2012年01月14日

パパのいうことを聞きなさい!SS第四回 「ママとひな」

パパのいうことを聞きなさいおはようございます!松智洋です。昨夜のアニメ「パパのいうことを聞きなさい!」放送、いかがでしたでしょうか。これで各放送局様で第一話が放映されたことになります。ご覧になった皆様にとって、楽しめるものであればいいな、と祈っております。これからも応援頂ければ幸いです。
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このアキバBlog様での連載も四回目を迎えました。
デザインやレイアウト、さらには校正までやって頂いている管理人様に改めて感謝したいです。

毎日書いていくというのは本当に大変で、アキバblog様を初めとしてネットでたくさんの記事を書かれている個人ブログ様は本当に大変なことを続けておられるのだな、と感心してしまいます。 僕も分量的には結構たくさん書いている方だと思いますが、基本的には長い物語をある程度の期間をかけて書いていくので、流れに乗れば筆が進みやすくなります。 でもこうして日々違う内容を書いていくのはかなり勝手が違います。新聞連載の小説を書いたりするとこんな感じになるのでしょうか。でもこういう一言の時事ネタ的なものを入れる必要がなければ普通の小説を書くのと変わらないような気もします。機会があれば挑戦してみたいですが……まあ、まずは目の前の〆切をクリアしてから考える事にします。

そして「パパのいうことを聞きなさい!」の第一話、放送地域の方は皆さんご覧になったことと思います。感想は……いかがでしたでしょうか。 昨日も書きましたが、物語はこれから大きく動いていきます。一話目でキャラクターたちの魅力を感じて頂けていたら、これからどんどん面白くなると思います。 瀬川祐太という、普通の大学生が三姉妹とどんな風に関わっていくのか、ぜひ、御視聴を続けて頂ければ嬉しいです。

どうして『パパのいうことを聞きなさい!』というタイトルなのかは、そこで次第に明らかになると思います。

当初、川崎監督やシリーズ構成の荒川先生とお話しさせて頂いてシナリオを組み上げていく中で、物語の中核として第一話をどういう風に描いていくか、というのはとても難しい問題でした。書き直しは常識外れの回数に及び、さらに一度決定稿になったものを四話まで到達したところでもう一度やり直して頂く、という手順を踏んで完成したのです。一番の問題はロ研をどう扱うか、でした。三姉妹の魅力を中核に据えるとすれば第一話で見せる必要は無いかもしれない、だけど最初に大学を押さえておかないと『パパのいうことを聞きなさい!』の物語の根幹が揺らいでしまう……長いせめぎ合いの結果として生まれたシナリオでした。

さらにそこから監督の絵コンテが上がるまでも、もの凄く時間がかかりました。監督から「美羽の女子力の高さってどう表現したらいいですかね?」と聞かれたのを思い出します。ひとりひとりの女の子たちの可愛さをどう表現していくか、手探りのような苦労を重ねて一シーン一シーン作り上げて頂いたのが判ります。

もう一人、大変だったのが総作画監督の豆塚さんだったと思います。今回の作品の最重要点のひとつは、なかじまゆか先生の絵の再現です。これが難しい。絶妙で繊細なバランスで描いてくださっている原作絵を、丹念に研究して調整して……この工程は本当にみんながいろいろな意見をいうのですが、それ束ねて絵に反映させていくという苦しい作業で、よく頑張ってくださっていたと思います。実際、一話は最初に見せて頂いたラッシュフィルムと放送は絵がかなり違います。二話では、更になかじま先生の絵に似ている感じがしました。そういう意味でも、今現在も試行錯誤をしながら頑張ってくださっています。

そして実際のラインを束ねて頑張ってくださっている及川助監督を初めとしてfeel.の皆さんはとてもモチベーションが高くて、凄く頑張ってくださっているのが判ります。
それに不思議とスタッフさんたちがとても若い方が多くて、元気があるんですね。
製作現場の勢いみたいなものがフィルムに乗り移って『パパのいうことを聞きなさい!』というアニメは、今の形になったのだと思っています。

原作者としては、頑張って頂いている事自体も嬉しいですし、完成していく作品が、視聴者の方を楽しませるものであることが嬉しいです。多くのスタッフに支えられた『パパのいうことを聞きなさい!』を、これからも何とぞ宜しくお願い致します!


◇告知!! ディスプレイコンテスト優勝記念! アニメイト秋葉原店『3姉妹でアニメ第1話の生コメンタリーをしなさい!』

 先日まで「パパ聞き!」公式HPで行われていた「パパ聞き!ディスプレイコンテスト」に優勝されたアニメイト秋葉原店様にて、イベントが行われます! キャラソン発売以来、多くの店舗様に特設コーナーを作って頂きありがとうございました。そして勝ち抜いたのは結果として聖地秋葉原のアニメイト様……何かしら運命的なものを感じざるを得ません。

当日は、スペースの問題から場所を移しての開催となります。そしてゲストは、上坂すみれ(小鳥遊空役)、喜多村英梨(小鳥遊美羽役)、五十嵐裕美(小鳥遊ひな役)のヒロインそろい踏みです!

「アニメイト秋葉原のいうことを聞きなさい!」
 場所:秋葉原・廣瀬無線イベントスペース
 内容:3姉妹でアニメ第1話の生コメンタリーをしなさい!
 イベント参加方法:1月15日(日) AM9:45よりアニメイト秋葉原7Fイベントスペースにて抽選を行い、当選された方に参加券を差し上げます。(フリー参加)
 ※抽選は先着順にて行い、会場キャパ数に達したところで抽選は終了となります。
 ※イベント会場への入場は、参加券の整理番号順にて行います。
 ※お取り置きのご要望には応じられませんので、あらかじめご了承ください。
 ※参加券をお持ちでない方は、イベント会場に入場できません。
 ※当日はスタッフの指示に従っていただくようお願いいたします。

 生コメンタリーは、「第一話を上映しながらキャストの皆さんで感想や裏話をダイレクトに語って頂こう」という企画です。ブルーレイ版の特典にも三姉妹のキャラクターコメンタリーは付きますが、これは僕がシナリオを書いた登場人物としての演技になりますがこちらは声優さんたちの生の感想が聞ける貴重な機会となります。

ぜひ、アニメイト秋葉原店にお立ち寄りの際には、買い物をしながら抽選に参加して頂ければ嬉しいです。また、既に抽選済みですが同日にはニコニコ動画での生配信もありますので、そちらも楽しみにして頂ければと思います!


◇キャラクター紹介

小鳥遊三姉妹・三女「小鳥遊ひな」
アニメ公式サイト・キャラクター紹介

小鳥遊家の天使こと、小鳥遊ひなです。
ひなは、近隣の保育園に通う三歳児で、天真爛漫な美少女です。
祐太の姉、祐理の実の娘で三姉妹の末娘としてみんなに可愛がられています。
一番に祐太に懐くのも彼女ですし、人見知りしない優しい子です。

「〜お」という語尾が口癖で、ちょっと舌っ足らずなしゃべり方をします。
背は同世代の中では大きい方で、病気知らずの元気さが自慢です。
意外に負けず嫌いで、お絵かきやゲームが大好き。
彼女の笑顔が、いつもみんなを癒しています。

これから起こる事件の中で、彼女はいつも中心にいることになります。
ひなを支える事が、そのまま家族の絆となると言ってもいいと思います。
そういう意味でも、彼女は小鳥遊家の天使であり中心なのです。


◇SS第四回「ママとひな」

「おふおーにはいろー♪ おふおーはーたのしー♪」

 三歳になったばかりの娘が上機嫌に歌っているのを眺めながら、小鳥遊祐理はやっと一息ついた思いだった。娘のひなはお風呂嫌いで、とにかく頭を洗われるのが大の苦手だった。主な原因は、母親によく似た量が多くて腰まである黒髪だろう。洗うのが大変でとにかく時間がかかってしまうのだ。少なくとも幼児の忍耐力では耐えきれないくらい。おまけに不器用な父親が初めてお風呂に入れてあげた時にシャンプーが目に入ってしまい、しばらく泣きじゃくった経験がトドメを刺してしまった。

 そんなわけで、小鳥遊家の三女ひなのお風呂の時間は毎回大騒ぎだった。

 まずはお風呂嫌いの原因となった父親の信吾が自室に追いやられる。それから姉二人がオモチャやお人形でめいっぱいご機嫌を取って、さらにお風呂を出た後のご褒美のアイスでなんとか交渉成立と相成る。
 だがそれも昨日までのこと。昼間にテレビの幼児向け番組で『お風呂のうた』なるものを見て、ひなはその歌がすっかり気に入ってしまった。 おかげでお風呂嫌いから一転、今やお風呂好きと言っても過言ではない。祐理は我が子ながらなんて気分屋なのだろうと笑ってしまいそうだった。

「おふおーにはいれーばーおそらーのーきぶんー♪ いぇいいぇい♪」
「ほら、ひな。いつまでも歌ってたらお風呂冷めちゃうでしょ」
 歌にオリジナルのアレンジが加わりはじめたところで、祐理は娘の服を脱がしにかかった。
 ばんざいをさせてワンピースを一気に脱がせてから、パンツを下ろす。
「おふおー!」
「あ、こらっ、待ちなさいっ」
 素っ裸になった途端、浴室に飛び込んでいくひな。祐理は急いで自分も服を脱いで後を追った。 いきなり湯船に飛び込もうとしていたところを取り押さえて、子供用のイスに座らせる。椰子の木かチョンマゲのように頭のてっぺんで結わえていた髪の毛をほどくと、シャンプーハットをすっぽりとかぶせた。これもお風呂嫌い対策で購入したものだ。

「ちゃんと目つむってるのよ」
「あーい」
 元気の良い返事を聞いてから、祐理は娘の髪を洗い始めた。こうしていると、まだ弟が幼かった頃に一緒にお風呂に入っていた頃を思い出す。
 共働きで忙しい両親に変わって、弟の面倒を見るのは祐理の役目だった。
「そういえば、祐太もお風呂大嫌いだったのよねー」
「ゆうたー? だーれー?」
「祐太よ。私の弟。えーと、だからひなの叔父さんね」
「おじーさん?」
「ふふっ、それだとぜんぜん意味が違うわよ」
 難関のシャンプーを終わらせて身体を洗い、自分も手早く済ませると一緒に湯船に入った。

「ざばーん! すごーいいーっぱい」
 お湯が溢れるのを見て、嬉々とはしゃぐ。
 なんとなく、暗に太っていると言われているような気がして微妙な気分になる。
「ひな、そんなにいっぱいは溢れてないでしょ?」
「でも、ねーたんよりいっぱいだお」
「う……そうなんだけど……」
 十歳そこそこの子と比較しても仕方ないとは理解しつつも、なんとなく良い気分はしない。そういえば、ひなを産んでからやけにお腹周りのお肉が柔らかくなったような…… 明日からダイエットしよう。と密かに決意する祐理だった。

「あ、でもひな、祐太に会っても『おじさん』とか言っちゃダメよ。あの子、意外とそういうのを気にするんだから」
「おじじさん!」
「だから言っちゃダメだって。それに『じ』がいっこ多いから」
「おじじじさん!」
「さらに増えた!? いやいや、だからダメだってば」
「んー?」
 よく分かってないらしく、ひなは湯船の中で首をかしげる。
「そうねー、十代で叔父さんは可愛そうだし……そうだ『お兄ちゃん』って呼んだげなさい」
「おにたん?」
「おしいっ、もう一回!」
「おじさん!」
「戻っちゃった。ほらほら、お・に・い・ちゃ・んって」
「おーいーいー? おいーた? んー……」
 徐々に混乱してきたのか、ひなは困った顔だ。
「おいーた……おいい……おいたん!」
「うーん。なんかどっちつかずな感じだけど……」
 ひなは、その呼び方が気に入ってしまったらしい。
「おいたん♪ おーいたん♪ おいーたん♪ おいたーん♪ きゃははははっ」
「……ま、いっか」
 祐理に妥協することにした。まあ、これなら納得しないまでも弟の繊細なハートも傷つかないだろう。気に入ったのか、おいたんおいたんと連呼するひなを眺めながら祐理は湯船の中で大きく伸びをした。

 そうだ、そろそろいい時期だ、祐理はそう思った。祐太を、この家に来させよう。自立して欲しかったから、寮暮らしもひとり暮らしも認めたけど……家族は、一緒にいなきゃいけない。祐理は、本当はいつもそう思っていた。寮にいる間は週末は必ず会っていたけれど、大学に入った途端、なかなか連絡も寄越さなくなっている。
 弟の成長は嬉しいけど……家族の大切さも、知っていて欲しいのだ。

「よーし、ひな、今日は、三十まで数えようか」
「えー、ひな、でも……かぞえられるかなぁ」
「大丈夫、一緒に数えようね。いーち、にーい」
「にーい、さーん、よーん」
 二人で声を合わせてカウントしながら、祐理はくすり、と微笑んだ。明日にでも、祐太を強襲しよう、と心の中で呟く。祐太も頑固だけど、自分も負けていないのだ。だって二人きりの姉弟だから。

 そうして、翌日、祐理は八王子に向かう。
 そしてそれは、物語の始まりを告げる出来事になったのだった。


【バックナンバー】
パパのいうことを聞きなさい!SS第一回 「BOY MEETS GIRLS」
パパのいうことを聞きなさい!SS第二回 「小鳥遊家の約束」
パパのいうことを聞きなさい!SS第三回 「彼女に彼氏がいない訳」
パパのいうことを聞きなさい!SS第四回 「ママとひな」
パパのいうことを聞きなさい!SS第五回 「イケメン無双」
パパのいうことを聞きなさい!SS第六回 「何事も形から?」
パパのいうことを聞きなさい!SS第七回 「美しい羽」
パパのいうことを聞きなさい!SS第八回 「莱香妄想(YJ風)」
パパのいうことを聞きなさい!SS第九回 「初めてのパンチラ」
パパのいうことを聞きなさい!SS第十回 「空ちゃんのアルバイト志願」
パパのいうことを聞きなさい!SS第十一回 「ひなとぬいぐるみ」
パパのいうことを聞きなさい!SS第十二回 「新子胡桃の溜息」
パパのいうことを聞きなさい!SS第十三回 「ファーストコンタクト」
パパのいうことを聞きなさい!SS第十四回 「ひとりでできうもん!」
パパのいうことを聞きなさい!SS番外編 「三姉妹のお願い」
パパのいうことを聞きなさい!SS第十五回 「プールの日」
パパのいうことを聞きなさい!SS第十六回 「ひとりの時」
パパのいうことを聞きなさい!SS第十七回 「そして始まりの時」
パパのいうことを聞きなさい!SS第十八回 「ゲーム発売記念・お掃除頑張って!」
アニメ『パパ聞き!』放映記念! 松智洋先生インタビュー(前編)
松智洋先生インタビュー(後編)

【関連リンク】
アニメ「パパのいうことを聞きなさい!」公式サイト
パパのいうことを聞きなさい!ポータル
スーパーダッシュ文庫 / 「パパのいうことを聞きなさい!」
PSP「ゲームでも、パパのいうことを聞きなさい!」

◇本文・松智洋
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◇イラスト・なかじまゆか
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◇コピーライト
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