合に、親がやめるように言うと、子どもは遊ばなくなる[日本の場合、こういう親が多いことにより、ICの率が低い可能性が考えられる]
5)現実の友達がたくさんできたとき

・・・ただし、実際にICと遊ぶのはやめておらず、誰にも秘密でICと遊んでいる場合もある。


☆7. Do Older Children and Adults Create Imaginary Companions?

健常な青年や大人でも、ICと遊ぶケースがある。

・児童や青年の場合[ほとんどがエピソードの記述]
まず、子どものときと違うのは、"paracosm"を作ること。
→一人のICを作るのではなく、ICが多数住む一つのの社会などのこと[「不思議の国のアリス」とか「かいじゅうたちのいるところ」みたいなものだと思います]

もう1つの違いは、子どもはICと現実世界で遊ぶが、児童や青年の場合、paracosmは現実世界と隔絶されることが多い

・大人の場合[デリケートな話題が多い]
天使はICなのか?無神論者からみると、神はICか?
→これは信者に対する冒涜。信仰と空想は異なる[どう異なるかが説明されていないです]

ただ、多くの文化でそうであるように、何が現実で、何が空想かという線引きは難しい[村上春樹の小説を読むとそう感じる]


☆8. Fantasies in the Lives of Children and Adults
まとめ

・ICは、子どもの精神病理の表れであるとは言えない
・むしろ、ICは、つらい出来事への反応(トラウマとか)であることがあるので、そういった原因を取り除くのが重要
・ICは、fantasyとrealの区別ができないことの結果ではなさそう。ただ、サンタクロースなどの他者が作ったfantasyの場合、混乱する。
・ICやfantasyには強い情動が伴うが、それは子どもに限った問題ではなく、大人でもまたしかり
・子どもと大人のfantasyは、これまで考えられている以上に連続的なものかもしれない。



というところで、本はおしまいです。
やはり、子どもはICはrealでないとわかっているのでしょうか。言語的な質問だけだと難しいので、観察や実験からさらに迫れないものかと思います。


参考文献
Taylor, M. (2000). Imaginary companion and the children who create them. Oxford University Press.


gccpu at 15:53コメント(0)トラックバック(0)幼児 | 認知 

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