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 (※この文章は、映画「KING OF PRISM by PrettyRhythm」を観たけどあまりプリティーリズムシリーズの事をご存じない方向けに書いたつもりですが、テレビアニメ「プリティーリズム」シリーズのネタバレを多く含みます。)

公開から1か月以上経過しましたが、KING OF PRISMの勢いが凄いです。

 記事にもある通り、バレンタイン限定メッセージ映像が流れた2/14には1日あたりの動員数が公開初日のおよそ170%を達成し、公開37日目にして一日あたりの最高動員数を記録したとの事です。
 僕も運良く新宿バルト9での応援上映回にて限定メッセージ映像を観れました(アイカツオンリー同人誌即売会のために東京に行ってついでに同級生の先行上映会を男一人で観てその後に観た)が、シンちゃん(寺島惇太さん)の「ここまで観て下さった皆さんのお陰です」といった発言を聞いて思わず涙ぐんでしまいました。本当にこのような人気作品となってくれて、ここまで上映が続いてくれて嬉しい限りです。

 その前日である2/13に行われたイベントでは、公開2週目までの勢いでは正直お通夜のような雰囲気も流れて、プロデューサーである西さん依田さんの進退も危ぶまれる程だったと語られていました(冗談交じりの発言とは思っていますが)。しかしそこから失速するどころかむしろ盛り上がりを見せて、公開当初から上映していた劇場が今なお上映を続けていたり、新たに上映開始する劇場が増えている現状にあります。
 欲を言うと、アレだけテレビシリーズを放送していた時からヤバいヤバいと皆言っていたのに結局全然新規視聴者が増えなかったのが今更悲しくなってくるのですが、毎週新作が放送されるテレビと異なり、映画はそれ1本で纏まっているので、上映が続く限り新規の方もとっつきやすいためだと思っています。映画公開してくれて本当に良かった…!

 なんでこれまでファンが騒いでも全く話題になってくれなかったプリティーリズムシリーズが映画化により話題になっているかというと、その作品自体の熱量とそこから来る中毒性にあてられて以前からのファンが何度も何度も観に行っているからだと思うんですよね。リンクを貼ったレポ漫画でも中毒性があると語られていますし、個人の感想ブログやレポ漫画では「電子ドラッグ」だなんだと書いている方も多く見受けられます。正直リピーターがめちゃくちゃ多すぎて結局新規層があまり増えてない可能性もあるんじゃないか不安もあったり。
 かくいう僕も7回観ましたし、前売り券1枚分+5枚綴り(正装バージョンのヤツ)を買ったけど使ってないので13回分金払ってる事になります。僕よりもっと映画を観ている人はいっぱい居ると思うので回数自体はけして自慢にはなりませんが、今までの人生において映画館で同じ映画を観た最大の回数は3回までだったのに、その倍以上観てなお今後も観たいと思っているぐらいには中毒性があります。そしてその中毒性の高さを聞きつけた周りの新規層の方達が観てくださっていると。

 だけどちょっと待っていただきたい、と。けして既存のファンはただただ衝撃的な映像のジェットコースターに気持ち良くなって麻痺しているだけでは無いのです、と。応援上映で観て頂いた方々は体験していただけたと思うのですが、さっきまであんなに応援していたシン達が所属するエーデルローズの敵であるはずの、シュワルツローズ総帥・法月仁の台詞を観客も一緒に叫んだり、RLシリーズの女の子がちらっと映ったりするだけでとてつもない歓声が上がり、涙ぐんでしまう人まで居たのが観測出来た事でしょう。更にはEDのクレジットで監督の名前が出てきた時の歓声の上がりようも、中々起こり得る事では無いと思います。
 これはひとえに、プリティーリズムシリーズに出てくるキャラが男女問わず、敵味方問わず命を燃やして生きているからこそ、観ている側もそこまで必死に応援したくなっているのです。男子の肌色率が高いだけでキャーキャー言ってるのではありません。それはそれで楽しいんだけども(笑)。
 そしてそんな命を燃やすキャラを作り上げている、菱田監督をはじめとするスタッフの方々も、同じく懸命に命を燃やしてKING OF PRISMを作っています。中毒性の高い本作品を作るにあたって、その命を燃やすにしても、ただ自らの身体を火種に放り込んで炎上させたワケではなく、ちゃんと可燃剤をセットして、空気を送り込む等、効果的に命が燃えるよう考えに考え尽くした結果、あの中毒性200%の作品が完成しています。そうして出来た作品自体の完成度の高さと作品愛に惹かれて、我々は何度も何度も劇場に通い詰めているのです。
 というワケで、劇場版KING OF PRISM by PrettyRhythmにおいて、スタッフの方々がどれほど考えて作品が作られているか新規ファンの方にも知っていただきたいと思い、この記事を書きました(前置きが長い)。最初にも書いていますが、映画は勿論、プリティーリズムシリーズ、主に3作目のレインボーライブ(RL)のネタバレを多分に含む記事ですのでご注意ください。

1.冒頭のOver The Rainbow(オバレ)のライブ
 オバレの曲である「athletic core」が流れ始めると共に満月が映り、その下にはライブ会場、という状況から映画は始まります。まずいきなりこのライブ会場が、現実において2020年東京オリンピックに向けて建設を予定している新国立競技場の旧デザイン案(ザハ氏案)にそっくりでした。
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  最近プリティーリズムに触れた方はご存じないかと思いますが、菱田監督は非常にやくざ気質…もといゴシップが大好きな人です。話題のモノには積極的に飛びついて作品のアイデアに利用したり、作中人物が週刊誌やスポーツ新聞のネタにされて窮地に追い込まれる、なんて展開もしょっちゅうです。そんな菱田監督の性格を知っていればこそ、開始数秒でいきなり「新国立競技場(ザハ氏案)そっくりの建物」が出てきただけで、ファンは即座にいつもの菱田監督作品を映画でも期待して良いんだ!と心躍らせられるのです。飼いならされるって怖いですね。
 勿論僕もただ失礼な事を言いたいのではありません。ちゃんとこの建物が出てきた意味を持たせてあるから説明しています。それはこの会場の屋根が開けているという事。このお陰で、シンちゃんはルヰ君に貰ったペンダントをかざして最初に映った満月の光を浴びさせる事が出来ました。本作品において月に非常に重要な意義があるのは、シンちゃんに月の痣があったりする事からも、映画を観ただけで分かっていただけるかと思います。
 このように、いつものノリを期待出来るだけでなく、ちゃんとストーリー上重要な意義を担っているというのを兼ねたのがこのライブ会場デザインなのです。まだ開始数秒の時点なのに早速こんな長い説明が必要になってしまいました。

 勿論ちゃんとオバレの「athletic core」も、ファンにとって嬉しいポイントだらけなのは見逃せません。まず衣装。キャラクター原案&デザインである松浦麻衣さんも語ってらっしゃいますが、これはシングルのジャケット衣装ですね。発売から2年以上経った今再びこの衣装がプリズムショーで観られる喜びでもう興奮。衣装デザインの選択1つとっても意味が込められています。ちなみに映画公開に合わせて先日発売された「ROAD to Over The Rainbow ~デビュー2周年記念DVD~」のジャケットでもその衣装は見れます。
プリズム☆ソロコレクションbyコウジ&ヒロ&カヅキ(CV:柿原徹也・前野智昭・増田俊樹)
コウジ&ヒロ&カヅキ(柿原徹也&前野智昭&増田俊樹)
エイベックス・ピクチャーズ
2013-11-20

ROAD to Over The Rainbow ~デビュー2周年記念DVD~
柿原徹也
エイベックス・ピクチャーズ
2016-02-12

 
そしてショー自体も最高。オバレによるathletic coreのプリズムショーは、RL最終話でも披露されているのですが、KING OF PRISMで流れたのはRLのDVD-BOX2(27話~51話)を買わないと観られない特典映像のロングバージョンのショーが基になっています(
劇場版プリパラ み~んなあつまれ! プリズム ツアーズのルート4でも流れましたっけ?ちょっとここはうろ覚えです)
 このロングバージョンはテレビシリーズのプリズムショーの尺では見られなかった通常のダンス以外のアクションが追加されているのが注目ポイントで、こういったアクションの派手さが男子レベルの高さを底上げしていると思います。
特に必見はヒロ様の後方伸身宙返りひねりですね。これは体操の白井健三選手が成功させた後方伸身宙返り4回ひねりの「シライ」を超える、「ハヤミ」という技である事を菱田監督が以前つぶやいていました。監督が該当ツイートを消去されてしまったのでうろ覚えですが、4回半ひねりだったでしょうか。こういうさりげなく引き出しの多さを感じさせる設定も上手いです。
 そのままオバレの各ジャンプ(ここまでは前述の特典映像でも見れる)でシンちゃんが裸にひん剥かれた後、3人揃って新ジャンプの「純愛!トキメキサイクリング」を跳ぶ展開へ。イケメンが彼女と2人乗りして甘い言葉を掛けたと思ったら急に空を飛んだ、というジャンプ自体は確かに意味不明なモノです。しかし、そんな意味不明なシーンでも、少なくとも以下の考えがあって出来上がっているのです。

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・相乗りさせる彼女役をRLでオバレ3人それぞれと仲の良かったキャラを選択してファンを喜ばせる
・RLのメインキャラを彼女役にすればCGモデルはRL当時のモノを流用出来る(↑の画像の通り作画してる部分もあるけど)
・その彼女役のRLキャラも、あくまでシルエット止まりで顔は隠れており、オバレ好きな観客へのドリームは壊さない。「オバレのメンバーと自転車に乗っている自分(観客)」として応援上映用のアテレコに使用出来る
 
 1つ1つはどうでも良い事のようですが、このような制作状況と観客の両方の都合を配慮して最善の一手が取られているバランス感覚が、敵味方・男女キャラ問わず声援を送りたくなるような作品の完成に繋がっているというのを是非理解していただきたい。シンちゃんがオバレのライブを見た後つぶやいた「なんだこれ」という、観客の気持ちにシンクロした台詞のチョイスもグッドです。

 …ホントは1つの記事で解説しきろうと思っていましたがあまりにも長くなったので記事を分けます。最初の前振りが長かったとはいえ、まだ上映開始してから5分ぐらいのシーンしか話せていません。その2以降に続きます。