2012年01月13日

ネメシスNo.7発売記念 「しょたせん」内々けやき先生インタビュー

しょたせん講談社の季刊漫画雑誌『ネメシス』、その中でひときわ異彩を放っている強烈なギャグ漫画がある。昨年コミックスが発売され、アキバBlogでも取り上げられた『しょたせん』。作者・内々けやき先生はブロンコ一人旅として有名な同人作家でもある。今回はネメシスNo.7発売記念として、内々けやき先生にロングインタビュー。取材・文:かーず
-

「しょたせん」1巻
しょたせん 見境なく暴れまくり"狂犬"と渾名される不良少年・西尾。荒んだ彼の心を唯一開かせた教師は…美少年(ショタ)だった!! 幅広いファン層を持つ「ショタ漫画」というジャンルに、謎の金字塔を打ち立てるBHL(ボーイズハードラブ)コメディ!! 公式ページ

■ショタな先生を不良が愛でる!? 『しょたせん』誕生秘話

―――ヤンキー漫画+ショタ専(少年を愛でる性癖)という斬新な設定の『しょたせん』ですが、きっかけは何だったんでしょうか?

内々けやき先生(以下、内々):ショタは以前から同人で描いていましたし、ヤンキー漫画も『ろくでなしブルース』の頃から好きでしたので、『TWO突風!』のようなハッタリ感を出すものが描きたいと思って『ネメシス』の編集さんにネームを送ったんです。でも、最初は逆だったんです。

―――逆というのは?

内々:普通の先生とショタが三人いるという『パタリロ』みたいな感じを考えていたんですが、「ありきたりすぎる」と編集さんに言われて、じゃあ反対にショタを先生にして、さらにヤンキーを合体させて、教育ものにしようと(笑)

ネメシス編集(以下、編集):いきなり「ショタ」というのを出しても、読者さんには理解していただけない危険性があったんですが、ヤンキー漫画の構造の中にある事で、受け入れやすくなっているのではないかと思います。
熱血先生とヤンキーの組み合わせは黄金パターンなので、その枠の中で多少変わったことをしても、読者がついてきてくれるという安心感があります。
例えば「ヒロイン(=しょたせん)がさらわれて、それを助ける主人公(=西尾)」という構図もヤンキー漫画の文法なんですけど、最初は女の子と間違えられてさらわれてるしょたせんも、最近は男と知った上で襲われるという、西尾だけじゃなくてみんなおかしくなってる世界観なんですが(笑)

「しょたせん」こと汐田優
熱血教師に憧れる美少年教師。その情熱的な指導と天然のショタっぷりで、西尾を変態街道に叩き込む。だっこするとおひさまの匂いがする23歳

西尾修一
どんな相手でも構わず暴れまくることから、「狂犬」とあだ名される不良。だがしょたせんとの邂逅によって「悪」の道から「美少年専(ショタ専)変質者」の道へと更生?することになる。

―――毎回、ゲイネタを筆頭にどんどんネタが過激になっていってます。

内々:この漫画のコンセプトが「前回よりもテンション高く、面白く」と言うことなので、そこは出し惜しみはしないで、ネタを詰め込んでいってます。

編集:その結果、男三人が繋がって『連結暴走男列車 マン・イン・ザ・ラブ・トレイン』といった、ああいう強烈なビジュアルが生まれるんです(笑)

連結男暴走列車

―――第四話の痛単車の話も非常に面白いですね。

内々:バトルが少なくなってきていたので、この辺で大きな敵を出して派手な抗争をさせたいということで杉作陽太郎が登場しました。そこで痛みを感じない強い敵を倒すには何か、ということを考えた結果ああいうオチに……。自分も読み返すと、「この作者は何を考えて描いているんだろう」みたいなことは良く思ったりします。

(一同笑い)

編集:『しょたせん』はまず、フィニッシュホールドみたいなシーンを見開きでバーン!と決めて、どうやってそれに辿りつくのか筋を作っていくやり方なんです。

―――第五話のチェーンデスマッチも、西尾とライバルの田亀原が徐々に絡み合ってアヘ顔のまま「頭がフットーしそうだよおっっ」とか、何度読んでも笑っちゃいます。

頭がフットーしちゃうよぉ

編集:田亀原は読者人気が高くて、あいつは毎回出てきては絶対に面白くやられてるので、一番おいしいんです。

内々:オチを担当している重要なキャラになってますね。
ちなみに、連結暴走男列車の前のコマ割は『無限の住人』のパロディなんです(笑) そういうパロディも結構な数入っていますので、元ネタを知らなくても、何か面白い事をやっているなと思っていだければ成功です。

沙村さんパロディ

―――第一巻のコミックスの帯には『薔薇族』の編集長・伊藤文學氏の推薦文が書かれていて、こちらもかなり話題になりました。

「しょたせん」1巻帯

編集:作中のゲイネタがキワドイので、同性愛者からお叱りを受けるんじゃないかと思いまして、『薔薇族』の編集長である伊藤文學さんからお墨付きをいただきました。今の所そういうクレームもなく、ゲイじゃない人も、ヤマジュン先生の漫画を楽しんでいるような感じで『しょたせん』を親しんでもらっているみたいです。

―――読者の反応はいかがですか?

編集:みんな「酷い」って言ってるんですけど、(褒め言葉)って書いてくれてるんですよ(笑) それと意外なことに、BL好きの女性読者さんが多いんです。書店では手書きPOPに紹介文付きでBLコーナーに置かれていたり、BL方向の読者さんはまったく想定してなかった事なので驚きました。

内々:かなり下品な漫画なんですけど、それでも女性の方に読んでもらえるのはとても嬉しいです。

編集:でもみんな恥ずかしいと思われていて、こっそり楽しむ方も多いらしく、声を大にしてみんなに広めて欲しいです。むしろ推薦図書にぜひ!


■『ネメシスVol.7』は『しょたせん』豪華二本立て

「ネメシスNo.7」

―――1月10日に発売された『ネメシスVol.7』では、『しょたせん』が二本立てで掲載されていますね。一本目は某『タ○ガー&バニー』風です(笑)

第7話

内々:『タ○バニ』はアニメも非常に楽しく見ていました。作中では企業スポンサーをつける話ですので、しょたせんならロ○ト製薬かなって。

―――(笑)二本目は、子分のヤスが意外な一面を見せてくれました。

内々:この設定は最初からあったんですが、割と隠し球なので、こんなに早く明かすとは思いませんでした。

編集:この回はいわゆる『To L○VEる -と○ぶる-』回なんですが、みんなが羨ましがるエッチなシチュエーションなのに、西尾がいかに変態なのかを楽しんでいただければと(笑)

康子の股間

―――この強烈なオチは『ネメシス』を読んで確かめて欲しいですね。『ネメシス』では、他に意識されている漫画はありますか?

内々:毎回、長沢克泰先生&うどん先生の『巨悪学園』を最初に読んでいます。しっかりした画力でバカバカしいことをやるという素晴らしい漫画で、自分の目標とするところです。

『巨悪学園』第一話より引用

編集:三月には『巨悪学園』の単行本が出る予定になっていますので、合わせてよろしくお願いします。


■漫画家orアナウンサー!? 内々けやき先生の意外な進路志望とは

―――漫画家になりたいと思ったのはいつ頃からでしょうか?

内々:小学生の頃から吉田戦車先生の『鋼の人』や『いじめてくん』などが好きで、クラスメイトの漫画を描いたりしていて、十代後半に出版社へ持ち込んだ時も最初はギャグ漫画でした。

―――とすると、今の『しょたせん』は子供の頃の夢に近いジャンルになりますね。

内々:はい、やりたいことをやれて充実してます。

―――小学生の頃からずっと漫画一筋だったんでしょうか?

内々:いえ。高校の頃は放送部で、三年間ずっとアナウンスをしていました。「NHK杯全国高校放送コンテスト」というのが年に一度あるんですが、アナウンス部門で結構良いところまで行った事もあり、卒業後の進路も漫画家かアナウンサーになりたいと思っていました。

―――それは意外な一面ですね。先生が漫画家として心がけている点などはありますか?

内々:『しょたせん』などのギャグ漫画を描く時は特に、「真面目に不真面目に」をモットーにしています。漫画は知識がないと描けませんので、そういった勉強は欠かさずやっておきたいと心がけています。

―――プライベートのご趣味は何でしょうか?

内々:ゲームもやりますしアニメも見ますが、漫画を描いている時が一番楽しいですね。仕事の原稿が終わったら今度は同人の原稿とか、毎日楽しく描いています。こういう状態が続いていって、5年後10年後にも漫画家として生き残っていければいいなぁと思っています。

―――それでは最後に、皆さんへメッセージをお願いします。

内々:アキバBlogさんには同人誌の方も取り上げていただき感謝しています。商業から同人までいろんなジャンルの漫画を描いていますが、『しょたせん』は自分でも面白く描けていると思っていますので、ぜひ読んでみてください。
『ネメシス』も初期のアッパーズに似た尖った雑誌ではありますけど、一度読んでみると面白さがわかると思います、ご一読の程を!

―――本日はありがとうございました。

取材・文:かーず(かーずSP


内々けやき氏のブログ「ブロンコ一人旅」 / Twitter / pixiv

【関連記事】
しょたせん1巻 「ヤマジュンの再来か!」「ハードなバイオレンスと特濃ショタギャグ」

この記事はコラム カテゴリーに含まれています |Ajax Amazon Edit
トラックバックURL
http://trackback.blogsys.jp/livedoor/geek/51316347