2011年05月02日

【コラム・ネタ・お知らせ】 たまには人の話を聴いてみよう!~秋葉原でエロゲーを売っていた男のお話~

秋葉原でエロゲーを売っていた男アキバblogをお読みの皆さん、こんにちわ。私はケロタカというチンケな男です。今回はクエスチョナーズの社長であり自分の友人である藤岡が『ケロタカさん、アキバblogのコラム書いてくださいよ、マジネタ出し大変なんすよ。一回あんたもあの苦労味わえよこのダメ人間!』と言うものですから、代理として書くことになりました。
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アキバblogをお読みの皆さん、こんにちわ。私はケロタカというチンケな男です。

で、自分なのですがタイトルにある通り、約4年ほどアキバでエロゲーを売っておりました。楽しかったこともあれば辛かったこともありましたが、非常にいい経験であったことだけは断言できます。アキバblog様で書けるネタは自分にはこれぐらいしか無いので、そういった事をつらつらと書かせていただきます。で、いきなりなのですがこれからアキバでもそれ以外でも販売業をやる、やりたいと思ってるあなたに、社会人生活を全てそれに費やしてきた自分から一言。

「販売業にベストはない」
どんなに頑張っても100人中100人のお客様を満足させるなんてことは出来ません。

自分はドン・キホーテが結構好きで元の職業柄、棚の展開なんかをじっくり見てしまうのですが、非常に考えられてます、ドン・キホーテ。でも、それでもベストじゃないんです。販売業にあるのはベター、グッド、バッドしか無い、そう考えてください。

そしてもう一つ。「それでもベストを目指さなくてはいけない」。まあこれはどんな仕事でもそうですけど、100%が無理だと分かっていてもそれを目指さなくてはいけない。結構辛いです。でもそうしないといけない。仕事って辛いですね。でもそれでお金をもらってるんだから当然です。まずこれを踏まえて、下の文を読んで下さい。

ドン・キホーテの棚展開の特徴は・大量に物を積む!・押したい物を全力で押す!・なんとなく来てしまう不思議な展開!。これでリピーターを増やしてるんですね、すごいです。会社が大きくなったのも分かります

まず自分がアキバで働くことになった理由ですが、自分は元々某政令指定都市でコソコソとエロゲーを売っていました(自分ではヒッソリと売っていたつもりでしたが、実は二重の意味で声がでかいと有名だったらしいです…。)。それで当時務めていた会社のアキバのお店が改装することになり、上司から内示の内示で「やらない?」と声をかけてもらったのです。

その時はちょっとエロゲー販売から離れていたこと、あと家庭の事情でちょっと引越しは…とも思ったのですが、それよりも「天下の秋葉原でエロゲーの担当出来る!漲ってきた!」という気持ちの方が強く、まあほぼ即答でやります!と答えておりました。今思うともう少し考えろよ、内示の内示の意味ねえじゃんって感じですが。


で、諸々の手続きをしてやってきました花の都大東京。気分は長渕剛の「とんぼ」です。あ(これ以上書くとJがつく団体があれなので省略)♪といっても売るのはエロゲーですが。しかしまだ改装準備前であったため、ちょっと時間が空いてしまいました。じゃ、何する?そりゃアキバに市場視察、いや敵情視察だ!と言う訳でアキバへ行って知る限りのエロゲーの店舗、ついでに他の販売店も色々と見てきました。それで家に帰ってきて一言。「これ、無理ゲー!!」

さすがアキバ、エロゲーショップも某政令指定都市なんか目じゃありません。展開とかゴイスーとしか言いようがありません。正直今まで俺がやってきたことなんてオママゴトなんじゃねえの・・・? しかもエロゲーだけじゃなくコンシューマーソフト、コミック、同人誌etc、etcという他の大量の販売物、そしてアキバ名物、メイド喫茶の多さ。お客様の財布には当然ながら限界があります。アキバみたいな繁華街は、言葉は悪いですがそのお客様の財布の中身の奪い合いです。その中で自分が担当する物が認められるのか?買ってくれるのか?そもそも店に来てくれるのか?と心が折れてしまったのです。

アキバはオタクにとって素晴らしい街です。しかしその時の自分は完全にお上りさん状態で行ってしまったので、ガラリガラリとアイデンティティーが崩れてしまったのです…。その日、自宅アパート近くのバーミヤンで餃子をつまみにグダグダしたこと、まだ覚えてます。何故ならドリンクバーを全制覇しましたから。ついさっきドヤ顔で「販売業はベストを目指さなきゃいけないんだよ、チミィ」とか書いた男とは思えませんね。

秋葉原の街並み
これだけの人がいてもこの場所に存在する店の数を考えると、この中で目立つのは至難の業

しかし仕事です。当然ながらやらなければいけません。で、皆さんに質問です。エロゲーショップで一番必要なものってなんだと思いますか?目をつぶって5秒だけ考えてください。

1,2,3,4,5、はい、答えは簡単、「エロゲーそのもの」です。売る商品がなければ商売になりませんからね。じゃあどうやって売るのか?当然棚に置いて売ります。通販ショップではないので当然です。で、どうやって置くのか?ここでもう一度、アキバの他のエロゲーショップに行きます。もう仕事モードなので心は折れません。その中で色々と見て回り、どのような展開にするかを考えました。自分に与えられたフロアはかなり大きい。正直これは恵まれています。という事で決めた方針が「直球7割、変化球3割」。もしくはクリスティアン・ヴィエリじゃなくてフィリッポ・インザーギ。

あまり展開に気を衒わず、かと言って広いフロアをそのままにしておくのはもったいないのでちょっと味を入れる。まあその味というのは「PCゲーム系のCDも一緒に売る」、「人気メーカー(個人的に名作を出していて押したいメーカー含、というかはっきり書くとニト○プラス とか、mi○ori )のコーナーを作る」、「時期ごとに特集コーナーを作る」みたいな感じでした。あとは平台に新作を置き、外周コーナーに準新作ソフトとメーカー順のコーナー、あとDVDプレイヤー(というかPS2)でも出来るDVD-PGコーナー、エロアニメコーナー、と展開場所は決まりました。後は置いていくだけです。…が、トラブルが発生してオープンする2日前まで全く商品を棚に置くことが出来なかったのはいい思い出です、というか上司から小一時間程説教を受けました…。だけれどもアルバイトの頑張りもあり、新装オープンにはギリセーフで間に合いました!さあオープン!

オープンしました。結果は残りました。当然です、新装オープンのため色々な人が動いてくれましたし、何より人は新装開店という言葉に弱いのですから。しかし、それから売上は伸び悩みます。商品が大量に販売される月末ならまだしも、それ以外はさっぱりです。さあどうするか。正直、こういった場合の考えはエロゲー担当の方でも人それぞれだと思います。で、自分の場合は「売り上げ伸ばすのは難しいから予約を増やそう」という考えに至りました、というか前からそう決めてました。

予約というのは店舗にとって非常にありがたいもので、それだけで事前に売り上げがある程度想定することが出来る夢のシステムです。考えた人は神です。では、どのように予約を取りましょう。予約コーナーを作ってそのままでは予約なんか増えるわけありません。当然ながら何らかの手を打たなければいけません。そこでフロアを見渡します。広いフロアだなあ・・・あ、なんか壁がまるまる空いてないか!?しかも三箇所も!!もちろんこれを使わない手はない!!と言う訳でここを使います。しかしあまりに大きすぎて(高さが3メートルほどありました)自分達では如何ともし難い。じゃあ頼るのは取次!発注だけじゃないよ取次!と言う訳で取次にお願いしました。一番最初に頼んだのはもう覚えていませんが、取次としても悪い話ではないので即答で受けてくれます。こうやって大きい展開をするだけで「このお店はこのゲームを押してます!」アピールをすることにより、予約もガンガン入っていきました。この壁の展開は当初はこちらからお願いする立場でしたが、最終的にはメーカー様や取次から「あそこを使わせてください!」という非常にうれしいお願いをされるぐらいになりました。本当にありがたいお話です。


しかしみなさんご存じのように月末には死ぬほどエロゲーが出ます。壁だけでは足りませんし、押しているゲームだけ予約を取れればいいと言うものでもありません。ポスター等はいただいていますがそれだけでは弱い。じゃあどうしましょう。ここでまた他のショップ巡りです。詰まったときはこれです。いいアイデアは奪うんです!弱肉強食です!自分達が弱いんですが!そして見つけました。あの「担当さんが裸エプロンに並々ならぬ情熱を持っている」ショップ様です(超余談ですが個人的にあそこのタントゥーさんのことはバイヤーとして尊敬しておりました、というか今でもしてます。一度一緒にお酒でも飲みたかったなあ)。

で、あの某M○RのPOPを発見!面白い!パクる!と言う訳で、本当は色々な意味でギリギリなコラージュ系POPに手を出すことと相成りました。とりあえず俺ルールとしてM○Rとドラ○ンボールネタには手を出さない。これは先程のショップ様がよく使われていたので、リスペクトと被りを避けて。じゃあどうする?こりゃジョ○ョしかねえよなぁー!と決め、それを中心にネットで面白画像を探す日々。上司から「テメエサボってんじゃねえ」と言われても「な、何を言ってるかわからねーと思うが(略)これも仕事ですよう」と泣きながら探す日々。で、ある程度集まったらネタにして予約コーナーにポンっと。不思議なモノで、これだけで予約って増えるものなんですね。まあ増えなかったら別の方策を考えるだけなんですが。

なので先程書いた壁の大きな展開にもペタリと貼ることにしました。これまた増える、というかそこでお客様が止まって見てもらえる、これだけで効果がある。余談として、自分が絶対に売りたいと思った商品には必ずジョ○ョのプロ○ュート兄貴のPOPを使ってました。というかジョ○ョネタばかりだったんですが。ジョ○ョネタだけで50枚以上作ったでしょうか。というかPOP用に単行本を買いましたから。まあそれはそれとして。POPを見て足を止めるお客様を見て、そこでん?と一つの閃きが生まれました。

在りし日を思い出して作ったコラージュPOP。クエスチョナーズのフィギュア「魔女娘(仮)」とかにPOPを付けるとしたらこんな感じ。

どんな商品でも大事なことがあります。「お客様にその商品を手に取ってもらう」ことです。

何故なら手に取ってもらわないことにはその商品はレジには絶対に辿りついてこないからです。つまり買ってもらえません。これも販売業の永遠の命題の一つだと思うのですが、これを解決させるには正直正解はないです。しかしやらねばなりません。ベストを目指す、って奴です。で、思いついたのが「エロゲーソフト本体にもコラージュPOPを貼っちゃおう」でした。

予約されたお客様は先程書きましたが大変ありがたいです。しかし!店頭にあるエロゲーも売らなければいけません。そこで目を付けて、手に取って貰うために商品自体にもPOPを貼ることにしました。しかもゲスなことを言うとアキバblog様に写真をとって記事にしてもらう、と言う目的もありました。まあでもこれは実際成功したかというと微妙でした。労力と効果が釣り合ってないので、途中で手書きPOPに切り替えてしまいました…。しかも手書きPOPの方がネタ的にはやり易いという…。商品へのPOPは手書きの方がお客様に情報が伝わりやすいんですね。と言う訳で切り替えました。ただ商品に値段や特典以外のPOPをつける、と言う手法は他のショップではあまり見かけなかったのでいい方法だったとは今でも思います。

こうしてフロアリーダーとして結構真面目に、適度にふざけて(仕事なのにふざけるなんて、と言う人もいるかも知れませんが、余裕を持つのも大事なことなのです)いると、その下で働いているアルバイトにも影響します。そして自分が非常に恵まれていたのは優秀なアルバイトが多数いた、ということです。彼らは与えられた仕事をこなすだけでなく色々なアイデアを出し、それを実行してくれました。特に上記した「時期ごとに特集コーナーを作る」は自分はほとんど何もしていません。一人の優秀なアルバイトがよくそんなに思いつくねチミは!と言わんばかりにアイデアを出しそれを実行してくれました。思い出すだけでも「18歳おめでとう、そんな君におすすめゲーム」、「売れ数年間ランキング」、「勝手に制定、○○年ベストエロゲー(チュ○ブルソフトさんの資料に載っていてビビったことが・・・)」等々。これはそういったセンスのない自分にとっては本当に助かりました。しまいには声優ランキングやったらWikipediaにその声優の項目に乗っちゃうとかもうね。もう彼とは別の道を進むことになりましたが、彼ならどこへ行っても大丈夫でしょう。

と、これぐらいでしょうか。まだまだミニマムに書けば色々書けますが、見つかったらやばかったりするしもう結構前の話だし、最近アキバ行ってないし(シャッツキステだけは行く)、何よりこのコラムを面白いと思ってくれる人がいるかどうかも分かりませんし。まあなんだったらクエスチョナーズの藤岡にリクエストして下さい。またTwitterもやってますので、個人的に聞きたいことがありましたらこちらまで。答えられる範囲でお答えいたします。ではでは、機会がありましたらー。

ケロタカ


最後にいきなりですが、クエスチョナーズ藤岡です。

今回は「たまには人の話を聴いてみよう!」ということで、友人のケロタカさんにコラムを書いてもらいました。実は元同僚なんですが当時から僕とは部署が違って店舗担当の人だったので、いつもと毛色の違う話になっています。こういう色んな人達がみんなで「業界」というモノを形作っているわけです。いつも説教臭いクエスチョナーズのコラムにも、こういう違う味が入ってくると新鮮に楽しんで頂けるんじゃないかということでやってみた今回の試みですが、如何だったでしょうか?好評ならばまた他の人の話とかを聴いてみる機会も作ってみたいものです。「こんな人のコラムも読んでみたい」とかのリクエストがあったらそれも言ってみてください。僕の関係者なら善処します。

で、最後にちょっと告知を。「年に1回のペースでしかフィギュア商品が出てこない」と評判のクエスチョナーズが珍しく、というか初めて見せる勢いで新商品を続けてリリースする事になりました。ということでご紹介する商品はコチラ!「魔女娘」です。「(仮)」とか付いてたり、サイト上に「発売時期 2009年(未定)」とか書いてあるけど気にしない。たまたまケロタカさんが上でPOPを作ってくれていましたが、ちょうどいいタイミングでしたね。恐らくこのコラムが皆様に届く頃には各小売店さんで予約の取り扱いが開始している頃でございましょう。一応初の試みとして自社通販なんかも本当にひっそりやってみるつもりです。何がどうなるかはお楽しみ、ということで皆様の誠意に期待しておりますw。

良く考えてみたら企画の動き始めは、先だって予約をとっていた「ラクエル」よりも前だった気がする「魔女娘」。ちなみに今回は「自己責任のつきまとう例のオプション」付きです。

といったところで今回はここまで。さよなら、さよなら、さよなら。

クエスチョナーズ 藤岡聡

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