児童・成人

2013年11月08日

「親が知るべき10の心理学的研究」という記事があったので,簡単に紹介してみます。
お互いに矛盾すると思えるものもありますが,こういう知見は大事にしたいものです。

/討蓮せ劼匹發いない人よりも幸せ(Nelson et al.,. 2013. Psychological Science)
∋劼匹睛ダ茲寮験茲蓮い修Δ靴覆た佑茲蠅盥せ (Ashton-James et al. 2013 Social Psychological and Personality Science)
モンスターペアレンツは,子どもの抑うつにつながる(Schiffrin et al., 2013. Journal of Child and Family Studies)
じ靴靴い靴弔韻詫眷の子どもの問題行動につながる(Wang et al., 2013. Child Development)
サ則正しい就寝は,認知発達や学力に有利(Kelly et al., 2013. Journal of Epidemiology & Community Health )
雑務を共同で実施すると,夫婦円満(Galovan et al., 2013. Journal of Family Issue)
乳児のテレビの見過ぎは言語や運動の発達に悪影響(Pagani et al., 2013. PEDIATRIC RESEARCH)
→ あくまで見過ぎが問題なので,しっかりと管理すれば大丈夫
┿劼匹發留親阿浪奮悗篁賛瑤寮績を向上させる(Booth et al., 2013. British Journal of Sports Medicine)
いい母親にならなければならないという思い込みは,精神的健康を崩しやすい(Rizzo et al., 2012. Journal of Child and Family Studies)
きょうだいの性格が異なるのは仕方がなく,同じ子育てをしてもうまくいかない(Plomin and Daniels, 1987. Behavioral and Brain Sciences)

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2012年04月23日

久々に論文紹介をしようと思います。最近は青年期の研究が非常に面白い。青年期といえば、どちらかというと、アイデンティティなどの自己の問題やピア関係などの問題を含め、人格発達の研究が多い印象がある。また、乳幼児に比べると、認知機能の変化が緩やかだという印象がある。しかし、最近の脳研究の発展に伴い、青年期のベーシックな認知発達の研究が国外では非常に注目を集めている。思った以上に、この時期の認知発達は劇的なのかもしれない。

この時期の特徴は、やはりホルモンの変化であり、それに伴う性的な変化や身体的な変化である。身体に変化があるのだから、脳にも変化があると考えるのは当然である。親の庇護から離れ、自立の準備を進めるこの時期において、脳内回路は再編成され、当然のことながら、異性選択に関わる社会行動に大きな変化がおとずれる(Sisk & Zehr, 2005)。変化が大きいことの犠牲として、抑うつや不安障害など、社会情緒的な問題という形で顕在化する時期でもある。

今回紹介する文献では、特に顔処理に特化した話である(Scherf et al., 2012)。

残念ながら私がホルモンにはあまり詳しくないので、ホルモンに関する記述は簡潔にさせていただく。女性ではエストロゲン、男性ではテストステロンが劇的に変化する時期があり、それは胎児期と思春期であるという。前者が行動や脳内経路に与える影響についてはヒト以外の動物を中心に多くの研究があるが、後者が行動や脳内回路に与える影響ついてはまだまだ研究が十分ではないという。

ただ、顔処理は比較的性的二型であり、ホルモンの影響が与える影響として調べるにはよい例であるようだ。それでは、行動レベルおよび脳活動レベルでどのような変化があるだろうか。以下にそれぞれについてみていく。

☆ 行動レベル
前提として、青年期における発達課題は、それまでの養育者に対する依存からピア関係への対処へと変遷していく。また、性的な成熟が見られるこの時期において、魅力度などへの感受性も高まると考えられる。

1)魅力評定
成人で見られるような顔の魅力度判断は、青年期に達成される。成人では、平均性や対称性が魅力度評定に影響を及ぼすが、9歳ではこのような傾向はない。12歳頃からこのような傾向が見られる。興味深いのは、大人の女性の魅力評定をさせると、9歳も12歳も成人も、どの顔が魅力的で、どの顔が魅力的ではないかについて、全体的には同じような傾向が見られるのに、9歳や12歳は自分と同じ年齢の顔を評定させると魅力度の区別があまりはっきりしないという。12歳以降で、同年齢の顔の魅力度に対する感受性が増すということである。これらから、顔の魅力度評定は青年期にかけて発達するということがいいたいらしい。

2)顔の同定
また、peerの顔を同定する能力は青年期に劇的に向上するようだ。成人において同年齢の見知らぬ顔を識別する能力が高いというown-age biasがあることがわかっている。近年は乳幼児でもpeer preferenceはある可能性が示唆されているものの、基本的にown-age biasは子どもにはないとされている。このown-age biasが出てくるのが青年期ではないかというのがこの論文の主張だ。12歳以下の子どもではこのバイアスが見られないことから、青年期にこのバイアスが出現すると推測している。

3)再編成
顔の同定や表情識別は青年期まで発達が続くようだが、興味深いのは、思春期にいる子どもは、一時的に顔の同定は表情識別能力が低下するらしい。思春期にいる女子は、その前後の女子よりも、これらの課題の成績が悪いという報告がある。(Diamond et al., 1983)。これは様々な研究で追試されているようで、Careyらに言わせると、ホルモンの分泌により脳内回路に劇的に変化が起きており、その間に一時的に処理能力が落ちると言うことになる。面白い可能性だが、残念ながら実証的な証拠には欠ける。


☆脳内回路
1)構造的変化
この時期には、ホルモンの変化により、脳構造に変化があるという。脳構造の中には性差がある部分があるが、著書らは、この性的二型がある領野こそ、思春期の特徴的な脳構造の変化だと言う。胎児期のホルモン分泌によっても脳の性的二型は生じるが、思春期のホルモン分泌によってより明確になるのだという主張である。

脳構造研究から、皮質では左の紡錘状回や右の側頭極、辺縁系では海馬や扁桃体、などに青年期から明確な性差が見られ、海馬などは女子の方が大きく、扁桃体は男子の方が大きいことが知られている。これらの変化と性ホルモンの分泌が関連するのではないかというのである。

実際、性ホルモンのレベルと海馬や扁桃体のボリュームが関連すると言う。例えば、女子では、内側側頭領野の灰白質の量は、エストロゲンレベルとの関連があるという証拠がある。灰白質だけでなく、これらの領野を結ぶ白質の量とも性ホルモンは関連すると言う。

2)機能的変化
構造変化とともに、脳機能の変化も見られる。まず、紡錘状回は8歳頃まではあまり活動せず、青年期にかけて成熟していくという。様々な顔処理課題からも、顔を処理する脳領野は、青年期にかけて著しく発達すると言う。

また、扁桃体については興味深いU字型変化を見せるようで、恐怖顔の処理のときの扁桃体の活動は、児童期から青年期にかけて活動は上昇し、その後成人期にかけて活動は弱まっていくらしい。

機能的連結の研究はあまりないが、ある研究によると、顔同定課題において、成人においては後頭の顔領域と紡錘状回との強い連結が見られたのに対して、10歳頃の子どもでは見られなかったという。この間に機能的連結も発達したと考えられる。


著書らは、最終的に、ホルモンの変化が、脳内回路の編成を促し、また、顔処理の行動的変化を促すということを説明したいようである。脳内回路の編成を議論するためには、機能的連結の知見が不可欠だが、現時点では上記のものくらいしか報告されていない。この点は今後の研究にゆだねると言うことだ。

性的二型が出てきたり、性別を混在した発達の話になったり、イマイチ統一感がない印象はあるが、青年期にこれほど顔処理の変化があるとは驚きである。自分が青年期の頃を思い出しても、それほど変化した印象はないのだが・・・。


<参考文献>
Scherf et al. (2012). Facing changes and changing faces in adolescence: A new model for investigating adolescent-specific interactions between pubertal, brain and behavioral development. Developmental Cognitive Neuroscience, 2, 199-219




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2011年01月05日

というわけで、あっという間に年があけてしまいました。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、新年最初のテーマは、研究の方法論に関するものだ。発達研究の方法論を学ぶとき必ず出てくる、横断研究と縦断研究。横断研究は、異なる年齢群を比較する際に、それぞれ別のサンプルを使用するものであり、縦断研究は同じサンプルを追跡調査するものである。

よくある解説は、横断研究は実施しやすいが、サンプルが違うためにリアルな発達を検証できているかが不明であり、縦断研究は同じサンプルを追跡するため、リアルな発達を検討できるがコストが大きく、サンプルの確保などが難しいというものである。

発達研究者としては、縦断でやればいいのはわかっているが、実施のしやすさから横断研究を選択してしまうというのが本音であろう。

しかし、私自身も両方の手法を用いたことがあるが、この2つの手法について本当に深刻に考えるのは、それぞれの手法で異なった結果が得られたときである。2つの手法で不一致な結果が出たときに、どのようにして折り合いをつけるか。これは非常に難しい問題だ。

どこかに明示的に書かれているわけではないが、基本的なスタンスとしては、縦断的な研究を尊重しようという傾向がある。

これは高齢者の発達研究だが、Nyberg et al. (2010)は意味分類課題における高齢者の脳活動をfMRIで計測した。単語が、具体的か抽象的かを分類する課題で、前頭葉の一部が活動することが知られている(ここでは詳細な部位は重要でないため、このように表記)。先行研究では、この課題における脳活動は、横断研究では加齢とともに強まるのに対して、縦断研究では加齢とともに弱まることを示している。

そのため、Nyberg et al. (2010)は、横断と縦断を両方取り入れた研究を実施した。つまり、最初の調査には、幅広い年齢の高齢者を参加させ横断的に比較するとともに、その調査に参加した高齢者を追跡し、縦断的検討も行った。

その結果、先行研究と同様、やはり横断的比較だと、意味分類課題において、加齢とともに前頭葉の活動が強まったのに対して、それらの高齢者を縦断的に追跡すると、前頭葉の活動は弱まったのである。

なぜこのような食い違いが起こるのか。Nyberg et al. (2010)によると、高齢者の年長群の構成にあるという。先行研究より、意味分類課題の行動実験の成績が高いほど、前頭葉の活動は強いことが知られている。横断的検討の際の高齢者年長群を詳細に調べたところ、意味分類課題の成績がよい高齢者が多かったという。

それらの高齢者を縦断的に追跡すると、やはり脳活動は弱まった。つまり、サンプルの偏りによって横断的な検討の結果は歪められているという主張である。結果、Nyberg et al. (2010)は縦断的な検討のほうがリアルな発達を検証できていると示唆している。

しかし、これだと、なぜ横断的な検討の際にそのような偏りが生じたのかが不明だし、そもそも横断的な結果には懐疑的であるのに、縦断的な結果をなぜ無批判に受け入れるのかという疑問が残る。この研究でも、縦断的な検討の際にはかなりのサンプルが落ちているし、否定はしているが、練習効果や刺激の等価性などについても批判的に検討する必要がありそうだ。

横断と縦断のどちらが正しいという考えよりも、なぜその食い違いが生じるのか、どのようにしたら両者の整合性がつく説明ができるのか、という点をいかに扱うかが研究者の腕の見せ所なのだろうなと思う。

<参考文献>
Nyberg et al. (2010). Longitudinal evidence for diminished frontal cortex function in aging. PNAS, 107, 22682-22686.





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2010年10月22日

子どもが成人とは異なった知覚世界・認知世界を持つという報告は最近少しずつ報告され始めている。こういった研究がこれまでの研究と違うのは、単純に「子どもは成人よりもある課題の成績が悪い」ということを示すのではなく、「子どもは課題のある条件の成績は成人より悪いが、別の条件ではむしろ成績が良い」ということを示す点だ。以前紹介した錯視の研究もこの類である。

今回、Nardini, Bedford, Mareshal (2010)は、視覚的てがかりが2つ与えられたときの判断についての興味深い研究を行っている。簡単に要約すると、成人は、2つの視覚的手がかりを与えられると、両方の手がかりをつかったとき、どちらか一方の手がかりを使った時よりも成績がよい。しかし、子どもはそうとは限らないというのだ。

実験は、2つの視覚的てがかり(肌理と両眼視差)を与えられたときに、それらの情報を融合して物体の傾斜を正しく判断できるかを検討した。

少々ややこしいが、簡単にいうと画面上に提示される2つの物体のうち、いずれの傾斜が大きいかが検討された。肌理だけが手がかりの場合、画面上に実際に2つの物体が提示される。両眼視差の手がかりがある場合は、右目に物体2つ、左目に物体2つ見せることになる。

ともかく、肌理だけ条件(T)、両眼視差だけ条件(D)、両方条件(DT)の3つの条件で、75%以上正しく判断できるのは2つの物体の傾斜の違いが何度あるときかが検討された。

まず、この実験では、成人と12歳児は、DT条件において、D条件やT条件よりも、より精密な弁別ができた。つまり、2つの手がかりがあるときは、2つの物体の傾斜の違いが小さくても弁別できるということである。10歳以下の子どもにはこの傾向が見られなかった。

1つ面白いのが、DT条件で使用する手がかりが発達的に違う点である。成人は、2つの傾斜の違いが大きいとき(課題が容易なときは)比較的肌理を頼りにし、傾斜の違いが小さいときは(課題が難しいときは)視差を頼りにする。しかし、6歳児はその逆で、傾斜の違いが小さいときにこそ肌理を頼りにするようだ。


そして、次の実験が面白い。成人は、2つの手がかりを与えられると却って成績が悪くなることがあるという。特に、2つの手がかりが矛盾するときである。

これもややこしいが、この実験も2つの物体の傾斜の違いを判断するために肌理(T)と視差(D)を使用する。肌理が手がかりで、2つの物体の傾斜が大きく違うことを示唆する場合はT+、小さく違う場合はT-、視差の場合も、大きく違う場合はD+、小さい場合をT-とした。

当然、D+やT+は、単独の手がかりの場合、D-やT-よりも弁別が容易である。

ところが、2つ組み合わせた場合、面白いことがおこる。成人は、T+D+の場合、2つの手がかりは両方とも2つの物体の傾斜が大きく違うことを告げているため、単独の手がかりの場合よりも、より弁別が容易になる。ところが、T+D-のように、1つの手がかりは2つの物体の傾斜の違いが大きいことを告げ、もう1つの手がかりは傾斜の違いが小さいことを告げる場合、課題の成績が著しく下がるという。事実、成人はT+やD+よりもT+D-の成績が悪かった(T-D+についてはかかれてない)。

しかし、6歳児は違う傾向を見せた。彼らは、2つの手がかりをうまく融合させることができない。この実験でも、T+D+と、T+やD+の成績はほとんどかわらなかった。ところが、2つの手がかりを融合させることができないということは、それぞれを独立に処理しているということでもある。T+D-でも、成績の低下が見られず、成人よりもこの条件の成績は良かった。

さらに、潜時を測定した場合、成人は手がかりが1つでも2つでもあまり潜時は変わらないが、6歳児は2つの手がかりの際に、1つのときよりも、潜時が速くなったことが示唆された。つまり、2つの手がかりがあると、成人は判断の正確性が高まるが、子どもは反応スピードが速まるという結果である。

結果をまとめると、成人は2つの手がかりを用いて物体の傾斜を判断する場合、その2つの手がかりが矛盾しない場合は、手がかりが1つの場合よりも判断が容易になる。ところが、2つの手がかりが矛盾する場合、手掛かりが1つのときよりも判断が難しくなる。6歳児はそうではなくて、2つの手がかりがあっても、基本的には1つの手がかりと成績が変わらない。

6歳児は、2つの手がかりがある場合、それぞれを独立に処理してしまうために、このようなことが起こるのではないかと推測される。

但し、これがややこしいところだが、子どもは2つの手がかりがある場合、1つの手がかりよりも、潜時が短い。つまり、子どもは2つの手がかりをある意味では用いている。速く反応ができるのである。

ここでの説明は少し進化っぽいもになるが、子どもの視覚システムは2つの手がかりを融合して処理することはできないが、2つあることに気づくと、どちらかを優先的にかつ急速に処理するようにできているのではないかという。成人の視覚システムが2つの手がかりを使用して正確な判断をするように最適化されているのに対して、子どもの視覚システムはとにかく2つのうち1つでも速く処理するように最適化されているのではないかということだ。

少々説明が飛躍しているし、考察も後付けだろうし、実験的に突っ込むところはたくさんあるとは思うが、それでも面白いなと思う。視覚システムも、発達段階においてそれぞれ最適化されているのかもしれない。今後、このような子どもが成人をoutperformすることを示す研究が増えることだろう。

<参考文献>
Nardini, M., Bedford, R., & Mareshal, D. (2010). Fusion of visual cues is not mandatory in children. PNAS, 107, 17041-17046.






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2010年09月30日

子どもを対象にしたデコーディングの研究がScienceに早くも出てしまった。

デコーディングとは、ごく簡単に言って、脳の活動から被験者の心の状態や認知の状態を読み解く方法である。脳情報の解読ともいう。方法には色々あるが、基本的にはある課題中の脳活動を取得し、機械学習アルゴリズムに学習させる。課題Aの脳活動はこんな感じで、課題Bの脳活動はあんな感じというように。学習後に、新奇な脳活動の情報をそのアルゴリズムに与えたときに、その脳情報が課題Aのものなのか、課題Bのものなのかを推定させる。精度のよいアルゴリズムほど正しく推定できるというわけである。

Dosenback et al. (2010)は、脳活動から子どもの脳年齢を推定する研究を発表した。

fMRIを使っているが、課題中の脳活動ではなく、安静時における脳の自発活動によるfunctional connectivityを指標として使用している。確かに広い年齢をカバーするためには課題をやらせるよりもいいし、なによりスキャンや場所を越えて安定性・信頼性が高いらしい。

7歳から30歳の参加者の238回分のスキャンから得られたデータをSupport Vector Machine(SVM)というアルゴリズムに学習させた。

どのようなデータを与えて、どのような分析をしたかが腕の見せ所のようだ。データとしては、12720種類ののfuncctional connectivityデータがあるそうだが、そのうち200種類に絞ったと書いてある。絞った基準は成人と子どもで最も違いが出やすい場所だそうだ。なぜ200なのかはよくわからないが(詳しくはsupporting information)。

SVMは基本的に2値の判定に用いられるので、子ども(7歳から11歳)の200種の脳活動と成人(24歳から30歳)の200種類の脳活動を学習させたた後にデコードを行ったところ、精度は91%だったという。

これをさらに発展させ、SVM Regressionという方法を用いて、生活年齢に対応して脳活動を学習させ、それをデコードする分析も行っている。分析の詳細は理解しきれていないが、これにより脳活動からかなりの精度で脳年齢を予測できるようだ(説明率55%)。

その後、別の2群の参加者(7歳から31歳の195スキャンと6歳から35歳の186スキャン)の脳活動でも同様の分析を行ったところ、それぞれ90%以上の確率で子どもの脳か成人の脳かを正確に推定した。また、脳年齢の推定も同様の精度であった(それぞれ、説明率52%, 56%)。

また、functional connectivityの発達的変化についても分析していて、全体的に、遠くの脳領域とのconnectivityは発達とともに強まり、近くの脳領域とのconnectivityは発達とともに弱まる。

さらに、使用したデータのうち、どの脳領域のfunctional connectivityが識別のために重要であったかを検討している。6つの大まかなnetworkに分かれるらしく、それぞれが同程度重要であったようだが、特にcingulo-opercular networkが識別に重要だったらしい。この領域のwithinのconnectivityは発達とともに強まり、他のconnectivityとのbetweenの結合は発達ともに弱くなるということだ。上述のconnectivityの発達の知見とどう関連するかがわからないが、そこら辺の説明はなされていない。

こういった脳の機能的成熟と構造的成熟がどう関連するかが興味深いところで、今後はその整合性が調べられることになるだろう。

それほど斬新なアイディアがある研究ではないと思うが、やはり医療用に、診断ツールとして用いることを最終目標にしている点が強いなと思う。脳活動から予測される年齢と生活年齢の関係を見るといった具合だ。今後このような研究は増えてくるだろう。

fMRIでできないことをNIRSでやるべきだと考えており、それは低年齢の子どもを対象にした研究だと思うが、最近は幼児のfMRI研究も増えてきており、どの部分で自分のオリジナリティを出すかが問われている気がする。

<参考文献>
Dosenbach et al. (2010) Prediction of individual brain maturity using fMRI. Science, 329, 1358-1361


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