2012年06月11日

【コラム・ネタ・お知らせ】 オタクと結婚

オタクと結婚 や、クエスチョナーズ モリです。何かと浮き沈みが激しいエンターテインメントの仕事をしていると、「あー、結婚しといて良かったなぁ」とか思う事が多々あります。しかし、「オタクライフ」が脅かされるなんてのもまた読者諸兄お察しの通り。ともあれ丁度一緒になって丸10年って事もあるので、今回はその感謝の意味もこめて「ヨメ」のお話。
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で、ウチのヨメなんですが、まず一般に言われるようなオタクではないですし、腐ってもいません。

昔はゲーム会社でグラフィッカーをやっていたのでゲームくらいはするんですが、別に死ぬほどゲームが好きって訳じゃなく、その会社に入ったのも「美大在学中に就活しまくって内定取れたのがココしかなかった」っていう至って消極的な理由。 そのくらいオタクとはかけ離れたフツーの女子だったんですが、何故か自分みたいなドオタクと結婚しちゃったんですよねー。自分が言うのもアレですが謎ですねー。

や、ま、その、アレ、イキオイっす。

まだ付き合いを始める前、モリは35歳だったんですが当時は「ドリキャス版バイオハザード CODE:Veronica」とか「THE HOUSE OF THE DEAD」が忙しくて外に出る気なんかないくらい、たまにコントローラーを置いたと思ったら今度はニッパーとプラモのパーツを握ってるというフツーのオタクでしたし、今でも大体そうです。

当時はまだ、WEB制作の会社でアートディレクターなんてモノをやっていたんですが、部下から「ゴリゴリのイラレ使いばっかりが集まる飲み会」があるんで来ません?と誘われたその会場で今のヨメと知り合いました。その時は「会話をテキストにおこしてチュートリアル画像を貼り付けたらMdNの記事にでもなりそうな」色気もへったくれもない会話ばっかりだったにも関わらず、とりあえず連絡先は交換。その時は「ゲーム屋さんはこんなイラレの使い方してるのねん」くらいの感想だけで帰宅。

ところがですよ。

翌週になって、その女子がやれ「メシを食いにいこう」とか、「呑みにいこう」とか誘ってきたり、「このグラフィックにこんなエフェクト掛けたいんだけど方法を教えてくれ」とかメールをくれるんですね。メアドが明らかに会社のモノなんで、情報管理的な意味で大丈夫かいな?と多少の心配はしつつも、誘ってもらえるのはありがたいのでなんだかんだでメシを食いにいくことに。

そこから付き合いは始まったんですが、以降、あれよあれよというまに「アパートを引き払う」とか「相手の親に会う」とか「指輪を買う」とかのビッグイベントが毎月の様に設定され、籍を入れるまでの期間約6ヶ月という猛スピードで結婚してしまったのですた。

10年たった今でも思う、うわっ!なんだよコレ。や、別に今のヨメがイヤとかそーいうのじゃないですよ。マジで結婚してよかったと思う。この「うわっ!なんだよ」ってのは、こんな短期間で成立した人間関係が10年続いて、現在もなお大絶賛継続中である現実の凄さに対するツンデレ的表現だとでも思っといて下さい。

デザイナーなら知る人ぞ知る雑誌MdN
ウチのヨメはどうやら今でも色々寄稿しているようです
オタクライフ崩壊!?ごらんの通りだよ。

付き合い始めより「オタクライフ」の危機を想定していた私は、趣味を維持・増進させながら関係を継続する方法を模索していました。最初は「巧妙に偽装したり、押入れに隠して必要なときだけ取り出す」現在で言うところの「桐乃案」を考えていたんですが、コレクションというのは数増やしてナンボですし、コンパクトなアパートのクローゼットではあふれかえるのも時間の問題と考えた結果、「当たり障りがなさそうなモノから徐々に目を慣らしていく案」に方針変更することに。早速、ミニカーやアメトイあたりから陳列を開始、段階ごとにハードルを上げていきました。まず…、

 ・ゲーム、プレステ本体、ドリキャス → 元々ゲーム屋なので違和感なし。OK
 ・模型誌、ゲーム誌 → この辺りは見慣れてるよねってことでOK
 ・大量のコミックス → 流石に「断面図」とか「らめぇ」とか描いてるヤツではないのでOK
 ・ガンプラ → このあたりからちょっと目線が訝しげになる、が、まあOK
 ・北斗の拳、エヴァ等のアクションフィギュア →意外とこの辺は抵抗ない様子 OK
 ・アニメDVD → 当時の我が家にはまだ「萌え」はなかったのでOK!

流石にここまで大量のコレクションが室内に展開されると、一瞬訝しげな表情にはなるものの、特に何か突っ込まれる事もなく、当初心配していた「オタクライフの危機」は杞憂に終わる…かと思っていましたが甘かった!その数年後、当時、ホビーのOEM生産会社で営業や進行管理をしていた関係から、取引先のメーカーさんに頂いた美少女フィギュアを家に持って帰ってきた事からトラブルが発生!しかもそのフィギュアの意匠が無駄にエロい肢体、モロ見えかつ破れかかったパンツ、レイプ目とかって代物だったんで、以後しばらくほとぼりが冷めるまで「オタクキモイ!」を連発されることになりました。

オタグッズ許容ライン。まだ、我が家はまだまだ許容範囲広い方だと思う。

付き合い当初成功したと思われていた「初期設定」は後にちょっとした油断で木っ端微塵に粉砕されるのでした。まあ初めて自宅に持ってきたのがコレなんで、しょうがないっちゃしょうがない気もします。ともあれこの一件でヨメの美少女フィギュアに対するファーストインプレッションはもう最悪。なので、未だモリのコレクション棚に美少女フィギュアのPVC完成品は一個もありません。

オタと非オタの交わる場所を探して

そんなワケでこの唐詩郎氏謹製フィギュアが持つ、高い破壊力に恐れをなした私は、ちょっと惜しい気もしたけどそのまま家に置いておく事も出来ないので、なくなく某所にて処分したのでありました。

その後謝罪をつづけるなかよくよく話を聞いてみると、お怒りの理由はもっと別のトコにもあったみたいで、「自分の趣味に夢中すぎてあまりヨメの相手をしていなかった」とか、「ヨメがご執心なモノに対する関心のなさ」とかもストレスを与える一因になってたみたい。女性の場合、男と違って怒りの原因が多岐にわたったり、怒りの深度が深かったりすると「某かのイケニエ」を以ってそれを表現される事があります。ソレだけを切り取って「なんで美少女フィギュアごときでここまで怒れるんだろう?」とかヌカしてると本当に関係修復不可能になったりするんで注意が必要です。

ともあれひとしきり反省して以後、よくよく耳を傾けてみるとヨメも意外に多趣味であった事が判明。まあ、出るわ出るわ、「ジャッキー・チェン」「サモハン」「ヤン・スエ」「倉田保昭」そっから派生して「60年代~70年代の刑事・アクションドラマ全般」とか、「香水」とか。

香水はともかくとして、「カンフー映画」と「刑事・アクションドラマ」ならこっちも対応が可能。こっちだってかつては「ブルース・リー」で育った世代、もう映画どころか「グリーン・ホーネット」から見ているし、「昭和の仮面ライダー役者」は大体次のステップが「刑事・アクションドラマ」。そこも「Gメン'75」以前からJACがアクション付けてるヤツは子供の頃からかなりチェックしてるんで、色々話し込んでいるうちにどうやらヨメも自分に「アニオタ」以外の側面を見つけたご様子。ということで以降はここらへんのモノを一緒に楽しむ、というのがモリ家の定番となったのでした。

ヨメとモリの趣味の接点
そしてモリが見つけたもの

くどいようですがモリは(ジャンルはともあれ精神のありようとして)オタクなので他者との接点が「なんとなーく見つかって」交友関係がはじまることはあっても、基本的には自分の興味が中心なので、「他者との対話の中で敢えて相手との接点を見つけて交流する」なんてメンドクサイとか思って全くといっていいほどやってこなかったんだけど、多分ウチのヨメはそれを察知したのか、自分の好みの範疇でその接点を振ってきたんでしょうね。よくよく観察してみると、自身に無理のない範疇で相手との接点を探して話をつなげるのがうまい。とても自分には出来ない芸当だ。

ヨメ言うには、「男より女の方が言語野というか、左右の大脳を連結する脳梁の発達がデカイから出来て当たり前。そういえばコミュ障ってだいたい男の方が多いよね」だと。 クソ、暗にコミュ障とか言われちまったい。一瞬軽ーくすねてみましたが実はこの能力には色々と救われております。口論になったときはもういきなり絶望的ですが。ともあれウチのヨメと知り合わなかったら、そういう積極的な付き合いの広げ方を試みることもないまま孤独なジジイになってる可能性大です。ほぼ確実に。

そういえば、この結婚生活と同じく玩具・ホビー業界での在籍期間も大体10年ですが、特にこの後半の5年くらいで思うのは「生きるって大変orz」って事。や、orzとか書いてるけどシャレじゃなく。もし、現在でも独身だったら今頃ヘタすっと病院のベッドでヒーコラ、ヒーコラ、バヒンバヒンいっててもおかしくないくらい。いやもしかすると既にクタばっててもおかしくないかも。

そんな調子なんで「あー、なんだかんだでオレって結構ヨメに生かされてる」のねーって実感するのにずいぶんな時間をかけてしまったんですが、この10年で得たものの中で一番大きな「成果」は実はこの心持なんじゃないかなと思う今日この頃です。この感謝の心だけ忘れなければ、後は大体いつもどおりのアフォなまんまでいいと思います。

我が家の毎日はだいたいこんなトコです。

そういう心持で望む事が出来れば、結構他者と一緒に生活をするってコトが意外と苦にならないもので、確かに結婚生活は「お互いが持っている時間を分け与え合う事」なんで「オタクライフ」なぞは確実に減衰するんですが、最近じゃねもう多少減衰するくらいはいいんじゃないかとか思ってるんですよ。そりゃ確かに全部なくなるとかなり寂しい感じがするんでアレですが、その代わりに健康とか、自身の世界観拡張とか得られるもんは存外に多いんで。コレを読んでるみなさんも「無理ゲー」とか言わずに「こいつは!?」という方がいればとりあえずメシでも誘う辺りから始めてみると、そこから何かのフラグが立つこともあるんで一つお試しアレ。ではまた次回。

クエスチョナーズ モリ コウイチロウ

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