2012年02月16日

アニメ『パパのいうことを聞きなさい!』放映記念! 松智洋先生インタビュー(後編)

アニメ『パパのいうことを聞きなさい!』放映記念! 松智洋先生インタビュー(後編) 前回に引き続いて「パパのいうことを聞きなさい!」(以下、『パパ聞き!』)の作者・松智洋先生インタビュー! 後編は、1月に発売された「パパ聞き!」9巻、そして今月ついに完結を迎える「迷い猫オーバーラン!」についても鋭く質問してみました!取材・文:平和かーず
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ネタバレ注意:このインタビューには、『パパのいうことを聞きなさい!』9巻についてのネタバレを含んでいます。9巻を読み終わった後にお読みください。

(以下、敬称略)
スーパーダッシュ文庫 「パパのいうことを聞きなさい!」9巻
(c)松智洋・なかじまゆか/集英社

■小説9巻も好調発売中の『パパ聞き!』誕生秘話

―――インタビュー後編は原作小説について色々お訊きします。『迷い猫オーバーラン!』に続いて新シリーズ『パパのいうことを聞きなさい!』の構想はいつ頃でしょうか?

松智洋(以下、):ネタを考え始めたのは『迷い猫』を一年やってからの夏コミ前……って、ついコミケ基準で考えちゃいます(笑) 『迷い猫』も家族ネタがありましたが、もっと家族もの・人情もの寄りに作るというアイディアを思いついたんですが、でもまぁ、売れないですよね、と(笑)

『いい話』ってすごく売れにくくて、どうしても、どこかで見たような話になるんですよ。誰が見ても面白いから王道なのであって、そこで再生産されているプロットは面白いはずなんですけど、売れる自信がなくて迷っていたところ、コミケの前後に、なかじまゆかさんとお会いした時に「今度はこんなの考えてるんだよね」という話をしたら、「その挿絵だったら描いてもいい」と。「本気か!?」っていう(笑)

―――なかじま先生は、それまで同人でしか活動されていなかったですね。

:いろんな人に「責任重大だぞ!頑張れよ!」と言われました(笑) ですが、なかじまさんに信用していただき、イラストを引き受けていただきました。

ただ、売れなかったら申し訳ないと、なかじまさんは思っていたらしく、本当にびっくりするほど頑張っていただきました。アニメでも描き下ろしを膨大な数やっていただいているので、物凄く感謝しています。


■幼児から大学生まで多彩なヒロイン、その理由は?

―――ヒロインの構成としては、幼稚園児・小学生・中学生の三姉妹に大学生の莱香さんがいて、これは必然の配置なのでしょうか。

:そこはアニメでも激しく議論した部分で、「ロ研(路上観察研究会)を先に出せ」と。祐太が先に知り合うのは莱香でなければならないというのは、最初の頃の打ち合わせで力説したことのひとつです。

―――アニメでも最初はハーレム的なラブコメかと思いきや、2話3話と続くと違うんだな、と感じる部分があります。莱香さんがいるおかげで、祐太が三姉妹のことを性的な目で見ることがない。これってホームドラマなんだなと受け取るようになっています。

:そこはアニメでも頑張って頂いて本当に有り難いと思っています。最初に『パパ聞き!』を書く時に一番初めに気をつけたのがそこなんです。

―――「このキャラ可愛いな…と思ったけど考えてみたらこいつ小学生だよ、いや犯罪だろ」みたいに。それでもあえて小・中・高ではなく幼稚園児が入るわけですよね。

:物語自体がひなを中心とした群像劇ですからね。ひなとうちの息子が同い年で(笑) 思い入れも深いです。うちの子や保育園の他のお子さんとも触れるようになって、「子供って面白いな、可愛いな」っていつも感じてるんですが、そこはオタクの世界では触れない部分じゃないですか。でも要素としてはみんな興味もあると思うし面白くなる余地はたくさんあると思ったんです。それに妙齢の女の子ばかり出てくる話じゃなくても、『迷い猫』を書いた松智洋なら読んでもらえるんじゃないかな? という甘えもそこにはありました(笑)

まず「家」というものができて、空が中学校に行って、問題を抱えて帰ってきたものを家族と一緒に解決していく。美羽が小学校で体験してくる問題を皆で解決していく。一人で戦っているものに対して、家族という核があって、そこで支えられたり癒されたり、力を貸してくれたり。それぞれの世界、別の世界が存在してほしかったんです。

常にストレイキャッツという「家」に皆がいる『迷い猫』との差を作るとしたら、「空の世界」「美羽の世界」「ひなの世界」「祐太の世界」が全部あって、でも「家族」っていう書き方ができないかと思って1巻の構図を作り、2巻もそれでやってみたら、合唱部の子たちが超嫌われて(笑)

―――つまりここで前島くんの話なわけですね!(一同笑)

:等身大の中学生って生活のことは考えないし、お小遣いは貰えて当たり前なわけですよ。そういう子たちからすると、大人がすべてやってくれるはずのことをやらされている空はかわいそうだ、という風にしか見えないんじゃないかと思うんです。でもそれを一生懸命やっている空は可愛い、という対比のキャラとして前島を作ったはずが、「あれ〜?そこまで嫌いか? みんな中学生の時そうだったでしょ?って。

ただ、家に押しかけたりとか描写的にやり過ぎて読者の反感を買いすぎたのは僕の筆力不足で、反省しているところです。一応、二巻の最後でキチンと謝って祐太にも空にも許されてるんですけどね……読者は許してくれなかった(笑)

―――読者はもう空の味方になっちゃうんですよね。この時点で。前島くんがひどい目に遭えばいいのにと思いながら読んでしまう。

:9巻の合唱部の話で清美と栞の人気は回復すると思いますので、問題はそれ以外ですね。次に合唱部がクローズアップされる巻では前島がちょっとヒドイ目に遭うターンがあるかも(笑)

でも作ったキャラについては責任を持ちたいと思いますので、前島が嫌われているから転校させよう、みたいなことはやらないつもりです(笑) 


■当初の予定から大きく変わった設定とその理由 

―――最初のキャラクター配置「幼稚園児・小学生・中学生・大学生」ヒロインに、北原 栞という高校生が途中から加わります。

:ぶっちゃけ『迷い猫』と被るので高校生は出すまいと最初は思っていたんですよ。実は向かいには赤ん坊のいる若い奥さんが住んでいて、祐太に色々教えてくれるという……だから祐太がゴミ捨てに行くのに文句言ったりする描写はその名残なんです。

ですがラノベっぽくなくなってしまうのと、サーシャも当初から登場予定でしたから、ポジションが被っちゃうと気づきまして。

祐太達の暮らしは端から見たら歪な暮らしに見えるはずなので、それを歪だと言ってくれる人がいないとおかしい。ということで中学校では合唱部の子たちが押しかけてきておかしいと言う話と、近所で思い込みが強くて視野狭窄に陥っちゃう女子高生とか可愛いよね、っていうところで栞を登場させたところ、あとからネットで「幼小中高大コンプリート」って言われて、それいいじゃん! 気づきませんでした!(笑)

―――(笑) 大学生の上にもサーシャがいて、祐太の伯母のよし子さんまでいますから、熟女までコンプリートです!

:よし子おばさんは9巻で出せなくて凄い悔しくて……出したいと思っていたのに。『迷い猫』の時も村雨四摩子という人が出てきて、すごく嫌なキャラとして始まるんだけど、最終巻までずっと引っ張って良い人になっていく。そういう過程が大好きなので、よし子おばさんは僕にとって心のオアシス的な、書いていると超幸せになれるキャラですね。

インタビュー中にて

■『迷い猫オーバーラン!』イラストレーター変更について

―――ここで聞きにくいことをきいてしまいたいと思うんですが、前作である『迷い猫オーバーラン!』では、イラストレーターの変更という事が話題になりました。ネット上では諸説が飛び交い、それがさも事実のように語られてしまっているというのが現状ですが、実際のところはどうだったかをお訊きしたく思います。

):……(少し考えて)当然この話は出ると思っていました。ですがこの問題に関して、僕は公式に語れることがほとんどないのですが、僕とぺこさんは台湾で会った以降一度も連絡を取り合う機会もなく、会っていない状況です。

―――では、よく不仲説とか喧嘩説とか言われている事については?

:お互いに連絡を取っていないわけですから、不可能ですよね。それにぺこさんは『To LOVEる - とらぶる - 』の初版本を持参して、矢吹さんにサインをもらうくらい大好きでしたので、矢吹さんに対してぺこさんが悪感情を持っているというのも、あり得ない事です。

(かなり慌てた感じで丸宝編集長が割って入る)

丸宝行晴集英社スーパーダッシュ文庫編集長。以下、丸宝):申し訳ありません! その件に関しましては、松先生・ぺこ先生・矢吹先生にはまったく責任はありません。諸先生方にはご迷惑をおかけしましたが、これは編集上の事情でして、調整が出来なかった段階で私に全責任があります。これ以上この質問についてはご遠慮ください。

9巻までのぺこ先生、10巻のヤス先生、11巻の氷川へきる先生、最終12巻のみつみ美里先生には素晴らしい絵を描いていただきまして、本当に感謝しております。2月24日には大団円を迎えますので最終巻までよろしくお願いします。

:あー、編集部の校正が入ってしまいましたが、この部分、消さずに使ってくださいね(苦笑) 改めて申し上げたいのは、僕はぺこさんには本当に感謝しています。それと同時に、素晴らしい三人のイラストレーターさんに描いて頂けたことも非常にありがたい事だと思っています。誰か一人の方が引き受けていたとしたら前のイラストレーターさんと比べられて、その方が不快な思いをされた可能性が高いと思うんですよ。

そこを編集部から、こういう形で冒険していただきましたので、最初から最後まで大暴走という『迷い猫』らしいといえばらしいのかな、と思って納得しています。

もちろん悔いはいっぱいありますし、これも作者である僕の不徳の致すところだと思って、『パパ聞き!』やその先の次回作に続けていく中で、読者の信頼を取り戻せるようにきちんとやっていきたいと思っています。

―――言いづらいところを、ありがとうございます。前編ではアニメ視聴者へ向けてのコメントをいただきましたので、ここでは『パパ聞き!』原作読者と『迷い猫』ファンに向けて、コメントをお願いします。

:小説では事故からそこそこの時間が過ぎまして、三姉妹たちは自分の暮らしにどう戻っていくかというターンに入っています。つまり生活するための毎日ではなく、どういう風に当たり前の日常を取り戻していくかっていうシークエンスに入りつつありますので、まだ波乱がいくつか、この家族には起こると思います。

祐太はハーレムじゃないと思いますけどね(笑) 確かに最近モテてますけど、基本的にこの物語はアットホームドタバタラブコメなので、そのラブがどこに向いていくのかまだわかりませんので、ぜひ楽しみにお付き合いいただければと思います。

『迷い猫オーバーラン!』に関して言うと、最初に言いたいのは「本当に申し訳ありませんでした」ということで、どんな事情があるにせよ、読者が楽しんできた物語を製作者側の都合で変えてしまう結果になってしまったこと、その結果、楽しめなくなってしまった人が当然いただろうという事に関しては、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

結局僕に出来る事は精一杯、最終巻まで書くことでしかなかったので、今まで読んでくれた人に本当にありがとうと言いたいと思うし、この先も、この件を怒られたら何度でも謝ります。ですが言い訳はしません。どんな言い訳をしたところで、読者には関係ない事だというのは痛いほど僕自身が思ってることなので、今後作家活動を続けていく中で、信頼を必ず取り戻すように努力していきます。『パパ聞き!』も、その次の作品も諦めずに読んでいただければ一番嬉しいです。

丸宝:いや、『迷い猫オーバーラン!』では文庫編集の責任者である編集長として、本当に大きな責任を感じます。松さんから、読者へのお詫びの言葉がありましたが、楽しみにして頂いた愛読者に何度でもお詫びをしないといけないのは私です。本当に申し訳ありませんでした。

ですが、愛読者に大きな支持を得た松さんのこの名作小説を、最後まで読者にお届けしたいという気持ちで、ベストの形ではなかったかもしれませんが精一杯の努力で、最終巻まで来たことだけは、ご理解いただきたく思います。

松さんの読者への思いは、『パパのいうことを聞きなさい!』に生きています。本当にがんばって頂いています。

幸い、アニメ『パパ聞き!』は評判もかなり良く、コミックスもこれから続々出てきます。もちろん原作小説も続きます! まだまだ広がる松智洋&『パパ聞き!』ワールドを皆さんぜひお楽しみいただきたいと思います。

―――はい。本日は長時間に渡るインタビュー、ありがとうございました。

取材・文:平和(平和の温故知新@はてな)、かーず(かーずSP


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【関連リンク】
集英社
スーパーダッシュ文庫 / 「パパのいうことを聞きなさい!」
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PSP「ゲームでも、パパのいうことを聞きなさい!」
松智洋氏のTwitter
なかじまゆか氏のホームページ「Digital Underground」 / Twitter / pixiv

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