2012年01月15日

パパのいうことを聞きなさい!SS第五回 「イケメン無双」

パパのいうことを聞きなさい 皆様、おはようございます。松智洋です。フォロワー様からのツイートで気付いたのですが、昨日と今日はセンター試験ですね! 受験生の皆さん、頑張ってください。このテキストをご覧になる頃には一段落しておられるはずよね? まだ試験前、試験中の方は今すぐネットを閉じて深呼吸して! 試験終わってから読んでくださいねー!
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今日は日曜日ですね。まあ、僕はあまり関係なく原稿を書いておりますが(笑)

皆様、本日は昨日ご紹介しましたように秋葉原・廣瀬無線イベントスペースにてアニメイト秋葉原店様ディスプレイコンテスト優勝を祝しました「3姉妹でアニメ第1話の生コメンタリーをしなさい!」イベントが行われます。9:35から抽選券の配布を配布しておりますので(現在は終了致しました)、アニメイト秋葉原店にお立ち寄りの際はぜひぜひご参加ください。僕も行きたかったのですが、原稿の進捗に問題がありまして編集部に止められました。僕の分まで三姉妹を応援して頂ければ嬉しいです。
ある程度まで進めておくことが出来れば、「ニコニコ生放送」の方には観覧に行ってもよいと言われていますので、必死で書いております。

そしてお出かけの際には、1/29に行われる予定の僕となかじまゆか先生のサイン会の参加整理券もGETして頂ければ幸いです。秋葉原ではとらのあな様アニブロゲーマーズ様、そしてアニメイト新宿店様でも配布しております。昨日の情報では若干残っている店舗もあるとか……? 小説9巻+BD1巻の予約が条件で多少ハードルが高いのが大変申し訳ない感じなのですが、何とぞ宜しくお願い致します。

さて、放送地域は一巡致しましたが、まだwebでの放映はこれからになります。
公式HPで紹介されていますが、改めてここでも紹介させていただきます。

○2012年1月16日(月) 更新12:00〜
(各話同タイミングで1週間毎更) 
バンダイチャンネル http://www.b-ch.com/
showtime http://www.showtime.jp/fam/animation/
ビデオマーケット http://www.videomarket.co.jp/

○2012年1月17日(火) AM1:30〜/配信AM2:00〜
(各話同タイミングで1週間毎更)
ニコニコ動画 http://www.nicovideo.jp/

ここまでの放送を見落とされた方でも、この記事が読めている方であればこのweb放送は確実にご覧になれますので、監督たちの力作を御視聴頂ければ幸いです。

しかしこうしてみるとずーっとなにかイベントや放送が動いている感じですね。 嬉しい反面、気の休まるヒマがありません。関係者全員そうだと思うので、僕だけが特別大変な訳じゃないのですが、緊張感ありますね〜。 昨日も親しい友人に「パパ聞き!よかったけど、今期、ライバル多くて大変だね」と励まされたんだか心配されたんだか判らない電話を貰いました。 いや、そりゃ気になるけど僕にそんなこと言われてもアキバblog様の連載を頑張るくらいしかできることないんだよー、というしかなかったですが。 現在進行形で執筆中の『迷い猫オーバーラン!12』も超頑張っているのですが、集中している時は逆にメンタルが弱くなるので不安になりやすいところがあります。 ひとまず集英社様、キングレコード様を信じて頑張るしかないと思っております。

そうそう、第一話を見られた方たちにとって、印象に残った台詞は何でしたか?

シリーズ構成と第一話の脚本を担当してくださった荒川稔久先生は、多くの傑作に関わられてきた実力のある方で、個人的にもとてもリスペクトしている先生です。今まさにクライマックスを迎える海賊戦隊ゴーカイジャーのシリーズ構成でもあられます。個人的にはバスコがどうなるのか非常に気になっていたり(笑)

もともと「主要スタッフは子持ちの男性がいいです」とお願いしていたのですが、荒川先生も娘さんがおられるということで、今回、実体験を踏まえて可愛い娘たちの描写を工夫してくださったのです。が、一話目は祐太の姉である祐理の可愛さがヒドイ。こんなに可愛く描写されたら、後が大変じゃないですか。もう心臓が痛いです。

なぜヒドイと思うかは原作読者にはおわかりでしょうが、アニメで初見の皆様には判らないと思いますので、解説なしで今後に期待して頂ければと思います。 でも祐理に関しては原作では最低限しか描写しておらず、口調などを拾えるくらいには書いてあるのですが、アニメの方がだいぶ膨らませてある感じです。キャラクターデザインはなかじまゆか先生がアニメ用に作られたものなので、結構、原作読者にとっても一話目の嬉しいサプライズだったのではないかと思います。

そして、何度も書き直して頂いた第一話の原稿で最初から最後まで変わらなかった台詞。それが僕の今回一番印象に残った台詞です。脚本初見の時にあまりにもニヤリとさせられて、荒川先生に生活芝居をお願いできる幸せを噛み締めたものです。

「人妻茹であがりましたー」

……この台詞を思いつくのは、凄いことですよ!

これから先も、成田良美先生をはじめとして真面目に子ども番組のシナリオに参加して来られた実績ある先生たちに脚本を書いて頂いています。それぞれに、芝居の考え方は違っても非常に真摯にこの作品に取り組んで頂いております。各話ともに放送後に「お気に入りの台詞」は自分なりに書いていこうと思っておりますので、皆さんの印象に残った台詞も教えてください。

それでは、これからも「パパのいうことを聞きなさい!」を何とぞ宜しくお願い致します!


◇キャラクター紹介『織田莱香』

瀬川祐太の大学の先輩「織田莱香」
アニメ公式サイト・キャラクター紹介

織田莱香は、多摩文学院大学人文学科の二年生です。
主人公、瀬川祐太を路上観察研究会に勧誘した先輩であり、主人公の憧れの人です。
美人でスタイル抜群、頭脳明晰スポーツ万能……ただし、かなりの変人です。

当初、美人過ぎる新入生として近隣の大学からも告白が列をなす状況だったのですが、全員に無理難題を押しつけて断り、本人自体も奇妙な行動が目立つ為に現在まで彼氏が出来ることなく過ごしていますが、本人は全然気にしていない様子です。

笑うのが苦手で、いつも無表情な莱香の心情を推し量るのは非常に難しいです。原作ではほぼ完全な無表情として描かれていますが、アニメ版では「無表情の範囲内で表情は作る」という方針で演出されているようです。ぷっくりほっぺの莱香さんは作者としても新鮮でした(笑)。メディアの違いがあるので、その辺は監督さんたちのさじ加減にお任せしています。とりあえず設定的に作中一番の美女、と思って頂いて大丈夫です。

成長した三姉妹、特に美羽なら対抗馬になりうるかも知れませんが……それはかなり先の事になりますね。後何冊書けばそこまでいくんでしょうねぇ(自爆)


◇SS第五回「イケメン無双」

 俺、瀬川祐太の友人に、仁村浩一という男がいる。
 ひとことで言えばイケメン。
 もう少しだけ詳しく言えばすごいイケメン。
 つまり男の敵。多摩文学院大学で最もニクイ奴。
 もちろん、俺が言ったんじゃないぞ?
 あくまでも大学内の男子の意見を小耳に挟んだだけだ。
 まあ、でも気持ちはよく分かる。
 俺もここまで親しくなっていなかったら、女の子をぞろぞろ引き連れてキャンパスを闊歩するあいつに妬み混じりの視線を送っていただろう。
 片っ端から女の子に手を出して、修羅場になって命からがら逃げてきた――
 なんてことも入学からまだたいして経たないってのに、知っている限りでも片手で数えて足りない。なので自宅は女の子を連れ込む専用、日常の大半を大学からほど近い俺の安アパートで過ごすという訳の分からない生活を実践している。

 そんなわけで仁村は学内では敵の多い人物だと言っていいと思う。
 路上観察研究会に入って、佐古先輩に女がらみのトラブルから助けて貰ってなかったら、もっと面倒なことに巻き込まれてたんじゃないかとすら思う。
 佐古先輩は異常に学内、学外に顔が利くのだ。むしろロ研の恩恵を受けているのは仁村の方なんじゃないか?
 かくいう俺も、正直もてる方じゃないので、仁村に対する複雑な感情というか、やっかみみたいなものがない訳じゃない。
 じゃあ、どうして一緒にいるのかと言われたら……なんだかんだで、気のいいやつなのだ。仁村という男は。

 ある時、仁村と二人で大学のカフェテリアにいた時のことだ。
「あー、仁村くんこんなところにいたぁ〜」
 やや甲高い声をあげて、数人の女の子が俺たちの席に集まってきた。
 見た目、というよりは渋谷のギャルとかそういう感じの子たちだ。

 うちの大学には大きく分けて三つくらいのタイプの女子がいる。
 ひとつがオシャレ系女子。
 とくに派手でもなく、かといってセンスが悪いという感じでもない、ファッション誌の街角スナップから抜け出してきたかのような女子たち。
 そこそこ真面目で、しっかり遊んでもいて、サークルにも所属している。
 一番大学生活をエンジョイしている人たちで、一番数が多いタイプだ。
 もうひとつがオタク系女子。
 普段は地味で目立たないが、集まるとやけに目に付く。
 真面目に授業を受けているので成績も良いが、その分あまり遊んでいない。
 こういう子たちを服装からしゃべり方までじっくり磨いて可愛くプロデュースするというのも、女の子とお付き合いをする醍醐味だ。と、仁村が熱く語っていた。
 そして最後はギャル系。
 まさに目の前にいる子たちだ。
 大学に通いながらも授業はそこそこにとにかく毎日遊びまくっている。
 見た目もとにかく派手だ。
 でも、逆にこういう子たちの方が純情で尽くすタイプだったりするらしい。もちろん、仁村談だ。

 そんな見た目に反して純情らしい子たちが食後に缶コーヒーなんか飲みつつ次の授業まで時間をつぶしていた俺たちをあっという間に取り囲んでしまった。
「仁村くん、今晩ヒマ? うちら、駅前で飲み会すんだけど来ない?」
 ギャル軍団の中でもとりわけ派手な見た目の子が親しげに声をかけてきた。
「なになによっしー、今日合コンじゃなかったの?」
「なんかー、あっちの男子マジちょーつまんないって、こないだ同じとこと合コンした先輩が言っててー、だったらドタキャンしちゃえーってことになってー。代わりに女子飲みしようかなーって。そんで、今メンバー募集中」
「女子飲みならオレ行っちゃダメじゃーん」
「いいっていいって、仁村くんならオッケーだってみんな言ってるしー」
 よし子って名前だからよっしーなのかは定かではないが――だとしたら見た目に反してなかなか古風だ――派手ギャルよっしーを含めて、女子たちは是非とも仁村に参加してほしいのはよく分かった。
「そうだ、そっちの彼も一緒に来たらいいじゃん」
「え? 俺?」
 すっかり自分は無関係と思い込んでいた俺は、いきなり声をかけられてビックリしてしまった。
「キミいつも仁村くんと一緒にいる人っしょ?」
 どうやら、一応は俺のことも視界に入っていたらしい。
「いや、俺は……」
「そんなこと言わずにさー! キミが一緒になら仁村くんも来るでしょ? ね?」
 よっしーと呼ばれていた女子は意地でも俺に「うん」と言わせようと身体を密着させてくる。
「はいはい、そこまで。瀬川ちゃん困ってんじゃん。それに、今日はオレ予定あるんだよね」

「えーなにー」
「瀬川ちゃんと家で鍋すんの」
「なにそれー、男二人で鍋? ちょーウケるー」
「なに、もしかして仁村くんって……そっちも大丈夫なの?」
 ぶっ……な、なんだそれは?
 あまりのことにつっこもうとした俺の肩を、仁村が抱き寄せる。
「フッ、とてもじゃないけど、俺と瀬川ちゃんの間に割り込むのは不可能だと思うよ?」
「お、おい、仁村っ!」
「えーっ、仁村くん、それどういうことーっ!?」
 驚く俺を無視して、女の子たちの黄色い声に、仁村はかっこよくポーズをつけた。
「俺、瀬川ちゃんのこと、大好きだから」
「だああああっ!」
 女の子たちから歓声が上がり、俺はおでこから床に突っ伏した。
 だが、そんな俺を気にも留めずに仁村はこう続けた。
「俺、こう見えても義理堅いからさ。瀬川ちゃんとは、同じ釜のメシを食べた仲間だし、約束は守らないとね。男の友情は特別なんだよ……だから、今日はダメ。明日なら、お招きしちゃうよ♪ みんなで鍋でもつつこうか? って、瀬川ちゃん、なにずっこけてるの?」
「……いや、もういい」
 女の子たちは、口々に仁村の義理堅さを賞賛してる。
 俺は、恥ずかしくて死にそうなのに……
 その後、仁村がんだかんだと適当に理由をつけて飲み会の誘いをお断りして、彼女たちはちょっぴり残念そうにしながら去って行った。
 ちなみに俺はホッとした。

「いいのか? せっかくのお誘い断っちゃって」
「いいのいいの。だってあのままだと瀬川ちゃんも強引に連れていかれそうだったし。ああ言えば諦めるでしょ? だいたい瀬川ちゃん、ああいうノリ苦手だしね」
 仁村の言う通りだ。そもそも女の子と話すのが得意な方ではないし、あのテンションに付き合うことを考えるとちょっと嫌な汗が出てくる。
「おまえ一人で行くかと思ってた」
「なに言ってんの。今日は瀬川ちゃんちで鍋って約束したじゃん」
 あっさりと、なんの迷いもなく言ってのけた。
 女の子が大好きで、女の子のためならたとえ火の中って感じの仁村だけど、なんだかんだで友情に厚くて、こんな風に時おりふっと心憎いことを言うのだ。
 ぶっちゃけ男の俺でもグッとくるし、なるほどこれがモテる理由か、と納得もする。

「ところでさ、瀬川ちゃん……」
「ん、なんだ?」
 正直、さっきの仁村の発言が嬉しかった俺はだいぶ寛容な気分になって返事をする。
「今日から二、三日泊めてくんない? 実は今、オレちょっと家に帰りづらいんだよね〜」
「……やだ」
「そんなこと言わずに! なんか家のまわりを黒服にサングラスのお兄さんたちがウロウロしてんだよ!」
「アホか! 今度はどこの子に手を出したんだ!」
「えーと、詳しくは聞いてないんだけどやのつく感じの……」
「ぜったい泊めてやらん。巻き込まれてたまるか!」
「ええっ! ひどいよ瀬川ちゃん! 友だちでしょ!」
「うっせ! 一瞬でも友情を感じた俺の気持ちを返せ!」
 そう、結局はこういうやつなのだ。仁村浩一という男は。

 もともと友達が少なめの俺に取って、仁村の存在は大切だった。
 そしてこの先、まさかこれほど世話になることになるとは、この時はまったく思ってもいなかった俺だった……


【バックナンバー】
パパのいうことを聞きなさい!SS第一回 「BOY MEETS GIRLS」
パパのいうことを聞きなさい!SS第二回 「小鳥遊家の約束」
パパのいうことを聞きなさい!SS第三回 「彼女に彼氏がいない訳」
パパのいうことを聞きなさい!SS第四回 「ママとひな」
パパのいうことを聞きなさい!SS第五回 「イケメン無双」
パパのいうことを聞きなさい!SS第六回 「何事も形から?」
パパのいうことを聞きなさい!SS第七回 「美しい羽」
パパのいうことを聞きなさい!SS第八回 「莱香妄想(YJ風)」
パパのいうことを聞きなさい!SS第九回 「初めてのパンチラ」
パパのいうことを聞きなさい!SS第十回 「空ちゃんのアルバイト志願」
パパのいうことを聞きなさい!SS第十一回 「ひなとぬいぐるみ」
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パパのいうことを聞きなさい!SS第十五回 「プールの日」
パパのいうことを聞きなさい!SS第十六回 「ひとりの時」
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パパのいうことを聞きなさい!SS第十八回 「ゲーム発売記念・お掃除頑張って!」
アニメ『パパ聞き!』放映記念! 松智洋先生インタビュー(前編)
松智洋先生インタビュー(後編)

【関連リンク】
アニメ「パパのいうことを聞きなさい!」公式サイト
パパのいうことを聞きなさい!ポータル
スーパーダッシュ文庫 / 「パパのいうことを聞きなさい!」
PSP「ゲームでも、パパのいうことを聞きなさい!」

◇本文・松智洋
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◇イラスト・なかじまゆか
blog:http://digitalunderground.blog100.fc2.com/
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◇コピーライト
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