2012年05月11日

「まおゆう外伝 まどろみの女魔法使い」一巻発売記念。川上泰樹先生&橙乃ままれ先生インタビュー

まおゆう魔王勇者 外伝 まどろみの女魔法使い少年シリウス連載中のファンタジー漫画「まおゆう魔王勇者 外伝 まどろみの女魔法使い」(以下、「まどろみ」)は、Webで人気を博して書籍化もした「まおゆう魔王勇者」の外伝作品。その第一巻が5月9日に発売され、作者の川上泰樹先生、原作の橙乃ままれ先生に、『まどろみ』について思う存分お話しいただきました。取材・文:かーず(かーずSP)。
-

遠い過去から続く人間と魔族の争い。その長い戦いに終止符を打つため、勇者は単身魔王城に乗り込んだ。その勇者の後を追い、一人魔界を行く人影があった。その名は「女魔法使い」。歴史を動かす勇者と魔王の出会いの裏で紡がれるもう一つの物語は、彼女の決意の物語。いつの日か、勇者の背中に追いつくことを夢見て――。公式ページより引用
■橙乃ままれ「羽っこ可愛いよ羽っこ」

―――『まおゆう』の勇者と一緒に冒険をしていた女魔法使いが主人公の本作ですが、かなりの美少女ですね。

川上泰樹(かわかみ たいき 以下、川上):女魔法使いのデザインも候補が色々とあったんですが、原作の外伝「まおゆう魔王勇者 エピソード1 楡の国の女魔法使い」の草稿を読ませていただいて今の外見になりました。
小柄にみせるため、ちょっと大きめの服をダボっと着ているつもりだったんですが、最近は描き慣れてきちゃって、今はサイズのぴったりした服になっちゃったんですよ。

―――可愛い反面、戦闘では豹変しますね。

川上:はい(笑) 女魔法使いにモデルはいないんですが、ボーっとしたところからカッとなってキレキャラになる、そのスイッチの切り替えは『3×3 EYES(サザンアイズ)』のパイを少しイメージはしています。
女魔法使いが一番のお気に入りで、共感もできるんです。自分は彼女みたいな天才ではないんですけど、実力が足りなくて勇者に追いつけない、やりたいことが成せない悔しさが凄くわかりますね、ネームが通らない時とか(笑)女魔法使いとともに自分も成長していけたらいいなと思いながら描いています。

―――原作者の橙乃ままれ先生は、誰がお気に入りですか?

橙乃ままれ(とうのままれ 以下、橙乃):やっぱり羽っこじゃないですかね、羽っこ可愛いですよね−!(満面の笑みで)

川上:羽っこは、こういう子がいたら可愛いなって事だけで特化して描いた、自分の理想の子です。

橙乃:原作者としては、『羽っこ可愛いからは羽っこいっぱい描きましょ。口が逆三角のところ可愛いから、それ描いてくださいよ』ってすごい低レベルなオーダーをしました。 (一同笑い)

川上:第4話で羽っこが自分の話をして、泣いた時に女魔法使いが頭を撫でてあげようとして、ガバッときて、辛かったなっていうシーンが好きです。

―――第一巻ではもう一人、重要人物として『赤』が登場します。

橙乃:正直に告白します。『赤はナイスバディで』って僕がリクエストしました!
でも、ある種の下品とかエロ的なセクシーじゃない所が見事なキャラクターデザインだと思っていて、設定的には妹なので、お姉ちゃんよりもナイスバディの妹っていうのが凄く良いなあって感じます。

川上:赤は性格とのギャップが身体で現れるといいなと思ってデザインしました。なので前髪が一房垂れているのってオシャレじゃなくて、ただ精神が子供なので、気を遣ってなくて手入れをしてないだけという(笑)

―――ええっ!あれはオシャレでああいう髪型なのかと思ってました。

橙乃:美人は何も手入れしなくても、そういうヘアースタイルって言ってもらえて良いよねぇ(笑)

―――川上先生は本作がデビューという事ですが、最初からファンタジーというのは、作画など難しい点が多かったのではないでしょうか?

川上:そうですね、でも嘘をついてもばれない……というと語弊があるんですが(笑)、『この世界にはあるんだよ』って言ってしまえば、それが本当になりますので、割と悩まないでイメージそのまま描いちゃっています。

―――本が木の中に入ってるというのは面白い設定ですね。

川上:思いついた瞬間『これってファンタジーっぽい!』と楽しんで描いていたんですが、よくよく考えたら本が取りづらいんじゃないかなって(笑) じゃあ妖精さんが取ってくれればいいやって事で、司書妖精はそのために生まれたんです。

■「まどろみの魔法使い」誕生秘話

―――『まおゆう』の外伝が生まれたきっかけはなんだったんでしょうか?

シリウス編集:弊誌のMという編集が『まおゆう』を気に入って漫画化のオファーをさせていただいたところ、すでに他社さんでコミカライズが決まっていて、じゃあ別の形を、と言うことでご提案いただきました。
ちなみにMは先ほどの『3×3 EYES』の担当編集で、そのMのお気に入りが女魔法使いという偶然の繋がりがあります(笑)

橙乃:ちょうど外伝「まおゆう魔王勇者 エピソード1 楡の国の女魔法使い」の企画が始まった頃にお話をいただきましたので、『女魔法使いでどうでしょう』という事で企画が動きました。

シリウス編集:そこで編集部内でコンペをしたのですが、toi8さんのビジュアルイメージに近い漫画を一番上手に描けるのが、私の担当した中では川上さんでしたので、『まおゆう』を読んでいただき、『ぜひやりたい』とおっしゃっていただきました。今回発売される第一巻の後ろに掲載されているイメージギャラリーが、コンペに出したものです。今回は三枚を収録しました。まだまだあるので、二巻以降も掲載する予定です。

川上:こういう場面場面を想像して描くのがものすごい楽しかったです。

―――橙乃先生から川上先生へ、こうしてくれっていうオーダーはありましたか?

橙乃:先ほどの羽っこ以外では特にないかな(笑) 『文字を開いた(※)方が良いんじゃないですか』くらいしか言ってません。(※・漢字を平仮名にして読みやすくすること。例:お早う→おはよう)

シリウス編集:その辺に『まおゆう』らしさが出ていると思います。原作が地の文がない会話劇であるからこそ、そこが重要な部分ではないかと思っていて、会話のテンポには気をつかいます。

川上:橙乃先生からは逆に、『壊してくれ、自由にやってくれ』とおっしゃっていただきました。

橙乃:他のコミカライズが本編の話なので、むしろ本編から離れたところに面白さや幅があると良いという事と、雑誌のカラー的にも女魔法使いが可愛くて、応援できるヒロインじゃないと成立しないと思っていたので、そこは話しました。
序章も上手かったんですけど、ほんとにビックリしたのが第一話!オリジナルな冒険をするようになってから、物語としての完成度も高いんですよ。

―――第二話では、この106ページなんか良いですね。

川上:実はこのカット、雑誌掲載からまるまる描き直ししました。女魔法使いは良い感じなんですけど、鳥使いがしょぼかったんで(笑)
他にも背景が描き足されていて全体的にグレードアップしています。

―――第一巻で注目して欲しいところなどはありますか?

川上:女魔法使いの食べているシーンでしょうか。魔力補給のために大食いって設定なので、食べているシーンは気合いを入れて描いてます。


橙乃:なので、『まおゆう』の世界では女魔法使いと勇者と女勇者は大食いという設定なんですよ。 僕は川上先生のこういうコメディっぽいところが大好きなんです。初めて見る人にとって、可愛い女の子がモグモグしたり面白い事をしていて、ちょっと笑いがあるのはすごく敷居を下げてくれるんですよ。

シリウス編集:編集者としては、カバー裏にもお楽しみが隠されていますので、めくってみてみてください。あと、帯を取ると絶対領域が見えます!

橙乃:このショートパンツに絶対領域ってのがいいですよね。すその長さとかも絶妙です(笑)

―――編集者の立場から、改めて本作の魅力をお聞かせください。

シリウス編集:中高生が読めるような作品にしたいというのはあります。原作を読んだ時には、現代の経済学を使ってあの世界の戦争を紐解いていくところに面白さを感じたんですけど、それをやると学生さんは勉強している感じになってしまうというのと、魔王と勇者の話になってしまいます。そこで、女魔法使いの物語で現代の社会学と絡めることの出来そうな要素である信仰とその対立というものを、徐々に出していこうと考えました。
今はまだその片鱗が見える程度ですが、話が進むにつれ濃い話もしていきたいですね。さらに『まどろみ』を読んで原作に興味を持ってくれる人がいたら、コミカライズとしては良いパターンかなと。

―――なるほど。原作者から見て、今後の見所はありますか?

橙乃:原作では勇者が去ってしまう時に、女魔法使いは『一緒に行けなくて悔しい、私は絶対勇者の隣にいるんだ』って言うんですけど、作中で一回登場した後は、ほとんど勇者の隣にはいないんですよね。 彼女は空白の期間の中に、勇者と一緒にいる事以上の、なにか別の価値観を見つけたと思うんです。というのは『まおゆう』の中では明示されていない謎の一つとして残ってるんですけど、それは川上先生がなんとかしてくれると思います。

川上:大任を任されてしまったんですけど(笑)

―――今後の展開にも注目ですね。それでは最後に皆さんへメッセージをお願いします。

橙乃:ここから入って『まおゆう』原作を読むとか考えなくても、これはちゃんとした『まおゆう』ですので、楽しく『羽っこちゃん可愛いな』って思って読んでいただければ良いと思うんですよ。女魔法使いも羽っこちゃんも悩み事があるでしょうし、その後出てくる人たちもそうですし、一人一人を応援しながら読んでいただければ、それがベストな読み方かと思います。

川上:ちゃんと『まおゆう』になっているのか不安でしたけど、そう言っていただいて嬉しいです。 女魔法使いと囀翼族(てんよくぞく)の娘と、赤と、魔王や勇者たちが絡んできて、これから色々と自分でも想像つかないことが起こってくると思うので、女魔法使いの活躍にこうご期待!そのためには第一巻をぜひ読んでください。

―――本日はありがとうございました。

取材・文:かーず(かーずSP

【関連記事】
まおゆうスピンオフ まどろみの女魔法使い1巻 「女魔法使いカワイイよ女魔法使い」
商業コミック版 まおゆう魔王勇者(1) 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」発売
ゆかいな魔王と勇者 「描きも描いたり百二十八話!まおゆう全編をゆかいに漫画化!」
まおゆう魔王勇者(1) 魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」発売

【関連リンク】
講談社 / 少年シリウス
「まおゆう魔王勇者 外伝 まどろみの女魔法使い」1巻コミックス情報
橙乃ままれ氏のホームページ / Twitter
まおゆう魔王勇者 - Wikipedia
まおゆう魔王勇者 エピソード1 楡の国の女魔法使い

この記事はコラム カテゴリーに含まれています |Ajax Amazon Edit
トラックバックURL
http://trackback.blogsys.jp/livedoor/geek/51338506