2015年10月23日

【コラム】 「やがて君になる」第一巻発売記念!仲谷鳰先生インタビュー

仲谷鳰 やがて君になる 月刊コミック電撃大王にて連載中、今まで人を好きになったことがない「小糸 侑」と、誰からも慕われる生徒会役員「七海 燈子」。そんな女の子同士による恋模様を描いた「やがて君になる」の第1巻が10月24日発売!。今回は、作者の仲谷鳰先生と担当編集さんにインタビュー!(取材・文:かーずSP
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仲谷鳰先生のデビュー作『やがて君になる』を描かれた心境や裏話、果てはガールズラブ作品に対する想いまで、『やがて君になる』の魅力を百合づくしでお送りします! 

10月24日発売 仲谷鳰先生の「やがて君になる」第1巻

■「百合」を描いている自覚はありませんでした

───「やがて君になる」を描かれたきっかけはどのようなものでしたか?

仲谷鳰(なかたに にお)(以下、仲谷):元々、同人で女の子同士の話を多く描いていたところ、「百合を描く人」と周りから思われていたところがあるみたいなんです。でも自分では、恋愛を描いているつもりがなかったので、これは百合と言っていいのかなと思っていました。なので「一度思いっきり百合の恋愛モノを描いてみよう」と考えていた時期に、編集さんから声をかけていただいたのがきっかけです。

担当編集:キスまでしてるのに、百合を描いている実感が無かったっていうのは、最初その話を聞いた時驚きました(笑)。

仲谷:言われて見ればそういうのも描いてたなっていう……昔から面倒くさい恋愛ものが好きなので、百合かどうかは意識してなかったです。


■侑と燈子、見た目と内面のギャップを楽しんでください
小糸 侑
押しに弱い反面、頑固なところもある一年生。生徒会で出会った七海燈子に共感を覚える。 誰も好きになった経験がないというのがややコンプレックス。なぜか燈子に気に入られるようになり、生徒会を手伝うことになる

───主役の侑ですが、外見的にはアホ毛が特徴的ですね。

仲谷:言われてみれば……なんでアホ毛つけたんだろう(笑) 燈子とバランスを取って可愛い系の見た目にしようとは意識しました。でも内面はクールな部分があるので、そのギャップが出て面白くなっていたら嬉しいです。

───確かに、可愛いルックスなんですが意外と冷静な所もあります。

仲谷:私がそういうひねくれた女の子が好きなところはありますね。特にモデルはいないんですが、恋愛漫画を作るにあたって、担当編集さんが周りの人に恋愛観や体験談をリサーチしてくれたんですよ。その中で恋愛したことがない、しようと思わないタイプの人がいたので、だいぶ参考にさせてもらいました。

担当編集:ネーム作りの段階で、侑の性格を掴みかねて苦しんでいた時期があったんです。そんな時に、人を好きになる気持ちがわからないという子から話を聞くことができて……「この子、侑ちゃんだ!」って、ご本人に許可をいただいて参考にさせてもらいました。
大なり小なり、初恋を経験してる人は多いと思うんです。なので侑のように「人を好きになれない」って感覚を読者さんに理解してもらうのは難しいなって思っていました。でもその感覚を仲谷先生は、「羽が生えちゃうような」 とか 「地に足が着く」という描写で上手に演出してくださいました。

───侑のお気に入りシーンはありますか?

仲谷:第5話で侑が燈子を外に連れ出すシーンがあるんですけど、こういう気遣いが出来る子なんだ……っていう姿を描くことができて良かったと思っています。「緊張してるかもしれないから一応……でもなんともなかったらわざわざ連れ出しちゃって恥ずかしいけど、それでもいいやっ!」って思いきって連れ出すのが侑の性格で、こういう大胆な一面も読者さんに好きになってほしいですね。

担当編集:自分はお姉ちゃんが部屋に入ってきたプラネタリウムのシーンで、何気ない仲よさげな感じが好きです。お姉ちゃんを「ちゃん」付けで呼んでいるのが良いっていう読者の方からの感想もいただきまして、いい感じに姉妹感が出たんじゃないかと。


七海燈子
成績優秀で他生徒からの人望も厚い生徒会役員。誰に告白されてもどきどきしたことがないと言っていたが、侑に強い興味を持ち始めて積極的にアプローチしていく

───燈子の容姿はどのように決まっていったんでしょうか?

仲谷:見た目がクール系でいかにも美人という王道感は出しておこうかなと。初期設定では髪はそんなに長くなかったんですけど、ロングにしたことで、ますます正統派な見た目になりました。見た目が可愛いけど冷めた一面も覗かせる侑とは正反対で、見た目クールな燈子の方が甘えていきます。そんなふたりの意外な「恋心の温度差」を楽しんでくださっている読者の方が多いようで嬉しく思っています。第一印象から受けるふたりのイメージと実際読んでみたイメージを楽しんでいただければと

───燈子のお気に入りのシーンは?

仲谷:第3話で集合写真を撮る時に手がぶつかるところですね。ちょっとネタバレに配慮して、多くは言えないんですけど、感情を抑えきれない燈子の可愛さというか駄目な部分というか……そういうところに侑だけが気付いているという構図はおいしいと思います。

佐伯沙弥香
燈子の親友で、常に学年成績二位という才女。「燈子をサポートするのが私の役目」と割り切っているが、燈子が侑に接近していく様子には、内心複雑な心境がうかがえる

───沙弥香はどういう風に決まっていったんでしょうか。

仲谷:燈子と常に一緒にいる副会長ポジションで、沙弥香も優秀なんですけど、燈子と並んだ時に違いがはっきり出るように意識しました。同じ優等生と言っても、燈子は周りに好かれるタイプで親しみやすく気さくに誰とでも話すんですが、沙弥香はどちらかというと近寄りがたくて高嶺の花というイメージです。

───沙弥香はこれから、侑と燈子の間に入ってきて一波乱あるんでしょうか?

仲谷:今後の展開にご注目いただければと(笑)


■なぜ今、『電撃大王』で百合漫画なのかを担当編集に聞く

───『電撃大王』で百合漫画というのは珍しい気がします。

担当編集:そういう反応はとても多くいただきました。けど、やりたいと思ったらもう止められませんでした。もともと百合作品が好きで、いつか自分でも担当したいと思っていたんです。

仲谷:百合作品の話をする時、すごく楽しそうですもんね。

担当編集:コホン……なので仲谷さんに百合作品を描いてもらえるってなった時には、しばらく百合作品のことしか考えられなくなりました。勉強していくうちに、世の中の女性がみんな女性と付き合ってるんじゃないかなと頭が疲れた時期もありました。

仲谷:あの時は、この人もうダメなんじゃないかと思いました。

担当編集:女性同士の恋愛を真正面から取り扱った作品が『電撃大王』にはなかったので、正直賭けの部分はあったんですけど、編集長からもOKをもらうことができました。懐の深い雑誌で助かりました。

───百合漫画の魅力はどこにあるとお考えですか?

担当編集:それについてはそもそも「百合漫画とは何か」ってところが難しいんですよね。まず百合の定義が人それぞれなところがありまして。「男性が出てきたらダメ」という人もいれば、「恋愛までいくと違う」って人もいる、「エッチまでしちゃうと百合じゃなくてレズだ」って人もいます。僕は単に、女の子同士の恋愛ってだけで気持ちが昂ぶってしまうんですけど、女の子同士だからこそ、他では見れないものがある──とは思っています。

仲谷:百合漫画とは何かって本当に難しいんですけど、読む人それぞれでいいんだと思ってます。「読む人がこれは百合だって感じたならば、その瞬間が百合」なのかと。

───少年誌では特に「百合漫画は男性キャラが出てこないから誰に感情移入していいかわからない」という声もありそうですが。

担当編集:カプ厨になれるといいんだと思ってます。登場人物の気持ちに自分を投影させるというよりも、その外から関係性を楽しむと、百合漫画がより楽しくなるんじゃないかと思います。

───といいますと。

担当編集:登場人物の気持ちに自分を投影させるというよりも、その外から関係性を楽しむ感じですね。自分はそこにいなくてもいい。ふたりが野原で逢瀬を重ねるならば、自分はその野原に生える雑草になりたい……。
ただ、要はキャラクターを好きになって、そのキャラクターの行く末を見守りたい──っていう見方なので、読者の方にそういう楽しみ方をしていただくためには、作品のキャラクターを好きになってもらわなければいけないんですけどね。

仲谷:プレッシャーがかかりますね。燈子と侑を好きになってもらいたい……と毎回考えて書いているので、そういう楽しみ方をしてもらえると嬉しいです。

───なるほど。仲谷先生が最近よかった百合作品はありますか?

仲谷:アニメの『響け!ユーフォニアム』がすごく良かったです。百合的にやりたかった事を先にやられたみたいな感じもあり、「なんで私はこれを観ながら百合漫画を描いてるんだろう」って変な気持ちにもなりました(笑)
学生の頃、吹奏楽部に入っていて中学はトロンボーンで、高校はチューバだったんですが、元吹奏楽部としても刺さるところがいっぱいあって、さらに百合要素が満載みたいな! 楽器の作画も凄かったですし、吹奏楽をやってたからこそ気づいた所が色々とあったという、あまりにも私向けのアニメになっていて、本当にありがとうございます! って感じでした。

一同笑い

■店舗特典も豪華!『やが君』フェアの数々!

───なんでも、メロンブックスさんの特典がすごい事になっているとか。

仲谷:はい! メロンブックスさんでは小冊子がつくんですけど、『悪魔のリドル』の南方純さん、『あの娘にキスと白百合を』の缶乃さん、『小百合さんの妹は天使』の伊藤ハチさんなどに『やがて君になる』のイラストや漫画を描いていただきました。

仲谷:私が大好きな先生方に、こうして自分のキャラを描いていただいて本当にすごく嬉しいです! 「この先生にはこういう風にこの子が見えていたんだ!」って逆にこちらが発見する事もあって、ぜひ皆さんにも見て欲しいです。

担当編集:他にも、アニメイトさんでは『あの娘にキスと白百合を』と『小百合さんの妹は天使』とコラボしたカラーペーパーがつきますし、とらのあなさんでは書き下ろし漫画のリーフレットがついています。チェックしてもらえるとありがたいですね。 <「やがて君になる」1巻特典まとめ>

担当編集:さらに電撃大王公式Twitter(@Dengeki_Daioh)では直筆サイン色紙が5名様に当たるキャンペーンが10月27日より開始予定です。フォローとRTだけで応募できるので、こちらも見てくださいね


■ますます加速する、燈子と侑の温度差のある駆け引きに注目

───第1巻のラストで侑と燈子にひとつの区切りがつきましたね。

仲谷:二人の関係性をはっきりさせた上で、不穏な雰囲気を出して終わるっていう(笑)

担当編集:続きの第6話が、単行本と同時に出る『月刊コミック電撃大王』12月号に掲載されてます。単行本の続きがそのまま読めますので、気になる方はぜひ雑誌も買ってもらえればと。

仲谷:1巻ではとにかく燈子と侑の関係性を作ることに注力していました。2巻では沙弥香や槙君、片思い中の朱里など、他のキャラたちが大きく動くことになります。メロメロの燈子とクールな侑の温度差の駆け引きも加速していきますので、楽しんでいただければ嬉しいです。

───それでは、皆さんへメッセージをお願いします。

仲谷:ちょっとひねくれた感じの恋愛ものですが、初めての連載でここまで好き勝手に描かせてもらっていいのかなというくらいの百合作品なので、沢山の人に読んでいただけたら嬉しいです。
百合ファンの方はもちろん、ちょっと面倒くさい恋愛モノが好きな方にも気に入っていただけると思いますので、よろしくお願いします。

───本日はありがとうございました。

取材・文:かーず(かーずSP

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