2013年04月28日

一周忌を過ぎて

機内から手を合わせて遥拝、そして降り立ち駆け足の性地巡礼。交歓の果てに来たる射聖も微々たるもので寄る年波を感じ、再訪を期し、機内から手を合わせて遥拝、南無。

尊師が外道黙示録として予言された来るべき東京直撃地震によって真っ二つに折れる東京スカイツリー、車窓の遥か彼方に其の尖塔を見、それが墓碑になる事のないように両手をあわせて黙祷、そして東京へ入った。

今回は会社を辞めて尊師の辿った聖地を巡る、まさに巡礼である。しかし、会社を辞め収入の道を絶たれて明日からどうやって生きていくというの、という妻の涙を流しつつの懇願とも、ダメな夫を責めると繰り言ともつかない、そんな状況に、ただの一外道貧民にそのような決意など、所詮できるわけもなかった。

年休を完全消化しないと上司の機嫌がすこぶる悪い。休みをろくに取れない会社もあるご時世、ありがたい話である。

「渡辺くん、ちょっと」
「はい」

「まだ年休が3日も残ってるよ、どうなってるの、早く消化してくれないと」

俺の評価が下がるよ、と管理職としての心配でもしているのだろうか。

「そうですね、今きてる発注書が現場の方で捌ききれてないそうなので、休むわけには・・・」

「そんなのは田中に任せとけばいいだろ」と、なにかとワンセットにして見られる同僚の名前が出てきた。

「はぁ・・・」
「じゃあ今月中に、頼むよ」

これで、バンコク行きが決まった。

久しぶの東京は賑やかであった。イケテルOLさん達が仕事帰りに飲みに行くのであろうか、東京駅で乗り込んで来た彼女たちは、どこへ行くかの相談をしていたが、すぐに着いた有楽町駅で、都会の香りを車内に残しつつ、降りていった。

妻はニコニコと楽しげであった。

「久しぶりねー、急だったから大して準備も出来なかったけど」
「準備と言ったって、たったの三泊くらいなんだから、身ひとつでもいいくらいさ」
「まぁ、そだけど、ね」

妻とはピピ島のダイビングツアーで知り合い、少しの遠距離恋愛を経て、結婚した。
結婚後も機会があればダイビングツアーに行こう行こうと誘われるものの、、俺はもうすっかり飽きていた。あのレッドシーツアーで、海水の匂いに酔ってボートでゲロってからはさっぱりだ。

今回は急な旅行という事もあって、成田発の夕方便が取れなかった。そこで羽田発の深夜便でのバンコク行きである。

羽田は中華航空が飛んでいた時に利用したことがあったきりで、新しく国際ターミナルが出来たことは知っていたが、初めてなので施設がどんなものなのか、それも楽しみもだ。

「浜松町、それとも品川に行くの」
「うーん、近い方で、浜松町でいいんじゃないか」

都内は詳しくないので、事前におさらいをしておいてよかった。妻は根っからの方向音痴、自分にしても人様に自慢できるようなアンテナを持っているわけではない。

調べ魔である妻はパソコンを駆使していろいろな情報を集めるものの、リアルとの整合性というか、どうもそのあたりが一致しない人間である。

「そうね」

今自分がどのあたりにいるのかも気にしない脳天気さが可愛くもある。こういう女がいいのかも。

浜松町からはモノレールに乗換えだ。天王洲アイルで人が、どっと降りた後はかんさんとした車内に見るものもなく、外はすでに日が暮れているので、都会のスカイラインはキラキラと光るビルの明かり、それを写し込んだ川面が、都会ではあってもここが海に近いであろうことを思い起こさせてくれる。


「ちょっとー」

妻が俺を袖をクイクイと引っ張る。

あの原発事故以来、関東は汚染されていると信じ込んでいる二人にとっては、何かの防護になるかと思い、マスクをしていた。

しかしここではそんな人は見当たらず、変なカップルに思われそうだ。

「あほらしいよ、取ろっ」

人にジロジロ見られていた気がしたのはそのせいかも。


「大井競馬場?、昔だけどここ来たことあるな、その時は京浜急行だったけど」
「へー、照明が綺麗ねー」

煌々と照らされた馬場なのだろうか、柵まじかで見た迫り来る馬群の迫力だけは、記憶に残っていた。


少しすると昭和島駅だ。

「ここは競艇か、ギャンブルには絶好の路線だね」
「やだっ、それ、平和島でしょ」

妻はケラケラと笑っている。

「だから昭和島で平和島だから・・・」と言おうとしたが、まぁ、どうでもいい。
いい夫婦漫才の呈である。

国際線ターミナル駅の出口は即、空港と直結していた。

「すごーい」

彼女とともに、これには俺も少なからず感動だ。

インターネットでひと通り手続きを済ませていたので、チェックイン機で搭乗券を出すだけだ。

まだ搭乗には時間があるので、ひとしきり空港内を探索。どーも女性は香水の匂いに敏感らしい。高級品的な匂い、に、とでも言うのだろうか。俺は鼻がむずむずして遠ざかりたい方である。買う、などと言い出しかねない所で、懐具合が気にかかる。

今回は二人共に溜まったマイルでのアップグレード特典を行使したかったが、急なのと手続きが面倒くさがったので、ポイントに変換してチケット代金の一部にした。

まだ早い時間だけあって、閑散としていた。なんだかんだと言ってもやはり東京にアクセスが集中している限りにおいて、成田よりは便利だろう。今まで経緯はあったとしても羽田に乗り入れる路線が増えてしいものだ。

クレジットカードのゴールド会員として、ラウンジが使えるものの、こんな時くらいにしか役に立たない気もする。会費との費用対効果は、実質そんなに経済状態がいいと言えない者にとっては、ただの見栄から来ているのか。

会費分くらいはゆっくりとくつろがせていただこう。

滑走路が見える辺りに座って寛ぐもよし、ブースに囲まれた落ち着いた空間で過ごすのもよし。電源も取れるので、機内で使うとすれば、今のうち。

喉が乾いたので、ドリンクコーナーのお茶を何回もお代わりしていたら、妻に笑われてしまった。どこに笑いのツボがあるのか、さっぱりだ。

搭乗時刻が迫るに連れ、あれよあれよという間に席が埋まりだした。座る席がないというなら、やはり早めに行動しておいて損はなさそうだ。うちらの場合は、早く着すぎた感があって、もう疲れてしまった。

ゲートオープンの三十分前にラウンジを後にする。成田よりも、あのブーススペースがあるという事では全然いい。また羽田発を使おうか、という気になった。

時刻通りに搭乗開始。事前の座席予約の時から満席に近い状態だったので、どんなものなのだろう。

左右の二人席はほぼ埋まっており、中央の三人掛け席もぎっしりだ。もしも隣が空いていたら、その人はツイテルんだろう。このツキを是非ギャンブルにでも。

お定まりのアナウンスの後にいよいよ出発だ。妻は免税品販売パンフレットに釘付けだ。帰国で買おうというものに目星でもつけておくのかな。まぁ、自分の金で買うんだろうから、しらないが。

V1、今がV1なんだろうか!!と、激走する滑走路の写したモニターに俺は興奮した。世の中何があるかわからない。生きるって何、死って何、と、考え始めれば切りがない。

と、緊張した瞬間もあっという間に上空へ。梅雨なので前線の影響で持って、結構揺れる。
俺は小心者なので、肘掛けにガシっと掴みながら怖さに耐えていた。妻といえば、どこ吹く風である。

深夜便なので、スナックと水ペットボトルの入った袋を配っている。基本は寝るという事だろう。軽くそれを食べてもよし、で、飯は朝に、という。

空港について軽く軽食を食べてはいたが、やはり腹が空いた。あっといまに配られたものを食い尽くす。我ながら浅ましいかも。食い意地だけは一人前以上だ。

デンゼルワシントと誰かの主演映画を見つつ、ワインを頂く。なんだっけ、エコノミーでビジネスの味を楽しめるサービス、あー、あれあれ、あれが楽しみだったのに、もうなくなってしまった。シャンパンなんて機内でこれがなきゃ飲めないもんな。持ち込みってオーケーなのか。ありかも。

次に冷戦時代のスパイを描いた映画見ていたら、いつの間にか眠ってしまったらしい。

そばがうれしい日本食。妻はがっつく俺を冷ややかな目で見ている。

「覚えてないの?」
「えっ」
「あきれた・・・」

妻曰く、ワインを飲んでいた時にトイレに行くと言ってしばらく戻ってなかったらしい。
しばらくと言っても用達の範囲だろうと思っていたら、機内後部ですっ転んでいたらしい。すぐにキャビンアテンダントに見つかり、酔っぱらしいらしくグタグダ長々と言い訳をして謝ってていたとのこと。

一つ間違えば途中降機で身柄拘束もあり得る事態。

現地に到着して、降りる際にそんな俺にでも気遣いの言葉をかけてくれた、心優しい乗務員さんに感謝だ。

到着ゲートは入管にすぐの場所で、延々と歩かされるのがいつものことと思っていので、拍子抜けだった。

それでもタイパスポートホルダーの列に並んでしまい、そのアドバンテージを無駄にした。
なんか係員の人に手招きされたのでそこに並んだんだが、俺なのか、妻なのか、タイ人に見えたんだろう。

時間がかかるかかると言われている審査も、其の批判に答えてか、あっという間にに入国のスタンプを押してもらい、オーケー。

早朝だけど、迎えって来てるの、大きくあくびをしながら妻が尋ねてくる。
確か予約の時に

以上、未完、ちゃんちゃん
gedoukou at 19:55│Comments(1)ご逝去とご供養 

この記事へのコメント

1. Posted by タイスキ   2013年05月02日 09:21
一周忌が済み、仏の弟子として性地タイの聖人となられたのでしたね・・・。
ワタシよりも若くして、あの世に旅立たれるとは・・。無念・・・。
今や、泰国を始めとする東南アジアは、昔のような、酒池肉林・ビンボー人の楽園ではなくなってしまい、過去を懐かしむ壮年世捨て人の巣窟と化してしまいました・・・。 → 今年のソンクラーン時、痛感しました。物価高い! レート最悪! オネエの背も高い!?

八百万の神が集う、性のコスパNo、1の神国 日本 よりご冥福を祈り、合掌。  ナマステ。旅の恥はカキステ。

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