2010年11月29日

【コラム・ネタ・お知らせ】 出版社をつくろう!その1

出版社をつくろう! クエスチョナーズ藤岡ですだよ。僕はもともと漫画を仕事にしたくてこの業界に入ってきた人間です。紆余曲折あって色んな仕事に手を出していても、いつも心の何処かで「出版やりたいなあ」なんて考えております。出版業界自体は斜陽の一途、時間が経てば経つほどやりにくくなっているですが「そろそろ真面目に考えてみようかな」が今回の趣旨です。
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ちなみに今回のコラムを書こうと考えたきっかけは、こちら「俺の邪悪なメモ」さん。

罪山罰太郎さんがお話を書き、うらぽんさんが絵を描いて「黒の女王」という一冊の単行本を作っているようです。で、世の所謂同人誌と同じ売り方+Amazonのe託販売というシステムを利用して販売されているらしい(詳しくはこの記事を読んでください)。要約すると「個人が二人で協力しあって、同人委託書店とAmazonを販路とする出版社を運営している」という感じですね。

「黒の女王」 Amazonで発売中
中身もご本人のブログで試し読みできるみたいです。

勿論僕もクエスチョナーズに出版社機能を取り入れたいとは常々考えているので、e託販売自体はチェックしていたんですが「正直コストパフォーマンスが悪い」というのが最初にe託販売を調べたときに感じた感想。そのデメリットに関してはこちらの記事が分かりやすいので興味がある人は読んでみてください。

具体的にどこら辺が気にくわないのかというと「掛率が低い(60パーセント)」わりに「商品一つ一つに対して手間・コストが掛かりすぎる」し「在庫リスク」は丸かぶり、という3要素を総合したリスクに対するリターンのバランスが良くなさそうというところ。

面倒臭がり屋の僕としては「Amazonに一冊ずつ納品」とか「納品物一つ一つに対して梱包、ラベルを用意する(しかもコレ自体はお客さんへのサービスというよりはAmazonへのサービス)」なんて正直やりたくもないし、そんな事やってたらただでさえ少ないリソースを他の仕事に振り分けることが出来なくなるでしょう。しかも売り上げの幅自体が小さい、またはコストを真正直に上代に乗せていくと商品の価格自体が相場をはるかに上回ってしまう、とくれば「火中の栗を拾う」のが趣味の僕といえども、ちょっとこれは…という感じ。そんなこんなで試すこともなく見送っていた、というのが正直なところなので、漢前なことをやっている「俺の邪悪なメモ」さんには頑張って欲しいところです(微力ながら1冊購入させていただきました)。

で、人の事はさておき、ココからは僕自身は何をどうしようとしているのかというところを書いていきましょう。まずこの話をするためには出版流通の現状をなんとなく知ってもらう必要があります。

出版流通ってこんな感じ。基本は玩具流通と変わらないように見えますが…。

図を見ればわかるんですが、まあやってることは玩具流通なんかとほとんど同じです。根本的に違うところというと、商品が移動するときに採用される方式において「買切り」「委託」のどちらがより一般的に採用されているか、という点です(書籍は基本「委託」で販売されることが多い)。これにより「在庫リスク」「キャッシュフローに関するリスク」が大きく変化してきます。

どういう事かというと、例えばある商品を流通に流した場合、その商品が「買切り」商材として扱われているのなら商品を問屋さんに納品した瞬間に納品した分の売り上げが確定するわけです。が、この商品が「委託」商材として扱われていた場合は、ある一定期間が過ぎた後に実売(実際にお客さんの手にまで届いた)分の売り上げだけが成立して、残りの宙ぶらりんのモノに関しては何時自社の倉庫に送り返されてきても文句は言えない状態になります。なので「委託」方式で商品を売る場合、商品の生産数を決定する時点ではそのうちいくつが在庫になってしまうかわからないという「在庫リスク」を負うことになります。また、商品を納品しても納品先から支払いが行われるのが「買切り」方式で売っている時(納品日の月末締め翌月末払いが多い)よりもはるかに時間がかかってしまい(出版業界だと問屋さんから出版社への支払いは半年後とかざらです)、「キャッシュフローに関するリスク」も増大することになります。

もちろん「委託」方式も悪いことばかりではありません。小売店・問屋の「在庫リスク」が殆ど無いため、商品を一定数つくってしまえば大抵の販売場所で売ることが可能となり、販売機会の損失が少なくなりやすく、総じて「買切り」方式で販売するよりも多くの商品を市場に流通させることができます。また、規定の支払い期日が来た際に全ての在庫が出版社に返却されるとは限らないので、自転車操業的に商品を作り続けることによって、実売数プラスアルファの売り上げをいわば市場から借りあげ続ける事が可能になります(自転車操業が機能しなくなると悲惨な破綻を招くことになりますが)。なので上手く出版点数を増やし続けていけば実売数に関わらず売り上げを増やし続けていく(ように見せかける)ことが可能です。ちょっと年金制度に似ている部分がありますねw。

ざっくりと例えてしまうと「買切り」方式は「狙いすましたピンポイント爆撃。要所は押さえられてもボーナス的効果はなし」で、「委託」方式は「物量任せの絨毯爆撃。ムダも多いが効果も大きくなりやすい」という感じ。こういった「場のルール」的なモノが見えてくると「何をやるべきか」というのが分かりやすくなってきます。が、ちょっと長くなってきたので今回はここまで。次回はこういったルール(的なモノ)を踏まえた上で、これから僕がやろうと思っていることをお話しします。

最後に告知。実はこちらの商品もクエスチョナーズとしては未知の流通(PCソフト流通)を使った挑戦です。

『クラ☆クラ』オリジナルサウンドトラック

予約締切り間近なので、皆様の紳士な対応を期待しております。

『クラ☆クラ』 オリジナルサウンドトラック
変態紳士の名に恥じない対応を求む!

そんな感じで今回はここまで。ではではまたまた再来週。

クエスチョナーズ 藤岡聡

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